探偵遊戯〜秋の行楽・きのこ狩り〜
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■ショートシナリオ
担当:月原みなみ
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:3 G 32 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月11日〜09月16日
リプレイ公開日:2008年09月19日
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●オープニング
「スクリーマーが食いたい!」
ドンッと酒場の卓を叩いた滝日向(ez1155)の表情は至極真面目。
相手をしていた冒険者ギルド勤務の受付係は、言葉と顔のギャップに思わず絶句したほどだ。
「――えぇ‥‥っと、滝さん?」
「何度でも言うぞ、俺はスクリーマーが食ってみたい」
「‥‥‥‥」
凛々しい顔付きでわざわざ宣言する事かと、青年は痛む頭を抱えた。
話はつい先日の依頼に遡り、以前から興味があったというスクリーマーとの初対面を実現させた元探偵は、しかし依頼内容との兼ね合いからそれを放置して戻って来た。
だが美味いと聞けば食べてみたくなるのが人情というもので、次の機会を心待ちにし過ぎて夢にまで出てきたという。
「滝さんは、意外と言うか何と言うか‥‥」
「美味いものを食わずして秋は迎えられないし終わらないぞ」
「そういうものですかねぇ」
少なからず呆れて呟いた受付係は(「きのこねぇ‥‥」)と首を傾げていく内にふと思い出した。
「――あ」
「なんだ?」
すぐさま反応してくる日向に、どうしたものかと迷いつつも結局は知らせる。
「受けたのは私じゃないんですが、ギルドにこんな依頼が来たんですよ――」
*
「山に自生しているきのこを食べた子供達が、笑いが止まらなくなって大変だったんだ!」
ギルドに駆け込んできた山男の第一声はそれだった。
相手をした受付嬢は目をぱちくりさせた後で、なるほど副作用のあるきのこを食べたのだろうと推察する。
「そのお子さん達は、今は?」
「腹が痛いって寝てる!」
筋肉痛にでもなったのだろうか、そんな事を考えながら羽ペンと依頼書を準備。
受付嬢は男を席に座らせて「ご依頼は?」と営業スマイル。
あまりにも冷静なその態度に、男の方も落ち着きを取り戻したらしい。
「あ、ああ‥‥、山で暮らす者にとって山の幸に関する知識なんてのはあって当たり前のもんだ。だが子供達はまだ幼い、どれが大丈夫だと教えても、なかなか覚えられるものではない」
「そうでしょうね」
「絵に描いて、どれが危ないと言った様な後に残る教え方が出来れば良いが羊皮紙はバカ高いし俺ら庶民にゃ手が出ねぇ」
「ええ」
「何とかならねぇか!?」
「それは冒険者に相談しましょ?」
にっこりと受付嬢。
さらさらと依頼書を作成し、呆気に取られる依頼人へ「捺印をどうぞ」とそれを差し出した。
*
「大した受付嬢だな」
「ええ。彼女の仕事の手際の良さと言ったら本当に‥‥って、話はそこじゃないでしょう」
話の逸れ掛けた二人は慌てて軌道修正。
「とにかくそういう依頼がありまして、内容としては何らかの形で後々に残るきのこの教本を子供達に与えてやって欲しいというものなんですけど」
其処にスクリーマーが自生しているかどうかは判らない。
しかし環境としてはあってもおかしくないだろう。
「どうです? 試しに行ってみますか?」
「もちろんだ」
ニッと笑む元探偵。
話を聞く限りではモンスターが出る危険も低いようだし、戦闘には疎い自分でも邪魔にならずに済むだろう。
