●リプレイ本文
ギルフォードの未来を護る為、集結した冒険者達。歴代ギルフォード戦隊のメンバーを多く含む猛者達である。
「目的は出て来ちゃったクエイクドラゴンさんをまた封印すること、だね」
彼女はクレリックのレフェツィア・セヴェナ(ea0356)。愛称はレツィア。『ブレイダークルスソード』の称号を持つ。
「クエイクドラゴンか。ドラゴンの相手をするのは初めてじゃないが、やはり、ドラゴンと戦うというのは特別だな。まさか、こんな機会が再び来るとは思っても見なかった」
彼はナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。『剛剣ブレイダーソード』の称号を持つ。
「さてさて、世界に竜退治というのは溢れているわけだ――竜穿つ武器、竜割る武器、竜撃つ武器、竜打つ武器、竜貫く武器、竜断つ武器、竜斬る武器、竜討つ武器、と。だがここには無論そんなもの有りはしない。だが――だからどうした? いいかね諸君! 獅子の心と精霊の意を信じ、妖精と踊り闇と踊る国の諸君! この国は妖物退治には事欠かぬが竜退治の語りは少ない。ならば、今ここで打ち立てても文句は出てこぬよ? というわけで頑張ろう」
ナイトのレイヴァント・シロウ(ea2207)の言葉に、仲間達が頷く。彼は『零鬼ギルシャドウムーン』の称号を持つ。
「本当に凄い秘密が有ったんだ‥‥」
彼女は忍者の森里霧子(ea2889)。どんなに情報を洗っても出てこなかった封印の存在に呆然と呟く。歴代ギルフォード戦隊を兼任し、多くの称号を得てきた彼女は現在『秘数の楔ブレイダー飛刃零式』と呼ばれている。
「どうもヘンな輩の集まりやすい所だと思ってはいたが、そんな理由があったとはな。今までの戦闘もすべてこの闘いのための試練に過ぎなかったと言うことか?」
彼は神聖騎士セオフィラス・ディラック(ea7528)。『神と誠と正義のギルオニキス』の称号を持つ。
「みんなが採石場を狙ってた理由ってクエイクドラゴンさんだったのかな。でもどうやってそんなこと調べたんだろ? うーん‥‥この場所に伝承でもあるのかな。どうやって調べたのかちょっと興味あるんだけど」
そう言って、首を傾げるレツィア。
封印に関する伝承などが存在していれば、ギルフォードもそこを採石場にしたりはしなかっただろう。
おそらく、これまでに採石場を襲った悪党ども、そして、善良なる民に採石場として石を削らせたのも、封印を破ろうとする魔力のようなものに引き寄せられたに過ぎない。
そして、幾多の争いの中、徐々に封印は綻んでいった。
最初から、明確にクエイクドラゴンの封印を破ろうとしていたのは悪魔ヴァブラだけだ。そこにはデビルと与する者達の邪悪な思惑があったのかもしれない。全ては憶測に過ぎないが、真実からは、そう遠くないはずだ。
「悪魔ヴァブラが採石場を狙ってた訳はそれか。強敵だ。だがギルフォード戦隊が再び集結すれば倒せない敵、防げない災厄はない!」
拳を握り、そう宣言したのは、ナイトのウォル・レヴィン(ea3827)。『聖風ブレイダーレイピア』の称号を持つ。
そこへ、ルクスが暖かいミートパイやキドニーパイをお弁当に作ってやってきた。また、ささやかだが情報収集の手配をしてきた事をウォルに伝える。彼女のようにサポートしてくれる者が居るからこそ、ギルフォード戦隊も士気を高めて出動できるというものだ。
「魔法王の次はドラゴンか‥‥ゆっくり休んでる間もねぇな。まぁ、人々の危機を放って置く事も出来んからな」
にっと笑ったのは、神聖騎士ジェームス・モンド(ea3731)。この危機に立ち上がり、ドラゴンを再び眠りにつかせるべく、最後に来た男。ギルフォード戦隊としては初仕事となるが、果たして正体や如何に?
