●リプレイ本文
ゴブリン退治の依頼を受けた二組の冒険者達。
「俺のことはラグって呼んでくれ」
まずは自己紹介と、レンジャーのラグファス・レフォード(ea0261)。
「あたしはセルフィー。よろしくね☆」
ウィザードのセルフィー・リュシフール(ea1333)。
「あたしは、ミヨンファといいます」
武道家の李明華(ea4329)。
そして全員が自己紹介を済ませる。
「宜しくお願いします」
ナイトのクリス・シュナイツァー(ea0966)。育ちのよさそうな顔立ち、女性と間違われることもありそうである。
「ゴブリンね。ま、滞在の間は飯が出るらしいからな。俺には随分と助かるってものだ」
浪人の希龍出雲(ea3109)。
「‥‥」
黙々と保存食をかじる無愛想な忍者の風霧健武(ea0403)。緊急時にも直ぐ対応出来る様、用心し隙が無い。
(「今回の敵にはホブゴブリンがいるのか。少しは楽しませてくれるかな‥‥?」)
常に無表情なナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。強くなりたい、強いヤツと戦いたい。そういう気質も冒険者には必要か。
二日間の旅を経て村へと到着。村のあちこちに、ゴブリンの襲撃による傷跡があるのがわかる。
こちらはゴブリンの襲撃から村を防衛する事を任務とするチームである。
「んじゃ、しっかりお仕事お仕事♪」
出雲の言葉に、早速冒険者達は村人に聞き込みや協力要請を行う。
ゴブリンの襲撃方法などを聞き、猟師から罠を借りる。
櫓を借りて見張りに使うなど。
「大抵は、暗くなってから襲ってきます。畑仕事からの帰りに集団で襲われたり、夜中に家に火をつけられたり‥‥他には朝、畑へ行くと荒らされていたりとか」
こうした村人達の訴えを参考に、村の防衛作戦を練る冒険者達。
殲滅班の冒険者達を送り出すと、クリスの用意してきた猟師セットをメインに、皆で手分けして村の周囲に罠を仕掛ける。そして、罠の位置を頭に叩き込む。
「ゴブリンを退治するまでの期間、外出はできるだけ避けてもらうようお願いします」
目が特徴的な武道家の銀零雨(ea0579)。
村人には村の中心部に避難してもらう事となった。
一日目深夜。
交代で見張りを続ける冒険者達。
斥候に出ていた風霧が村へと向かう一団を発見した。
褐色の肌、貧相な子供のような体格。潰れた鼻に下顎から牙が伸び上がっているのが多数。ゴブリンに間違いない。
それを率いる大柄で体格のいいホブゴブリンもいるようだ。
ゴブリンに気付かれることなく、いち早く村に戻り仲間に知らせる事に成功する。
「守るもののある戦いは奮いたちますよね‥‥どんなことをしても村人全員無事で終わらせたいなあ」
零雨が呟く。
「今の内に‥‥オーラエリベイション!」
オーラ発動の瞬間、シュナイアスが淡いピンクの光に包まれる。
迎撃する準備を整える冒険者達。
「ゴブゴブ‥‥」
「ホブゴブ‥‥!」
囮となったクリスを発見するゴブリン達。
「うわっ、ゴブリンです〜! 助けて〜!」
大声を出して騒ぎ、如何にも弱者っぽく取り乱してみせると、
「ゴブゴブ!」
ゴブリン達が舌なめずりをしながら、にじり寄ってくる。
クリスが逃げ出すと、大喜びで追ってくるゴブリン達。
その先に何が待っているのかも知らず‥‥。
「ゴブブッ!?」
冒険者達の仕掛けた罠にまんまとハマリ、浮き足立つゴブリン達。
「今だっ!」
姿を現した冒険者達が一斉に攻撃を開始する。
「貴様等に、明日は無いと知れ‥‥」
風霧の手裏剣が飛び、
「‥‥アイスブリザード!」
セルフィーが青く淡い光に包まれると、扇状に魔法の吹雪が炸裂する!