「しっかし、冒険者の財力なら紙だって何百枚と用意出来そうだが」
「あまり良い顔はされないでしょうね」
酒を口に運んで受付係。
「ましてや山に暮らす子供達は一人や二人じゃありません。その子ら全員に同じものを紙に描いて持たせるのは大変な日数が掛かりますよ」
「だよな」
「それに山に暮らす大人の方々には自分の仕事がありますからね。その山にどんなきのこが自生しているのかは皆さんが足を使って調べなければなりませんし、きのこ類の知識に詳しい冒険者が同行しなければ、冒険者の皆さんが自ら実験台になって副作用を調べなければならないかもしれませんよ。フフフ‥‥」
怖い事をサラリと言うのは、酒が入っているからだろう。
‥‥きっと。
●リプレイ本文
「日向さん‥‥そんなにスクリーマーが食べれなかったことが心残りだったんですね‥‥っ!」
拳を握り、眦に涙まで浮かべるという大袈裟な様子のレイン・ヴォルフルーラ(ec4112)に、しかし言われている本人も異論はない。
「食いたいが悪いか」
ドンッと日向が胸を張ると、片や呆れるのは加藤瑠璃(eb4288)。
「探偵さん、あのオバケきのこがまだ気になるんだ」
個人的には気持ち悪いというのが正直な感想だが、食べ損ねた珍味が気になるという気持ちは判らないでもない。
「まぁ、運良く見つかった時は採取しましょうか」
「お、頼んだ!」
もう採った気になって表情を綻ばせる彼に、くすくすと笑いを零す華岡紅子(eb4412)は愛馬の染太を集落の馬屋に預けて準備万端。
他にも山歩きに同伴は難しい仲間達の馬や小動物もそれぞれに預け、彼女達は集落の人々から山の情報収集を行っている仲間の帰りを待っていた。
「スクリーマーは煮ても焼いても美味しいんだよね」と駆け出しの冒険者の頃にそれを食べた経験があるというカルナック・イクス(ea0144)の呟きに、日向はすかさず食いつく。
その姿は、まるで新しい玩具を買いに店へ出掛ける子供のようである。
しばらくして彼らに合流したのは、万が一に毒を口にしても対応出来るイシュカ・エアシールド(eb3839)と絵を得意とするリール・アルシャス(eb4402)、そしてエルフという種族柄、植物に関しての知識を有するラマーデ・エムイ(ec1984)、ギエーリ・タンデ(ec4600)の四名。
合計九名が、今回の依頼の参加者である。
●
山に入る前に冒険者一行が行ったのは九人の組分だった。
相手は広大な山である。遭難の恐れがあるため固まって移動した方が良いとはいえ、探索効率の悪さはそのまま今後の予定に影響してしまう。
山歩きの得意な者、植物知識に詳しい者、絵で記録出来る者などをほぼ均等に振り分けると、一組目はカルナック、イシュカ、リール、レインと、イシュカが同伴したフロストウルフのトリオ、レインが同伴したハスキーのスカイで四人と二匹。
もう一組はラマーデ、ギエーリ、瑠璃、紅子、日向の五人と、ラマーデが同伴したボーダーコリーのオロ、そしてレインが同伴したボルゾイのフウが一緒に行く事になった。
「もし野営する事になれば合流出来た方が良いと思うんですけど‥‥」
二匹の愛犬の首筋を撫でながらレインが言う。
「逆方向に進むのでそれは難しいと思いますから、明日の昼過ぎにまた此処で、ですね」
「そうね」
レインの言葉に紅子が応える。
「気をつけてな」
「日向殿こそ一人でスクリーマーを見つけようなんて無茶をして遭難しないように」
リールに言われた元探偵は「判ってる」と苦笑交じり。
「‥‥それでは‥‥時間もあまりない事ですし‥‥そろそろ参りましょうか‥‥」
イシュカに促されて、一同は此処と定めた集合場所から左右に分かれる。
いよいよ山歩き本番だ。
左に向かったのは山歩きに人並みの自信があるカルナックを先頭にしたリール達。
