雪の妖精と冬の遊びをプロデュース!
|
■ショートシナリオ
担当:UMA
対応レベル:フリーlv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:01月26日〜01月31日
リプレイ公開日:2009年02月03日
|
●オープニング
冬。それは自然が最もその脅威を人類に見せ付ける季節だ。
つい先日も、とある山で雪崩が発生し、何者かの断末魔が夜の空に響き渡ったと言う。
その者の生死は定かではない。
まあ、それは兎も角。
繰り返しになるが、冬は何かと自然が怖い季節だ。
だが、それ以上に怖い存在もいる。
モンスターだ。
冬になると、フロストウルフやブリザードドラゴンと言った強力なモンスターが活性化すると言う。
尤も、彼らはレアモンスターと呼ばれる部類の存在であり、余り被害を受ける者は多くない。
それでは、どんなモンスターが自然以上の脅威となり得るのかと言うと――――
『あそんであそんでー』
雪山を訪れた者に対し、遊んで欲しいとせがんでくるスノーエレメンタルだ。
では、肌の白い子供からなつかれている様にしか思えないこの状況が、何故脅威なのか。
これから簡単に御説明しよう。
場所は、パリから30kmほど離れた場所にある『ベルネージュ』と言う山のふもと。
4体のスノーエレメンタルが、くりくりおめめを爛々と輝かせ、山に向かった者へ近付いてくると言う話は、その山の周辺にある村『ピエス』には既に伝わっていた。
退治する必要性もない精霊なので、これまでは何の対処もしていなかった。
村人にしても、薪を拾いに行く時にせがまれる程度なので、特に問題はなかったのだ。
しかし――――ある日突然、スノーエレメンタル達は『ベルネージュ』に近付く人達を襲い始めた。
何が原因なのかわからず、狼狽えていたピエスの人々だったが、一人の旅人がその答えを直接スノーエレメンタルから聞き出していた。
「どうも、良くない遊びを教えた者がいたようですね。『冒険者ごっこ』とか言っていました」
その旅人――――キースリングと名乗る者の話によると、スノーエレメンタル達は現在、何者かに教わった通りに、それぞれに自分の職業を決め、雪山にいるキングスノーの依頼『山に近付く者を元気一杯なぎ倒す』を実行中だと言う。
なんとも非常にいい加減な遊びを教えられたようだ。
その為、彼らは現在、山に近付く者を見境なく攻撃している。
しかし、村人達はそんな彼らを駆除する気にはなれない。
「だってぇ‥‥すっごく可愛いんだもん。ああん、あんな子達生んでみたいっ!」
ピエスにお住まいのロマン・レーハーゲルさん(男)の証言は、表現こそ独特だが村の総意を告げていた。
それを受け、キースリングはこんな提案をする。
「では、彼らに新しい遊びを教えてあげては如何でしょう。村の子供達と一緒に遊べるような、平和で楽しい遊びを」
もしそれが成功すれば、単に『ベルネージュ』での薪拾いが再開出来るだけでなく、観光名物の一環にする事が出来るかもしれない。
目の色を変えてキースリングに頼む村人に対し、彼はパリの冒険者ギルドに依頼する事を推薦。
斯くして、ギルドにこのような風変わりな依頼が舞い込んでくる事となった。
『雪の妖精と冬の遊びを作りませんか?
