【第三次カオス戦争】己ただ人なることを

■ショートシナリオ


担当:月乃麻里子

対応レベル:8〜14lv

難易度:やや難

成功報酬:4 G 56 C

参加人数:10人

サポート参加人数:1人

冒険期間:11月13日〜11月19日

リプレイ公開日:2007年11月21日

●オープニング

 第三次カオス戦争――――。
 カオス勢力の侵攻が今だ勢いを見せる中でメイ国内の舞台裏は実は深刻な状況を抱えていた。メイの王宮はその目的に応じて幾つかの諜報組織を有していたが、それらが現状殆ど機能していなかった。つまり大局的に目と耳を塞がれた状態であった。
 そのような最中、ナイアド近郊に一つの不穏な噂が広まっていた。
 港町ナイアドを西方に行ったところに丘や小山に囲まれた丘陵地帯があるのだが、その谷間の一つにとてつもなく大きな『物体』が複数沈んでいったというのである。目撃したのはその辺りに住んでいる猟師や農民たちで、当然フロートシップに関する知識は殆どない。ゆえに彼らの見解は実に様々だった。
 『船のようだった』と証言する者もいれば『黒い化け物だった!』と化け物説を主張する者もおり、『物体は二つだった』という者もいれば『いや5体はいた!』と主張する者もおり、騎士団は困惑した。
 その頃、たまたまナイアドで取材を行なっていたKBC(瓦版クラブ)の女性記者がこの噂に興味を抱き、王都のKBC本部に申請を出して単身この噂の調査に向かった。『百聞は一見に如かず』である。だが、彼女はその渓谷に入った後、消息を絶った。
 慌てたKBC本部は早々にジョゼフを現地に向かわせた所、彼はその谷の河原でカオスニアンの小さなキャンプを発見した。

「そのキャンプの周りに恐獣はいなかったんですか?」
「ああ。数人のカオスニアンがうろついていただけだったが‥‥奴らの後方には深い森もあった。あるいはバの部隊の偽装かもしれん」
 KBC本部の一室で、木の椅子に腰を下ろしたエドガーが心配そうに尋ねるとテーブルを挟んで窓際の壁にもたれていたジョゼフが床を睨みつつ答えた。
「だが敵のフロートシップなら、ナイアドに着くまでにどこかの部隊から目撃情報が上がるはずだろ?」
「今は情報の経路が分断されていて、まともに機能してないんですよ。こういう時にメイの国の広さが返って仇になりますね‥‥」 
 と大きく溜息を吐くエドガーにいきなりジョゼフが怒鳴る。彼は結構短気である。
「ンな後ろ向きなことばっか言ってられねーだろ――がっっ!!」
「ジョゼ‥‥」
「兎も角、琢磨が留守の間に起った事件を俺たちが解決出来なかったら、あいつが戻ってきた時にどれだけ嫌味を聞かされるか分からねー」
 ――――『先輩、やっぱり俺がいなきゃ駄目みたいっすね』
 確かに琢磨が必ず吐きそうなセリフである。
「仮にキャンプ内に記者が拘束されていた場合は救出優先で‥‥ただ、森の奥の調査も出来る限りやっておきたいところだよな」
 ふいに窓の傍を離れると、ジョセフはテーブルの上に置かれていたハーブティを一気に飲み干して言った。
「ここはギルド経由で助っ人を頼んで、もう一度現地に向かうぜっ!」
「え、ええ‥‥そうですね、ジョゼも気を付けて。そして、一刻も早く記者を探し出しましょう」

 『主よ、願わくば彼らに惧れを――諸々の国人に己がただの人である事を知らしめ給え』
 いつか琢磨が熱心に黙読していた天界の書物の言葉をエドガーは思い出す。
 無論、エドガーには天界の文字は読めなかったので頼んで琢磨に読んでもらったのだが、なぜ今この言葉を‥‥。
 一瞬彼の胸中に言い知れぬ不安が過ぎったのだが、エドガーはあえてそれを口に出さずにいつもの笑顔でジョゼフを送り出した。勿論、ジョゼフがまず向かう先は冒険者ギルドである。今回の経費はKBC持ちだそうだ。