こちらの役割分担としては、カルナックが道案内、きのこの見分けはレインに任され、出発前に購入した羊皮紙に絵と文字で記録していくのはリールだ。
そして山歩きに怪我は付き物、イシュカが同伴しているというのは他の三人にとって非常に心強かった。
「キノコって、やはり湿気の多い暗い場所に生えているのだろうか?」
言うリールに答えたのはレイン。
「いいえ。湿気がないと菌糸が成長しないので暗い場所に思われがちですけど、キノコが育つには陽精霊さん達の力が不可欠なんです。なので、森の外に比べれば翳って見えるけど、ちゃんと明るい処にあるはずです」
「‥‥なるほど」
理屈としては判るものの、レインの説明するような場所を人の目で判別するのはなかなか難しい。
が、実際に足元を気にしながら歩いてみると、食用かどうかはともかく、キノコの生えている地点は確かに他より明るかった、‥‥かもしれない。
「食べられるキノコと毒キノコって、外見がすごく似ていたりするんですよ。例えば‥‥」
言いながら左右を見渡し、樹の根元にあるものと、少し離れた落葉の合間に見え隠れしているものを指し示す。
「じっと見れば全然違うんですけど、ああいう風に茶色い傘に白い柄っていう情報だけだと、判らないですよね」
「ああ、確かに」
「あれの場合は、樹の根元にある、傘が細めの方が食べられます。あっちの傘が広がっている方はダメですよ。猛毒ですから」
レインの情報を元に、丁寧だが時間を掛け過ぎないよう注意し、羊皮紙にメモを取っていくリール。
それが終わったのを確認して、見本代わりに適量を採って袋に回収だ。
道案内として迷うわけにいかないカルナックは周囲の様子を注意深く観察し、次のキノコを探そうと動き出した女性陣に制止の声を掛ける。
「その方向は止めた方が良いね。見た目以上に葉が積もっているみたいだ、迂闊に踏み入れば落ちる危険がありそうだよ」
「そうなのか‥‥、ありがとうカルナック殿」
互いに言葉を交わす間に、イシュカは道を変える直前の木の枝に布の切れ端を結ぶ。
念のための目印だ。
これを帰路で全て回収出来れば、無事に戻れた証ともなる。
「ん?」
道を変え、傾斜を上る途中で視界を過ぎった彩り鮮やかなキノコに目を引かれて立ち止まるリール。
それは折れた太めの枝の手前で輝くように生育している。
「レイン殿、これはどうだろうか?」
「え?」
声を掛けられたレインは振り返って、絶句。
「色が派手なのは毒だと聞くが、これもそうだろうか」
「だめー! 触っちゃダメですリールさん!」
「え」
制止の声、しかし逆にそれで驚いて指が動いてしまったリールは、派手なキノコの傘に触れて、すぐに手を引く。
「痛っ」
「イシュカさん、治療お願いします!」
「ええ‥‥もちろんです‥‥っ」
慌てて傍に寄り、火傷に似た傷を負ったリールの指先に掛けられるのは白魔法アンチドート。
「あのキノコは表面の粘膜に毒を持ってるんです、もう絶対に触らないで下さいね! っていうか気付かなくてごめんなさいです!」
「いや、私も興味本位で触ってしまって‥‥すまなかった、レイン殿。イシュカ殿も、ありがとう」
「‥‥いえ‥‥どうぞお気をつけ下さい‥‥」
綺麗に癒えた指先を確認して安堵するイシュカに続き、先を行っていたカルナックも「大丈夫かな?」と案じる言葉を掛けて来る。
「あぁ、もう大丈夫だ。お二人のおかげで」
「それは良かった。じゃあ、進もうか?」
そうして歩を進める一行。
もちろん今の毒キノコも忘れずにチェックした。
一方、右方向へ進んだ五人と二匹。
役割分担としては山歩きに慣れた瑠璃を先頭に、植物に詳しいラマーデとギエーリが確認、メモは紅子と日向に任された。
