オレの修業に付き合ってくれ!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月20日〜07月25日

リプレイ公開日:2004年07月22日

●オープニング

「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せつつ、依頼人を紹介する。
「ま、宜しく頼むぜ!」
 筋骨隆々で精悍な冒険者がそこにいた。依頼書にはこうある。

『オレの修業に付き合ってくれる冒険者を大募集だぜ。
 我流のファイターとして冒険者を始めようと思うんだが、オレの実力がどの程度なのか知りたいんだ。
 ようは、オレの対戦相手になってほしいわけだ。
 と言っても、修業で死んだり重傷を負うなんて馬鹿馬鹿しいから、武器は安全のため刃を落としたのや木刀みたいな稽古用のヤツ。それか素手だ。
 一応、リカバーポーションも用意してあるが、勿体ないからできればリカバーを使える冒険者も同行して貰えると助かるな。
 期間は五日。キャメロット近郊にある山小屋にて。全員分の食料を用意しておくが、現地調達にも協力してくれ。
 宜しく頼むぜ』

「つーわけだ。山小屋っても、オレが修業用に建てたホッタテ小屋だけどな!」
 笑いながら握手を求めてくる依頼人。
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0127 ルカ・レッドロウ(36歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea0502 レオナ・ホワイト(22歳・♀・バード・エルフ・イギリス王国)
 ea0909 アリティシア・カーザンス(20歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea1434 ラス・カラード(35歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea2504 サラ・ミスト(31歳・♀・鎧騎士・人間・イギリス王国)
 ea2929 大隈 えれーな(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3468 エリス・ローエル(24歳・♀・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea5147 クラム・イルト(24歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 依頼人と共に山籠もりにやってきた冒険者達。
「まず、小屋を綺麗にしましょう☆」
 条件反射で掃除を始めるメイド志望の忍者、大隈えれーな(ea2929)。
 そして、早速対戦形式の修業を始める冒険者達。
「修業か‥‥しがないレンジャーが相手でもいいんなら、いくらでも付き合うぜェ兄さんよォ♪」
 刃を落としたナイフを構えるレンジャーのルカ・レッドロウ(ea0127)。
「宜しく頼むぜ。ああ、オレの事はアルとでも呼んでくれ」
 木刀と盾を構える依頼人アル。
「それでは、始めて下さい」
 審判役の神聖騎士ラス・カラード(ea1434)と神聖騎士エリス・ローエル(ea3468)。
「‥‥ま、相手って言っても組手程度でしか役に立てないかもしれないけどねェ」
 苦笑しつつ、カウンターできない体勢にしようと動くが手頃なCOが無いルカ。
「俺も色々戦い方を試してみて、この修行でお互いに強くなっていきたいねェ♪」
 スピードを活かして翻弄するが、攻撃に転じた瞬間!
「デッドorカウンター!」
 『デッドorアライブ』でダメージを軽減され『カウンターアタック』が炸裂する。
「そこまでです。お互い剣を引いて下さい」
 間に入るラス。
「いってェ‥‥こりゃ参ったぜェ」
 まともに喰らったルカが両手を上げる。
「これがオレのデッドorカウンター。略して『DoC』だ」
「やる気があるのは良いのですが自分の体も大切にしてください‥‥リカバー☆」
 発動の瞬間、エリスが白く淡い光に包まれるとルカの傷が完治する。

 続いて、ナイトのサラ・ミスト(ea2504)と対戦。
「今回は私自身の修業も兼ねている。宜しく頼む」
 一礼してロングクラブと盾をを構える。
「全力で行かせてもらう!!」
 正面からの打撃!
 『DoC』に『ガード』を合わせる見事な攻防。
「重装備な相手に有効な攻撃といえば、鎧の隙間を突き刺すか、急所に鎧を無視できる衝撃を与えることだからな」
 そして地面すれすれからすくい上げるような一撃で股下を狙う!
 だが『DoC』を喰らってしまう。
「あ、危ネェ‥‥サラの技が完全だったらヤバかったぜ」
 部位狙いをするならポイントアタックなど、適したCOを修得しなければ劇的な効果は望めない。
「‥‥何とか、これをものにしたいな‥‥変態から国を守るために」
 そう呟き、オーラリカバーを掛けるサラ。彼女の修業もまだまだこれからか。