 
■依頼内容:噂の元になっているナイアド近郊の谷の調査と、行方不明の女性記者の捜索と救出。

・空を飛んできた物体は谷間の森の奥に降り立った模様。正体は不明。
・河原付近で2〜4日の滞在が可能です。
・崖の高さは5〜15m。場所によっては河原に下りる事も可能(北・東・西の◎地点)。
・浅瀬は渡河可能。滑らないように注意。
・森の中には相応の小動物やモンスターが潜んでいる可能性はありますが、希少なモンスターは特に目撃されていません。
・KBCよりジョゼフが同行します。彼は格闘技能の他に射撃術にも長けています。ただし、性格は琢磨ほど几帳面ではありません‥‥。

↑北
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│〃〃〃〃〃仝◎∴川川▲▲▲〃〃〃〃│
│〃〃仝仝仝仝◎∴川∴▲▲▲▲〃〃〃│
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│〃仝▲▲∴∴川∴∴凹∴仝仝▲仝仝仝│
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│▲▲▲∴∴川∴▲▲〃〃〃▲▲???│
│▲▲仝仝∴川▲▲〃〃〃〃〃▲???│
│▲▲仝仝川川▲▲〃〃〃〃〃▲▲??│
│▲仝仝∴川∴∴▲▲〃〃〃〃▲▲▲▲│
└─────────────────┘
川/浅瀬
凹/カオスニアンのキャンプ
∴/河原
仝/木々又は森
▲/崖
〃/高台
◎/登降が可能な斜面
?/敵のフロートシップ?

●今回の参加者

 ea1587 風 烈(31歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea1702 ランディ・マクファーレン(28歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea6382 イェーガー・ラタイン(29歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea9907 エイジス・レーヴァティン(33歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb4155 シュバルツ・バルト(27歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4395 エルシード・カペアドール(34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4482 音無 響(27歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb7857 アリウス・ステライウス(52歳・♂・ゴーレムニスト・エルフ・メイの国)
 eb8475 フィオレンティナ・ロンロン(29歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 ec1201 ベアトリーセ・メーベルト(28歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)

●サポート参加者

マリア・テスラ(ec3742

●リプレイ本文

●キャンプ偵察
 冒険者たちはそれぞれのペットや馬を従えて目的のカオスニアンのキャンプの手前にある北西の高台に来ていた。
「さて、うまく発動してくれれば良いが‥‥」
 やや不安な面持ちでアリウス・ステライウス(eb7857)は冒険者ギルドに張り出されていた地図の写しを平らな岩の上に置くと火魔法バーニングマップを詠唱した。すると、燃えた地図の上には複数の灰の筋が残った。ある筋はキャンプへ、ある筋は森の奥へと続いていた。
「今ある情報からでは彼女の居場所を特定するには至らないという事ですか‥‥」
「残念ながら、そのようだ」
 地図の灰を覗き込んでいるシュバルツ・バルト(eb4155)にアリウスは心持ち肩を落として答えた。
「気にしない、気にしない! 記者さんの匂いを辿れるようにこの通り愛犬も連れて来ましたし、皆で探せばきっと見つかりますよ☆」
 ベアトリーセ・メーベルト(ec1201)はそう言って、嬉しそうにペットのセッターを紹介した。同じ目的でエルシード・カペアドール(eb4395)もハスキー犬を連れて来ていた。
「それじゃ、予定通り私たちもここにキャンプを張って敵の動向を探ることにしましょうか。同時に南と北東の高台に彼女の姿がないか、手分けして調べてみましょう」
 そう言い終えるとエルシードが手際よく簡易テントを出して組み始めたので、ランディ・マクファーレン(ea1702)やイェーガー・ラタイン(ea6382)、風烈(ea1587)がこれを手伝った。
「あ、そういえば‥‥行方不明の記者さんのお名前は?」
「そうそうっ、私もそれ聞いておきたいっ!」
 ベアトリーセとフィオレンティナ・ロンロン(eb8475)がKBC同行者のジョゼフに尋ねると、彼はナイフを研ぎながら面倒臭そうに答えた。
「名前だぁ? ‥‥そんなの一々覚えてねーよ。ほら、彼女の絵姿を描いた羊皮紙の隅にでも書いてあるんじゃねーの」
 そう言って彼はちょうど音無響(eb4482)が眺めていたその羊皮紙を指差した。
「え、うわっ‥‥俺、アプト語まだよく読めないですよぉ」
「どれどれ、お姉さんに貸してみなさいっ」
 フィオレンティナはその絵姿を響から取り上げると名前が記されている箇所を探し、声に出して読んだ。
「えーと、ミラ・ジョジョヴィッチヨン‥‥なんだか長い名前だねー」
「じゃあ、そのミラなんトカさんを一刻も早く助け出さないとね♪」
 エイジス・レーヴァティン(ea9907)はそう笑顔で答えた。ハーフエルフであるエイジスは本人曰く『いつもニコニコノーテンキ』なのだが、一度戦闘に突入すると彼は一切の感情を失った冷徹な戦闘マシーンと化してしまう‥‥。そんな彼の姿を目にするのはもう少し後の事になるので、今はまず話を進めよう。