彼らはとても可愛い子供と同じ外見をしている妖精です。
冬ならではの遊びを作って、村人達と一緒に遊びましょう。
尚、妖精たちの特徴は以下の通りです。
名前は私が付けたもので、職業は自己申告であり、冒険者ごっこの役割です』
依頼主代理 キースリング・フリードリッヒ
●スノーエレメンタルA
名前:アス
外見:単髪、中肉中背の男の子
職業:ファイター(武器は木の枝)
性格:熱血
●スノーエレメンタルB
名前:ベル
外見:ロングヘアの小さな女の子
職業:クレリック(魔法は使わない)
性格:気弱
●スノーエレメンタルC
名前:セラ
外見:セミロングの細身の女の子
職業:ウィザード
性格:冷静
●スノーエレメンタルD
名前:デジ
外見:細目で背の高い男の子
職業:レンジャー(武器は短い木の枝)
性格:横着
●リプレイ本文
スノーエレメンタル。
雪んことも呼ばれるその妖精は、各方面で確認され、そして多くの人々に可愛がられている。
『それ、つっこめー!』
そんな雪んこ達が、依頼を受け『ベルネージュ』を訪れた冒険者達の集団目掛けて体当たりを仕掛けてくる。
全く殺気のない、敵意すらない、奇妙な攻撃。
それを羽鳥助(ea8078)は宙に舞ってひらりとかわし、華麗に着地を決めた。
「そーれ、こっちこっち」
助が4体の雪んこに追いかけられている間、鳳双樹(eb8121)をはじめとした他の冒険者達は、皆で大きな雪だるまを作っている。
この場に来る前に立てていた作戦を実行する為だ。
思慮深い行動より、一緒になって遊んですっきりさせれば、話を聞いてくれるだろうと言う判断の元、雪んこ達に攻撃されつつ、最終的にはどーんと受け切って満足して貰おうと言う行動に出ている。
雪だるまは、雪んこたちに命令したと言うキングスノーに見立てる為の物だ。
「さて、そろそろ疲れてきたかな?」
雪んこ4人を相手に動き回る助は、まだまだ動きにゆとりがある。
雪の積もった中を長靴で飛び回るというのは中々に大変な作業なのだが、忍者である助にはこれくらいは容易い事だ。
「助さん、こっちの雪だるまは使えますよ〜」
「りょーかい!」
双樹の言葉を受け、助は比較的小さな雪だるまの近くまで移動し、雪んこ達が追いかけてくるのを待つのと同時に、印を結ぶ。
『とまったぞ! くらえー!』
そこに、一番早く駆け付けた雪んこ1号アスが、木の枝を振り上げて突っ込んだ。
枝は助の頭を正確に捉え――――た筈だが、その手応えは妙に柔らかく、ずぶずぶと下の方までめり込んでいく。
『? ? ?』
雪んこたちがその光景に頭を振って混乱する中、助の姿は徐々に雪だるまに変わっていった。
空蝉(うつせみ)の術。わりかしメジャーな忍法だ。
「では、そろそろわたくし達も参加致しますわ」
「あたしは体力ないから、ちょっとしか付き合えないけれど」
そこに、口元が緩みそうになるのを我慢しているレリアンナ・エトリゾーレ(ec4988)と、ポーラ・モンテクッコリ(eb6508)も参加を表明。
レリアンナには雪んこ2号のベル、ポーラには3号のセラがそれぞれ対峙する。
2号は口元に手を当て、レリアンナにおずおずと近付き、離れ、また近付いてくる。
クレリック同士、同調(?)を感じたらしい。
3号はポーラに対し、得意げに雪を魔法で固めて投げつける。
しかし、全くの見当違いのほうに飛んで行った。
そう言った行動を繰り返す内に、雪んこ達の疲れが徐々に目に見えてきた。
「それでは、仕上げはお任せ下さい」
サリ(ec2813)がそう唱えると、他の冒険者は一斉に引く。
すると当然、雪んこ達のターゲットは彼女1人となる。
『みんな、あきらめるな! まずはあいつをたおすぞ!』
と言う感じのノリで、雪んこは4体で揃ってサリに向かい突撃してきた。
サリはそれに対し、優しげな笑顔で向かえ――――そのまま体当たりされて吹っ飛んだ。
そして、キラキラと輝きながらスローモーションで宙を舞う。
無論、これも作戦。
最後に彼女が倒される事で、雪んこ達は満足する。
斯くして、サリは雪の大地にその身を沈ませる事となった。
『わーっ、倒したぞーっ!』
彼らにとっても、ここまで見事に倒し切った事は余りないのだろう。皆でわいわいと喜んでいる。