 続いての対戦。
 色っぽく鎧を脱ぎ捨て、身軽になるバードのレオナ・ホワイト(ea0502)。
 ヒット&アウェイを狙うが、初手に対して『DoC(寸止め)』される。
「それはオレには通用しないぜ」
「ふふ‥‥強い男って結構好きよ‥‥♪」
 今度は距離を取るとおもむろに詠唱を始めるレオナ。
「お眠りなさい‥‥スリープ♪」
 慌ててアルが攻撃を繰り出そうとした瞬間、眠りに落ちる。
「そこまで! レオナさんの勝ちです」
 そう宣言するエリス。
「あー、油断したぜ‥‥」
 起こされたアルは、バツが悪そうに頭を掻く。

「全く、俺も暇なものだ。だが何もしていなくては体が鈍る」
 過去を全て捨て、ただ流離(さすらい)生きる神聖騎士クラム・イルト(ea5147)との対戦。
「全ての敵が正攻法で来る訳でない事を頭に入れておくことだ!」
 短い木刀を手に騎士らしからぬ『汚い』戦法で攻めるクラム。
 しかし、次の瞬間『DoC』が炸裂する。
「なるほど、面白ェ‥‥。今日はオレの勝ちだが、適したCOを修得するといいかもな」
「そこまで! アルさんの勝ちです」
 間に入り宣言するエリス。
「大丈夫ですか? あまり無茶はしないで下さいね‥‥リカバー!」
 発動の瞬間、ラスが白く淡い光に包まれるとクラムの傷が完治する。

 次は小屋の掃除を終えたえれーなと対戦。
「‥‥疾走の術☆」
 えれーなが煙に包まれると、スピードアップして飛び出してくる。
 木刀の打撃を避け、鞭を見舞う。
「元よりコレが狙いだ!DoC!‥‥うおっ!?」
 鞭が絡まり、カウンターできない。
「その戦法だとカウンターを封じられたら終わりですネ☆」
 ナイフを突きつけるえれーな。
「そこまで! えれーなさんの勝ちです」
 宣言するエリス。
「参ったぜ‥‥何か搦め手の対策も考えねーとなぁ」

 そして、審判役をしていたラスとも対戦。
「それではお相手させていただきます!」
 アルの希望もあって、騎乗からの『チャージング』を仕掛けるラス!
「ハアッ!」
「さすがに効くな‥‥DoC!」
 ダメージを受けつつカウンターを返すアル。
「くっ‥‥ここまでにしておきましょう」
 それを『ガード』で軽減するラス。しかし、ラスの方が傷が深い。
 ラスは自身に、エリスがアルにリカバーを掛ける。
「なかなか有意義な対戦だったぜ。明日からも宜しくな」

 一日目の修業を終え、魔法を使うまでもない傷の手当て。
「みんな、あんまり無茶しないの! はいっ、消毒終わり!」
「この傷ならリカバーをかけずとも直せますよ。任せて下さい」
 応急手当てをするウィザードのアリティシア・カーザンス(ea0909)とラス。
 そして、食事の準備だ。
「調達してこれなかったら、お食事抜きです☆(包丁キラリ)」
 家事担当のえれーなが食料調達隊を送り出す。
 食料調達隊は、ルカ、サラ、レオナ、アリティシア、エリス、アル。
「コレは食べられる‥‥あぁ、コレは駄目よ、毒があるから」
 植物知識を活かして、山菜やキノコをより分けるレオナ。
 土地感を活かして案内しつつ荷物持ちをしているサラ。

