【聖杯探索】遺跡の守護者
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■ショートシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:7〜13lv
難易度:やや難
成功報酬:7 G 29 C
参加人数:8人
サポート参加人数:2人
冒険期間:05月07日〜05月18日
リプレイ公開日:2005年05月11日
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●オープニング
「これは、一体‥‥?」
その机は、巨大な机であった。ぐるりと円を成したその机は、アーサーが王座につきし時より、キャメロットの城と、キャメロットの街と、そしてイギリス王国とその民たちを見守ってきた座であった。
その名は円卓。勇敢にして礼節を知る騎士たちが座る、王国の礎。そしてそれを囲むのは、アーサー・ペンドラゴンと16人の騎士。
すなわち、誉れも高き『円卓の騎士』である。
その彼らの目に映りしは、円卓の上に浮かぶ質素な、それでいて神々しい輝きを放つ一つの杯。緑の苔むした石の丘に浮かぶそれは、蜃気楼のごとく揺らめき、騎士たちの心を魅了する。
「‥‥『聖杯』じゃよ」
重々しい声の主は、マーリンと呼ばれる一人の老爺。老爺はゆっくりと王の隣に立ち、その正体を告げた。
「かのジーザスの血を受けた、神の力と威光を体現する伝説‥‥それが今、見出されることを望んでおる」
「何故?」
「‥‥世の乱れゆえに。神の王国の降臨を、それに至る勇者を望むゆえ‥‥それすなわち、神の国への道」
老爺の言葉が進むにつれ、その幻影は姿を消していた。‥‥いや、それは騎士たちの心に宿ったのであろうか。
アーサーは円卓の騎士たちを見回し、マーリンのうなずきに、力強く号令を発する。
「親愛なる円卓の騎士たちよ。これぞ、神よりの誉れ。我々だけでは手は足りぬ‥‥国中に伝えるのだ。栄光の時が来たことを!」
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 凄い依頼人が来てるんだが‥‥」
緊張したように冒険者ギルドのおやっさんが依頼人を紹介する。
「私はダゴネット・フール、円卓の騎士を務めている」
その寡黙な大男は、簡潔に自己紹介すると依頼内容を話し始めた。
「王は聖杯の探索をお命じになった。私は探索行を共にする冒険者を求め、ここへやってきた」
手短ではあるが、この依頼の重みは伝わった事だろう。
目的地はドーチェスター近郊、メイドンカースルという遺跡。そこに何らかの手掛かりがあるらしいのだ。
果たして、遺跡には何が待つのか?
冒険者達は、英雄への一歩を踏み出そうとしているのかもしれない。
●リプレイ本文
「こんにちわ、メイド忍者の大隈えれーな(ea2929)です」
「俺はリ・ル(ea3888)。リルでいいぜ」
「アシュレー・ウォルサム(ea0244)といいます。若輩者ですが、どうぞ宜しくお願いいたします」
「『深き森』の志士、夜枝月奏(ea4319)です」
「諸君の同行に感謝する」
特別に用立てられた馬車へと乗り込むダゴネットと冒険者達へ、手を振り見送るディーネ。
そして、何か自分に出来ることは無いものかと、お弁当を手渡すシエラであった。
馬車に揺られての昼時。
遺跡に関する情報をダゴネットに訊きつつ、早速、弁当を頂くことにしたファイターのマナウス・ドラッケン(ea0021)。見た目はイマイチだったが「美味しかったよ」と言おうと心に誓った。そのためにも生きて帰らねばならない。
「正直言って聖杯自体にはあまり興味ないけど‥‥名を売る機会ではあるな」
ウィザードのロット・グレナム(ea0923)。興味の中心は、やはり精霊か。
「ドラゴンと戦う羽目になるとは思わなかったよ。なぁ、ロット」
そんなロットへ話題を振りつつ、ダゴネットに冒険譚を話すリル。彼自身『名誉戦士』の称号を持つ筋肉騎士団が仕官を目指している事などを売り込む。
「王は実力ある者を見抜く目を持つお方だ。私は王に取り立てられた事を誇りに、それを証明せねばならない。そして、キミ達にも機会は必ず訪れる」
そうダゴネットは語る。
「この依頼を成功させた暁には、ぜひ俺に剣の稽古をつけてくれ」
