●リプレイ本文
行商人ターキーの依頼を引き受けた冒険者達は、ひとまず自己紹介を済ませ、今回の目標であるグリフォンについて話し合っていた。
「伝説にも謳われる幻獣グリフォンか。是非とも、この目で直に見たいな」
そう言ったのは、レンジャーのアーディル・エグザントゥス(ea6360)。とんでもない方向音痴らしいが、今回は目的地までターキーが案内してくれるので、大丈夫‥‥だろう。
「グリフォンを見るの初めてだし、見てみたかったからいい機会なのかも」
ウィザードのカシム・ヴォルフィード(ea0424)もまた、この依頼を受けた理由は同じようだ。
「‥‥ホントは乗ってみたかったりするけど‥‥今回は無理そうかな」
「そうでんなぁ、捕まえたばっかりで乗り回すんは無理やと思いますわ」
カシムの言葉に相槌を打つターキー。
「美しいという姿を見るのも楽しみだが、強力な相手との闘いも別の意味でまた楽しみだな」
そう言って、不敵に笑う神聖騎士セオフィラス・ディラック(ea7528)。
「グリフォン相手に4人しか来ないなんて‥‥。ちょっと厄介になっちゃたわね。ま、愚痴ってても仕方ないから頑張りましょ」
そう苦笑するウィザードのエルドリエル・エヴァンス(ea5892)。
「まあ、何とかなるラインやと思ってます。あとは、皆さんの頑張り次第っちゅーことで、期待してまっせ!」
ターキーは、そう冒険者達を励まし、出発を促すのだった。
比較的、のどなか道中。
「作戦としては、私達が先行して囮になってグリフォンを誘い、罠にはめるなりしたい所ね」
深いモンスター知識を持つエルドリエル。勿論、グリフォンに関する知識も持ち合わせている。彼女が中心となって、グリフォン捕獲作戦を練っていく事になる。
「相手が飛んでいる限りこちらが出来ることは少ない。餌でも荷車でも我々でも、とにかくこちらを狙って降りてきた時が勝負だな」
「あー、荷車はできれば勘弁してほしい所ですわ」
セオフィラスの言葉に、困ったような顔をするターキー。
「その時は、自ら盾になってでも防ぐつもりだ。念のため、荷車の上にも狩猟用の罠を仕掛けておこう」
「そら頼もしい、ホンマよろしゅう頼んまっせ」
セオフィラスの装備はプロテクションリングの効果もあって、なかなかの防御力が期待できそうだ。また、猟師としての技能もなかなかのものである。
「幾らなんでも羽ばたき、鳴き声、その他諸々まで完全に気配を消して、なんて出来るわけ無いだろうし」
耳の良さには自信のあるアーディル。それをグリフォン発見に役立てたい所である。
「空から襲いかかってくる時は滑空してくるだろうから、聞こえるとしたら風切り音かしら?」
「僕も『ブレスセンサー』で協力しますよ」
エルドリエルの解説に、カシムが付け加える。
「‥‥ところでグリフォンの鳴き声って鷲の其れ、獅子の咆哮、或いはその他のどれなんだ?」
ふとした疑問を口にするアーディル。
「グリフォンは前半身が鷲みたいでっから、鷲の鳴き声なんとちゃいまっか?」
そう推測するターキーにエルドリエルが頷く。
やがて作戦もまとまり、
「出来ることなら余り傷つけたくはないのだが、この人数ではやむを得まい。全力で向かうこととしよう」
そう宣言するセオフィラスであった。
「グリフォンが出たっちゅーのは、この辺ですわ」
そう言って、ターキーは一旦荷車を止めた。
荷車から、やや距離を置いて、狩猟用の罠を仕掛けるセオフィラス。ロープで脚を絡め取って、グリフォンを地上に繋ぎ止めるのが狙いである。
仕上げに、アーディル提供の『強烈な匂いの保存食』を組み込んで、罠は完成だ。
そして、暫しの時が流れ。
定期的に『ブレスセンサー』を掛け、呼吸探査するカシム。耳を澄ませ、集中するアーディル。
二人の魔法と耳が、グリフォンらしき反応を察知した。
「「来たっ」」
緊張が走り、警戒を強める冒険者達。ターキーと従業員達には、隠れているよう指示してある。
エルドリエルの言葉通り、滑空状態で急降下してくるグリフォン。巨体ながら、その動きは猛禽類そのもの。そして、その姿は噂通りの美しさだ。
最小限の動きから、鋭い爪で『強烈な匂いの保存食』を掴み、そのまま飛び去ろうとする!