「最後の最後にドラゴンか。相手にとって不足はないな」
気合を入れるファイターのアルフェール・オルレイド(ea7522)。かつては『豪傑の燻し銀ギルシルバー』と呼ばれ、現在は『斬破ブレイダーラージクレイモア』の称号を持つ。猪突猛進で粗暴に見えるが、理美容や調理などが得意な家庭的な面もある男だ。歴代のギルフォード戦隊が集まり、真戦隊としての任務。自作のトレードマークを入れたスカーフを仲間達に配っていく。
思い思いの所にスカーフを巻き付け、ギルフォード戦隊、出動だ!
皆、思うところがあったのか、別々のルートでギルフォード採石場へと向かっていた。
作戦の準備を進めているロック&人足達と、順次、合流していく。
「あの熱き日々よもう一度! 戦隊必須ギルピンク! 相棒のカムシンと登場だ!」
そう名乗りを上げたのは、ファイターのキット・ファゼータ(ea2307)。カムシンとは、鋭い爪と嘴を持つ勇猛な鷹だ。
「彫刻神の使者、ギルホワイト、ギルフォードの地に再び降臨!」
続いて、クレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。称号で名乗るのはギルフォード戦隊の通例である。
「ロック殿、彼らを頼もしき兵としてお借りしたい」
そう申し出たのは、飛刃零式=霧子。『彼ら』とは、元オーガ山賊団エヴォリューション配下の通称『ひらりんズ』の事である。ギルフォード戦隊の活躍により改心した彼らは、人足として働いていた。
ロックは頷き、
「‥‥おまえら、行けるか?」
と、声を掛ける。
「勿論ですぜ!」
そう答えた人足数名が、どこからともなく覆面を取り出し‥‥、
「「「ゴブーッ!!」」」
懐かしき掛け声をあげた。
飛刃零式=霧子の戦場工作指揮下で、ひらりんズも着々と準備を進めていった。
「さて、今回は既に大掛かりな罠が準備されているようだし、こっちはそこに誘導しつつ、ダメージを与えておく役だな」
ソード=シュナイアスが最終確認をする。
「ドラゴンさんと会うのは今回が初めてだからちょっと緊張だね」
緊張気味なクルスソード=レツィア。
「最近ちょっとまじめだったから、ハッチャケちゃいますよ〜」
怪我人を『リカバー』で治療し終えたギルホワイト=ギルスが、そう言っておどける。
「さあ行くぞ諸君。Ahead Ahead Go Ahead だ! 銀の剣で夜を斬り、金の翼で騒々しく夜明けを告げ、我らは竜に抗える者であると証明するぞ! 返事はどうした!」
愛馬『火駆天王』に騎乗したギルシャドウムーン=レイヴァント。
『イエッサー!』
さあ、作戦開始だ!
「斬破ブレイダーラージクレイモア!」
名乗りを上げるアルフェール。相手は巨大なクエイクドラゴン。まとめて攻撃されないよう、仲間達とは間隔を保って陣取っている。
「一応、備えとして地魔の指輪持ってきたんだよね」
地の精霊魔法に対する抵抗力が得られるアイテムを見せるクルスソード=レツィア。対クエイクドラゴンには有効だ。他の者も各々、様々な対策を考えてきている。
彼女は後衛の位置から、『コアギュレイト』を狙う作戦だ。
「相手が相手だけに趣味に合わない重装備をしてみた」
『オーラエリベイション』と『オーラパワー』を発動させてから、完全装備に身を包むソード=シュナイアス。
「翼を潰しにかかるぞ!」
大振りなサイズを遠心力と重さの動きでコントロールするギルシャドウムーン=レイヴァント。機動力を活かした戦いを心がける。
そして、最も厄介な飛行能力を封じるべく、翼に攻撃を集中させていく。
「図体ばかりデカくても俺達が負ける道理ではないぞ!」
仲間達と連携し、攻撃目標を絞らせないように動き回るギルピンク=キット。卓越した回避術と身のこなしで、クエイクドラゴンを翻弄する。
「Buuuuuuuuッ!」
しかし、クエイクドラゴンの吐いた酸のブレスに状況は一転した。予想以上に効果範囲が広い!
