名誉〜護るべきもの〜

■ショートシナリオ


担当:冬斗

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:5 G 97 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月09日〜02月16日

リプレイ公開日:2008年02月17日

●オープニング

 貴族は名誉を重んじる。
 それは何も彼ら本人の為だけにあるものではない。
 本人の思惑に関わらず、護らねばならぬ名誉も存在する。

 領主・フェリックス・レインは悩んでいた。
 彼の元に来た一通の書状について。
「狩り――か」
 それは友人からの招待状。
 差出人のクリス・バートン卿とは8年振りの顔合わせとなる。
 よってお互いのことは知らない。
 フェリックスの領地の現状も。

 端的に言えば彼は領主として最低限の質素な生活をしていた。
 もともと豊かな土地ではない上に彼自身の性格にもよるところが大きい。
 狩りというなら供の者を連れねばならない。
 が、連れるべき従者さえ、彼の元には居なかった。
 勿論、有能な部下はいる。
 しかし、狩りに連れて行くのならば武芸、教養、いずれかに秀でていなければならない。
 そしてどちらも通常の職務をこなす上では必要のないものだ。

 彼らの狩りとはただ森で獲物を獲るだけの遊びではない。
 知識を交し合う茶会から従者の武芸の腕を見せ合う手合わせ。
 あえて悪く言うならば互いの権力を見せ合う社交の場なのだ。
 だが、それ故手は抜けない。
 その場で無様を晒す事は自領地の名誉を貶める事にも等しい。
 だから今までなんとか口実をつけ誘いをかわしてきたが、それも限界に近づいていた。
 彼の元で働く従者達の為、そして領民達の為にも、他の参加者達に見劣りすることなく振舞わねばならない。


「さる要人の護衛をお願いしたい」
 冒険者ギルドに来たのはそんな依頼だった。
 護衛対象も理由も明らかにはなっていない。
 ただ、人選の希望だけが妙ではあった。
「騎士、剣士、魔術師、神官、職業は問わない。
 何かの分野に熟練した者を頼む」
 持って回った言い回しに公には出来ない内容である事は窺える。
「詳しい事は依頼を受けた後に話す。
 後ろ暗い事をさせるつもりはない」
 そう言って依頼主は受付にだけそっと紋章を見せる。
 それが身分の証明になったのか、受付は静かに事情を察し、依頼は受理される事となった。

 貴族の中には優れた元冒険者を雇っている者もいる。
 問題なのはフェリックスには彼らを雇い続ける程の金はないという事。
 いや、それも問題ではない。
 この数日。狩りが終わるまでの間だけ彼の従者として振舞ってくれればいい。
 それだけで上手くいくのだ。

●今回の参加者

 ea3063 ルイス・マリスカル(39歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea8594 ルメリア・アドミナル(38歳・♀・ウィザード・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea9085 エルトウィン・クリストフ(22歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 ea9517 リオリート・オルロフ(36歳・♂・ナイト・ジャイアント・ロシア王国)
 eb4694 ミハイル・バラキレフ(39歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb8542 エル・カルデア(28歳・♂・ウィザード・エルフ・メイの国)
 ec2412 マリア・タクーヌス(30歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・メイの国)

●リプレイ本文

●出発
「おや、ミハイルさんではありませんか」
 見知った顔を見つけるルイス・マリスカル(ea3063)。
 それ自体はさして珍しい事でもないのだが、ミハイル・バラキレフ(eb4694)の場合、前回会った依頼が初めての仕事らしい。
 奇縁を感じるルイスだった。

 フェリックスからの依頼は狩りの同伴。
「領主様の手伝いですか。
 オルボート以来ですわね」
 過去に想いを馳せ、ルメリア・アドミナル(ea8594)が呟く。
 知識に聡いルメリアにとって貴族との触れ合いは興味深いものなのであろう。
「一緒にされると心苦しいですね。
 あちらと比べれば所詮うちは片田舎ですから」
 それは決して謙遜ではない。
 狩りの供すら雇わねばならない状態は、見る者から見れば『不適格な』領主と認識されるだろう。
 依頼が内密なのもその為だ。
「それに――所詮は只の貴族の見栄の張り合いです。
 そう固くならずに」
(「なるほど、確かに損な性格だ」)
 リオリート・オルロフ(ea9517)は心中、感想を漏らす。
 貴族は人の上に立つ者として時に傲慢なくらいがちょうどいい。
 ましてや依頼人と雇われ。
 今、彼がやるべきは自分達に気を遣うことではなく、狩りにてミスがないよう念を押す事だというのに――。
「見栄と誇りは別物だ」
 ミハイルがフェリックスに言葉を返す。
「及ばずながら力を貸そう。
 天界の知識がどこまで役に立つかはわからんがな」

