【聖杯戦争】キャメロット防衛隊

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 22 C

参加人数:8人

サポート参加人数:5人

冒険期間:07月24日〜07月27日

リプレイ公開日:2005年07月26日

●オープニング

 先の聖杯探索の折り、ゴルロイスの出現によりウーサー・ペンドラゴンの不実が明らかにされ、その不穏につけこむように、有力な諸侯であるロット・オークニーがイギリスの各貴族に揺さぶりを掛けている。
 これに応じて、オクスフォード侯爵を始めとするキャメロット近くの領主達が反乱の動きを見せ、冒険者ギルドはアーサー王に協力する一翼として、この戦いに参加する事になる。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 今は一人でも多くの冒険者の協力が必要だ。この依頼を引き受けてくれないか?」
 真剣な面持ちで冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『不穏分子に対する牽制や鎮圧のため、正規軍が動く事になれば、少なからずキャメロットの戦力が手薄になってしまう。
 これに乗じて、キャメロットで悪事を働く者が出現する可能性は否めない。
 そこで、冒険者ギルドからも、キャメロット防衛に人手を回す事となった。
 期間は三日間。この依頼を受ける冒険者達にはキャメロット城周辺の警備に就いてもらいたい。宿屋を確保しているので寝食の心配は無用だ。そこを拠点にすると良いだろう』

「勿論、何事も起こらなければ、それに越したことは無いがな。もし、ここで手柄の一つも立てりゃ、アーサー王の覚えだってよろしいかもしれないぞ?」
 そんなおやっさんの言葉が、冒険者達の期待を煽るのだった。

●今回の参加者

 ea0604 龍星 美星(33歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea1466 倉城 響(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3053 ジャスパー・レニアートン(29歳・♂・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)
 ea3747 リスフィア・マーセナル(31歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea7398 エクリア・マリフェンス(22歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 eb1440 秋朽 緋冴(35歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2481 リラネージュ・ヴァルキュリア(24歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb2674 鹿堂 威(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ライノセラス・バートン(ea0582)/ レーヴェ・フェァリーレン(ea3519)/ 小野 織部(ea8689)/ 秋 静蕾(ea9982)/ メイリア・インフェルノ(eb0276

●リプレイ本文

 指定された宿屋に移動し、方針を話し合う冒険者達。
「合図は呼子笛で」
 居場所が判るよう上空に鷹を飛ばせておくと、志士の秋朽緋冴(eb1440)。彼に城周辺の状況を伝える織部。
「私は魔法で合図します」
 ウィザードのエクリア・マリフェンス(ea7398)。不審者などの噂を彼女の耳に入れておくライノセラス。
「覚えていただける様、頑張らなければ‥‥」
 緊張気味な神聖騎士リラネージュ・ヴァルキュリア(eb2481)。彼女をサポートするように情報収集の結果を耳打ちするメイリア。
「キャメロットに住まう全てのお嬢さん方の為に、粉骨砕身の覚悟で警備を果たそうではないか!」
 気合い充分、浪人の鹿堂威(eb2674)。彼に船着き場での情報を伝えるレーヴェ。
 持つべきは友。彼らの情報を参考に、重点的に見回る場所などを決定する。
「今回は女が多く集まったネ。鹿堂サン、嬉しそうネ?」
 軽くツッコミ入れる武道家の龍星美星(ea0604)。
(「お嬢さんが多くてラッキー♪」)
 そんな鹿堂の本音を見抜いたように、
「‥‥みんな大きいアルネ〜」
 美星が呟く。
(「死ぬまで働かせて頂きまっす♪」)
 つい、女性陣の豊かなそこに目が行く鹿堂。
「背の話アルヨ?」
 とぼける美星。幾分、皆の緊張もほぐれたようだ。

 冒険者達は、巡回のための組分けをする。
 第一組は、浪人の倉城響(ea1466)&ウィザードのジャスパー・レニアートン(ea3053)組が城の東門から右回り、リラネージュ&鹿堂組が左回りで巡回。
 第二組は、ファイターのリスフィア・マーセナル(ea3747)&エクリア組が右回り、美星&緋冴組が左回り。
「かなりハードなスケジュールだけど、三日だけだし、みんながんばるネ!」
 仲間達を励ます美星。
 一日四交代で、昼夜問わずの突貫警備。各自の馬やアイテムを貸し合って、有事の連絡や合流にも備えている徹底振りである。
「橋を通行する人はもちろんの事、お城前の水路にもよく注意して観察しますね〜」
 おっとりした雰囲気の響に、
「宜しくお願いします」
 丁寧に挨拶するジャスパー。
 こうして、冒険者達はキャメロット城周辺の警備に就いたのだった。

 城の衛兵に挨拶をしておき、位置関係を把握しておくエクリア。そうして定期的に『ブレスセンサー』を使う事で、不審者の発見に努めている。
 宿屋待機中でも、合図を見逃さないよう交代で仮眠を取る冒険者達。
 何かあった時に即応できるよう、リスフィアは鎧を着けたまま仮眠している。
 そんな、退屈な割には気を抜くこともできない任務に、一日一日を長く感じながらも、冒険者達は警戒を緩めなかった。

