夏の夜の灯火よ〜縁を讃えて
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■ショートシナリオ
担当:月原みなみ
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:2 G 49 C
参加人数:5人
サポート参加人数:2人
冒険期間:08月15日〜08月18日
リプレイ公開日:2008年08月24日
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●オープニング
活気付くウィルの街に、しかし共に浮かれてはいられない者達も少なくない。
「はいよ、今日の仕入れ分の代金だ。ご苦労さん」
「ありがとうございました」
いま卸先に約束の品を納品し終えた女は、渡された代金を手に安堵の息を吐いた。
これで五日は子供達に食べるものを我慢させずに済む。
王都で開かれる「縁日」という祭のために諸々の雑貨を仕入れたいという注文が増えたのは、地方に暮らす彼女のような庶民にとっては非常にありがたい話だった。
(「今日は‥‥少し贅沢をさせてあげようかしら」)
農夫という職業柄、身体が資本の夫にも精をつけさせたいと思いながら歩を進めるうち、一緒に連れて来た子供達が、大人しく待っているよう言い聞かせておいた場所から移動している事に気付いた。
「あの子達‥‥」
どこに行ってしまったのかと、慌てて周囲を探し回る。
程なくして彼女は子供達を見つけた。
縁日本番を間近に控えて、すっかりその装いを変えてしまっている酒場前の広場で。
「おまえ達、勝手にいなくなってはダメでしょう!」
語調荒く叱りつけるも、子供達の視線は今まで見た事が無い景色に釘付け。
「おかあさん、おまつりなんだって」
「わたしたちもいこう?」
子供達の輝く瞳に見上げられて、しかし彼女の胸中には影が落ちる。
「ダメよ。あのお祭は王都に暮らしている人たちのお祭なの」
「でもおいしいたべもの、いっぱいあるって」
「だれでもおいでって、いわれたの」
それを何と言うのか彼女達は知らないが、浴衣姿の子供が縁日の宣伝に回っていて、彼女の子供達もその子らに祭への誘いを受けたらしい。
だが、彼女には「ダメ」としか言えない。
そのような余裕は、ないのだ。
「代わりに今日は美味しいものを買って帰りましょう」
母親に手を引かれて帰路につく子供達は、しかし何度も縁日の会場となる広場を振り返っていた。
*
村に帰った子供達は、友達を集めて王都で見た「縁日」の風景を話して聞かせた。
次第に「行きたい」「見たい」という声が強まる。
「‥‥いこうか?」
「いっちゃお?」
「うん、早寝したふりをしてそっと抜け出せば、お父さんやお母さんにもばれないよ」
年長の子供の提案に、幼子達は冒険するのに似た興奮に魅せられた。
かくして子供達は祭への参加を決意した。
●
「そんな珍しい祭なら、イイトコの子供も大勢集りそうだな」
暗闇の中で数人の男達の怪しげな言葉が交わされる。
「家柄なんか関係ないさ、貧しい家のガキだって磨けば光る玉は幾らでもいる」
「人混みじゃ何が起きたって簡単には判らないし、珍しいものが盛りだくさんなら親の目にも隙が出来るだろうしな」
「ガキなんかちょろいもんよ、何か食い物でも与えてやれば素直についてくるだろうさ」
くっくっ‥‥と含み笑いが響く。
その響には明らかな悪意が込められていた。
●リプレイ本文
酒場前の噴水広場には、その一角にだけ存在する零下の空間があった。
