鍋を被ったバグベア

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 4 C

参加人数:8人

サポート参加人数:7人

冒険期間:08月02日〜08月09日

リプレイ公開日:2005年08月08日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 最近、この地方ではモンスターによる被害が頻発していた。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を引き受けてくれないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書を見せる。

『村が熊のような猪のようなモンスターによって被害を受けています。
 そのモンスターは村で略奪を繰り返し、我々から奪った鍋を被り、農具を武器のように振り回すようになり、被害は拡大する一方で手が着けられません。
 どうか、モンスターを退治し、奪われた品物を取り返して下さい!』

「熊のような猪のようなってーと、バグベアだろう。しかし、農具を手に鍋被ってるって‥‥想像すると笑えるなぁ。
 って、村の人にとっちゃ笑い事じゃないよな。
 ちなみに村までは片道三日って所だ。村で一日くらいなら食事と宿を提供してくれるってよ」
 こうして新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea3472 世羅 美鈴(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5391 サラ・フォーク(22歳・♀・レンジャー・エルフ・イスパニア王国)
 ea5741 ハルカ・ヴォルティール(19歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea6900 フェザー・フォーリング(26歳・♂・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 ea6902 レイニー・フォーリング(26歳・♂・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 ea9887 レイモンド・アトウッド(50歳・♂・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 eb0276 メイリア・インフェルノ(31歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 eb0921 風雲寺 雷音丸(37歳・♂・志士・ジャイアント・ジャパン)

●サポート参加者

ロット・グレナム(ea0923)/ リオン・ラーディナス(ea1458)/ レジーナ・フォースター(ea2708)/ レイリー・ロンド(ea3982)/ ヲーク・シン(ea5984)/ 小野 織部(ea8689)/ 小野 鞘月(eb0919

●リプレイ本文

「私はフェザー・フォーリング(ea6900)と申します、よろしくお願い致します。こちらは『妹』のレイニーでゲファ!?」
 そこで、彼の後頭部に蹴りが炸裂。
「俺は男だ『弟』だ、いい加減その紹介はヤメロ」
 彼女、いや彼はレイニー・フォーリング(ea6902)。フェザーの趣味で女装させられているが、二人はウィザードのシフール兄弟である。
「兄妹‥‥いや兄弟でバグベア退治か、がんばれよ」
 そう励ますレイリー。
「農具を装備して武装するなんて‥‥何とまあ貧乏性というか何と言うか‥‥」
 微妙な印象を抱いているウィザードのハルカ・ヴォルティール(ea5741)。
「あら、農具を持って鍋を被ったバグベアですか? 凄く見てみたいですねぇ〜♪」
 目をキラキラさせている天然系のお姉さん、神聖騎士メイリア・インフェルノ(eb0276)。
「ガァアアアアアーーー! 腕試しにはちょうどいい!」
 インパクトのある挨拶で吼えたのは、志士の風雲寺雷音丸(eb0921)。彼は、強敵を求めて世界中を放浪しているのだ。
 武装バグベアとの戦闘経験を彼らに話したリオンは、
「バグベア退治なんて大変そうな依頼だなぁ。ま、頑張ってねー」
 と、気楽に声援を送る。
「この『キョウダイ』に幸あれ」
 レイリーも、祈り見送るのだった。

 依頼の村を目指し、出発した翌日の事。
「申し訳有りませんが、食料を分けていただけないでしょうか?」
 そう切り出したのは、ウィザードのレイモンド・アトウッド(ea9887)。保存食の持ち合わせが一日分しか無かったのだ。
 冒険者として、準備を怠らないことは大切だ。そう注意しつつ、多めに保存食を用意していたフォーリング兄弟が快く分ける。

 そうして、依頼の村へと到着。
 早速、聞き込み調査を開始するレンジャーのサラ・フォーク(ea5391)。村荒らしの具体的な被害と、バグベアの武装を確認する。
「ウチは鍋が‥‥」
 鍋に始まり、さまざまな農具や日用品の被害報告。
「遠距離武器になるような物は奪われてない?」
 そう確認するレイニー。
「弓矢の類は特に奪われてませんが、そう言えば、奪われた小物を投げつけられた事があります」
 他に、畑なども荒らされているようだ。一件一件はそれほど深刻ではないが、ほとんど村中から被害の声が上がっていた。
「ということで鍋やら包丁やら火掻き棒で武装してるわけね。知恵が回るのか回らないのか、脅威なのか間抜けなのか微妙なラインだわ」
 呆れたように報告をまとめるサラ。
「たった三頭のバグベアが農具で武装という光景は傍から見れば滑稽でしょうけども、それでも一般の農民にとっては脅威となりますから」
 ハルカの言う通りである。
 深いモンスター知識を持つフェザーがバグベアについて話し、対応策の打ち合わせをする。
「その作戦で行きましょう!」
 そう賛同する浪人の世羅美鈴(ea3472)であった。

