オークの巣窟:陽動班

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:3〜7lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 95 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:10月18日〜10月25日

リプレイ公開日:2005年10月19日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を引き受けてくれないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書を見せる。

『中規模なオークの巣窟が発見され、周辺地域への被害を未然に防ぐため、この討伐を冒険者ギルドが請け負う事となりました。
 この討伐作戦では、陽動班・殲滅班に別れて、依頼を果たして頂く事になります。
 こちらの依頼を『陽動班』とします。
 巣窟に陽動を仕掛けてオーク戦力の一部を誘き出し、野外で戦って頂く事になります。
 各自の実力を考慮の上、作戦に参加して頂きますようお願いします』

「目的地までは片道三日弱くらいだ。七日分の食料は各自用意しておいてくれ。
 陽動して欲しいのは、オーク戦士を含む七体程度だそうだ。敵戦力の情報から割り出された数字だとさ。
 注意しなくちゃならないのは、オークロードの存在だ。陽動班はオークロードと戦う必要はない。もし、出てきちまったら、無理せず逃げろ。
 一日遅れで『殲滅班』が行く事になってるから、うまくやってくれよ!」
 依頼内容を補足説明するおやっさん。
 こうして新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0643 一文字 羅猛(29歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea3104 アリスティド・ヌーベルリュンヌ(40歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea3110 ターニャ・ブローディア(17歳・♀・ジプシー・シフール・ノルマン王国)
 ea5301 羽紗 司(41歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb1224 グイド・トゥルバスティ(29歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 eb2002 山吹 葵(48歳・♂・陰陽師・ジャイアント・ジャパン)
 eb2621 フレイア・エヴィン(30歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 eb3483 イシュルーナ・エステルハージ(22歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

ナツキ・グリーヴァ(ea6368

●リプレイ本文

 目的地付近へとやってきた冒険者達。
「俺たちの役目は陽動か‥‥殲滅班の負担を減らせるように、上手くやらないとな」
「あとで強〜いオーク殲滅班がやってくるからね」
「さてと‥‥時間は1日有るか無いかだからな、さっさとはじめますか」
 レンジャーのグイド・トゥルバスティ(eb1224)、神聖騎士イシュルーナ・エステルハージ(eb3483)、浪人の羽紗司(ea5301)が言うとおり、彼らが陽動を仕掛けた翌日には、殲滅班がオークの巣窟へと突入する手筈になっている。
 まずは誘き出したオークを迎え撃ちやすい場所を探す冒険者達。
「周りの地域の人々が被害に遭われる前に、なんとかしたいでござるよ」
 占いを得意とする陰陽師の山吹葵(eb2002)。今日も『葵ちゃんの日替わり占い』によって、この場所の吉凶を占うのだが‥‥。
 彼は、僧兵の一文字羅猛(ea0643)の前に立つと、
「ささ、羅猛殿。遠慮なく‥‥」
 顔を赤らめつつ、胸の前をガバッとあけたのだった。
 これも占いのためと言われるがまま、葵の胸に手を触れる羅猛。
「‥‥随分、鼓動が早いな。大丈夫か?」
 作戦前から緊張し過ぎているのではと心配する羅猛を、
「『ばっちぐー!』でござる」
 熱く見つめて答える葵。
 何やら、不思議な世界を垣間見た気もするが、どうやら『吉』と出たようだ。
「ともあれ、一匹でも多く誘導して撃破しなければな」
 咳払いをして、向き直る羅猛。
「殲滅班が少しでも有利になるために、できるだけ倒しておきたいところだ」
 そう言って、ナイトのアリスティド・ヌーベルリュンヌ(ea3104)が愛馬ブリッツに跨る。
 さあ、行動開始だ。

 冒険者達は二組に別れ、片方は、この場で迎撃準備である。
 猟師としての技能を持つイシュルーナの提案により、落とし穴を作っておく事になった。
「俺が掘るのか‥‥?」
 ちょうどスコップを持っていた司が穴掘り担当である。
 グイドは木に登り、もう片方の組の様子を観察している。連動するための合図役だ。
 神聖騎士フレイア・エヴィン(eb2621)は、合図があり次第いつでも動けるよう待機している。

 もう片方の組は、文字通り陽動を仕掛けるため、オークの巣窟へと向かっていた。
「情報通り、見張りが居るみたいだよ」
 遠距離から『テレスコープ』で様子を見るジプシーのターニャ・ブローディア(ea3110)。
 続いて『マジカルミラージュ』で冒険者達の蜃気楼を作り、物陰から様子を窺う。
 ‥‥。
 しかし、蜃気楼に気付かない様子の見張りオーク。
「‥‥鈍感だね〜、これでも見張りなのかな?」
 そこで、隠れたまま『サンレーザー』を撃ち込むターニャ。
「Buhiッ!?」
 さすがに驚いて、キョロキョロと見回すオーク。やがて、冒険者達(蜃気楼)を見つけ、慌てて中に知らせている。
 やがて、ぞろぞろとオーク達が出てくる。
 だが、マズイ事にオークロードらしき姿もある!
 オークロードの出現に緊張が走る‥‥。
 何やら、オークロードが偉そうな態度で言っているのが見える。
 そして、オーク戦士らしきヤツがオークを数匹引き連れて、蜃気楼の方へと移動を開始し、オークロードは巣窟の中へと引っ込んでいった。
 ホッと一息ついて、やや離れた位置から見守っていたアリスティド、羅猛、葵へと合図を送るターニャであった。