 さて、野営の第1日目の夜――交代で対岸にあるカオスニアン・キャンプの見張りを行なっていた彼らは、深夜森の中から灯りを持って現れたバの騎士の姿を目撃した。バの騎士は迎えに出たカオスニアンの一人とともにキャンプに入り、1時間ほどしてキャンプを出て森へ再び帰っていった。この事は何を意味するのか――。
 翌明け方、飛行ペットなどを利用して南と北東の高台を探索しても記者を発見出来なかった冒険者たちは、その次の夜明けと共に西の森を探索、続いて問題の東の森の探索を行なう事を決めた。

●東の森へ
「森に入る前に撤退ル−トの確認と合流地点の打ち合わせを済ませよう」
 烈は予備の地図を出して皆に確認を求めた。彼らは森を捜索した後、そこから更にカオスニアンのキャンプを見張る者と森の奥のフロートシップと思しき敵の正体を偵察にゆく二班に分かれる予定であった。
 烈は敵の情報をより多く得る為に女性記者の救出を優先するという立場を取ったが、本音の部分では危険を冒してまで貴重な情報を集めて来てくれるKBCの活動に報いたい‥‥という思いも同時に心に秘めていた。彼は不意のカオスニアンとの遭遇に備えて、彼らが普段着ているような服を借りてバックパックに詰めていたが、それらをいかにも乱雑に扱ったギルドの係員の姿をみて、彼らの間に横たわる深い淵を垣間見る思いだった。
 森の中を進む際には土地勘に優れたランディが隊列の先頭で味方を先導し、彼らは西の森の探索を終えて東の森へと移った。
「KBCの記者の連中が一癖ありそうな者ばかりなのか、一癖無いと記者になぞなれないのか、一体どちらなのやら‥‥」
「うーん、きっと両方じゃないですか」
 ランディの言葉に、足跡以外の形跡にも気を配りながら歩いていた響が答えた。
「琢磨くんの行動パターンと重ねて考えると特ダネのある場所が記者さんのいる場所だと思うから、フロートシップやカオスニアンを探す方が見つける近道かもしれないですね‥‥」
 そう話しながら響は携帯電話のバッテリーが十分なのを確かめた。敵側の情報をカメラに収めるつもりなのだ。
 その時、エルシードとベアトリーセの犬が河原の方を向いて一声吠えた。犬たちが走り出しそうになるのをなだめつつ、冒険者はそこから二手に分かれる事にした。犬の様子からキャンプに記者がいる可能性が高かったが、出来るならば森の奥にある敵戦力についても多少の情報が欲しかった。
「気をつけてね!」
 フィオレンティナが森の奥へ向かうランディを小声で送り出した。ランディの後に隠密行動が得意なイェーガーとエイジスが、その後にテレパシー連絡担当の響が続き、残りは皆河原のキャンプへと向かった。

 ***

 キャンプ周辺にいるカオスニアンは当初のジョゼフの報告通り数人で恐獣の姿も無い。後は記者がキャンプの中にいるかどうかの確証を掴むだけだった。烈がペットの月の妖精銀兎にサウンドワードを詠唱させようと思った矢先に、キャンプの中から女性の甲高い声がする。
「ちょっとあんたたちねー! 食事させる時くらいはこの縄、解きなさいよっ!! 手を使わずに食べるなんてお猿さん以下なのよっ!」
「るせー女だなぁ。ちょっと字が読めるからってよー」
「隊長の命令じゃなきゃ、おめーなんぞとっくに『あいつ』の餌になってんだぜぇ‥‥ちっとは有難く思いな!」
 女性の声に混じってカオスニアンらしき男の声が聞こえた。
「(これって‥‥ミラさんの声でしょうかっ!)」
「(捕まってるってことは多分そうなんじゃない?)」   
 エルシードとベアトリーセの会話に彼女の犬たちも小さく吠えた。仲間たちは彼女のいる場所を確かめながら響の連絡を待った。