そこで、仕上げだ。
『見事です、スノーエレメンタル達』
喜び勇んでいた雪んこ達は、その声のした方に一斉に目を向ける。そこには大きな雪だるまがあった。
『あ、いらいぬしのきんぐすのーだ』
『きんぐ! やっつけたぞ!』
その雪だるまをキングスノーと見なした雪んこ達は、得意げに近付く。
『貴方達の活躍で、私とっても満足しました。なので、依頼しゅーりょー、です』
『しゅーりょー?』
『もう村の人たちを襲わなくても良いと言う事です』
『えー、つまんなーい』
雪んこ達は、雪だるまに不満を漏らす。
その雪だるまの後ろでは、双樹が影に隠れながらオーラテレパスを飛ばしていた。
つまり、彼女がキングスノーの声を演じているのだ。
『では、代わりに別の遊びを誰かに教えて貰いなさい。私はもう寝ます。おやすみなさい〜』
そう言うと同時に、キングスノーのような雪だるまは言葉を発しなくなった。
『どうするー?』
『もっとあそびたーい』
雪んこ達は口を尖らせ、先程まで追っかけていた冒険者達に目を向ける。
彼らの目には、体当たりを受けたサリに、ポーラがゆっくり近付き、リカバーを使用している光景が映った。
「ありがとうございます。助かります」
「それにしても、無茶するわね」
苦笑しつつ、サリは立ち上がる。打ち身で傷んだ身体は瞬時に回復した。
それを見ていた雪んこ達は驚きを隠せない。
倒した相手があっと言う間に復活したのだから。
『雪んこさん、私達が遊びを教えましょうか?』
テレパシーリングを使い、サリがそう告げる。
雪んこたちは、冒険者達への認識を『敵』から『何か凄い人たち』に変えていた為、全員一致で頷いた。
冒険者達が遊びの用意をする間、スノーエレメンタル達は各々が連れて来たペットと追いかけっこをしていた。
助の愛犬銀河、ポーラの妖精クラウディア、双樹の妖精の一人の天、サリの飼っている狐のイピリマ、そしてレリアンナの愛犬レイモンドが、雪の中を活発に動き回っている。
1日、2日‥‥用意には、実に3日間を要した。
その間、雪んこ達はずっと追いかけっこを楽しんでいた。
もしこれが、『雪の妖精を楽しませる』と言う依頼であれば、もうこの時点で達成されただろう。
しかしこの依頼には、雪んこ達が健全な遊びをするように仕向けて欲しい、と言う意図が組み込まれている。
つまり、冒険者達が去った後でも継続できる遊びが好ましい。
その為、皆用意に余念がなかった。
そして――――3日後。
『雪んこさん達、集まって下さい〜』
双樹のテレパスでの呼びかけに、雪の妖精達は素直に従い、ベルネージュ山のふもとにある森の前に集まる。
森の手前、東西の2箇所に大きな矢印が雪上に書かれており、東側にはポーラ、サリ、レリアンナ、西側には助、双樹がいた。
『これから、雪の迷路で競争をします』
『めいろー?』
雪んこ達が全員で口元に指を当て、首を傾げる。
その様子に頬を緩めながら、双樹は説明を始めた。
この雪の迷路は、現在分かれている2つのチームがそれぞれに作成したもので、2つの迷路が森の中に出来上がっている。
お互いのチームは干渉していないので、今東側にいるチームは、西側の迷路については全く知らない。
その状態で、お互いが作った迷路を攻略しようと言うものだ。
双方の迷路にはロープを結んだ棒がおいてあり、それを取って先にこのスタート地点に帰ってきた方が勝ち、と言う遊びだ。
『ぼくたちはどうするのー?』
『貴方達も2人ずつに分かれて下さいね〜』
その結果、雪んこ1号アスと2号ベル、3号セラと4号デジが組み、前者が東側、後者が西側について、相手の迷路に挑む事になった。
まとめると、西側の迷路に挑む『東チーム』がサリ、レリアンナ、ポーラ、アス、ベルの5人。
東側の迷路に挑む『西チーム』が双樹、助、セラ、デジの4人だ。
それぞれスタートの位置につく前に、助がアス、ベルの前に近付く。
そして、スッと拳を突き出した。
激闘の前に拳を合わせるのが勝負事の常。それを実践する為だ。
実は、双樹がテレパスで説明している間、助はその後ろから身振り手振りで自分の意思を頻繁に伝えていた。
――――その手応えは十分あった。
『ね、これなにー?』
『何かくれるのー?』
特にわかり合ってはいなかった!