 蜃気楼を追いかけていたオーク達だが、しばらくすると、オーク戦士が何かに気付いた様子で歩調を緩め、指示を出している。
 地形的に、見破られないほどの距離に蜃気楼を出すことは不可能だったのだ。これは仕方がない。
 ここで、射程距離ギリギリから『チャーム』をオーク戦士に掛ける葵。
「「「Buhihiッ!!」」」
 葵達に気付いたオークどもが色めき立つ。
 しかし、『チャーム』が効いたのか、オーク戦士は様子を見ている。
 続いて『テレパシー』を発動させ、
(「今のは陽動でござる。こっちへ逃げるでござるよ!」)
 と、思念を送る葵。
 オーク戦士は頷くと、アリスティド、羅猛と対峙したまま、じりじりと移動する。
 その先に、何が待つのかも知らずに‥‥。

(「来た‥‥!」)
 木の上から、合図を送るグイド。
 配置につき、息を潜めるフレイア、司、イシュルーナ。
 やがて、陽動組とオークどもが睨み合うように姿を見せる。
 オーク戦士一匹、オーク六匹。ほぼ予定通りの数を陽動する事に成功したのだ。
 ‥‥ズボッ。
 オークの一匹が落とし穴にハマった瞬間、グイドが先制射撃をお見舞いし、待機組が姿を現す!
「退路は断った、もう逃げられんぞ」
 包囲するように回り込む司。『ストライク』を交えつつ、攻撃を仕掛けていく。
「お前達に恨みは無いが、これも人々の為。自然の摂理と思い、許せ」
 愛馬ブリッツを駆り、オークを追い立てていくアリスティド。
「ここで頑張れば、少しは殲滅班の人たちの負担が減るはずだ。‥‥神よ、我らにご加護を!」
 『ディザーム』でオークの武器を叩き落とし、拾えないように蹴り飛ばしていくフレイア。
「こっちも通さないよ、うふっ☆」
 イシュルーナも味方を巻き込まないよう注意しつつ、『ソードボンバー』でオークを追い詰めていく。
 羅猛もまた、オークの攻撃をライトシールドで受け止め、押し返すようにして包囲の輪を狭めていく。
「『きっく』『ぱんち』でござるよ!」
 羅猛の隣で戦う葵。とは言え、格闘術も回避術も持たない葵は、羅猛に守られているわけだが、
(「羅猛殿に‥‥いやいや、そんなことはいけない、いけないでござるよ‥‥」)
 何やら妄想して、勝手に照れている。
「Buhy‥‥」
 やがて、一塊りに追い詰められ、逃げ場を無くすオークども。
 そこに『サンレーザー』が炸裂、ターニャの魔法だ!
「大丈夫、増援とかは来てないよ!」
 彼女は、暫く巣窟の様子を見て、増援が来ないことを確認してきたのだ。
 これで背後を気にせず戦う事ができる。
 一気に攻勢に出る冒険者達!
「こいつで‥‥だまれっ!」
 言葉通り、弱り始めたオークを『スタンアタック』で黙らせていく司。
「Buhiーッ!」
 更に、オーク戦士の攻撃を『真剣白羽どり』で受け止め、
「今だ!」
 武器を奪い取る!
「そろそろ頃合か。とどめだ!」
「この一撃で往生せい!」
 アリスティド、羅猛の『スマッシュ』が炸裂し、オーク戦士も倒れた。

 多少の負傷はしたものの、冒険者達の完勝と言って良い結果である。
「モンスターと言えど無抵抗のものを手にかけるのは、あまり好ましい事ではないだろうが‥‥奇麗事ばかり言っていられないからな」
 そう言って、一度目を閉じるアリスティド。昏倒しているオークに、トドメを刺す冒険者達。
「小さな怪我でも、遠慮なく言ってくれ」
 フレイアの『リカバー』によって、全員、戦闘で受けたダメージも全快する。
「とりあえず、これで、最低限の仕事はしたことには成るな。もう少し減らしたいが無理は出来ないし、退散するか」
 そう司に声を掛けられ、念のため、空から『テレスコープ』で巣窟の方を確認していたターニャが降りてくる。
 彼女には、派遣したオークが全滅した事など知る由もなく、再び入り口で見張りに立っていたオークが、のんびり欠伸をしているのが見えていた。
 見張りのオークが次に見る姿は、戻ってくるオークどもではない。オークの巣窟へと突入を仕掛ける殲滅班の冒険者達なのだ。
「俺たちの仕事はここまでだな。後は殲滅班に任せたぜ」
 木から降り、撤収を促すグイド。
 冒険者達は、殲滅班に陽動の成功を知らせ、帰路に着いたのだった。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。