「神様がじ〜っと見ていますよ。頑張ってくださいね‥‥ギルリカバー!」
負傷し、後退してきた者には『リカバー』で回復するギルホワイト=ギルス。
「‥‥ギルラック!」
更に『グットラック』を掛けて、再び前線へと送り出す。
そこで、崖の上に現れる複数の影!
「どうした、随分手こずっているようだな! 俺達が助太刀するぜ!」
この声、そして、このポーズは‥‥!
『我ら、ギルフォード戦隊アルファベット!』
ソードマスター・エース以下、8人のアルファベット戦士達だ!
最初は、ギルフォード戦隊の名を騙っていた小悪党だったが、真のギルフォード戦隊に道を説かれて改心、修業の旅に出ていた彼らが、この土壇場で帰ってきたのだ!
時間は少し遡る。
「今こそ真の正義のために戦う時ではないか? かつて一度でもギルフォード戦隊を名乗ったからには、ギルフォードの危機に立ち上がれ!」
そうアルファベットを導きし者がいたのだ。
「ついに俺達の修業の成果を見せる時が来た‥‥!」
そして、彼らもそれに応えたのだ。
勿論、導きし者の姿も共にあった。
「神と誠と正義のために! ギルオニキス参る!!」
セオフィラスだ!
アルファベット戦士達と共にクエイクドラゴンへと立ち向かう!
「ドラゴン相手にどこまで役に立つかは分からないが、現在の自分の持てる力をすべてを出し尽くそう。こんな機会は滅多にないしな」
ブレス対策として前面にクルスシールドを構え、散開したフォーメーションで接近していくギルオニキス=セオフィラス。
助っ人は彼らだけでは無かった。
「みんな、待たせたな‥‥」
高台に立ち、マントをばさっと翻す影!
「千の姿を持つ男、ギルフォード戦隊秘密情報局員ギルセブン!」
そう名乗りを上げながら、『ミミクリー』を発動したのは、ジェームスだ!
「眠ってたお前さんを起こしちまったのは悪かったが、もう一度寝て貰おうかな」
伸ばした腕でクエイクドラゴンを攻撃し、誘導を試みる。
「Guooooooッ!!」
しかし、気ままに暴れまくるクエイクドラゴンを相手に、誘導は困難を極めた。
「ギルバリアー!」
『ホーリーフィールド』を張って飛び出すギルホワイト=ギルス。そして、十分に距離を保ちつつ、
「ギルフラッシュ!」
『ホーリーライト』による光を使って、クエイクドラゴンを誘き寄せていく。
「Gaaaaッ!!」
集中攻撃を受けてもなお健在の翼でクエイクドラゴンが羽ばたく!
しかも予想以上に飛行速度が速い!
このままではギルホワイト=ギルスに追いついてしまう!
「カムシン!」
相棒の鷹を飛ばし、クエイクドラゴンの注意を逸らさせるギルピンク=キット。
更にもうひとつ、何かが高速でクエイクドラゴンの前を横切った。
「この崖は‥‥この矢は‥‥まさか奴が?」
飛刃零式=霧子の言葉に、しかし返事は無い。
仲間の援護にクエイクドラゴンが気を取られた隙に、ピグマリオンリングを発動させ、息を潜めるギルホワイト=ギルス。その姿は彫刻にしか見えなくなった。
ここで再び、崖の上に複数の影が現れた。
「待たせたな! ギルフォードの地に平和を取り戻す聖なる風の使者・聖風ギルブレイダーレイピア参上!」
つい習慣でポーズをキメているのは、ウォルだ。
更に続く影達は‥‥!