「ロバちゃんってみすぼらしいかな?」
 愛馬『ろばちゃん』の毛を撫でながら聞くのはエルトウィン・クリストフ(ea9085)。
「‥‥置いていった方がいいなら置いていくけど‥‥」
 名残惜しそうにしつつも、依頼の為ならば仕方無い。
 が、フェリックスは、
「問題ないでしょう。
 よく訓練されているいい驢馬ですね。躾のなっていない馬より遙かに役に立ちますよ」
 これは嘘ではないだろう。
 それでも見栄っ張りの貴族ならば連れて行かせなかったかもしれないが。
「私は学者として御同行させて頂こう。
 元冒険者がゴーレムニストであることなどまずありえないからな」
 マリア・タクーヌス(ec2412)はメイでもそう多くはないゴーレムニスト。
 フェリックスは、
「――わかりました。
 ではそれでお願いします」
 この時、彼は少しだけ嘘をついた。
 というより遠慮をした。
 ゴーレムニストの従者などはあり得ないが、『冒険者の客人』としてなら通用する。
 それはそれで来賓としては鼻が高いだろう。
 この人の良さは彼の長所でもあり、同時に欠点でもあるのだろう。
(「これは、色々フォローも必要なようだな‥‥」)
 まあ、高慢な貴族の後始末よりは余程心地がいい。
 そう、リオリートは不快でない溜息をついていた。

●四人の領主
 お付き合いの秘訣は相手を良く知る事。
 エルトウィンはフェリックスから他の参加者について話を聞いていた。
「粗相のないようにさせていただくわ。
 とりあえずハーフエルフだっていうことは隠しておくわね」
 と、髪とリボンで上手く耳を隠す。

 フェリックスの話では、今回狩りに参加する領主は4人。
 いずれもメイディアの貴族として古くからの付き合いだ。
 一人はクリス・バートン卿。
 フェリックスと同じ地方領主だが、その財政は彼とは大きく異なる。
 とはいえ、その金を無駄に使う事はない。
 この狩りにしても、他領地の領主達と親交を深める為に不可欠なものである。
 大らかではあるが、その分レイン領の苦境を察する程の気回しは向いていないようだ。
 彼にしてみれば、狩りに連れて行く従者がいないなど考えられないのだろう。
 二人目にリドリー・ケインズ卿。
 彼はいわゆる『見栄っ張り』の貴族だ。
 加えて無能ではないから達が悪い。
 おそらく今回の狩りで難癖をつけ、外交上に優位に立とうというのは明らかと言えた。
 三人目、ディレオ・カーター卿。
 質実剛健。だが、フェリックスと比べ厳格で自己にも他者にも厳しい。
 リドリーの難癖に『不当な』ものがない限りは助けは寄越さないだろう。
 有事に対処が間に合わないのなら、それはその者が悪いのだ。
 そしてフェリックス・レイン当人。
 彼に恥をかかせない為、7人の冒険者は馬車で綿密な打ち合わせをするのだった。

●茶会
「この美しきスモールホルスは、偶然入手出来た事は、とても幸運でした。
 親交の有る冒険者が入手した物、育成となると大変な苦労を要する為、専門的な知識を持つ、私が譲り受ける事になったのです」
 先制はウィザードのエル・カルデア(eb8542)。
 スモールホルスは非常に希少な種の為、貴族でもその姿を見た者すら稀であろう。
 金で引き取るとしたらいくらかかるのか、想像もつかない。
 そのスモールホルスのプリズムレイ。
 本来はこのような俗事の見世物になる事など許せない種族の筈だが、借りてきた猫――いや、鳥か――のように大人しくしている。
 主との友情故か、依頼人に思うところあったか、或いはその両方か。
 プリズムレイを語るエルの演説はハッタリではない。
 精霊や魔獣の知識で彼に及ぶものはメイディアを探してもそうはいないだろう。
「大したものですな、そうは思わぬか? バートン卿」
 真っ先に褒めたのはリドリー。
 おそらく内心通りの態度ではあるまい。
 嫉妬を安易に見せ、株を下げるような真似を彼はしない。
(いずれボロは出る)
 フェリックスの内情など調査済みだった。
 どうせ彼らも余所から借りた者達というところだろう。
 馬脚を出させてやる。
 プリズムレイの美しさは彼の敵愾心に火をつける結果となってしまった。
(「まあ、問題ないだろう」)
 と警護役のリオリート。
 どちらにしろ彼は難癖をつける気満々なのだ。
 ならば機先を制するくらいがちょうどいい。