 小一時間もすると食料調達に成功した調達隊が戻ってくる。
「どうせ暇なんだ。メシ作るの手伝うぞ」
「僕も何かお手伝いします」
 クラム、ラス、ルカも調理を手伝う。
「食器並べておくねー☆」
 アリティシアが食器を並べ、次々に料理が出来上がる。
「自分らで作った御飯をみんなで囲って、ワイワイ楽しむのもいいねェ♪」
 発泡酒を開け、皆にも勧めるルカ。
「食料は足りると思っていましたが‥‥みなさん良く食べるのですね」
 『クリエイトハンド』で食料を出して賄うラス。
「さて。息抜きに、歌と踊りと‥‥ギャンブルはいかが?」
 横笛を取り出すレオナ。
「悠久の時に身を任せ‥‥全ての音に身を委ね‥‥今、一時の平和なる時を」
 歌や曲を演奏し、踊りを踊って皆を楽しませるレオナ。
「はいはい、どんどん賭けていって頂戴ね〜♪」
 そうしてリラックスさせ、ギャンブルに引き込んでいくのだった。
 別にイカサマをしたわけではないが、ちゃっかり勝っているレオナであった。

 就寝時間。
「はいはい‥‥男は外外〜♪」
 手を振るレオナ。
「一枚しかないけど‥‥よかったら使ってよ。風邪ひかれちゃさすがに困るしね」
 毛布を提供するアリティシア。
「レディ達に気を使って野宿するか」
「明日の修行の為にも睡眠は充分にとっておきましょう」
 サラに借りた簡易テントを張りつつルカとラス。そして男性陣。
「しばらく独りにしてくれ」
 小屋を抜け出して屋根に上り月を眺めるクラム。
「さて、サラ。これからが大人の時間よ‥‥♪」
 恋人のサラに迫るレオナ。
「レオナ‥‥」
 できる限り普通に接するよう心がけていたサラだが、押しには弱いようだ。
「う〜ん‥‥テントで二人きりっていうのも良かったかも‥‥」
 そうして一夜目が更けていく。
 また、夜な夜な抜け出し、仮想敵相手に剣を振り、鍛錬に余念のないサラの姿があった。

「よしっ、ここは一肌脱いであげようじゃん♪」
 アリティシアの提案で、今日は魔法防御の特訓である。
「準備オッケー? じゃあ行くよー‥‥ウォーターボム!」
 アリティシアが青く淡い光に包まれると、水球が炸裂する。
「くっ、魔法相手には『DoC』も役に立たないな‥‥」
 衝撃と共に水浸しになるアル。
 ダメージを回復しながら水球に突っ込む冒険者達。
 いつの間にか、皆で納涼水遊びになってしまっていたのは御愛嬌である。
 他にも、えれーなの仕掛けた簡単なトラップ地帯での戦闘訓練などに励み、瞬く間に五日間が過ぎていった。

 最終日の夜。
 皆で満天の星空を見る。
「流石に山‥‥星が綺麗ね〜♪」
 そして横笛を奏でるレオナ。
「大切なものを守るために、強く‥‥より強くならねばならん!」
 レオナと仲睦まじく並ぶサラ。
「フルフェイスの兜着けてたら、見えませんよねぇ。勿体ないです」
「そうだな」
 えれーなに言われ兜を脱ぐアル。
「このような素晴らしい星空を見ることができた事を神に感謝します‥‥」
 星空に感嘆するラス。
「たまにはいいよね、こんなのも。ついでに星に願いでもかけてみたら?」
「そう言うアリティシアさんの願い事はなんですか?」
 尋ねるエリス。
「ん?あたしの願い?‥‥好きな人の冒険の手伝いを‥‥することかな」
 そう言って照れるアリティシア。
「みんな、ありがとな。いい修業になったぜ」
 握手を交わしていくアル。
「次は負けない。どんなことをしても勝つからな」
 握手を返すクラム。
「お役に立てて良かったです。立派な冒険者になって下さい。貴方に神の御加護があらん事を‥‥」
 十字架に祈るラス。
「もう一人、俺のダチでピチピチした活きの良い中年ファイターがいるんだ。よかったら今度そいつも連れて、また修行に来るぜェ♪」
「楽しみにしてるぜ」
 抱擁して友情を確かめ合うルカとアル。
 いつか英雄になろうと星空に誓う冒険者達であった。