G戦隊1『狂信集団の魔手!』

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:10〜16lv

難易度:普通

成功報酬:6 G 40 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月11日〜10月17日

リプレイ公開日:2005年10月15日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 領主である紅茶男爵の方針で、森林開拓や街道の整備に力を入れているのが特徴のひとつである。
 道を作るのに必要な物のひとつが『石』だ。

 採石場。そこは様々な用途に使われる石を削りだすギルフォード重要地点のひとつ。
 この地を狙い、様々な悪党が何度も襲ってきていたが、その度に、正義の志を持つ冒険者達で結成された『ギルフォード戦隊』によって駆逐されていた。
 平和の戻った採石場では、今日も人足達が仕事に精を出している。
 しかし、それを見下ろす不穏な影があった。
(「ここがギルフォードの重要地点‥‥確かに、この地には力の流れを感じますね。我が復讐の拠点に相応しい‥‥」)
 影が不気味に笑った。
 その影が振り返ると、そこには大勢の覆面をした者達の姿があった。
「皆さん。ようやく、我らの安住の地が見つかりました」
 先ほどの不気味な笑みからは考えられないような、爽やかな笑顔でそう言った男は、どうやらクレリックのようだ。
「おお、ついに‥‥」
「ありがたや、ありがたや‥‥」
 覆面をした者達から、安堵と共に歓喜にも似た声があがる。見方によっては、彼らは巡礼僧のようにも見える。
「しかし、とても残念なことに、この地は邪教徒によって破壊されつつある様子。皆さん、邪教徒どもを追い払いましょう!」
「「「オーッ!」」」
 クレリックの言葉に心酔しきっているといった雰囲気で、声を上げる覆面達。
「アルパ様、私が神の尖兵となって戦います。どうか、この『轟雷のライボルト』にお力をお与え下さい」
 そう名乗り出た男は、逆立った髪と、派手なフェイスペイントが特徴的だった。
「よろしい、貴方の内なる力を呼び覚ましましょう‥‥」
 アルパと呼ばれたクレリックが目を閉じ、手をかざすと、ライボルトの目つきが獰猛さを増したように見えた。
「信念は我らに有り! 邪教徒どもを蹴散らせ!」
 ライボルトに率いられ、採石場へ雪崩れ込む覆面達は、意外にも身軽な動きでバク転を交えている。
 アルパはと言うと、高みの見物といった風情である。
「なんなんだ、また変なのが来たぞ!?」
 突然現れた異様な集団に、慌てふためく人足達。
「「「邪教徒め!」」」
「は? なんで俺達が邪教徒‥‥?」
 もっともな疑問には誰も答えず、人足達に暴行を加える覆面達。
 採石場責任者のロックは、人足達を避難所へと避難させる他なかった。


 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「諸君、事件だ!」
 いつもと違う口調で冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『求む、正義の志を持つ冒険者!
 採石場が、新たなる組織の襲撃を受け、乗っ取られようとしています。
 ヤツらは、我々を『邪教徒』と決めつけ、襲いかかってきたのです。
 リーダーは轟雷の‥‥いや『轟雷怪人ライボルト』という男。ヤツの魔法によって、怪我人も多数出ています。
 どうか、ライボルトをやっつけて下さい!
 ギルフォード採石場責任者ロック』

「どうやらまた、悪の組織がギルフォードの採石場を狙ってきたようだ。
 諸君の使命は、正義の心と結束で『ギルフォード戦隊』となり、採石場を悪の手から取り戻す事だ! 出動!」
 ノリノリのハイテンションで、冒険者達を送り出すおやっさんであった。

●今回の参加者

 ea0263 神薙 理雄(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea0356 レフェツィア・セヴェナ(22歳・♀・クレリック・エルフ・フランク王国)
 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3827 ウォル・レヴィン(19歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea7487 ガイン・ハイリロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea7522 アルフェール・オルレイド(57歳・♂・ファイター・ドワーフ・ノルマン王国)
 ea9420 ユウン・ワルプルギス(20歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●リプレイ本文

