スライムパニック
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■ショートシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:8〜14lv
難易度:普通
成功報酬:5 G 97 C
参加人数:8人
サポート参加人数:2人
冒険期間:06月07日〜06月14日
リプレイ公開日:2005年06月11日
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●オープニング
キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
領主、紅茶男爵本邸の庭に出現した穴は、謎の迷宮へと繋がっていた。
冒険者達へと解放された迷宮では、現在、地下二階の探索が進められている。
男爵邸執務室での紅茶男爵と執事の会話。
「ほほう、地下二階にはスライムの大群が出現するのか」
「どうやら冒険者達も苦戦している様子で、探索の進み具合も芳しくないようで御座います」
「そうか‥‥。ならば暫くの間、スライム優先掃討期間でも実施してみるとするか!」
そして、地下迷宮の入り口には『地下二階スライム掃討期間』の看板が立てられたのだった。
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 紅茶男爵様からの依頼があるぞ」
いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書を見せる。
『これはギルフォード男爵家本邸に発見された地下迷宮探索に関する依頼である。
地下二階に多数出現するスライムの掃討に協力してくれる冒険者を募集中。
これは、スライムの中でも難敵と噂の『ブラックスライム』なるモンスターの掃討を中心に行える実力の確かな冒険者に依頼するものである。
更に、ブラックスライムの変種も存在するらしく、それ以上の難敵であるとの事だ。
地下迷宮で発見された財宝は、発見者である冒険者諸君に所有権を認め、諸君に不要な財宝がある場合は、男爵家が正当な報酬を支払って引き取るものとする。
『地下二階スライム掃討期間』の最終日には我が輩も時間を作れるようにしておき、冒険者達と共にティータイムを楽しみたいと考えている。良ければ、色々な冒険譚を聞かせてくれると嬉しい。
ギルフォード男爵』
「スライムってーとアレだな。大抵は酸の塊みてぇなヤツだから、戦った後の装備の手入れとかも大変だろうな‥‥。
言うまでも無い事だが、地下迷宮の探索に必要になりそうな物はちゃんと用意しておいた方がいいぞ!」
こうして、新たな依頼を受けた冒険者達。
ギルフォードの地下迷宮には、何が眠るのだろうか‥‥?
●リプレイ本文
「僕はギルス。小さき者達の伝道師、ギルスです」
定番の挨拶を交わすクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「あの街の採石場は、何故か悪の組織と正義の味方が度々激戦を‥‥」
見送りに来たアリアスが、ギルフォードについて知っている事をレンジャーのカファール・ナイトレイド(ea0509)に話す。
「迷宮探検がとても楽しみになったよ、アリりん♪」
そう言ってボーダーコリーの『リュドりん』に乗り、手を振る。
同じく、愛犬ルーニーに跨がるギルス。
「「シフール騎犬隊でゴー!」」
なんだかとっても微笑ましい。
キラとアリアスに見送られ、出発進行である。
無事、ギルフォード男爵邸到着。
「若いねェ」
はしゃぐ『シフール騎犬隊』を見て呟くナイトのクリオ・スパリュダース(ea5678)。
暦年齢では人間より長寿なシフールの方が上だが、わずかにクリオの方が年長に見える。
『ハッピーバースデー!』
そう、今日は彼女の誕生日だった。複雑な表情だが、祝いの言葉を貰って悪い気はしないだろう。
「今まで対峙したことのない相手だ、用心に越したことはないな」
迷宮地図を預かり、報告にも目を通しておく神聖騎士ルシフェル・クライム(ea0673)。
「できれば武器が駄目になる事は避けたいが‥‥」
苦笑するファイターのイグニス・ヴァリアント(ea4202)。
「先ず注意することは同時に複数を相手にしないことだ。倒したと思っても生きている、ということも考えられる」
ジェルとの戦闘経験を参考に対策を立てる志士の琥龍蒼羅(ea1442)。