「轟雷のライボルト見参!」
「HEY、爆炎のボンバード参上!」
「自らの罪、清算させてもらうとしよう‥‥氷結のレイザード参る!」
再び、時は遡る。
レイピア=ウォルは、セブンリーグブーツを使ってギルフォードの街に寄っていた。
これまでの敵の多くは、ギルフォードの管理する重傷犯罪者を収容する病院に運び込まれていたのだ。
デビルによって洗脳されていたという事で、彼らに贖罪のチャンスを与えて欲しいと掛け合うレイピア=ウォル。
「キミ達みたいな魔法の実力者が来てくれれば心強い。悪魔に騙されたという汚名を返上するのは今しかないぜ!」
彼の説得に心動かされた3人は、まだ治療中ながら、協力を誓ったのだ。
「「「トリプルマジック!」」」
ライボルトの『ライトニングサンダーボルト』、レイザードの『アイスブリザード』、ボンバードの『ファイヤーボム』が一気にクエイクドラゴンに炸裂する!
魔法の援護を活かし、接近したレイピア=ウォルがルーンソードによる『スマッシュ』を叩き込む!
「Guooooッ!」
それでも怯むことなく暴れまくるクエイクドラゴン!
無理せずヒット&アウェイで、一度距離をとるレイピア=ウォル。
「がっはっは!」
ヘビーシールドでクエイクドラゴンの攻撃を受け止めるLC=アルフェール。挑発しつつ、『カウンターアタック』を狙っているが、防御を犠牲にして、まともに喰らうわけには行かない。
「流石、ドラゴン。他の化け物とは格が違うか」
隙を探しつつ、クレイモアによる『スマッシュ』で攻撃を仕掛けるソード=シュナイアス。クエイクドラゴンの注意が自分に向いている時は、ガディスシールドを前面に構え、防御に専念して凌ぐ。
「この身が、ちょっとばかり力の弱いエルフの血であることが悲しいな‥‥エヴォリューションの名を冠した者達よ。願わくば諸君の『怪力』を今だけでいい――私に貸してくれ! 今の人の世を護り先へ繋げる為に!」
過去の忘れられぬ敵だった者達を思い浮かべ、力を振り絞るギルシャドウムーン=レイヴァント。
「『怪力』だけと言わず、『強靱な肉体』も貸してやろう」
願いに応えるような声、見上げる冒険者達。
「‥‥お前達か、きっと来てくれると信じていたぞ」
そう言って頷いたのは、ギルセブン=ジェームスだった。
再び、時を戻してみよう。
ギルクリスタルから情報を得たギルセブン=ジェームスは、彼らの協力を取り付けるべく説得に向かっていた。
つい先日、彼らは収容所から脱走していた。
身を潜め、今後の方針を話し合っていた所だ。
「‥‥話は聞かせて貰った!」
突然物陰から現れたギルセブン=ジェームス。肩をポムと叩くと、
「進化、それは志を抱きつつも、人の心の痛みを感じ取れる存在。それが真の進化だとは思わんか。今ならまだやり直せる。どうだ? ‥‥まぁ、その気になったら来てくれ」
そう言い残し、採石場へと向かったのだ。
「我らが目指した進化は、断じてドラゴンなどでは無いのだという事を証明するためにな!」
現れたのは、首領ミノス率いるエヴォリューション軍団!
「「「ゴブーッ!」」」
歓喜の声をあげるひらりんズ!
次々に現れる助っ人達の力を借り、冒険者達はクエイクドラゴンと戦う。
「可能な限りダメージを与えて、封印地点まで誘い込むぞ!」
生半可な攻撃は通用しないと見て、『スマッシュEX』を基本に攻めるギルオニキス=セオフィラス。何とか体勢を崩させて翼を狙おうとしている。
「ギルブレイク!」
同じく『スマッシュEX』で攻めるLC=アルフェール。
「その翼を絡めとり焔で焼き払ってくれる! そこだ、罠を投げろ!」
崖の上からクエイクドラゴンに投網を被せた飛刃零式=霧子が指示を出す。
「「「ゴブーッ!」」」
すると、ひらりんズが、油を染み込ませた毛布を投げ込む!