 学問の分野ではルメリアが非凡な才を見せた。
 百年以上の歳月を生きているエルフとはいえ、彼女の知識には目を見張るものがあった。
 商家の生まれである彼女は学問と経営学という二つの知識に秀でている。
 その上、精霊碑文字にまで通じているという。
 クリス卿も自分達すら及ばぬ博識ぶりに感心と敬意を抑えられない。
「私とマリアさんは学問での功績を見込まれ、召抱えて頂きました」
 マリアの方も負けてはいない。
 ゴーレム関係の知識は隠していたが、関連で学んだ鉱物や設計の知識を貴族達に披露する。
 鉱物知識は鉱山を所有しているらしいリドリー、設計は軍事肌のディレオが砦設計のみならず攻略の助けにもなるとかで、興味を示していた。
「鉱山を持ってらっしゃるんですか? 何が採れるんですか?
 マリアちゃん詳しいんで聞かせてくれます?」
 と、エルトウィン。
 リドリーは良くも悪くも、強きにへつらい弱きを踏みつけるタイプのようだ。
 ならこちらの優位を押して進めた方がいい、弱みを見せればつけこまれる。
 尤もやり過ぎれば反感を買うだけではあるが。
(「フェリックス卿はあまり自慢をするタイプじゃないみたい。私達で後押ししなくっちゃね」)
「――いい友に恵まれたようだ」
 話しかけてきたのはディレオ卿。
「と、友? そんな、畏れ多い――」
 内心冷や汗で返答するエルトウィン。
 ディレオはそれだけ。やり取りはマリア達の会話の中に埋もれていった。

●乱心
 野外ではミハイルが狩りの準備を進めていた。
「ほう、そなた医者か」
 クリスが彼に興味を持つ。
「しかも天界人と。天界の医療知識というやつか。
 いや、そなたも人が悪い。先程話してくれれば是非聞かせて貰いたかったものを」
 冗談めかしているものの、クリスは本気だ。
 天界人自体珍しいが、その中でも専門知識に秀でているものは尚稀である。
「天界から来た時にフェリックス卿に拾っていただきました。
 軍医の経験を活かし領内での重病人の診察や天界の医療技術の教育をしております。
 フェリックス卿には厚意にしていただき感謝の言葉もありません」
 ミハイルの言葉にクリスは失意を感じ得なかった。
 つまりは遠回しな拒絶。フェリックス以外の者に仕える気はないと。
 クリスの興味を感じ取ったミハイルが先手を打った形だ。
 仕官を誘われて断ってはクリスの面子を潰してしまう事となるから。
「皆、安心して狩りをお楽しみください。
 ただし、行き過ぎた無茶はされぬよう。
 天界の技術でも死者は蘇りませぬ」

 ルメリアが前に出る。
「風の精霊よ。命の息吹を私に知らせ給え――」
 森の空気がルメリアに命の存在を囁く。
 リドリー付きの術師が驚きと共に主に伝える。
「これほどの精霊魔法、
 不覚ながら、見たのは私も初めてです‥‥!」
 術が終わると、ルメリアはゆっくりと森を指差し、
「2時の方向に三匹、11時の方向に二匹、さらに向こうに一匹、10時の方向に一匹――こちらは猪でしょうか? 大きいのでご注意ください」
 狩りに術師を連れて来たのはこの中ではリドリーが初めてである。
 だからこそルメリアの術がどれほど桁が外れていたのかが実感できた。
「どうぞ皆様、お先に」
「いや、見つけたのはそちらだ。
 レイン卿、そちらから行かれるといい――」
 おこぼれに与らないところは流石貴族というべきか。
「ではフェリックス卿、お言葉に甘えましょう」
 ファイターのルイスはまるで貴族のように優雅にフェリックスを先導し、
「お気遣い、かたじけない」
 むしろ無骨なファイターのような雄姿のジャイアント・リオリートも礼を失せず、貴族達に頭を伏せる振る舞いからは育ちの良さが伺えた。

 面白くないのはリドリー。
 恥をかかせるつもりの相手に逆に恥をかかされる――いや、それどころか気遣われている。
 そのくらいは彼とて理解できる。
 格下の相手に情けをかけられた事が彼の激情を誘った。
 無論、逆恨みである。どちらにしろフェリックスの事はやり込める予定だったのだから。
 爪を噛みながらフェリックスらを観察する彼は、その――この手の人間には例外なく備わっているかのような――目敏さで、一人の異変に気がつく。
 弓のやたらに上手い――それと口も上手かった――金髪の娘。
 華奢な身体つきは人間というよりエルフに近い。
 だが、どちらかはわからない。
 何故?
 耳が髪とリボンに隠れて見えないからだ。
 何故?
 この手の人間はある方面にかけて本当に目敏い。
 彼は配下の術師に命令を下した。