「烈雷、イイコにしてろよ」
愛馬を厩に預けるナイトのレイヴァント・シロウ(ea2207)。
そして彼は大鍋を借りてくると、道中採取した植物の灰を水に浸し始めた。
それを手伝うファイターのクリムゾン・コスタクルス(ea3075)。モンスターに詳しい彼女に意見も取り入れられている。
その真剣な雰囲気が、逆にアヤシゲに見える。
「ふふふ、使用時には『こんな事もあろうかと』と叫ぶのだよ?」
そう言って『謎の汁』を仲間達に配布するレイヴァントだった。
地下迷宮へと挑む冒険者達。
オーガパワーリングを鳴らし、鬼面を装着するレイヴァント。中衛でのマッピング担当だ。
「『零鬼』と呼んでくれ。さて諸君。Ahead Ahead Go Aheadだ!」
「零鬼りんだね♪」
ランタンを持ち、先頭を飛ぶカファール。誰にでも『りん』を付けて呼ぶらしい。
ルシフェルは中衛として、状況に合わせて動けるようにしている。
同じく中衛、壁や天井に触らないよう飛ぶギルス。地下一階でズゥンビが多く出現したという報告から『デティクトアンデット』を掛けておく。
そのまま最短距離で地下一階を通過する冒険者達。
「‥‥この方法なら奇襲を受ける危険性は下がるだろう」
地下二階へ入り、床や壁に棒を当てながら進む前衛の蒼羅。
その隣を行くクリムゾン。いち早くスライムを識別するためである。
「迷宮の中には財宝が眠っている事もあるのか‥‥」
後衛として周囲を警戒するイグニスとクリオ。つい財宝を意識してしまうのは冒険者として当然である。
扉を開け、先に石を投げ込んでみるカファール。
カツン‥‥ビチョ。
明らかな異音に警戒を強める冒険者達。
「敬虔なる使徒をお守りください〜」
『ホーリーフィールド』を張るギルス。
そこに居たのは深緑のゲル状生物。
「‥‥これは本当に生物なのか?」
率直な感想を述べるルシフェル。
ブラックスライムより弱いとされるビリジアンスライムだと言うクリムゾン。
容赦なく『Gパニッシャー』でブン殴るクリオ!
ゲル状の身体を飛び散らせるスライム!
「‥‥痛快だ」
その威力に惚れ惚れするクリオ。『インセクトスレイヤー』の魔力が絶大な効果を発揮しているようだ。
冒険者達の実力からすれば、ザコの部類。倒すのに時間はかからなかった。
『スライム掃討期間』である三日間は、そのまま迷宮内で野営する事にした冒険者達。
「皆がスラりんと戦ってる時、急に何も見えなくなっちゃったら大変だもん」
ランタンの油を余裕を持って注ぎ足しておくカファール。
交代で見張りつつ、簡易テントでの休息。
『鍛冶・武具手入れセット』をパーティで利用できるよう提供するクリオ。スライム相手だけに手入れも大変である。
地下二階の探索を続ける冒険者達。
通路の向こうから、水に塗れた黒曜石のような丸い物体が二つ転がってくる。
「あれがブラックスライムだぜ」
そう言って身構えるクリムゾン。
他にも泥水が溜まっている所があるのだが、
「そこの泡立ってる泥水、変種のグレイオーズだから気を付けな!」
そう見破るクリムゾン。
「‥‥慌てるな、一体ずつ冷静に対処しろ」
『ライトニングソード』を発動させる蒼羅。
「双撃の刃――その身に刻め!」
先制の『ソニックブーム』を放つイグニス!
『ダブルアタック』を組み合わせたい所だが、装備が重い。
同時に『オーラショット』を放つレイヴァント!
「あるジャイアントのファイターが数匹のブラックスライムに襲われたんだ。そしたら、あっと言う間に骨までもが完全に溶けてなくなったんだってさ。‥‥っつーのはウソだけどな!」
更に『謎の汁』に矢の先を浸してから射撃するクリムゾン!
酸を飛ばし、転がるように接近してくるブラックスライム!
グレイオーズも触手を伸ばして近づいてくる!
「こんな事もあろうかと〜♪」
ひらりと酸を避けたカファールがお返しに『謎の汁』をブッかける。
ジュ〜〜ッ!
もわもわと水蒸気が立ちのぼる。
「完璧だ!」
親指を立てるレイヴァント。そして、『謎の汁』を塗った槍でトドメの一撃ッ!
しかし!
ビシュッ!
再び、酸が飛んでくる!?
「っ!? 危ない、引け!!」
盾を構えて前に出るルシフェル!
「‥‥聴かせてやろう、『風紡ぐ旋律』を」
高速詠唱の『ストーム』を発動させ、酸ごと吹き飛ばそうと試みる蒼羅!
勢いの弱まった酸をルシフェルの盾が防ぐ!
その間に『オーラエリベイション』などを掛けておいたクリオも前衛に躍り出る!