と言うリルに、ダゴネットは快く頷いたのだった。
遺跡の入り口に立つ冒険者達。
「ダンジョンなんて何んだかワクワクするわね〜♪」
ウィザードのエルドリエル・エヴァンス(ea5892)が入り口を覗く。
「聖杯か、ここに手掛かりがあればいいんだけどね」
と、マナウス。聖杯についてダゴネットに尋ねてみたが、彼は「王のために必要なものだ」と言うだけだった。
「では諸君。Ahead、Ahead、Go Aheadだ。――返事はどうしたかね?」
音頭をとるナイトのレイヴァント・シロウ(ea2207)。ノリについていけない者には「円卓チョーップ!」などとツッコミを入れる。
「わっはっはっは!」
豪快な笑い声。それまで寡黙だったダゴネットが笑っていた。
「いや、ありがとう。緊張がほぐれた。ここからが本番だ、宜しく頼むぞ!」
バシバシと背中を叩くダゴネットに、
「イエス・ティーチャー!」
笑顔で敬礼するレイヴァントであった。
いよいよ、遺跡へと足を踏み入れた冒険者達。
探索能力に長けたアシュレーと、ランタンを持ってサポートするえれーなを先頭に進む。
敵の出現に備え、ダゴネット、リル、そしてマッピングを担当するレイヴァントが続き、
「罠で解除しなくても行けそうなトラップがあったら取っておいて欲しいんだけど。安全な所と危険な所は判るようにマーキングしてね」
中列でランタンを持つエルドリエル。戦闘などで有効利用しようというのだ。
同じく中列にロット。『ブレスセンサー』を掛けて警戒に当たる。アンデット等は感知できないのは承知の上だが、補助的な役割は果たせる筈だ。
そして、奏とマナウスが後方を固める隊列である。
遺跡には侵入者を排除するための罠が配置され、アンデットが徘徊していた。
それらの罠を見事に見抜いていくアシュレー、えれーな。
またアンデットと遭遇しても、
「お前の相手は俺だよ。掛かってきな」
アシュレーと即座に入れ替わって前衛に立つリル。
「不潔な輩は滅殺です!!」
そのままホイップでしばき倒すえれーな。
時には罠を逆利用するなど、見事な連携でアンデットを駆逐していく。
そして、アンデットの残骸には、油を撒いて焼き払っておくマナウスであった。
まだこれと言った強敵に遭遇する事もなく、探索一日目が過ぎる。
現状把握と予備作成のため、遺跡の地図を書き写しておく奏。
三交代で見張りを担当し、休息を取る冒険者達。
一斑、ダゴネット、アシュレー、ロット。
二班、マナウス、レイヴァント、えれーな。
三班、エルドリエル、リル、奏。
寡黙で取っつきにくい印象のあったダゴネットだが、実は気さくな人物だと分かり、見張りの間も色々な会話を交わす事ができた。
円卓の騎士といっても、雲の上の存在なのではなく、実力を信頼しあえる『仲間』として。
更に、遺跡の深部へと探索を進める冒険者達。
崩れかけた部分から物音を聞き取ったアシュレー。
「力仕事なら任せてくれ。なんせ他に取り柄がないからな」
リルとダゴネットがロープを支え、下へと降りると、その先の部屋にはズゥンビ化していると思しき牛頭のオーガが彷徨っていた。
「元はミノタウロスのようね。斧は失われているようだけど、角には気を付けてね」
モンスター知識に長けたエルドリエルが告げる。
そして、奥の台座には石で出来た何かが置かれているのが見て取れる。
「聖杯の手掛かりかもしれん‥‥」
得物に手を掛けるダゴネット。幸い、ミノタウロスズゥンビは冒険者達に気付いていない。
「うふ、うふふ、うふふふふふふふふふふふふっ☆ 清めませう」
にっこり笑って、『道返の石』に祈りを捧げるえれーな。
待つこと暫し。これで、アンデットの動きを鈍らせることができるのだ。
「夜枝月、頼む」
ロングソードを構えるリル。
「焔と共に‥‥」
まず『フレイムエリベイション』を発動させる奏。続いて『バーニングソード』を自分と仲間達の武器に掛けていく。
『疾走の術』を発動させるえれーな。
「さあ、引き篭もった挙句に道を踏み外した牛君を修正しに殴りにいこう」
『オーラソード』を発動させたレイヴァント。その言葉に皆の笑みが零れる。
「アシュレー、マナウス、ロードシルバーアロー。ロット、ライトニングTBスタンバイ」
「いくぞアシュレー‥‥我らが矢は貫き穿つ! 『セット』ツインシューティングPA!」
レイヴァントとマナウスの掛け声で、同時に矢を放つアシュレー!