燈された氷の灯篭は様々な色で辺りを彩り、そこから広がる不可思議な雰囲気が、屋台の軒先に下げられたランタンの灯さえまるで陽気な雰囲気に誘われたエレメンタラーフェアリーのように映る。
そんな光景に目を眇めたソード・エアシールド(eb3838)は、広場の脇、氷菓子の屋台前で胸中に懐かしい面影を思い浮かべていた。
(「あいつが此処にいたら、色々と買ってやったんだろうな」)
遠い地で親友と共に育てていた、亡き友の娘は今ごろどうしているだろう。懐かしいと思うには離れて久し過ぎるけれど。
「ソード?」
その親友に声を掛けられて我に返る。――が、それも微妙で。
「‥‥なんですか?」
「いや、まぁ‥‥よく似合うと思ってな」
ソードとしては褒め言葉のつもりだったが、言われた本人は複雑な表情。
そのうち、屋台が混み始めて来たのを察したソードは「また後で」と店から離れようとした。
「ぁ‥‥ソード、お願いがあるんですが‥‥」
そうして彼が告げたのは、ソードが此処に来る数分前に子供だけの団体が店の前を通っていったということ。
以前に子供が誘拐されかけた、その瞬間を共有しているソードは迷わず「わかった」と返した。
この人混みだ、万が一が起こらないとは限らない。
今は休憩中のソードだったが、腕に警備隊の腕章を戻して人混みに戻っていった。
同時刻、縁日の入り口ではしゃいでいたのはラマーデ・エムイ(ec1984)。
「これが天界のお祭なの? 面白そう〜! エンニチかー。あっちのお店はなにかしら」
興味津々に近付いては買って食べ。
「こっちでは何を売ってるの?」
屋台から漂ってくる香ばしい匂いに誘われて身を乗り出す。そんなふうに各所を弾んだ足取りで行き来していた途中で、その子達に遭遇した。
「!」
ドンッと衝突してしまったのは十歳前後と見られる人間の男の子。
右手に六歳くらいの女の子の手を握っていた。
「わわっ! ごめんね、痛かったでしょ?」
膝を折って子供達と目線の高さを合わせると、転んだ時に汚してしまった男の子の服の土埃を手で掃う。
「ゴメンね、君達。大丈夫?」
汚れを落としながら衣服に触れて、同時に気付く。
子供達の身なりはウィルの街に暮らす子供達とは異なる。
「あら‥‥、都の子じゃないの?」
「う、うん‥‥珍しいお祭があるって聞いたから、友達五人と遊びに来たんだ‥‥」
「お友達と? ご両親と一緒じゃないの?」
驚いて聞き返せば、子供達は答え難そうに頷き。
更に五人と言うなら他の友達はどうしたのかと尋ねると、途中ではぐれたという答えが返る。
「はぐれた?」
少なからず不安を覚えるが、ここで子供達を責めても何も解決しない。むしろこの子達が無事にはぐれた友達と合流出来るかどうかが問題だ。
「‥‥よーっし、お姉さんと一緒に見て回らない? あたしも友達が来られなくてちょっと寂しかったところなの。お姉さんはラマーデって言うのよ」
無邪気に笑んでみせると、子供達の表情からは強張りが解ける。
「一緒にお祭を楽しみながら、はぐれたお友達も探そうよ?」
ラマーデの提案に子供達は顔を見合わせ、そうして「うん!」と彼女が差し出した手を握り返した。
「では、私はあちらの方へ」
「ああ。では俺はそちらを見て回るとしよう」
腕に警備隊の腕章をつけて言い合うのはジャクリーン・ジーン・オーカー(eb4270)と長渡泰斗(ea1984)。
どちらも警備隊に参加した理由はそれぞれだが、縁日に参加した皆が安全に楽しい時間を過ごせる事を願う気持ちは同じ。
ジャクリーンと別れて人ごみに紛れた泰斗は、故郷の祭と若干の差異はあるものの懐かしい雰囲気を醸し出す縁日が好ましく思えた。