「あんまり効いてないみたいだよ、この汁‥‥?」
冷や汗を流すカファール。
「大丈夫! 負けないぜ?」
今度は『オーラソード』を発動させるべく集中するレイヴァント。
陣形を組んでスライム達と対峙する冒険者達。
ブラックスライムの酸による攻撃に無傷ではないが、何とか体当たりで貼りつかれないよう立ち回っている。
「神様がじ〜っと見ています。がんばってくださいね」
『リカバー』を掛けるギルス。
槍のリーチで接近し過ぎないように攻撃していたルシフェルも回復援護にまわる。
『オフシフト』で酸を回避しつつ、距離を詰めたイグニスが『ダブルアタック』で斬りつけていく! 素早く振り抜いて、武器が酸に触れる時間を短くしようと工夫しているのだ。
酸をマントで振り払いつつ、Gパニッシャーでブン殴っていくクリオ!
『ライトニングソード』の攻撃と、高速詠唱の『ウインドスラッシュ』を織り交ぜて戦う蒼羅!
「こうなったらっ! えいやー!」
取っておきの『シフールの礫』を投げつけるカファール!
見事、ブラックスライムに風穴が開通! そのままブラックスライムは動かなくなった。
「父と子と精霊の御名において、汝を束縛するよ」
もう一体のブラックスライムは、ギルス&ルシフェルの同時『コアギュレイト』で硬直!
残るグレイオーズに、ボロボロになったマントを被せるクリオ!
「今だよ!」
マントを突き破ってグレイオーズも触手を伸ばすが遅い!
冒険者達によって袋叩きにされ、すぐにその活動を停止したのだった。
こうして、期間いっぱい迷宮探索してから、地上へと帰還した冒険者達。残念ながら財宝らしい財宝を発見する事は叶わなかったが、多くのスライムを掃討した彼らの戦果は上々だった。
男爵邸の応接間へと通される。
「あーあ、今までの依頼の中で最もやっかいだったな。多分、牛のフンを見ただけでも、あのときのことを思い出しちまうんだろうな」
クリムゾンのぼやきに、皆が苦笑する。
そこへ紅茶男爵が現れ、姿勢を正す冒険者達。
「『地下二階スライム掃討期間』への協力、感謝する。かなりの戦果を挙げたそうだな」
「お久しぶりです、紅茶男爵。怪物退治ならキャメロットのギルドにお任せあれ〜」
丁寧に挨拶するギルス。
「レイヴァントをやっているシロウです。――鍛えてます」
初顔合わせの仲間への挨拶と同様の台詞でレイヴァント。
「我が輩の事は紅茶男爵と呼んでくれたまえ。さあ、ティータイムにしよう」
着席すると、執事と侍女が紅茶を配っていく。
ひとしきり紅茶の香りを堪能してから、一口すすり、
「ふむ、素晴らしい紅茶だ」
微笑むルシフェル。
「我が輩自慢のブレンドだ。そう言って貰えると嬉しいぞ」
満足そうな男爵。
「それでね、男爵りん☆」
迷宮での出来事を話し始めるカファール。執事が咳払いをして睨んでいるが、当の男爵は楽しそうに聞き入っている。
美術を嗜むレイヴァントは、『シフール騎犬隊』をスケッチしておいたのを見せる。
「ほほう、よく描けているな」
「こっちが僕とルーニー君だよ☆」
こうして、楽しいティータイムが過ぎていく。
後半は、冒険者達の冒険譚が話題の中心となった。
「‥‥というわけで暗殺計画はなんとか阻止できたんだが、結局暗殺者達には逃げられたわけだ。しかも連中、俺達の実力を試していたような感じでな‥‥機会があるなら次は絶対に捕まえてやりたい所だ」
とある街での冒険譚を話すイグニス。
レイヴァントは、聖杯探索に関わった事などの冒険譚を話す。
そうして夕方頃。執事が男爵に歩み寄る。
「そろそろお時間で御座います」
ティータイムもお開きである。
「諸君のおかげで、有意義な時間を過ごす事ができた。また機会があれば冒険譚を聞かせてくれたまえ。迷宮も冒険者達に開放しているからいつでも探索に来ると良い」
そう言って冒険者達を見送る男爵。
「神様はいつでも、この迷宮調査の成功をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
男爵にニッコリ笑いかけるギルス。
「今度はおいらがアリりんに、いっぱい教えてあげるんだ♪」
意気揚々と愛犬に跨り、帰還するカファールであった。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。