そして、火矢を射掛けるが‥‥、
「点かないっ! ダメか、こんな時にっ!」
なかなか引火させる事が出来ず、焦る飛刃零式=霧子。
「‥‥おい、何時まで隠遁しているつもりだ! 貴殿の美学、今ここで魅せずになんとする!?」
かつて強敵の散った崖を仰ぎ叫ぶ。
直後、閃光のように鋭い矢がクエイクドラゴンに突き刺さり、毛布に引火する!
「ハハハハ、私達は、このように暴走する力に踊らされていたというのか? 否! 私達は『悪の美学』のために戦ったのだ!」
弓の名手ビ・ケイダー。やはり死んでいなかったのか!
しかも、配下のアインス、ツヴァイ、ドライも健在だ!
「正義も悪も、それを上回る無秩序な力の前には無力だ。今こそ結束の時だと思わないか!」
ギルピンク=キットが叫ぶ。事前に連絡を取ろうとしたものの、ビ・ケイダーは完全に生死不明の行方不明だった。その彼らがこうして現れた。
「勘違いしてもらっては困る。我らは『悪の美学』のために戻ったのだ。ギルフォード戦隊を倒して良いのは我々だけなのだからな!」
そう言い捨てたビ・ケイダーの言葉とは裏腹に、何か通じるものを感じずには居られない。
そして、ついにクエイクドラゴンを封印地点まで誘き寄せる事に成功!
「この魂を削るような緊張感‥‥そうだ、戦いはこうでないとな‥‥!」
クレイモアを両手持ちにし、最後の攻撃を仕掛けるソード=シュナイアス!
「必殺! 神聖騎士純情派、ギルセブンは二度死ぬ」
『ミミクリー』で伸ばした腕で、回り込むように攻撃するジェームス。
「ここはお前のいるべき場所じゃない。地に眠れ!」
手持ち武装を捨てて身軽になったレイピア=ウォルの『オーラショット』が岩を崩し、逃げ道を塞ぐ!
待機させていた愛犬から武器を受け取った飛刃零式=霧子が『微塵隠れ』を発動!
「ギルフォード戦隊の称号にかけて! 震えて眠れ!」
クエイクドラゴンの首の上に出現し、持てるCOを駆使した攻撃を仕掛ける!
「Guoooooッ!!」
「ギルリフレクトブレイク!」
逃れようと暴れるクエイクドラゴンに対し、LC=アルフェールが『カウンターアタック+スマッシュEX』で押し返す!
「帰って来た、必殺のG・P・A・改!!」
同じく、ギルピンク=キットも『オフシフト+カウンターアタック+ポイントアタック』を仕掛ける!
「地より生まれしもの、地に還れ〜、ギルギュレイト!」
ピグマリオンリングの効果を解き、渾身の『コアギュレイト』を掛けるギルホワイト=ギルス!
クエイクドラゴンの動きが止まった‥‥チャンスだ!
罠の起動を担うひらりんズに、合図を送る!
しかし、このまま崖を崩しては、飛刃零式=霧子が巻き込まれてしまう‥‥。罠の作動を躊躇うひらりんズ。
「フッ、この機を逃すな。美学に散ってこそ、彼女も浮かばれるだろう」
そう作動を促したのはビ・ケイダー。
「ゴブーッ!」
覚悟を決め、崖を崩落させる!