が、セオフィラスの仕掛けた罠が作動し、一瞬、グリフォンの動きが止まる!
「Kueッ!?」
慌てて羽ばたくグリフォン!
まず、『SCROLLofシャドウバインディング』を発動させ、捕獲を試みるエルドリエルだが、無傷のグリフォンは抵抗力も高い。
「‥‥ストーム!」
なるべくダメージを与えずに捕獲できる状況に持ち込めるよう、使う魔法を選んでいくカシム。
「Kueーッ!」
翼を広げ、もろに暴風を受けるグリフォン。わずかに姿勢を崩す。
そこへ、セオフィラスが接近、やや後ろにアーディルが続く。
だが、グリフォンも絡みついていたロープを爪で切断し、体勢を立て直してくる。
再び羽ばたき、舞い上がろうとするグリフォン。しかし、逃げるのではなさそうだ。
「Kueーッ!」
獲物を横取りされると思ったのか、それとも冒険者達を新たな獲物と定めたのか。爪を振るって襲いかかってくる。
その爪をクルスシールドで受け止めるセオフィラス。
「少しでも傷を負わせられば、状況は変わると思うからね‥‥ウォーターボム!」
水の攻撃魔法を放つエルドリエル。
「‥‥ウインドスラッシュ!」
カシムも風の攻撃魔法で追撃。なるべく翼を狙って飛行能力を低下させたいところだが、なかなか狙いをつけるのは難しいようだ。
続いて、アーディルが鞭で脚を絡め取ろうと狙うが、格闘術はそれほど得意ではなく、避けられてしまう。
翼を狙っていくセオフィラスだが、的確に攻撃するには『ポイントアタック』のようなCOが必要となる。とは言え、
「Kueッ!」
彼の攻撃は確実にグリフォンにダメージを与えている。
「‥‥目が合っちゃった」
そして、グリフォンは、今度はアーディルに狙いを定めたようだ。
セオフィラスがカバーに入ろうとするが、相手は空を飛べる。無理をすれば身を挺する事になるだろう。
「任せろ」
身構えつつ、にじり退くアーディル。
(「逃げ足には自信がある」)
そう心の中で付け加え、見事な回避術でグリフォンの爪を避けてみせる。
そこへ再び、カシムの『ウインドスラッシュ』と、セオフィラスのライトハルバードによる攻撃が加えられる。弱ったグリフォンは、エルドリエルの『SCROLLofシャドウバインディング』によって、今度こそ、その動きを封じられた。
「あとは男性陣の仕事ね☆」
そうエルドリエルに言われ、冒険者達は、ロープで翼・嘴・脚を固定し、ターキーの用意した檻へとグリフォンを入れる事に成功した。
「いやはや、見事な手並みでんな!」
手を叩きながら、隠れ場所から出てくるターキー。
「‥‥にしても。野生のグリフォンを捕獲して手懐けようだなんて、危険思想の持ち主もいたもんね。大怪我して終わりそうなんだけど‥‥。私達は捕獲が仕事だからいいけど、調教と飼育を命じられた人には同情を覚えるわ」
苦笑するエルドリエル。
「たぶん、その辺は調教やらの専門家がおるんやと思いまっせ。まあ、あとはこっちだけでも出来ますんで。皆さん、ご苦労様でした」
そう言って、冒険者達を労うターキー。いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願って‥‥。