「しかしさすがは緑豊かな森の中、生育しているキノコも随分と豊富ですな!」
周りをきょろきょろと眺めながら陽気に語るのはギエーリ。
「この中を皆で回り、キノコの良し悪しを調べようというお話ですが、実は僕は古来より伝わる簡単な方法を知っているのです」
揚々と語るギエーリの言葉を、ラマーデは「なに?」と聞き返すも天界人三人は三様の反応。
「それは――」と言いかけた彼に。
「縦に裂けるキノコは食べられるって?」
「派手な色は毒キノコで地味な色のは食べられる、とか」
「虫が食べているのは人間が食べても大丈夫、なんていうのもあったわね」
日向、紅子、瑠璃と立て続けに先読みされてギエーリは残念顔。
「何とご存知でしたか。ではそれらが全て迷信だという話も――」
「もちろん」
「有名な世迷言よ」
紅子と瑠璃があっさりと返すから、ギエーリもこれは参ったと笑った。
「ですがこれを信じて毒に当たる方も少なくないのですよ」
「みたいね。‥‥もしかしたら悪いキノコを食べちゃった子達も、そんな話を信じていたのかもしれないわね‥‥」
僅かに表情を翳らせて呟く紅子の背を、トンと叩いた日向の手。
あら、と思えば相手からは笑みが返って来るものの、すぐに仲間達の声がして意識は周囲へ。
「とにかく山に自生しているキノコを片っ端からチェックしていかないと。レインさんから聞いた場所なんかを重点的にね。――ほら、あそことか」
「りょーかいよ」
瑠璃が見つけたキノコに軽い足取りで近付くラマーデ。
羊皮紙に筆を走らせる紅子。
「ん、これなら食べられるキノコね。採って袋に入れちゃうわよー」
採る時には根元から抜かないのも重要。
マナーを守りながら彼らの山歩きは続いていく。
語りの巧みなギエーリが同行しているからだろうか、こちらの五人は実に賑やかな山歩きとなるのだった。
●
翌日の午後。
先に待ち合わせの場所に戻ってきたのはカルナックが道案内を務めていたイシュカ、リール、レインの四人。
それからしばらくして、もう一組の五人も無事に下山して来たのだが、何故か紅子にしっかり捕まえられている元探偵。
恐らくは遭難防止のためだろう。
「どうしたのかな?」
カルナックが尋ねると、先頭を歩いていた瑠璃が眉を寄せて答える。
「何もないわ、探偵さんの諦めの悪さに少し呆れただけよ」
「‥‥と、言う事は」
「見つからなかったんですね‥‥?」
リール、レインが続いて問い掛ければ日向はムスッと明らかな不服顔。
「こちらも‥‥スクリーマーは見つけられませんでした、ね‥‥」
イシュカがそうしてどちらの組でもスクリーマーを見つけられなかったことを確認したなら日向が悔しそうに頭を掻く。
如何せん広い山の中。
本来の依頼を疎かにするわけにもいかなければ、偶然に頼って発見するほか無いのは承知していたのだが、こうして「見つからなかった」と聞くと何とも言えない悔しさと苦さが胸の辺りから広がっていく。
「あれだけのキノコが自生していて、どうしてスクリーマーが無いんだ?」
心底悔しげに訴える彼に、苦笑交じりに返したのはカルナック。
「スクリーマーの叫びは山中のモンスターを呼ぶ恐れもあるからね。もしかしたら見つかった時点で集落の人に掘り返されているのかもしれないよ?」
「‥‥私も、そう思います‥‥最初にお聞きした時にはご存知の方もおられませんでしたが‥‥時間を変えて情報を集めてみれば、また違ったお話が聞けるかもしれません‥‥」
イシュカにも言われてがっくりと肩を落とす。
「わかった‥‥。‥‥依頼の方を進めよう」
「いいのか?」
リールが心配そうに聞き返すも、日向は頷く。
その答え方に力はなかったけれど、言葉は明瞭。
「依頼を受けて来ているんだからな。そっち優先で当然だろ?」
