●リプレイ本文
「よろしくお願いします」
そう仲間達に挨拶したのは、ナイトのマミ・キスリング(ea7468)。
「‥‥夜蝶‥‥」
ぽつりと、そう名乗る忍者の夜光蝶黒妖(ea0163)。
「今回も美人と依頼が出来るなんて恵まれてるな。皆、よろしく頼むよ」
軽口を叩くファイターのジャッド・カルスト(ea7623)。
「怪我人も出てるのか‥‥しかも毎夜やってくるとはな。このままじゃ、家畜や大人だけじゃなく子供にも被害が広がるかもしれねぇ。早めに対処しないといけねぇな」
出発を促すレンジャーのグイド・トゥルバスティ(eb1224)。
「生きる為に、食物を求め獲物を狩る。ただ自然の行いが、人と交わらぬ故に排斥される‥‥所詮相容れぬもの同士であるというのか‥‥」
そう言って頷く忍者の葉隠紫辰(ea2438)であった。
そして、依頼の村へと到着。
「君の為に狼退治頑張っちゃうよ? 終わったら君に戦いで負った傷を癒して欲しいな」
村人に避難を呼びかけつつ、ちゃっかり村娘を口説いているのはジャッド。
村人達から状況を聞き、村長に住民と家畜の避難を促すウィザードのリアナ・レジーネス(eb1421)。
「これから迎撃準備をします。出来る限り村に被害が出ないようにしますが、もし力不足で被害が出てしまった時は、少ないですがこのお金を使ってください」
差し出した袋には10Gも入っていた。
「いえいえ、このような大金受け取るわけにはいきません。どうかお納め下さい」
慌てて返す村長。そして、「宜しくお願いします」と頭を下げるのだった。
狼への対処法を思案する冒険者達。
「しかし‥‥毎晩やってくるということは、そうとう村をなめてんじゃないのか? ちゃんと自分達の森で狩りをやってほしいもんだな」
「森には餌になるものも一杯あるのに村を襲うのは、やっぱりそっちの方が楽だって憶えちゃったからなのかな?」
グイドに相槌を打つファイターのシャラ・アティール(ea5034)。
「村の人達も狼が何処から来るのか分からないみたいだし、下手に狼達のテリトリーに入り込んだらこっちの方が不利になるしね」
冒険者達は、罠を用意する事にした。
「人に迷惑をかけなければ、狩る必要も無かったんだけどね?」
罠作りに協力するレンジャーのレイエス・サーク(eb1811)。紫辰、夜蝶、グイド、シャラの5人が罠設置の中心メンバーである。
「‥‥わんこが‥‥ちゃんと引っ掛かる様に‥‥しないとね‥‥」
仕上げに『強烈な匂いの保存食』を提供し、罠に設置する夜蝶であった。
夜になり、隠れて待ち伏せる冒険者達。
「‥‥わんこ‥‥まだかなぁ‥‥」
罠の風下に潜む夜蝶が呟く。
すると、
「WAooooooo‥‥」
森の方から遠吠えが聞こえてきた!
『ブレスセンサー』を掛けていたリアナが、
「現在、北の方角100m先に六個の呼吸が村の方向へ進行中です」
狼が探査範囲に入った事を仲間達に知らせ、
「先頭に一回り体格の大きいのがいます」
と付け加える。おそらくボス狼だろう。
『オーラシールド』と『オーラボディ』を掛けて備えるマミ。
シャラの仕掛けておいた鳴子の音が聞こえる。近い!
やがて狼達が姿を現す。
「Woooッ!」
村の入り口辺りで、先頭にいたボス狼が吠えると、狼達が機敏な動きで村へと侵入してくる!
だが、匂いに釣られたのか罠の方へと群がってくる。
『GYAWッ!』
罠の発動に、咄嗟に飛び退く狼達! しかし、二匹ほど身動き取れなくなる!
「いっちょ、人間の強さを見せてやるか」
グイド、レイエスが矢を射掛け、戦闘開始だ!
「どうやらボスは高みの見物らしい‥‥さっさと片付けてねぐらを探索したほうがいいな」
たいまつに火を付けて投げつけ、威嚇すると同時に光源を確保するジャッド。
「我が名は磨魅・キスリング! いざ、参らん!」
東洋人とのハーフのマミは、そう名乗りを上げて刀を手に狼と対峙!
「行くよ!」
狼の死角から、『フェイントアタック』を仕掛けたのはシャラ!