「色々狙われているとは聞いていたが、今度は何やら怪しげなカルトか」
「噂の、何かと狙われまくる採石場か。そこで働いてる人達にとっては迷惑な話だし、とっとと片付けるか、騎士のしての矜持は捨てた身だが、正義の味方ってのは悪くない」
 二人のナイト、シュナイアス・ハーミル(ea1131)、ガイン・ハイリロード(ea7487)が言う通り、彼らは、何故かよく狙われている『そこ』へと向かっていた。
(「まぁ、斬っても問題ない相手のようだし、俺としてはそれで十分か。‥‥しかし、ギルドの担当といい、今回妙にテンションが高いな‥‥?」)
 そんな事を思いつつ、仲間達を見るシュナイアス。
「ついそのままノリで飛び出してきてしまったけど‥‥もうこうなったらやるしかない!」
 いきなり『出動!』などと言われ、勢いのまま飛び出してきたわけだが、すでに正義の心が芽生えた様子で宣言するナイトのウォル・レヴィン(ea3827)。
「邪教徒呼ばわりして人々を苦しめるなんて絶対に許さないんだから」
 クレリックのレフェツィア・セヴェナ(ea0356)は更に、
「みんなのためにもライボルトをきっちりとやっつけるんだよ。邪教徒は向こうの方なんだから。一生懸命頑張ってる人達を攻撃するなんて、それこそ許されない行為だよ」
 と、続ける。皆からは、レツィアと愛称で呼ばれている。
「早速、偽者対策の襟巻用意した甲斐はあったが‥‥ってか邪教徒って何だ? なんにせよ、ロック殿も気苦労な事だ‥‥」
 新たなトレードマークをなびかせている忍者の森里霧子(ea2889)。
「ギルフォードか、懐かしいな」
 感慨に耽っているのは、ファイターのアルフェール・オルレイド(ea7522)。粗暴そうな印象とは裏腹に、理美容や調理、家事を得意とし、皆にお揃いのトレードマークを施したのも彼である。
「今回の組織は狂信者達、そして怪人は電撃使いと来たら放っておく訳にはいきませんのね。今度もまた、きっちり根性叩き直してやりますの!」
「正義を呼ぶ声がある限り、ギルフォード戦隊は何度でも現れるんだよ」
 意味深に言う志士の神薙理雄(ea0263)、ウィザードのユウン・ワルプルギス(ea9420)であった。

 採石場避難所に立ち寄った冒険者達。途中、レツィアとシュナイアスが食料不足に陥るといったアクシデントもあったが、そこは仲間達が快く保存食を分けてくれたおかげで、事なきを得ている。
「来てくれたか、ギルフォード戦隊!」
 喜びの声をあげる責任者のロック。冒険者達と握手を交わしつつ、状況を説明してくれる。
 それを踏まえて、突撃順路を思案するアルフェール。
 続いて、ロックに相談する冒険者達。
「はっきり纏まって無いんだよな‥‥俺は候補ので良いが」
「ロック君、何か良い案がないかな?」
 ガインの言葉を受け、そう尋ねるユウンに、
「難しいな‥‥やはりキミ達の思う通りにするのが良いんじゃないか?」
 困ったような顔で答えるロック。どうやら、今回の作戦‥‥というわけでは無さそうだが、重要な相談だったようだ。
 やや不安を残したまま、冒険者達は採石場へと向かうのだった。

 採石場では、怪しげな覆面信者達が、怪しげな儀式を行っている。
(「ジーザス教の分派までは判らんし、友人の坊主もジャパン出身だし、となると古代伝承か新世界論か‥‥?」)
 情報屋でもある霧子。だが、アルパ達は知名度の低い新興集団らしく、ほとんど情報が無い。
「神様の真の教え? 気になるな〜」
 そこで、一般人を装い、勧誘されてみる霧子。
「アルパ様を信じる事、これが全てです」
 そう断言する覆面信者。まともな会話が通じない事だけは感じ取れた。
 儀式は進む。
「力の強い邪教徒が近づいています‥‥ライボルトよ、その内なる力を呼び覚まし、邪教徒から我らの安住の地を守るのです」
 アルパが手をかざすと、ライボルトの目つきが変わる。どうやら、何かしら効果があるようだが、本当に神の力なのかは不明だ。
 そこで、採石場にオカリナの音色が響きわたる‥‥崖の上に複数の影が現れた!
「罪の無い人足さん達に暴力をふるい、あまつさえ不当に採石場を占拠すると言うその愚行、天に代わって成敗してくれる、撃ち抜く裂光ブレイダージャベリン!」
 オカリナを吹いていたガインが、高らかに名乗りを上げる!
「眠気を誘う勧誘だったな。東洋の秘数ブレイダー零が、貴殿らの悪業を御破算にしよう」
 『微塵隠れ』で合流した霧子。零はクリアを象徴する、らしい。
「悪事は許さん! わしは、ブレイダーラージクレイモア‥‥といったところか」
 名乗った通り、ラージクレイモアを構えるアルフェール。
「僕は、悠久の探求者ギルトパーズ」
 かつての名を名乗るユウン。『レジストライトニング』発動!
『我ら、悪を断ち切る正義の刃、ギルブレイダー(仮)!』
 そして一気に、全員揃ってキメポーズ!
「ギルブレイダー(仮)だと? 足並みの乱れた連中に、我々は負けん!」
「「「邪教徒め!」」」
 ライボルトの指令で、バク転を交えながら冒険者達に襲いかかる覆面信者!
「一つの教えに凝り固まり、狂った物差しでしか測れず他の尺度を否定せんとする時、その魂は濁ったドブ川のそれに似る。人それを『狂信』という」
 そこで物陰から登場したのは『ライトニングアーマー』を纏った理雄。
「邪教徒の仲間かっ!?」
 ライボルトの問いに、
「貴様らに名乗る名はないっ! さて、どちらがタケミカヅチで、どちらがタケミナカタになるのか‥‥おっと失礼、貴男は尖兵にしか過ぎないのでしたね」
 『ライトニングソード』を発動させ、挑発する理雄。
「タケ‥‥? まあいい、今の俺に雷で敵う者などいない!」
 ライボルトがジャパンの神話を知るはずもないが、詠唱を始める。
「ははは、折角の髪と化粧が台無しだな。ほら、お清めの酒と塩だ。遠慮なく雷落としてくれたまえ」
 『微塵隠れ』でライボルトの所へ出現した霧子が、塩を混ぜておいた発泡酒を頭から振りかけて、詠唱の邪魔をする。