ある程度身軽でなければ魔法を使えないため、装備を減らして置いてきている。
「先手必勝ダブルシューティング!」
大将格のホブゴブリンにダブルシューティングで射撃するラグ。見事に二本とも命中させる。
「面倒なのは御免でね」
敢えて遠巻きに距離を取ったままの出雲。
口ではそう言っているが、他にゴブリンがいないか、辺りに気を配っているのだ。
「ホブゴブッ!」
ダメージを受けつつも体勢を立て直し、ゴブリン達に応戦するよう命令するホブゴブリン。
「ゴブ〜」
しかし、根性のない数匹が逃亡しようとする。
「ようやく俺の出番か」
罠に掛かっていないゴブリンに斬りかかるシュナイアス。
「ウーゼル流スマッシュEX!」
罠で体勢を崩しているゴブリンをクリスが大技で一気に仕留める!
「ハッ!」
テコンドウの見事な足技を身軽なきで繋いでいく零雨。
「ゴブッ!?」
トリッピングを中心にキックの連打をゴブリンに浴びせていく。転んだ相手の痛そうな部分を踏みつけにしているのは気のせいだろうか。
「俺の名は『風斬り』の健武‥‥推して参る」
忍者刀で斬りこむ風霧。
次々にゴブリンが倒れていく中で、ようやく前に出てシュナイアスと対峙するホブゴブリン。
「ホブゴブッ!」
ホブゴブリンのスマッシュが唸る。
しかし、同じくスマッシュを修得しているシュナイアスは命中率が悪い事を知っていた。
よく見て回避し、通常の斬撃を確実に見舞っていく。
「私をなめると痛い目を見ますよ」
鞭を駆使していた明華が微笑んだかと思うとトリッピングでゴブリンの足を払う。
連携するようにクリスがスマッシュEXでトドメを刺す。
「決め技がまだ無いのは痛いですね‥‥」
そう苦笑する明華だった。
「ここはやっぱり‥‥」
乱戦になると広範囲のアイスブリザードでは仲間を巻き込んでしまう。
「‥‥アイスコフィンだよね!」
セルフィーの魔法で罠を脱出しようとしていたゴブリンの一匹が氷付けになる!
「ま、このくらいは‥‥な」
逃亡するゴブリンの一匹をフェイントアタックで虚を突き、更に斬撃を繰り出す出雲。
「切り札は先に切った方の負けだって事だ」
ダメージを受け、動きが悪くなったホブゴブリンに、スマッシュを打ち込むシュナイアス。
「ホブゴブ〜〜」
それがトドメとなって倒れ伏すホブゴブリン。
見事な作戦勝ちで冒険者達の完勝。怪我らしい怪我も無い。
ゴブリン達にトドメを刺し、投擲した武器や矢を回収しておく。
それから残り二日間、冒険者達は警備を怠ることはなかった。
しかし、ゴブリンによる大きな襲撃があったのは一日目だけであった。
二日目の夕刻、殲滅班からの連絡がありアジトを壊滅させたとのことだ。
殲滅班は、そのまま期限までアジトで待ち伏せてゴブリンの残党狩りをするとのことで、防衛班もポツリポツリと村に出現するゴブリンを各個撃破していくのだった。
ほとんど被害を出すことなくゴブリンどもを撃退した冒険者達は、村人達から多大な感謝を受けるのだった。
「本当に有り難う御座いました。これで村も救われました」
村を去る冒険者達を村人一同が見送る。
「仕事の後ってのは気持ちがいいもんだな」
よく晴れた空を見上げながらラグが呟く。
「あー、帰りの分の保存食売ってくださーい!」
てへっと舌を出しつつ、慌てて食料を買い足すセルフィー。
代金と引き替えに食料を渡し、微笑ましそうに見送る。いつか彼らが英雄と呼ばれる日を願って。