病を運ぶ蝙蝠

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:3〜7lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 46 C

参加人数:8人

サポート参加人数:5人

冒険期間:05月29日〜06月05日

リプレイ公開日:2005年05月30日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を引き受けてくれけないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼人を紹介する。
「私は医者で、直接の依頼人というわけではありませんが‥‥。
 キャメロットから三日ほど行った所にある村が、流行病に苦しんでいるそうなのです。話によると、村人が大きな蝙蝠に襲われたのが原因らしく、それを退治できる冒険者も一緒に来て欲しいとの事です」
 その医者はシギと名乗り、頭を下げた。
「ラージバットってヤツだな。たちの悪い伝染病を媒介することもあるって聞いたことがある。割と凶暴で人間にも襲いかかってくるらしい。気を付けてな」
 そう付け加えるおやっさん。
「‥‥出来れば念のため、道中護衛をして頂けませんか? 村の用意した報酬とは別に、期間中の食費を私が持つということで、どうかひとつ宜しくお願いします」
 こうして新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea4287 ユーリアス・ウィルド(29歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea5034 シャラ・アティール(26歳・♀・ファイター・人間・インドゥーラ国)
 ea5892 エルドリエル・エヴァンス(22歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea9244 ピノ・ノワール(31歳・♂・クレリック・エルフ・ビザンチン帝国)
 eb0648 テンペル・タットル(21歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb0923 林 高麗(25歳・♀・ファイター・シフール・華仙教大国)
 eb1186 ラグナス・ランバート(25歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb1224 グイド・トゥルバスティ(29歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)

●サポート参加者

ルシフェル・クライム(ea0673)/ エリス・ローエル(ea3468)/ フィル・クラウゼン(ea5456)/ クリストフ・フォレストロード(ea5600)/ 琴吹 志乃(eb0836

●リプレイ本文

「タチの悪い伝染病、ですか‥‥。これ以上酷くなる前に何とかしたいです」
 ウィザードのユーリアス・ウィルド(ea4287)が呟く。幼い頃、流行病で両親と死別したため、今回の件では少しでも力になりたいと思っているようだ。
「早めに、出回るのを防がないと被害が広がるだけなのよね」
「原因になっていると思われるラージバットは全て退治しなければなりません」
「その通りです、お互い頑張りましょう」
 ウィザードのエルドリエル・エヴァンス(ea5892)と、クレリックのピノ・ノワール(ea9244)の言葉に、医者のシギが頷く。
「村に病人が出ているとの事、医師の護送は急いだ方が良いでしょう」
 レンジャーのラグナス・ランバート(eb1186)が出発を促す。
(「武闘大会とは違う、ルールの存在しない実戦‥‥ね」)
 武闘大会の常連ファイター、林高麗(eb0923)。
 その旅支度を手伝うクリストフ。そして、
「十分に気をつけて、な」
 ルシフェル、フィル、エリス、志乃らに見送られ、出発する冒険者達であった。

 村へと向かう道中。
 上空からの安全確認を担当するシフールの高麗。
「変なのが出ないといいんだけどね〜。ま、変なのが現れても、きちんと排除しちゃうし」
 周囲を警戒しつつも神聖騎士テンペル・タットル(eb0648)は、護衛対象のシギを安心させる。
 順調に旅を続け、翌朝には村に着くという所だ。
 家事の好きなユーリアスは、率先して食事の用意などを担当している。その一方で、シギに効率よい手当ての仕方などを熱心に教わっている。
「我々が感染してしまっては元も子もないですからね。その点に注意して、手伝って頂ければ助かります」
「そろそろ活動し始める時間帯です。気を引き締めましょう」
 同じく、シギの話を熱心に聞いていたピノが空を見上げる。村に近いため、ラージバットが出現する可能性もある。
「油断は禁物だよね」
 見張りに立つファイターのシャラ・アティール(ea5034)。何やら意気込みを感じられるが、何かあったのだろうか。

 結果的には特にアクシデントも無く村に着いたが、冒険者達は護衛として充分な責務を果たしたと言えるだろう。
「やっと着いたね〜」
「皆さんのおかげで、無事到着する事が出来ました」
 テンペルの言葉に、感謝を述べるシギ。
「病を運ぶ蝙蝠か‥‥こりゃ厄介なやつが住み着いたもんだな。これ以上被害を増やさないためにも、残らず倒さないといけねぇな」
 早速、蝙蝠の数や飛んでくる方向、時間帯などの情報収集を始めるレンジャーのグイド・トゥルバスティ(eb1224)。
 冒険者達は、情報収集組とシギを手伝う組に別れ、行動を開始した。
「はい、このハンカチを見てください。さて、何が出るでしょう〜♪」
 流行病のため、沈みがちな村の子供達に得意の手品を披露する高麗。彼女は一躍、村の人気者になったであった。