かくして依頼の最優先事項である「食べられるキノコ・食べられないキノコ」の教本作りを開始した冒険者達。
識字率が低く紙も普及していないという事情もあって、彼らが考えたのは木材で看板を作り、キノコの絵を描き、食べられるものには記号の○を。
食べてはいけないものには記号の×を添えていく。
危険度も考え、左から右に掛けて毒性が強くなるよう工夫もした。
カルナックと瑠璃、日向の三人が看板の土台を作っていく間に、見本も兼ねて採ってきたキノコの最終確認をするのはレイン。
確認の取れたものからリールとラマーデがキノコの絵の下書きを始め、紅子とイシュカが色付けを手伝う。
「あぁ、これは触るのも危険な毒キノコだったな」と山歩き中のアクシデントを思い出してリールが言えば、何があったのかと聞かれて話が盛り上がったりも。
「あれ‥‥」
不意にレインが小首を傾げ、どうしたのかと皆が覗き込むと、小さなキノコを持って困った顔。
「どうかしたのレインちゃん」
「はい‥‥このキノコ、本とかでも見た事なくて‥‥食べれるのかな‥‥」
警戒しつつ手で風を起こし匂いを嗅いだりする少女に、紅子はふと思いつく。
「判らなかったら確かめてみる? イシュカさんがいれば解毒も出来るし‥‥」
そうしてちらりと見遣るのはカルナックと日向。
そんな事を言われているのだと知ってか知らずか、彼らはゾッと背筋を駆け抜けた悪寒に身を縮める事もあったとか。
更にはこんな工夫も。
「――何をしているの?」
瑠璃が問い掛けたのはギエーリ。
彼は、看板作りと平行して何やら小難しい顔をしながら羊皮紙に筆を走らせていた。
何を書いているのかと羊皮紙を覗き込んでみると、短い言葉の羅列がびっしり。
現在を謳う吟遊詩人は「よくぞ聞いてくれました」と顔を綻ばせる。
「ええ、実はキノコの良し悪しも目でばかり覚えるのではなく、耳で覚えては頂けないかと考えたのです! 歌は心を弾ませてくれるもの、遊び気分で楽しく覚えていただきたいと思いまして」
「例えば?」
「これです」
言うが早いか集落の住人から借りてあった竪琴を膝に置き、メロディをつけながら歌うギエーリ。
『表は茶色で裏は白
平たい葉っぱの木の森で
枯れ木にいっぱい生えている
どれどれ足を裂いてごらん
おやおや中には黒いシミ
駄目駄目それはツキヨタケ
齧ればお腹が痛くなる――』
ポロロンと竪琴の弦が余韻を残して歌い終わると、傍にいた瑠璃は「まぁまぁね」と一言。
その周りからは仲間達が拍手する。
「他にも判別のつきにくいキノコを選抜したら歌にしてもらえますか?」
「ええ。お任せ下さい」
問うてくるレインに笑顔で応えるギエーリ。
このように大工仕事に絵描き、作詞作曲。
冒険者達の教本‥‥否、見事な教材作りは順調に進み、完成した看板を子供達の遊び場ともなっている山の麓に立てれば、集ってきた子供達からは満面の笑みが零れた。
「ありがとうお兄ちゃん、お姉ちゃん!」
その笑顔が何よりの報酬だ。
判り易いように食べられるキノコで一枚、食べられないキノコで一枚と、二つ並んで立てられた看板。
更にはギエーリが歌って聞かせたメロディは、そのリズムが集落の子供達にも好まれたらしく、まるで数え歌のように口ずさまれるようになる。
つまり、冒険者達は当初の依頼に関しては見事な結果を残したのだ。
――が、時間を変えて情報収集しても見つからなかったスクリーマー。
時間がなかった上に、山歩きに慣れない者が多かった今回のパーティでは仕方が無いと言えるだろう。
見本代わりに採って来ていたキノコをカルナックが調理し振舞った最後の食事はどれも美味しく、冒険者達の心と空腹を満たしてくれたのだが、日向の珍味探求については今しばらく続きそうである‥‥。