 一方、覆面信者戦。
 目立つように突撃し、ダメージは『デッドorアライブ』で最小限に留め、囮的な役割をするアルフェール。
 『オーラエリベイション』で抵抗力を高め、覆面信者達の中を強引に突破しようと試みるシュナイアス。覆面信者のいる場所に『ライトニングトラップ』は仕掛けられていないという読みもある。
 『コアギュレイト』や『ホーリー』で援護するレツィア。
「精神力って有限だからねえ、特に数が多いとすぐに使い切っちまう。範囲攻撃があれば良いんだが」
 『オーラショット』で援護しつつ、ぼやくガイン。

 そして、数で押していた覆面信者達がだんだん減ってくる。
「群れただけの雑魚に俺達を仕留められると思ったか? 甘く見るな!」
「こうなれば!」
 シュナイアスの挑発に、『ライトニングサンダーボルト』を放つライボルト!
「「「邪教徒め‥‥!」」」
 巻き添えで倒れる覆面信者達。やったのはライボルトだが‥‥。
 ダメージを受けたものの、シュナイアスは待っていたのだ。魔法の軌跡に沿って、一直線の道が出来るこの時を!
「肉を斬らせて骨を断つ、それが勝負の本質だ!」
 一気に切り込むシュナイアス!
「轟雷を名乗るだけの事はあるか‥‥だが!」
 高速詠唱『オーラエリベイション』を発動させ、自分の射程距離まで接近するガイン!
「邪な力じゃ、正義の防壁は崩せない‥‥ギル・サンダープロテクション!」
 ユウンから『レジストライトニング』を掛けてもらったアルフェールが、
「貴様、いったい何を狙っておる!」
 ライボルトへと突撃をかける!
「邪教徒に教える必要は無い!」
 再び『ライトニングサンダーボルト』を放つライボルト。
 そこへ『フェイントアタック』で仕掛ける理雄。そのまま素手で掴んだため、お互いの『ライトニングアーマー』がダメージを与え合う!
「さぁ、風の精霊により好かれているのはどちらでしょうね?」
「馬鹿な事は‥‥やめろ。アルパ様の力で我が魔法は威力を増しているのだ‥‥!」
 確かにライボルトの魔法は強いが、お互いにどれだけ耐えられるかは別問題である。それに、
「‥‥コアギュレイト!」
 レツィアの魔法を起点に、冒険者達は連携攻撃に移っている!
「残念だけど、ここは君たちの安住の地なんかじゃない。お引取り願うよ」
 ユウンの『サイコキネシス』による投石!
「ウィザードならオーラには弱いはず‥‥双撃の魔弾を受けろ、クロスジャベリンブラスト!」
 両腕を交差させ、高速詠唱『オーラショット』二連撃を放つガイン!
「邪教徒だか何だか知らないが神は常に正しい者に味方するもんだ。他人の土地を勝手に自分の物呼ばわりする奴には決して恩寵なんか来やしない」
 『オーラソード』で斬りつけるウォル!
「‥‥無銘‥‥!」
 足払いの『フェイントアタック』から、本命の『ライトニングソード』で横薙ぎに斬る理雄。
 そして、アルフェールとシュナイアスの『スマッシュEX』がトドメとなり、
「アルパ様ーっ!」
 断末魔が響く!
「ライボルトが倒されるとは‥‥皆さん、ひとまず退きましょう。しかし、私は必ずこの地を邪教徒から取り戻してみせます」
 そう宣言し、覆面信者達を先導するアルパ。
「そう急いで帰る事はない、少しは遊んでいけばどうだ?」
「宗教が絡むとなると融通が利かなくてやだねえ」
 挑発するシュナイアス、ガイン。
 だが、アルパは一瞬、怖ろしく邪悪な笑みを向けた後、何も言わずに去っていった。いったい何を考えているのだろうか‥‥?
「ああ、教祖さまっ! コラ、逃げるなぁっ!」
 霧子が『微塵隠れ』を使って追跡してみたが、どうやら彼らは放浪しているらしく、決まったアジトも無い事だけが分かった。

 こうして悪は去り、採石場に平和が戻った。
「ふう、久しぶりに暴れたな」
 気持ちよく、汗を拭うアルフェール。
「さあ、怪我をした人達の手当てだね。本当は誰も怪我とかしない方がいいんだけど」
 『リカバー』を掛けていくレツィア。
「一応聞いておくけど‥‥ロック君たち、まさか本当に邪教徒、なんて事は無いよね?」
 なんて、ユウンに尋ねられ、
「無いですって!」
 ブンブンと首を振るロックと人足達。間違いなく善良な民である。
 そして、アルパ達の行為は侵略に他ならない。
 頑張れ負けるなギルブレイダー(仮)!
 次はきっと(仮)じゃなくなっているさ!
 ギルフォード戦隊に栄光あれ!