 そして、グイドらが村で得た情報と、モンスターに詳しいピノやエルドリエルの知識を元に、冒険者達は村の周囲を探索し、ラージバットが住み着いている洞窟を探し出す事に成功した。
「昼間なら動きも鈍いと思うから、かなり楽に戦えるよね♪」
「‥‥しっかりきっちり片付けてこないと」
 このまま、洞窟へ入ってラージバットを退治しようと提案するシャラに、エルドリエルが頷く。

 ランタンに火を灯し、洞窟を探索する冒険者達。
 ほどなくして。
「あっ! こーもり発見〜〜!!」
 いち早く気付いたテンペルが声を上げる。
「「「KiKeyーッ!!」」」
 ランタンの灯りと声に驚いたのか、天井にぶら下がっていた数匹のラージバットが、一斉に飛び掛かってくる!
「まあ、状況は不利だけど頑張るしかないよ♪」
 龍叱爪を着けた拳を構えるシャラ。空を飛ぶラージバットを相手にするには、何とか地面に叩き落としたい所である。
「はい、何も無いところから矢がー♪ ‥‥ラージバットが相手では手品の見せがいがありませんねぇ」
 少し寂しそうに、しかし的確に矢を射る高麗。
「‥‥アイスブリザード!」
 すかさず、攻撃魔法で迎撃するエルドリエル!
 更に『SCROLLofアイスブリザード』を使って援護するラグナス!
「よ〜〜〜し。殺っちゃうぞぉ!!」
 いきなり狂化してしまったのか、ウォーアックスを振り回すテンペル!
「人を襲うのなら退治するしかありません。‥‥滅せよ!」
 自らの扱える最大威力の『ブラックホーリー』を放つピノ!
 物陰に見を潜め、射撃するグイド!
「あはははははは〜〜抹殺抹殺〜〜♪」
 ブンブンと『スマッシュ』でウォーアックスを振るうテンペル!
 なかなか当たらないものの、当たったときのダメージはそれを充分補っている!
「水の精霊よ‥‥我に従え‥‥。汝が力を以って我が敵を撃滅せよ!」
 『ウォーターボム』を放つユーリアス!
 同じく、エルドリエルも『ウォーターボム』に切り替えての魔法攻撃!
「‥‥私、あんまり蝙蝠って好きじゃないのよね。鼠っぽい顔してるし」
 そう言って苦笑するのだった。

 冒険者達も無傷では済まなかったが、ラージバットを一匹ずつ確実に仕留めていった。
 だが、そこでラージバットが一匹、洞窟の外へ飛び出そうとしている!
「Key〜〜ッ」
 ここで逃がすわけにはいかない!
 高速詠唱で『ウォーターボム』を放つユーリアス!
「「「逃がさない!」」」
 更に、グイドと高麗の『シューティングPA』、ラグナスの長弓「鳴弦の弓」から放たれた矢が、ラージバットに突き刺さる!
「Ki〜〜」
 たまらず墜落したラージバットに飛び乗り、龍叱爪による『ストライク』を叩き込むシャラ!

 こうして冒険者達は、ラージバットを一匹残らず退治する事に成功した。
「人を襲う事さえしなければ討たれずに済んだものを。襲う相手を間違えたな」
 死骸からでも伝染病媒介の可能性があると考え、焼却処分を提案するピノ。
「これで病気の流行が治まってほしいです‥‥」
 そう心から祈るユーリアス。そして負傷した仲間達を応急手当てしていく。
「痛〜いよ〜」
 正気に戻ったテンペル。狂化して無茶な戦い方をしたせいか、一番傷が深いようだ。
 ユーリアスは、快くリカバーポーションを提供し、全員の手当てを終えた。
「準備完了だ」
 ラージバットの死骸を集め、同じく集めてきた薪をセットするグイド。
「禍根は‥‥全て潰して置かないと、後で後悔するからな」
 その薪に火を点けるラグナス。
 これで流行病の元凶を断つ事ができたはずである。

 村へ戻った冒険者達は、念のためシギの診察を受けておいた。
「ユーリアスさんの手当てが良かったようですね」
 病気には感染していないとシギは太鼓判を押した。
 このまま彼は暫く村に逗留するため、用意しておいた食料を渡し、冒険者達を送り出した。
 その後、村を襲った流行病は、シギ医師によって完全に撲滅されたそうだ。
 病を媒介したラージバットを退治した冒険者達もまた、村では英雄として語られるようになったそうである。