「異文化交流は難しいな‥‥ま、宜しくなっ!」
無理やり拳を合わせ、助はスタート地点に戻った。
その拳を合わせたアスは、心持ち瞳を燃やしているようで、サリのマントを掴み、出発を急かしている。
『はい、それでは行きましょうか』
サリがテレパスでそう伝えると同時に、アスとベルは先に森の中に入っていった。
それを遠巻きに見ていたセラ、デジも直ぐに中へと向かう。
「元気なのは良いけれど、全員漏れなく罠に掛かっていそうね」
パールの呟きに、レリアンナが口元を緩ませる。
ちなみに迷路は『危険が及ばない範囲での罠は可』と言うルールで作られていた。
「では、わたくし達も参りましょう」
レリアンナの言葉に全員が頷き、それぞれ東西の迷路に足を運んだ。
東チーム(西迷路)が先に進むと、そこには落とし穴に落ちて雪に見えているアスとベルの姿があった。
『きゃははは!』
雪んこ達は何故か嬉しそうだった。
それを助け、5人で先に進む。
冬の森は、木の葉がない為に上空の見通しは良い。
灰色の空の下、体力に自身のあるアスは率先して先を急いでいた。
『あんまり急ぐとまた落とし穴に――――あ』
落ちる。
『きゃははは! まただ!』
『あはははは!』
アスは落とし穴に落ちる度に喜んでいた。
それを見たベルも笑う。
彼らは、どのような状況でも楽しめるのだろう。
再びアスを穴から出し、歩行再開。
「わたくしも後学の為に一度嵌ってみたいですわね。レイモンド、行きましょう」
レリアンナは抑えていた何かが少し噴出したのか、普段の佇まいとは違う一面を見せ、先を急ぐ。
それに雪んこ達も付いて行った結果――――3人同時に落ちた。
『あははは! またおちた!』
『どさっておちたねーっ!』
雪んこの笑い声に囲まれ、レリアンナはこっそりと満面の笑みを浮かべていた。
「楽しんで頂けて良かったですね」
「向こうもそうだと良いのだけれど」
サリとポーラは微笑みながら呟き、3人を穴から出す為手を伸ばしていた。
一方――――西チーム(東迷路)。
『これなにー?』
「これは雪で作った壁だな。これを越えちゃダメだぞ?」
助が身振り手振りでデジとやり取りする傍ら、双樹は妖精の雲母と共にセラとお話しながら迷路の中を歩いていた。
落とし穴が多めだった西迷路と比較し、東迷路は罠が少なめで、しっかりと壁が造り込まれている。
人数の差がそのまま特徴に出ているようだ。
『ねー、かったらなにかくれるー?』
『そうですね。サラさんやレリアンナさんが新しい遊び道具を作ってあげると言ってました』
『ほんとにー?』
無論、どちらが勝っても遊び道具は皆に行き渡るよう与える予定だ。
しかし、勝負は何かが掛かっていると余計燃えるもの。
セラとデジは歩行の速度を上げた。
「よし、銀河。俺達も走るぞ!」
愛犬に指笛で合図し、助がダッシュで雪んこ2人を追い抜く。
『まてー!』
『あはははは』
追いかけっこが好きな雪んこ達は、喜んで1人と1匹を追った。
そして――――縄を結んだ棒が置いてある地点に差し掛かったその時。
「おっ!?」
『わーっ!』
急に地面の雪が新雪に変わり、走っていた3人と1匹は皆足を取られた。
助は泥などの汚れの少なさで何となくピンと来ていたが、敢えて突撃し、一番派手に転ぶ。
そして、一回転しがてら、着地。
『わあ、すごい!』
そこも新雪地帯だったので、そのまま膝まで地面にめり込んだ。
『あはははは! すぼっていった!』
