第四回まるごとオールスターズ武闘大会
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■イベントシナリオ
担当:UMA
対応レベル:1〜5lv
難易度:難しい
成功報酬:4
参加人数:21人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月25日〜04月25日
リプレイ公開日:2009年05月03日
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●オープニング
――――貴方にとって『まるごとオールスターズ武闘大会』とは?
「リベンジの場所‥‥。ここ以外に自分自身を取り戻す場所はないと思っている」
――――勝算は?
「無論ある。参加すら出来なかった前回大会の後、私は徹底的にスピードに磨きをかけた。
毎日鉄の球を足に括り、罪人のような生活を送り足腰を鍛えた。今の私を捕らえられる者はいまい」
――――ファンの皆さんに一言
「長らく待たせてしまって済まない。このはくちょうさん、必ず最上段まで舞い上がってみせる。勝つのは私だ」
インタビューが終わり、はくちょうさんは神妙な顔付きで特訓に戻った。
その様子を、今回からインタビュアーを務めるリディア・ブラウニーが生唾を飲みながら眺めている。
「彼の今大会に賭ける意気込み、伝わったかね」
そんなリディアの肩にポン、と手を置いたのは、このルッテ街の町長アウグスト・バーゴップだ。
「彼だけではない。第一回大会以来の再起を賭けるクマさん、出場停止が解けたえんじぇるさん、
拳に彗星を宿す技を覚えたぺがさすさん‥‥今回は、地元の面々がこれまで以上に燃えている」
「‥‥」
リディアは眉間に皺を寄せつつ、町長の話を聞いている。
「何故かわかるかね。それは、全て前回大会の盛り上がりによるものなのだよ。過去最大の出場人数。過去最高のレベル。
ただ闇雲に闘うだけではなく、礼を尽くし、技を競い、知を搾り、そして己を形成する。
凶悪なモンスターと闘うのも良い。立派な行為だ。冒険者の本分と言えるだろう。
だが、我々が目指すのは、生命を削り合うような、そんな争いではない。
子供に夢を与え、婦女子でも楽しみながら洗礼された技術の競演を見ることの出来る‥‥そんな、そんな素晴らしい闘いなのだ」
アウグストは涙を流しながら、延々と、ひたすらに延々と語った。
「今度こそ地元出身の優勝者を見たいが、中々に難しい。色々と恐ろしい噂も流れている。
第二回大会優勝者が、神魔をも滅ぼす道具を作る為にホワイトイーグルに乗り稀有な鉱石を採取しに行ったとか、
2つ揃うと何かが起こると言われている伝説の弓を入手した者がいるとか。
ふふ、誰も彼も、この大会の為に力を蓄え、解放の瞬間を待っていると言う事だ。
だがしかし、それで良い。ただ強さを誇示するだけでなく、見ている者に更なる好影響を与えるような、
前回大会を超える第四回まるごとオールスターズ武闘大会となるのであれば、それで良いのだ。
ゆくゆくはノルマン、そして世界にもその名を轟かすような大会に‥‥」
アウグストが力説する中、その肩にポン、と手が置かれる。
このルッテ街の官憲達だ。
「町長、セクハラの容疑で逮捕します」
「今日び女性の肩に何分間も手を置いてちゃダメですぜ、町長。世知辛い世の中なんですから。オラ、連行しろ!」
「ま、待ちたまえ。それは大いなる誤解だ。つい持論を語るのに夢中になって、手を置いている事を忘れてだな‥‥」
と言う訳で、ルッテ街の町長アウグスト・バーゴップは逮捕された。
「ああっ、見るな! 一般市民達よ、軽犯罪でしょっぴかれる町長の姿をその目に焼き付けてはならぬっ!」
その無様な背中を、リディアは白けた顔で眺め、そのまま無言で見送った。
町長逮捕――――そのショッキングな事件に、ルッテ街に激震が走った。
荒れ狂う市議会。
悶える町長派の面々。