「なかなかの手綱さばきですな、フェリックス卿! 自分も鼻が高くございます!」
 騎乗の腕では文句なしのリオリート。
「それはこちらのセリフです! まだまだ貴方には敵いませんよ!」
 答えるのはフェリックス。
 馬術の教師ということになっている。
 立派な軍馬で同行しているのはルイス。
 彼の馬術とて一流だが、リオリートには及ばない。
 その上、彼の後ろには小柄な金髪の少女、エルトウィンの姿も。
 二人乗りでこの腕前である。
 だが、達人リオリートも魔法の不意打ちには反応が出来なかった。
 背後のエルトウィンも同様。
「きゃあっ!!」
 エルトウィンの背後を一陣の風が襲う。
 はだけた髪の下からは小さく尖った耳が――。

「おやおや、ハーフエルフとは。
 まさかレイン卿ともあろう方がハーフエルフの従者などを連れていようとは」
 リドリーは見た目と裏腹に冷静ではなかった。
 種族はなんであれ、社交の場で他人の従者に魔法で攻撃させたのだ。
 明らかに非は彼の方にある。
 だが、冷静でないのはリドリーだけではなかった。
「――それだけか?」
 普段の温厚さからは想像つかぬ声。
「それだけの理由で我が友に危害を加えたというのか?」
「落ち着くんだ、フェリックス卿!」
 リオリートが止める。
 憤っていたのは彼とて同じ、エドはかけがえのない相棒も同然。
 それ故エドの卿への気遣いも承知している。それを無駄にはしたくない。
 それに、エドの事で本気で怒ってくれた卿が嬉しくもあった。
 だが、リオリートの制止にも止まらず、
「決闘だ、ケインズ卿! 貴殿に決闘を申し込む!」

●決闘
「やめたまえ、フェリックス卿!
 ケインズ卿も言い過ぎだ!」
 場の空気が一変し、慌てて仲裁に入るクリス。
 もう遅い。既に決闘は申し込まれてしまった。
 皮肉にもこの場には立ち会いの貴族が二人もいる。
 間違いなくフェリックスの早計だった。
 初めの時点でどうみても非はリドリーにあった。
 決闘など申し込まなくとも彼を糾弾する事は容易だった筈。
 だが、自分の為に集まってくれた彼女を侮辱する行為が彼にはどうしても許す事が出来なかった。
 逆に救われたのがリドリーだ。
 騎士・貴族において決闘は絶対である。
 これに勝ちさえすれば咎めはない。
 先程は頭に血が上り過ぎていた。
 さて、誰を戦わせよう。
 向こうはあのジャイアントが出てくるだろう。
 悔しいが、彼の部下にアレに勝てそうな従者はいない。
 危険だが自分とフェリックスの一騎打ちに持ち込もうか。
 しかし彼と自分の腕は互角に近い。危険すぎる。
 考えを巡らせていると、
「ケインズ卿の代理は友人として私が出よう。
 そちらも従者の中から最も腕の立つ者を出すといい」
「ディレオ卿!?」
 進み出たのはディレオ・カーター。
 しめた、とリドリーは思った。
 彼の剣技は自分の知る限り最高の腕前。
 おそらくはあのジャイアントですらかなうまい。
「どうだ、そこの金髪。やらぬのか?」
 ディレオが指名したのはリオリートと共にフェリックス卿を止める竜の鎧に身を包んだ金髪の剣士。
「ルイス! いけません、彼は――!」
「――行かせてください、フェリックス卿、リオリートさん、御指名のようです」

●決着
 剣戟はまるで激しい舞踏の様だった。
「――馬鹿な」
 驚いているのはリドリーだけではない。
 ディレオと十合以上打ち合える剣士など五年、いや十年近く見た事がない。
 そして、
 ルイスの返しの一撃がディレオの剣を弾き飛ばした。

「――私の負けだ。
 ケインズ卿の代理だ、私を好きにするといい」
「ま、待て! 待ってくれ!」
 慌てたのはリドリー。
 彼とてこれ以上大事になるのは御免だ。
 自分達の諍いにカーター領主まで死なせてしまっては引き返す事が出来なくなる。
 さしもの彼も謝罪をせざるを得なかった。

「――初めからこのつもりだったのか?」
 リオリートがディレオに尋ねる。
 剣に信頼のある彼が代理に出て敗れれば誰も文句は言えないだろう。
 結果、両者の面目は保たれた。
「ルイスの実力を見抜き――」
 自分ならどうだったろう?
 彼に勝てたろうか?
「――巨漢の貴公を恐れただけの事だ――」

 ルメリアの仕官の申し出をフェリックスはやんわりと断った。
 曰く、『支払えるだけの給金がない』と。
「そのようなお気遣いは――」
「いえ、貴女のような有能な方を見合わぬ給金で雇うなど出来ません。
 ――ですが、それでも構わないとおっしゃるのなら、少し待ってください。
 誇りを持って貴女を迎えられる日まで――」