続いて、罠に掛かった狼を確実に仕留めようと紫辰が斬りかかる!
「まあ一応、私は狩人だしね?」
次の矢をつがえるレイエス。
「‥‥わんこ‥‥狼さんだったのか‥‥」
無表情だが、ショックを受けているらしい夜蝶。『狼=わんこ』ではなく、本当に『わんこ』が来るものだと思っていたのだろうか。
思わぬ攻撃に怯み掛けた狼達だが、
「WAwッ!」
異変に気付いたボス狼が駆けつけた事で、統率を取り戻す!
更に、動けない狼を守るよう、果敢に牙を剥く!
「さぁ、群れをまとめるボスの力、見せてもらおうか」
牙を受け止めつつ、地道に攻めて隙を窺うジャッド。
「リーダーを狙うのは定石だからな」
ボス狼を重点的に射撃するグイド!
しかし、体格が大きいだけあって普通の狼よりタフなのか、その鋭い眼光はまだ死んでいない!
「WAoooッ!」
冒険者達を手強いとみたのか、今度は鮮やかな引き際で狼達を連れて逃亡するのだった。
逃亡する狼達を追跡する冒険者達。勿論、村を警護する組と役割分担している。
「‥‥あっちに‥‥狼さんがいる‥‥といいな」
追跡しつつ、少し不安なことを言う夜蝶だが、リアナの『ブレスセンサー』によって、狼のねぐらと思われる呼吸の密集地を突き止める事に成功する。
「深追いは危険です」
そこで引き返すことを提案するレイエス。冒険者達は村で休息を取る事にした。
翌日、冒険者達は狼のねぐら強襲を敢行する事にした。
昼間という事もあり、戦闘に慣らす為、鷹を同行させているジャッド。
「やるからには徹底的に、普通だよね?」
と、レイエス。そして冒険者達は二手に分かれたのだった。
一組目が狼のねぐらへと風上から忍び寄る。
「Wow!?」
冒険者達の接近をいち早く察知したのか、耳を立て警戒するボス狼。
「‥‥ライトニングサンダーボルト!」
そこへ、リアナの放った稲妻が炸裂する!
ボス狼が先頭になって冒険者達を牽制し、負傷した狼などを逃がそうとする。
「追い出す追い出す‥‥あれ?」
狼を追い立てるつもりが、いつの間にか追われる形になっている夜蝶であった。
そして、もう一組は待ち伏せをしていたのである。
「落ち着いて、冷静に、あせりは禁物だよね?」
仲間達に潜伏を指導するレイエス。
全員が身を潜めたところで、
『GAWGAWッ!』
リアナが『ライトニングサンダーボルト』で追い立ててくる!
そして、ねぐらの風下で待ち伏せしていた者達が、ダメージを受けた狼を奇襲!
「ここは通しません!」
壁となって狼に立ちはだかるマミ!
「餓狼と言えど狂獣で無し。守るべきものの為に牙を研ぐ意志に敬意を払おう。我が刃以って、受け取れ、冥途の餞を」
標的をボス狼に定める紫辰。
夜蝶も狼に向き直ると、手下の狼を引きつけるように攻撃を開始する!
「追い詰められた獣は危険です」
「追い詰められたものは怖いからね」
細心の注意を払うよう仲間達に促し、攻撃を開始するレイエス、シャラ。
『ブレスセンサー』で狼の位置を把握しているリアナの的確な援護と、『シューティングPA』を交えつつ、射撃していくグイド!
そしてついに、紫辰の斬撃がボス狼を捉えた!
「そこだっ!」
更に、ジャンプしたジャッドが聖者の槍で『スマッシュ』を叩き込む!
同時にマミも『スマッシュ』!
「WAooooooo‥‥」
ついにボス狼を討ち取った!
こうして、冒険者達は狼の群れを一網打尽にする事に成功したのだった。
村に戻って報告すると、村人達は大喜びで冒険者達に食事を振る舞った。
「これで夜も安心だな。また、何かあったら呼んでくれよな」
ニッと笑うグイド。
いつの間にか、ジャッドの姿がない。村娘と一緒にいたのを先ほど見かけたのだが。
「‥‥さて‥‥寝るぞー‥‥」
欠伸する夜蝶。昨夜は念のため、寝ずの番をしていたのである。
更に翌日、キャメロットへと帰還する冒険者達を見送る村人達。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願い、手を振るのだった。