黒き狼の咆哮

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:3〜7lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 46 C

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:06月12日〜06月19日

リプレイ公開日:2005年06月15日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を引き受けてくれけないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書を見せる。

『村が狼共の被害を受けています!
 夜毎、遠吠えが聞こえてきたかと思うと、村へやってきては家畜などを襲うのです。家畜だけでなく、村人にも何人もの怪我人が出ています。
 このままでは村が狼に食い荒らされてしまいます。
 その中に一際体格が大きく、額に傷跡のある狼が居て、群れを統率しているようです。
 どうか、狼共を退治して下さい!』

「狼ってのは群れを成して人や家畜を襲う猛獣だな。こういう依頼はよくある方だと思うが、たかが狼と思って甘くみるなよ。気を付けてな」
 そう言って、おやっさんは依頼書の控えを渡してくれる。
「あと、村まで片道二日半ほどだ。往復の『食料五日分』は用意しとけよ。村での滞在は二日くらいなら、宿と食事の提供してくれるってよ」
 こうして新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0163 夜光蝶 黒妖(31歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea2438 葉隠 紫辰(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5034 シャラ・アティール(26歳・♀・ファイター・人間・インドゥーラ国)
 ea7468 マミ・キスリング(29歳・♀・ナイト・人間・フランク王国)
 ea7623 ジャッド・カルスト(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 eb1224 グイド・トゥルバスティ(29歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 eb1811 レイエス・サーク(27歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

シン・ウィンドフェザー(ea1819)/ イオン・アギト(ea7393)/ アレクセイ・スフィエトロフ(ea8745

●リプレイ本文

「よろしくお願いします」
 そう仲間達に挨拶したのは、ナイトのマミ・キスリング(ea7468)。
「‥‥夜蝶‥‥」
 ぽつりと、そう名乗る忍者の夜光蝶黒妖(ea0163)。
「今回も美人と依頼が出来るなんて恵まれてるな。皆、よろしく頼むよ」
 軽口を叩くファイターのジャッド・カルスト(ea7623)。
「怪我人も出てるのか‥‥しかも毎夜やってくるとはな。このままじゃ、家畜や大人だけじゃなく子供にも被害が広がるかもしれねぇ。早めに対処しないといけねぇな」
 出発を促すレンジャーのグイド・トゥルバスティ(eb1224)。
「生きる為に、食物を求め獲物を狩る。ただ自然の行いが、人と交わらぬ故に排斥される‥‥所詮相容れぬもの同士であるというのか‥‥」
 そう言って頷く忍者の葉隠紫辰(ea2438)であった。

 そして、依頼の村へと到着。
「君の為に狼退治頑張っちゃうよ? 終わったら君に戦いで負った傷を癒して欲しいな」
 村人に避難を呼びかけつつ、ちゃっかり村娘を口説いているのはジャッド。
 村人達から状況を聞き、村長に住民と家畜の避難を促すウィザードのリアナ・レジーネス(eb1421)。
「これから迎撃準備をします。出来る限り村に被害が出ないようにしますが、もし力不足で被害が出てしまった時は、少ないですがこのお金を使ってください」
 差し出した袋には10Gも入っていた。
「いえいえ、このような大金受け取るわけにはいきません。どうかお納め下さい」
 慌てて返す村長。そして、「宜しくお願いします」と頭を下げるのだった。

 狼への対処法を思案する冒険者達。
「しかし‥‥毎晩やってくるということは、そうとう村をなめてんじゃないのか? ちゃんと自分達の森で狩りをやってほしいもんだな」
「森には餌になるものも一杯あるのに村を襲うのは、やっぱりそっちの方が楽だって憶えちゃったからなのかな?」
 グイドに相槌を打つファイターのシャラ・アティール(ea5034)。
「村の人達も狼が何処から来るのか分からないみたいだし、下手に狼達のテリトリーに入り込んだらこっちの方が不利になるしね」
 冒険者達は、罠を用意する事にした。
「人に迷惑をかけなければ、狩る必要も無かったんだけどね?」
 罠作りに協力するレンジャーのレイエス・サーク(eb1811)。紫辰、夜蝶、グイド、シャラの5人が罠設置の中心メンバーである。
「‥‥わんこが‥‥ちゃんと引っ掛かる様に‥‥しないとね‥‥」
 仕上げに『強烈な匂いの保存食』を提供し、罠に設置する夜蝶であった。