 ***

 一方、ランディはペットの地の妖精エルデのグリーンワードを使ってフロートシップと思しきものを追っていた。そうして彼らは森の奥の丘の麓に『それ』を見つける事に成功した。
「思ったより‥‥でかいね」
 木陰に隠れながらエイジスが思わず呟いた。
「しかも一隻ではないようですね」
 これほど大きな船に積んで来るとしたら、ティラノかあるいは――イェーガーは眉を顰め、その間に響がそれらの様子をカメラに収めた。
「もう少し手前まで行ってみるか、どうする?」
 とランディが仲間に尋ねた時、別働隊とテレパシーで交信し終えた響がキャンプの様子を伝えたので、仲間と共に記者を助けるべく偵察隊は一先ず合流地点へ引き返した。

●襲撃と残る謎
「ぅグふっ‥‥」
 エイジスは背後から音も無く見張りに近づくとスマッシュEXをお見舞いした。キャンプの裏手を見張っていた2人を鮮やかに倒すと、彼は表情一つ変えずに冷静に仲間を手招きした。
 彼の合図で冒険者は揃ってキャンプへ突入する。烈が先頭をきって正面から斬り込むと、すぐその後をシュバルツ、エルシードが続いてカオスニアンを押さえ込み、その間にフィオレンティナとベアトリーセが女性記者ミラの身柄を確保した。
 すると、森の奥からの援軍に注意を払っていたイェーガーから声が上がる。カオスニアンの中型恐獣部隊がやはり潜んでいたのだった。
 オーラシールドを施したランディが前衛に立って恐獣部隊を迎え撃つと、イェーガーもペガサスを呼んで上空から弓矢で恐獣を操るカオス兵を射落とした。シュバルツも恐獣の脚を狙って果敢に剣を振り下ろす。その間にミラを安全な場所まで避難させるべく、アリウスは空飛ぶ絨毯を広げ、それから手足に軽傷を負っていた彼女にポーションを飲ませた。

「――――――ゴ‥‥ゴーレムだああ――っ!」
 その時突然、河原に響の声が響いた。
 森の中から地響きと共に姿を見せたのは、確かにバの国のカッパー・ゴーレム――ゼロ・ベガであった。
「撤退だ! 全員、撤退――――――――ッッッ!!!」
 冷徹なマシンのごとくカオス兵を駆逐していたエイジスも、一旦剣を納めると素早く退路を目指した。
「あまり時間は稼げんが‥‥これでも食らえっ」
 ミラと幾人かの仲間を絨毯に乗せて飛び立ったアリウスが、空からゴーレムに向けてファイヤーボムを撃ち込んだ。幸い、ゴーレムが河原まで出て来ていたので後方の森に火が回る危険は免れた。
 だが、しかし――――。

 ***

「‥‥生きてて良かったー!」
 女性記者ミラの無事な姿を見てフィオレンティナはそう叫ぶと持っていた保存食を嬉しそうに差し出し、ミラは笑顔で受け取った。
「それにしても、いきなりゼロ・ベガとはね」
 その場の状況を思い出すように目を閉じて、エルシードはそう呟いた。
「奴らはナイアドを‥‥ゴーレムでナイアドの町を襲うつもりなのか‥‥っ!」
「ナイアドと王都は目と鼻の先なんだ。どちらにも大勢の民が暮らしている‥‥そんな場所を戦場にする事なんて出来ない!」
 シュバルツに続いて烈も思わず怒りの声を上げた。
「あの‥‥私ね、実は‥‥気になってる事があるのよ」
「え?」
 暗い顔でそう切り出したミラに皆の視線が集まった。
「そもそも私が奴らに捕まったのも、森の奥にあった『それ』に気を取られてしまったせいなんだけど」
 森の奥には敵の大型フロートシップがあった。それ以外にも何かあるのだろうか――。
「『それ』は確かに金属ゴーレムのように見えたの。でも、あれはオルトロスともヴァルキュリアとも違う‥‥勿論、ゼロ・ベガではないわ。もっとこう‥‥『生物的』なもののように思えたの。その動きがね」
「生物的‥‥?」
 今までもゴーレム開発に携わった経験のあるエルシードは思わずその言葉を反復した。
「分からない‥‥。『それ』の全部を見たわけじゃないのよ、ごく一部を見ただけ。でも‥‥なにかこう、異様な雰囲気を感じてしまって‥‥」
 ミラはそこまで語ると口を閉じた。

 彼女が見たものは一体何だったのか。敵の勢力はどれほどの規模なのか。響が持ち帰った資料も含め、KBCと王宮は大急ぎで更なる調査に入った。恐らく――状況からして時間はそう多くは残されていないのだ。