 そして、三日目の夜。第二組最後の巡回時間帯。
 このまま何事も起こらなければ任務完了である。
 そんな時だった。
「侵入者だーっ!」
 城の方から騒ぎが聞こえてきたのだ。
 『ライトニングサンダーボルト』を夜空に放って宿屋で待機している仲間達に知らせ、『ブレスセンサー』を掛けて警戒するエクリア。
 そして、まず第二組の四人が合流する。
「風上から松明の燃える匂いと、クンクン‥‥香の匂い? 女官の誰か出てくるアルカ? こんな夜中に?」
 嗅覚に優れた美星が、ちょっとした異変に気付く。
 城外へと出てくる集団を『ブレスセンサー』で察知するエクリア。
 そこへ向かった冒険者達が目にしたのは、黒ずくめの怪しい一団。よく見れば、何者かを担いで運んでいるようだ。
「何者ですか!?」
 リスフィアが声を掛ける。
 無言のまま、逃げ去ろうとする一団。
 運ばれているのは、眠っているのか意識を失っているのか、高貴な雰囲気の女性のようだ。
「愛の伝道師、女性の危機に呼ばれてなくても即参上!」
 それを確認した鹿堂が、名乗りを上げる。
 再び『ライトニングサンダーボルト』の合図を送るエクリア。
「詳しくは説明できないが、我々はこの方を極秘にお連れするよう仰せつかっている。邪魔をすれば、後でお咎めを受けることになるぞ?」
 黒ずくめの男が言いくるめようとするが、状況が状況だけに、あまりにも胡散臭い。
 しかし、冒険者達も仲間と合流するための時間を稼ぐため、話を引き延ばしたい所である。
「時間がないのだ。冒険者風情が邪魔をするな」
 怪しい一団が冒険者達を振り切って逃げようとする。
 逃がさないよう、足止めに回るリスフィア。
「大人しく引き下がっていれば良かったものを。あの世で後悔するが良い‥‥」
 武器に手を掛ける怪しい一団、間違いなく賊だ!
 女性を担いだ者を先に行かせ、残りが立ちはだかる!
 このままでは逃げられてしまう!
 だが、その逃げ道を塞ぐように炎が吹き上がる!
「なんだこれは‥‥魔法か!」
 駆けつけた緋冴が『マグナブロー』を放ったのだ!
 そう、宿屋で待機していた仲間達が間に合ったのである。
「運ばれているのは、女性か‥‥。自分より力の弱い相手を襲うような奴は許せないな」
 女性を傷つけないよう注意し、『ウォーターボム』を放つジャスパー。
「その担いでいる女性は誰ですか?」
 そう尋ねつつ、にじり寄るリラネージュ。
「教えられんな」
 女性を担いだ賊は視線を巡らせ、逃げ道を探る。
 そして、背後から忍び寄っていた人物とバッチリ目が合う!?
「無力な女を攫うなんて恥ずかしくないアルか!」
 美星だ!
 女性を救出する!
「そう簡単に渡すか!」
「弱きを護るが武侠アル‥‥ッ」
 賊のダガーから、身を挺して女性を庇う美星!
「まったく、人として不出来な人達ですね」
 ガラ空きになった賊の背後から、リラネージュがハイキックをお見舞いする!
「くっ、何としても奪い返せ!」
「襲ってくる方は容赦せずに斬り捨てます」
 向かってくる賊と、女性を庇うようにしている美星の間に入る響!
「不心得な侵入者どもよ。荒ぶる雷の旋律を受けなさい」
 仲間を巻き込まないよう注意して、エクリアが『ライトニングサンダーボルト』を放つ!
 更にジャスパーの『アイスブリザード』と、緋冴の『マグナブロー』も炸裂!
「ステキなお嬢さんを攫いたくなるのは解らんでもない。が、お前らのやり方は甚だ度を越してるぜ」
 ダメージ覚悟の『カウンターアタック』で賊を切り伏せる鹿堂!
「成敗!!」
 リラネージュも相手にしていた賊を切り伏せ、形勢不利とみた賊は逃亡する。
 冒険者達は深追いはせず、周囲を警戒しながら救出した女性を介抱するのだった。

 やがて救出した女性が意識を取り戻す。
「大丈夫ですか!? 何処かお怪我はございませんか?」
 女性を気遣うリラネージュ。
「私は秋朽緋冴と申します。私達は城周囲の警備を任された者です」
 落ち着かせようと身分を説明する緋冴。
「私はイギリス王妃グィネヴィアです。皆様のおかげで助かりました」
 救出したのが予想を遙かに越える人物だった事に驚きを隠せない冒険者達。
 賊も彼女を傷つけないよう命令されていたのだろうか、どこにも怪我はないようだ。
「ご安心を。賊は追い払いました。周囲に他の警備もいます、じき捕らえられるでしょう」
 言葉を選んで言う緋冴。
 やがて、駆けつけた衛兵達の「御無事で何よりです」という言葉に対して鷹揚に頷く彼女に、自分の成した事を実感する冒険者達。
 まだ息のある賊をジャスパーがロープで縛り上げ、衛兵に引き渡す。
「有り難う御座いました。皆様の事は、アーサー様に必ずお伝えします」
 最後に彼女は、そっと耳打ちするようにグィネヴィア王妃に影武者として仕える親衛隊の一人だと明かした。
 あのまま誘拐されて、偽者だと判れば命は無かっただろう。少なくとも、貴重な人材を一人守り抜いたのは間違いない。

 後に、この事件は、オクスフォード侯爵が仕組んだ誘拐事件だったことが判明する。
 その目的はグィネヴィア王妃を人質とするためかは定かではないが、これを防いだ冒険者達の名も、きっとアーサー王の耳に入った事だろう。