自分達以外にも腕に警備の腕章をつけて歩く冒険者仲間を見つけては「今のところは問題なし」と軽く合図し合い、たまに子供だけの集まりを見かければ迷わず声を掛ける。
「おまえさん達、親はどうした?」
恐らく王都の子供達だ。
それなりに上等な衣を身に纏った子らは泰斗の介入にあからさまな不満顔。
「平気さ。親はいなくたって、ちゃんとアイツの言う事聞いているし!」
そうして指差す先には息を切らした老齢の付き添いらしき人物。良家の子息には執事付きといったところか。
随分と疲れた様子は、子供達に連れ回された故だろう。
(「まったく」)
泰斗は内心に息を吐くと、目を細め低い声で語り出す。
「縁日の神様は親を心配させたり哀しませたりする親不孝が大好きでなぁ。神様に唆されて友達や家族に二度と会えないようなところに連れて行かれるんだ」
「え‥‥?」
「いつまでも遊び歩いている子供が一番の好みでな、‥‥おや、早速おいでなすったようだ」
「わわっ‥‥!」
泰斗の声が恐怖心を煽ったようで、何度も左右から後ろを確かめる子供は、次第に顔を赤くして歯軋り。
「‥っ‥‥帰る!」
言い放って駆け出した先は、恐らく家なのだろう。
執事らしき人物は泰斗に向かって丁寧にお辞儀すると、急ぎ足で子供の後を追っていった。
「面倒を見るってのは大変だ」
息を吐いて彼らを見送った泰斗。
縁日の神様云々は子供向けの与太話に過ぎないが、やはり効果は侮れない。そうでなければこういった話が数多く存在する事はなかっただろうから。
一方、泰斗の別方向への巡回を開始していたジャクリーンは、噴水広場の片隅で大柄な男二人がひそひそと話している姿を目撃した。
さすがに唇を読むとまではいかないが、男達の雰囲気が縁日を楽しんでいるといった様子でないことは判った。
このところ下町で人攫いがあったというような報告は聞いている。
まさか、と良くない予感が胸中を襲った。
ジャクリーンは懐に入れてあった羊皮紙を取り出し簡素な文章を綴ると、それを足元に付き従っていたボーダーコリー、愛犬のエリヴィレイトの口に挟また。
「これを詰め所の仲間に届けてください。‥‥判りますね?」
主人の言葉を理解したように軽く頷くような動作を見せたエリヴィレイトは、それきり主人に背を向けて走り出した。
その後、話し掛けるか否かを思案していたジャクリーンの視界で、男達は何かを見つけたように目元を緩ませると移動を始める。
「‥‥行きましょう」
ジャクリーンは悪い予感と共に男達を追い始めた。
「――オラースさん?」
ジャクリーンが男達を追って広場を離れた頃、噴水広場の卓に座って酒を飲んでいたオラース・カノーヴァ(ea3486)に声を掛けたのは、傍の氷菓子の店で売り子をしていた顔見知りの少女。
「もしかしてお一人なんですか?」と意外そうな顔で聞かれ、オラースは「まぁな」と返す。
「一緒に来るはずだった連れに急な仕事が入ってな、結局は一人だ」
「それは残念でしたね‥‥でも美味しいものや楽しいお店もいろいろあるので、楽しんでいって下さいね」
無邪気に微笑んだ彼女は忙しいからと売り子の仕事に戻り、その場を離れていく。
「楽しい店、ね‥‥」
オラースは呟くと、残っていたエールを一気に飲み干して席を立った。
縁日の一角、声を落として言葉を交わす男達の姿があった。
「どこで雇ってきた連中か知らないが、警備隊の奴等、妙に鼻が利く」
「あぁ。隙のある親には子供と手を離すなって声を掛けて回ってるし、迷子は片っ端から詰め所に連れて行っちまうし、下手打ちゃ俺ら捕まっちまう」
彼らは知らない。