「ここのところ人間の相手ばかりでやりづらかったけど‥‥モンスター相手なら遠慮は要らないな!」
そこへロットの『ライトニングサンダーボルト』!
「御部屋の空気は綺麗にね♪」
更にエルドリエルの『アイスブリザード』が追撃!
「ZuMoo‥‥」
襲撃を受けたミノタウロスズゥンビが、ダメージをものともせず冒険者達の方へと突進してくる!
「蒼天二刀流リ・ル、いくぜ」
前衛に躍り出るリル。ダゴネットが続き、奏が『フェイントアタック』で撹乱する!
そこへ連携して、ミノタウロスズゥンビにホイップを絡みつかせるえれーな!
「さて‥‥悪いけど、死にぞこないはさっさとあの世に行って悪魔とダンスでも踊ってきてね」
ミノタウロスズゥンビが回避動作をしていない事を見切ったアシュレーは、さらに『シューティングPAEX』を膝に撃ち込む!
「こちとら仕事掛かってる身でね。お前等死にぞこないに構っている暇は無いんだ、力づくでも退いて貰おう」
マナウスも『シューティングPAEX』に切り替えての射撃!
「今だ! 魔法が行くぞ!」
前衛から一歩下がって戦局を見極めていたレイヴァントが声を掛ける!
「ちょっと退いててくれよ‥‥敵と纏めて貫かれたくなかったらな!」
射線を確保し、更に『ライトニングサンダーボルト』で追撃するロット!
「かぁー、死んじゃってるのにタフだねぇ」
角をパリーイングダガーで受けつつ、『カウンターアタック』を叩き込むリル!
絡みついたホイップから手を離し、月露に持ち替えたえれーなが斬りつける!
「‥‥シャドウバインディング!」
更に、スクロールを利用したエルドリエルの魔法が効果を発揮し、動きを止めたミノタウロスズゥンビは、冒険者達によってトドメを刺された。
「今日のシロウ豆知識。銀は雷を通し易いらしいゾ」
と、レイヴァントが宣う。真偽のほどは定かではないが、彼らがミノタウロスズゥンビを倒したのは事実である。
勿論、高価なシルバーアローは回収しておく事も忘れない。
「奥の手を出すまでも無かったな‥‥」
周囲を見回し、安全を確認するロット。どうやら敵の気配はない。
台座を念入りに調べるアシュレー、えれーな。
案の定、仕掛けられていた罠を無力化することに成功!
「宝には番人がつきものだが。大当りだと嬉しいね」
置かれていた石版のような物を覗き込むレイヴァント。壁面を観察していたエルドリエルもこれには興味津々のようだ。
だが、石版は欠けていて解読は困難な状態だった。何やら紋章のようなものが刻まれている事だけは分かった。
「それはイギリスの未来をより良くするものなのかい?」
そう尋ねるリルにダゴネットが頷く。この石版を持ち帰り、解読されれば『聖杯』へと大きく近づけるに違いない。
そこで突然、遺跡の清掃を提案するえれーな。全く手入れされていない遺跡がずっと気になっていたらしい。
「ダゴネットさんも『もちろん』手伝ってくれます、よね?」
にっこり笑う彼女に、ダゴネットは豪快に笑って清掃を手伝ったのだった。
こうして、聖杯の手掛かりを入手した冒険者達は帰路に着く。
「やっぱ強いねぇ、真の騎士様は」
約束通りダゴネットに稽古をつけてもらったリルは、満足そうに空を仰ぐのだった。
彼らが英雄と呼ばれる日も近い!