「Guoooッ!?」
クエイクドラゴンが岩に呑まれていく‥‥。
深手を負ったクエイクドラゴンには、最早逃れる術はなかった。
クエイクドラゴンは再び眠りに就いた。失ったものは大きかったが、勝利を掴むことが出来た。
「キミの事は、封印の礎として永遠に語られるだろう‥‥」
空を見上げるビ・ケイダー。配下のアインス、ツヴァイ、ドライも敬礼している。
その背後に現れる影。
「勝手に殺すな!」
飛刃零式=霧子の声、どうやら崩落の瞬間、『微塵隠れ』が間に合ったようだ。
「これは残念‥‥お互い、また死に損なったようだな」
一度だけ振り返り、再び、背を向けるビ・ケイダー。
昨日の強敵は今日の戦友。そこには絆にすら似たものが芽生えていた。
「水瓶で揺らぐバンシー、秘数の楔ブレイダー飛刃零式!」
霧子が名乗りをあげ、ポーズをキメる。
「ブレイダークルスソード!」
「聖風ブレイダーレイピア!」
「海峡の勇者、斬破ブレイダーラージクレイモア!」
「剛剣ブレイダーソード!」
続いて、レツィア、ウォル、アルフェール、シュナイアスが名乗りをあげ、ポーズをキメる。
「百鬼狩りの騎士、神と誠と正義のギルオニキス!」
「仮面騎乗兵、零鬼ギルシャドウムーン!」
更に、セオフィラス、レイヴァントが名乗りをあげ、ポーズをキメる。
「戦隊必須ギルピンク!」
「小さき者達の伝道師、彫刻神の使者ギルホワイト!」
そして、キット、ギルスが名乗りをあげ、ポーズをキメる。
「二度死ぬ漢、千の姿を持つ男、ギルフォード戦隊秘密情報局員ギルセブン!」
最後に、ジェームスが名乗りをあげ、ポーズをキメる。
『我ら、ギルフォード戦隊! ギルレジェンド!!』
全員でキメポーズ!
アルフェール作のトレードマークが太陽にさんさんと輝く!
そう、冒険者達が最高に輝いた瞬間だった。
こうして、採石場に平和が戻った。
「採石場の真の平和、護り通せたな」
御満悦の様子で、負傷者の手当てを始める飛刃零式=霧子。一緒に手当てして回っているのは‥‥元覆面狂信者の腐女子達?
よく見れば、美形優先‥‥なるほど。
「さすがにドラゴン、これほど強いとは。よい経験になった」
生き生きした表情のLC=アルフェール。
「ふむ‥‥こう言う時は、ドラゴンスリーパーとでも言われるのかな?」
にかっと笑うギルセブン=ジェームス。
「この採石場は封印かぁ。でも新しい地に採石場が出来るさ」
「そうだな。ギルフォードには、まだまだ石が必要だからな!」
レイピア=ウォルの言葉に、ロックが応える。
今後、この採石場は『封印の地』として護られていくだろう。
「しかしアレだな‥‥ドラゴンを元の所に埋め戻したら、これからもヘンな『悪の組織』を引き寄せるのではないか?」
もっともな不安を口にするギルオニキス=セオフィラス。
「ここや新しい採石場に、また何かあったらギルフォード戦隊がかけつけるから、その時は冒険者ギルドに声をかけてくれな!」
そう約束するレイピア=ウォル。
「ギルフォード戦隊は永遠ということか」
納得したように言うギルオニキス=セオフィラス。
もしも、またクエイクドラゴンの力を狙って『悪の組織』が現れても、きっと正義の冒険者達が『ギルフォード戦隊』となって護っていくだろう。
「良い子達にプレゼントを配らねばなりませんので、名残惜しいけどこの辺で〜」
豪華なマントを着込み、犬達の手綱を持ってサンタさん風に去っていくギルホワイト=ギルス。
そう、もうすぐ聖夜祭なのだ。
偉業を成し遂げた冒険者達は、意気揚々と帰路に着いたのだった。
そして、キャメロットへの帰路で聖夜祭を迎える。
「おーし、やるぞ! A happy merry christmas!」
レイピア=ウォルが音頭をとる。
「神様はいつでも僕達を見てるんだから」
愛犬プリンに持たせてある食料を、やや豪華に広げるクルスソード=レツィア。
「ほら、神様がじ〜っと見てますよ‥‥」
同じく、愛犬のルーニー君とファン・ニステルローイ(ファニー)君に寄り添い、それに倣うギルホワイト=ギルス。とても暖かそうだ。
「忠犬駄犬狂犬‥‥。私は何になれるだろう?」
飛刃零式=霧子が呟く。彼女の目指すものは、果たして‥‥?
「どんなもんだろうねぇ」
そう言って笑うギルオニキス=セオフィラス。
賑やかに、聖夜祭を過ごす冒険者達であった。
さらば! そして有り難うギルレジェンド!
ギルフォード戦隊に永久の栄光あれ!!