ジャクリーンの報せを受けた詰め所で警備の強化が伝達されていた事を。
「くっそ、珍しい祭なら隙も出来るし、良い金儲けになると思ったのによ!」
男達は焦っていた。
それと同時に、此処には居ない仲間の事が気になった。
「‥‥なぁ、あの二人‥‥まさか、まだ諦めてないのか‥‥?」
「‥‥あいつらが捕まったら‥‥」
警備の手は芋づる式に自分達にも及ぶ。
「っ‥‥不本意ではあるが今夜の仕事は終わりだ!」
「ああ、あいつら連れてさっさとずらかろう!」
男達は左右を見渡し、必死になってあとの二人を探し始めた。
噴水広場と、縁日の出入り口となる道の端、双方からほぼ等距離に位置する屋台の裏手から聞こえて来た子供の泣き声を最初に耳にしたのはソードだった。
子供が三人。
まだ幼い子ばかりで、年長の子も十歳には届かないだろう。
親友が言っていた子供はこの子達の事だろうかと思いながら、ゆっくりと歩み寄った。
「どうした」
「!」
「心配するな、俺は警備隊の人間だ。ほら」
腕の腕章を見せてやると、子供達は腕章とソードの顔を何度も見比べる。
「どうだ、安心したか?」
問い掛けると、子供達は互いに顔を見合わせて小さく頷く。
「泣いていたようだが、どうした。親とはぐれたのか?」
それに答えたのは四歳くらいの少女。
「‥‥おにーちゃん」
「兄さんとはぐれたのか」
「フィルがころんだの‥‥、けがして、まってっていったんだけど」
四歳くらいの少年も続けて口を開けば、ソードにも大凡の見当がついた。
「判った、では俺と一緒に友達を探そう」
「‥‥ほんと?」
不安そうに聞いてくる子供達に頷き返し。
「ああ。――しかし、その前に怪我の手当てだな。先に詰め所の方へ‥‥」
フィルを背負い、四歳の子供達の手を引けば行けない事はないだろうが、ソードは自分と子供達の身長差を考える。
場合によっては更に迷子を出さないとも限らない。
「しばらく此処で待てるか? 手当てする道具を持ってくる。俺がいない間はこいつが君達と一緒にいるからな」
愛犬カルの頭を撫でながらそう告げれば、周りでは滅多に見ない上品な毛並みの大型犬に子供達の目が輝く。
おかげで涙も止まったらしい。
「では、少し待っていてくれ」
「うん!」
そうしてソードが場を離れ、子供達がカルと触れ合って笑顔すら見せ始めた頃。
まるでそれを待っていたかのように現れた二人の男達。
「やぁ、こんばんは」
笑顔で近付いてくる二人に、子供達は怯える。カルは持ち前の本能で邪なものを感じ取り、子供達を背後に庇って低く唸る。
「やだなぁ、お兄さん達は、さっきの警備の人に頼まれて来たんだよ? やっぱり子供だけにしておくのは心配だし、詰め所に連れて来てくれって頼まれたんだ」
手を伸ばす男達に、怯える子供達。
直後、カルは威嚇の意味も込めて吠え始めた。
低く迫力のある吠え方に、男達の手が止まる。
「ちっ」
軽い舌打ちと共に立ち上がり、その足で犬の腹を蹴り上げようとした。だがセッターはそれを余裕でかわし、尚も吠える。
「こいつ生意気な‥‥っ」
更に吠え止まそうと足を振り上げる男。
怯えた子供達は更に下がり、そして。
「どうしました?」
届く声はジャクリーン。
「‥‥いけませんね、動物に対する暴力行為は子供達を怯えさせてしまうだけですわ」
彼女の足元に並ぶ二頭の犬も、男達に対して威嚇を込めた低い唸り声を上げ、カルが吠えた声に気付いたソードも戻ってくる。
最初は何事かと思ったが、その光景を見れば一目瞭然。
幸いにも人気のない屋台裏、ソードは腰の剣に手を置く。
「っ‥‥!」
男達も既に悟っていた、このままでは捕まるだけ。
ならば。
「!」