 夜になり、隠れて待ち伏せる冒険者達。
「‥‥わんこ‥‥まだかなぁ‥‥」
 罠の風下に潜む夜蝶が呟く。
 すると、
「WAooooooo‥‥」
 森の方から遠吠えが聞こえてきた!
 『ブレスセンサー』を掛けていたリアナが、
「現在、北の方角100m先に六個の呼吸が村の方向へ進行中です」
 狼が探査範囲に入った事を仲間達に知らせ、
「先頭に一回り体格の大きいのがいます」
 と付け加える。おそらくボス狼だろう。
 『オーラシールド』と『オーラボディ』を掛けて備えるマミ。
 シャラの仕掛けておいた鳴子の音が聞こえる。近い!
 やがて狼達が姿を現す。
「Woooッ!」
 村の入り口辺りで、先頭にいたボス狼が吠えると、狼達が機敏な動きで村へと侵入してくる!
 だが、匂いに釣られたのか罠の方へと群がってくる。
『GYAWッ!』
 罠の発動に、咄嗟に飛び退く狼達! しかし、二匹ほど身動き取れなくなる!
「いっちょ、人間の強さを見せてやるか」
 グイド、レイエスが矢を射掛け、戦闘開始だ!
「どうやらボスは高みの見物らしい‥‥さっさと片付けてねぐらを探索したほうがいいな」
 たいまつに火を付けて投げつけ、威嚇すると同時に光源を確保するジャッド。
「我が名は磨魅・キスリング! いざ、参らん!」
 東洋人とのハーフのマミは、そう名乗りを上げて刀を手に狼と対峙!
「行くよ!」
 狼の死角から、『フェイントアタック』を仕掛けたのはシャラ!
 続いて、罠に掛かった狼を確実に仕留めようと紫辰が斬りかかる!
「まあ一応、私は狩人だしね?」
 次の矢をつがえるレイエス。
「‥‥わんこ‥‥狼さんだったのか‥‥」
 無表情だが、ショックを受けているらしい夜蝶。『狼=わんこ』ではなく、本当に『わんこ』が来るものだと思っていたのだろうか。

 思わぬ攻撃に怯み掛けた狼達だが、
「WAwッ!」
 異変に気付いたボス狼が駆けつけた事で、統率を取り戻す!
 更に、動けない狼を守るよう、果敢に牙を剥く!
「さぁ、群れをまとめるボスの力、見せてもらおうか」
 牙を受け止めつつ、地道に攻めて隙を窺うジャッド。
「リーダーを狙うのは定石だからな」
 ボス狼を重点的に射撃するグイド!
 しかし、体格が大きいだけあって普通の狼よりタフなのか、その鋭い眼光はまだ死んでいない!
「WAoooッ!」
 冒険者達を手強いとみたのか、今度は鮮やかな引き際で狼達を連れて逃亡するのだった。

 逃亡する狼達を追跡する冒険者達。勿論、村を警護する組と役割分担している。
「‥‥あっちに‥‥狼さんがいる‥‥といいな」
 追跡しつつ、少し不安なことを言う夜蝶だが、リアナの『ブレスセンサー』によって、狼のねぐらと思われる呼吸の密集地を突き止める事に成功する。
「深追いは危険です」
 そこで引き返すことを提案するレイエス。冒険者達は村で休息を取る事にした。

 翌日、冒険者達は狼のねぐら強襲を敢行する事にした。
 昼間という事もあり、戦闘に慣らす為、鷹を同行させているジャッド。
「やるからには徹底的に、普通だよね?」
 と、レイエス。そして冒険者達は二手に分かれたのだった。
 一組目が狼のねぐらへと風上から忍び寄る。
「Wow!?」
 冒険者達の接近をいち早く察知したのか、耳を立て警戒するボス狼。
「‥‥ライトニングサンダーボルト!」
 そこへ、リアナの放った稲妻が炸裂する!
 ボス狼が先頭になって冒険者達を牽制し、負傷した狼などを逃がそうとする。
「追い出す追い出す‥‥あれ?」
 狼を追い立てるつもりが、いつの間にか追われる形になっている夜蝶であった。

 そして、もう一組は待ち伏せをしていたのである。
「落ち着いて、冷静に、あせりは禁物だよね?」
 仲間達に潜伏を指導するレイエス。
 全員が身を潜めたところで、
『GAWGAWッ!』
 リアナが『ライトニングサンダーボルト』で追い立ててくる!
 そして、ねぐらの風下で待ち伏せしていた者達が、ダメージを受けた狼を奇襲!
「ここは通しません!」
 壁となって狼に立ちはだかるマミ!
「餓狼と言えど狂獣で無し。守るべきものの為に牙を研ぐ意志に敬意を払おう。我が刃以って、受け取れ、冥途の餞を」
 標的をボス狼に定める紫辰。
 夜蝶も狼に向き直ると、手下の狼を引きつけるように攻撃を開始する!
「追い詰められた獣は危険です」
「追い詰められたものは怖いからね」
 細心の注意を払うよう仲間達に促し、攻撃を開始するレイエス、シャラ。
 『ブレスセンサー』で狼の位置を把握しているリアナの的確な援護と、『シューティングPA』を交えつつ、射撃していくグイド!
 そしてついに、紫辰の斬撃がボス狼を捉えた!
「そこだっ!」
 更に、ジャンプしたジャッドが聖者の槍で『スマッシュ』を叩き込む!
 同時にマミも『スマッシュ』!
「WAooooooo‥‥」
 ついにボス狼を討ち取った!
 こうして、冒険者達は狼の群れを一網打尽にする事に成功したのだった。

 村に戻って報告すると、村人達は大喜びで冒険者達に食事を振る舞った。
「これで夜も安心だな。また、何かあったら呼んでくれよな」
 ニッと笑うグイド。
 いつの間にか、ジャッドの姿がない。村娘と一緒にいたのを先ほど見かけたのだが。
「‥‥さて‥‥寝るぞー‥‥」
 欠伸する夜蝶。昨夜は念のため、寝ずの番をしていたのである。
 更に翌日、キャメロットへと帰還する冒険者達を見送る村人達。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願い、手を振るのだった。