雪んこ達はとても楽しそうだった。
斯くして――――ポーラの立案した『雪の迷路』は、雪んこ達に好評のまま終了。
結果は、雪上に土地勘のあるポーラとサリ、森に造詣のあるレリアンナのいる東チームの勝利となった。
日が暮れ、徐々に空が白みを失う頃。
一行は村の近くに移動し、最後の宴を行う用意を始めた。
『わー! 何これ?』
『きれーい!』
そこには、沢山の桶に水を入れ、凍らせて作った氷を重ね、雪で補強した2mくらいの搭がそびえ立っている。
助の作ったその搭は、夕日の光が反射し、幻想的な風景を生み出していた。
更に、その周りにはレリアンナが作った雪のバラが置かれている。
大きな雪玉の中をぐりぐりとくり抜いて作っており、確かにバラに見える。その直ぐ横には雪兎もちょこんと配置されていた。
雪んこ達がそれに夢中になっている間、サリは事前に作っておいた雪提灯に火を灯す。
これは、村人から借りた桶の中にゴブレットを置き、その周りを綺麗な雪で固め、型取りを行い、桶を返してゴブレットを取り、その穴の部分にロウソクを立てた物だ。
それを氷の搭の周りに9つ作っている。
村人達に訳を話したところ、喜んでロウソクや油を提供してくれた。
日が沈み、茜色が黒く染まる頃、今度は搭の周りが仄かな光を放つ。
「大成功ですね」
サリはその光景に、満足そうに目を細めていた。
しかし、やる事はまだある。
直ぐに雪の中に埋めていたつららや棒を取り出す。
『雪んこさん、集合して下さい』
サリが呼びかけると、精霊達はしゃりしゃりと足音を立てて走り寄って来た。
『これから、音楽会を始めます』
『おんがくかいってなにー?』
また全員で首を傾げる雪んこに、サリは説明を始めた。
つららは、その形状や長さによって、叩いた時に出る音が違うと言われている。
その性質を利用し、色々な長さの気泡の少ないつららを、料理器具のおたまや木の先に毛糸の丸帽子をつけた棒で叩いて音を奏でると言う催しだ。
つららは事前に村で集めていて、それを雪の中に入れていたのだ。
村人達も協力してくれて、かなり多くのつららが集まった。
「貴方達は音に合わせて踊ってみない? この子にも参加して貰うわ」
「もらうわー♪」
ポーラの言葉を受け、クラウディアも羽根をぱたぱたと羽ばたかせる。
「よし! それじゃ皆で踊るか!」
「わたくしも参加しますわ。舞踏会の参加経験もありますので」
助とレリアンナも身振り手振りでその意思を伝えた。
すると――――
『おどるー』
雪んこ達は、楽しそうに足をバタバタさせた。
ステップのつもりなのだろう。
「あら、通じたようね」
「おーっ。やったな」
「一緒に落とし穴に落ちた甲斐がありましたわね」
この一日遊び倒した事で、冒険者達と雪んこ達の心は通じ合っていた。
それを祝うように、サリがつららを叩き、音を奏でる。
間断なく刻まれる軽快な音質とリズムは、思わず身体を動かしたくなるような気分にさせてくれる。
淡い炎の色、そして静かに佇む氷の搭と雪のオブジェが見守る中、雪んこ達やクラウディアは満面の笑みで形なき動きを見せていた。
形式的に踊りと呼べなくとも、それは踊りなのだ。
元々、踊りの発祥は定かではなく、動物に見られる求愛的なものや、歴史的な見解から呪術的なものなど、諸説は様々だ。
しかし彼らの姿は、その答えを見事に表現していた。
それは、生き物が持つ最も純粋な感情。
即ち――――
歓喜そのものだった。