逃げるが勝ちと屋台の間を潜り抜けて往来に飛び出す。
「待て!」
ソードとジャクリーンが追った。
愛犬は更に早い足で人混みも意に介さず追う。
「っ!」
その先には――。
「どけテメェっ、邪魔だ!」
「あ?」
男達が怒鳴りつけた相手は、オラース。
「おぅい、やめてくれよ」
進路を塞ぐ彼を除けようと拳を振り上げてくる男に、オラースは短い吐息を一つ。突き飛ばされたフリをして体を傾けると同時、相手の腹部に入れた重い一発は彼の膝だ。
「っ‥げほっ‥‥!!」
「ぁ、おい!? ‥って‥テメ‥っ」
もう一人の仲間には後退するフリで肘を打ち込み、わざとらしい驚き顔。
「なんだよ急に。俺を巻き込むな」
「‥っく‥!」
倒れた背中に飛び掛ってきた二頭の犬が男達を道端に伏せさせ、拘束。三十キロを越える重しが掛かれば容易には動けない。
「なんだ、なんだ」と、そこに到着した泰斗。
「人攫いでも捕まえたのか」
からかうように言い放てば、犬に押し潰されている男達が喚いた。
「冗談じゃねぇっ! 俺達は子供が泣いてたから心配して声掛けただけだ!」
「そ、そうだ! 人聞きの悪い事を言うんじゃねぇっ!」
「ふぅん」
泰斗は答え、ソードとジャクリーンをみやる。二人はそれぞれに犬に吠えるのを止めさせながら、人攫いだという証拠はないと首を振る。
子供達を怯えさせた事に違いはないけれど、誘拐を事前に防げば、それは悪い事をさせなかった、つまりしていない事と同義。
「なるほど」
泰斗は軽い息を吐くと、その場にしゃがんで鞘に入ったままの太刀を地面に突き立てる。
「最近は物騒でなぁ。子供らに累が及ばんよう目を光らせにゃならんのでね。無実だというなら悪かった。――しかしまぁ、誤解されるような言動も褒められたもんではないと思うがね?」
顔は笑んでいる、しかし目が笑っていない。
それが尚更男達の恐怖心を煽り、そこに割り込んで来た別の男達もまた然り。
「どうもすんませんでした!!」
「いますぐに帰りますんでっ! どーかっ、今回は見逃してやって下さい!!」
「は‥‥」
「おまえら‥」
「いいから謝れ!」
仲間達の介入と、その地面に額を擦り付けそうな謝り様に眉を顰める男達だったが、自分達の分が悪いのは明らか。
結局は、彼らもまた――上面だけは――反省してその場から解放、警備隊こと冒険者の面々を苦笑させながら縁日の会場を後にする。
後には警備隊の勇姿を讃える参加者からの拍手が辺りに響き渡った。
「何がなにやら‥‥」
それを遠くで見ていたラマーデが呟く頃、一緒に縁日を楽しんでいた三人の子供達がはぐれていた友人に気付く。
「フィル!!」
弾んだ声での呼びかけと共に駆け出した二人を追い、彼女もまた何故か冒険者仲間と顔を揃える事になった。
これも、いわゆる「縁」だろう。
太鼓の音が響く。
夜空に打ちあがるは月魔法イリュージョンによる花火。
縁日も、残り一時間といったところか。
「ラマーデ、世話を掛けるがこの子らを家まで送ってくれるか」
面識のある泰斗に言われたラマーデは「もちろん」と快諾。もとよりこんな遅い時間に子供たちだけで夜道を歩かせるつもりはない。
「だったら俺も付き合うぜ、どうせ暇だしな」
オラースが言えば、ソードは「頼む」と応えた。
「捕まえられるのなら、捕まえてしまいたかったのですけれど‥‥」
少し悔しそうに呟くジャクリーン、気持ちは皆が一緒だろう。
だが、それが無理ならばせめて残り一時間の祭の夜を誰もが楽しく過ごせるように。
誰にとっても良い思い出となるよう警備に努める。
決意を新たにした彼らの頭上に、一際美しい火の幻影が花開いた。