 迎撃しやすそうな広い場所を選び、保存食を焚き火で焙るなどして、匂いで誘き寄せようという作戦である。念のため、投擲物の射程範囲も考えた布陣で待ち伏せる。
 村の護衛を最優先とし、ややのんびりしながらバグベアが来るのを待つメイリア。
 焚き火の側で、程良く焙った保存食をかじりながらも、自慢の視力で敵の接近を警戒している雷音丸。
 フェザーも時折『ブレスセンサー』を掛けて、敵の急襲に備えている。
 そして、バグベアの動向を探ろうと、斥候に出向くサラとレイニー。
 レイニーの『ブレスセンサー』と、サラの『SCROLLofテレスコープ』による望遠視力でバグベアが村へと向かっているを確認すると、逆に発見されてしまわないよう、仲間達の元へと戻る。
 サラの報告に、周囲への警戒心を高める冒険者達。
 程なくして、三匹のバグベアが匂いに釣られたのか、鼻を鳴らして現れた。
「「「BaGu‥‥!」」」
 焚き火の前に立つ雷音丸に気づき、身構えるバグベア。
 効果を高めた『フレイムエリベイション』を仲間達に掛けていくレイモンド。
「‥‥本当に農具で武装してますね。何とまあアバウトというか安上がりというか‥‥」
 バグベアの姿に正直な感想を呟くハルカ。『ストーム』を発動させ、吹き飛ばされたバグベアが体勢を崩す。更に、固定の甘い武装の一部が散らばる。
「「「BaGuッ!!」」」
 だが、バグベアどももその程度では諦めず、立ち上がると、農具を振り回して襲いかかってくる!
「「「BaGuGuッ!?」」」
 が、踏み込んだ所で、いきなり感電してしまうバグベア!
 そう、すでにフェザーの『ライトニングトラップ』が仕掛けられていたのだ!
 もちろん、仲間達には仕掛けた位置を伝えてあるので、安心である。
「‥‥ライトニングサンダーボルト!」
 そこへ、レイニーが上空から放った雷撃が炸裂!
 更に高速詠唱でもう一発!
 続いて、遭遇前にショートボウに持ち替えていたサラが『シューティングPA』で射撃。バグベアの武装は村から奪った物、それを壊さないよう隙間を突くのは良い作戦である。
「BaGu!」
 それに対し、皿やらフォークやらを投げつけて応戦するバグベア。
「‥‥!」
 何やら気分を害したのか、今度はショートボウを置き、『SCROLLofライトニングアーマー』を発動させ、前衛のサポートに回るサラ。
 あ、手を出したバグベアが感電してる。
「ガァアアアアアーーー! 熊鬼どもめ、死にたい奴から掛かって来い!」
 雷音丸が吼え、接敵した出会い頭に『スマッシュEX』でバグベアに大ダメージを与える!
「では、私が一匹請け負いましょう‥‥何処まで出来るか分かりませんが‥‥やるだけやってみますね?」
 笑顔を絶やさず、鬼神ノ小柄を二刀流に構えて前衛に立つメイリア。
「いっくよ〜」
 シールドソードによる斬撃に『スマッシュ』を織り交ぜ、リズムよく攻撃をヒットさせていく美鈴。
「ガァアアアーッ!」
 吼えた雷音丸の『スマッシュ+ポイントアタックEX』による一撃が、バグベアの首を刎ねる!
「滑稽に見えてもやってる事は罪ですから、好き放題もその辺にしなさい!」
 再び『ストーム』を発動させるハルカ!
 仲間を失い、吹っ飛ばされたまま逃亡しようとするバグベア!
 しかし、それを見逃す冒険者達ではない!
 『SCROLLofグラビティーキャノン』を発動させ、バグベアを転倒させるサラ!
「‥‥ブラックホーリー!」
 そこへ、メイリアの放った聖なる力と、レイモンドの『SCROLLofライトニングサンダーボルト』が炸裂!
 それでも辛うじて意識を保ち、這々の体だが何とか逃げ切ったとバグベアも安心しただろうか。しかし、そこにはフェザーの『ライトニングトラップ』が仕掛けられていたのだった。
 『ライトニングトラップ』の発動とバグベアの断末魔を確認し、ハイタッチで喜び合う冒険者達。
 結局、バグベアは逃げ切れず、冒険者達によって三匹とも討ち取られたのである。

 その後、サラが中心となってバグベアのねぐらを探索。村から奪われた品物の回収に成功したのだった。
「じゃ、モンスター退治を祝して宴会ね」
「勿論です。今夜はゆっくりしていって下さい」
 サラの言葉に村長が頷く。
「無論、取り返した鍋を料理で使うわけね♪」
 鍋をカンカン叩くサラ。
 一瞬、複雑な表情をする冒険者達。だが、すぐに笑顔へと変わる。
 そうして、村で一夜を過ごし、冒険者達は意気揚々とキャメロットへ帰還したのだった。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。