ルッテ街は今、転機の時を迎えようとしている。
「まあそれは兎も角、今回もオリジナルのまるごとさんを賞品にしてるので、是非御参加くださいね♪」
リディアの呼び掛けに、どう応えるかは貴方次第。
思わず町長も逮捕される第四回まるごとオールスターズ武闘大会――――開催、迫る。
●データ
◆武道会場
1.本館(前回までの会場)
試合場内は縦10m×横10m。100人ほど動員できる観客席付き。
2.別館(初登場)
試合場内は縦12m×横9m。80人ほど動員できる観客席付き。
◆賞品
優勝 チャンピオンズプレート
準優勝 黄金の獅子の盾
ベスト4 春の3点セット(新緑の髪飾り・チェリーピアス・香り袋)
敢闘賞 まるごとららでぃ(3名)
◆試合ルール
・相手を殺す事、観客へ向けて攻撃する事は一切禁止
・必ずまるごとシリーズを着用する事
・ファンサービスも必ず行う事
・己の技量を見せる事にこそ意義があり、相手を敬う心を忘れない事
・審判には逆らわない事
・トーナメント戦で、参加人数は制限なし
・まるごとシリーズは無料レンタル可
・武器、魔法の使用を許可する
・勝敗は場外、気絶、審判の判断、降参によって決定
・職業詐称、ドーピングは禁止
・消費アイテムの使用は禁止
・場外負けを防止するアイテムの使用は禁止
・怪我は大会終了後に運営委員が回復を行うので、後には残らない
・自己回復は試合後のみ可。他者への回復は敗者に対してのみ可
◆出場者予定表(現時点)
・クマさん 23歳 男 人間 ファイター Lv.17 パワー型
・はくちょうさん 23歳 男 人間 神聖騎士 Lv.18 万能型
・えんじぇるさん 15歳 女 エルフ バード Lv.01 小悪魔型
・ぺがさすさん 14歳 男 人間 神聖騎士 Lv.12 彗星型
・ホエールさん 不詳 男 人間 ほえほえ Lv.03 ほえほえ型
・おおがらすさん 不詳 男 人間 鍛治師 Lv.22 ?型
・りすさん 不詳 男 人間 アイドル射撃手 Lv.04 ?型
◆レンタル可能なまるごとシリーズ一覧
・まるごとトナカイさん
・まるごとメリーさん
・まるごとおうまさん
・まるごとわんこ
・まるごとあざらしくん
・まるごとすくろーる(文字、無地)
・まるごとすのーまん
・まるごとたーとる
・まるごとどんきー
・まるごとふるあーまー
・まるごとおさるさん
・まるごときたきつね
・まるごとたいがー
・まるごとたぬきさん
・まるごとだいなそあ
・まるごとぐりふぉんさん
・まるごとおばけさん
・まるごとりすさん
・まるごとはにわ
・まるごとろうそく
・まるごとコマドリ(♂、♀)
・まるごとトナカイさん
・まるごとハトさん
●リプレイ本文
「これより、第四回まるごとオールスターズ武闘大会の第1試合を始めます!」
司会進行役のリディアが声を張る中、2人のまるごとさんが入場する。
前回大会で敢闘賞を受賞したメリーナイトさんが、今回は平和の使者となり、『へいわのはとさん』として空を舞って登場すると、会場を埋め尽くした観客から雄たけびと喝采が生まれた。
「勝利をこの手に、平和をこの翼に!」
はとさんの翼が大きく広がり、武闘場にその足を着けると同時に、大歓声が沸きあがった。
一方、迎え撃つはえんじぇるさん。
職業詐称による出場停止処分が解け、一からのスタートとなる。
意気込むえんじぇるさんを審判がたしなめる中、へいわのはとさんは恭しく相手に向かい一礼した。
1回戦、第1試合。
へいわのはとさん(アニエス・グラン・クリュ) vs えんじぇるさん
試合開始と同時に、えんじぇるさんは高速移動でへいわのはとさんと距離をとる。
彼女の得意技は精神攻撃。
それで敵を混乱させ、場外に押し込む、若しくは参ったと言わせるのが基本戦術だ。
「さあ、混乱なさい――――」
しかし、コンフュージョンの高速詠唱を行おうとした刹那、思わずえんじぇるさんは息を呑む。
そこにいた筈の対象が、視界の外に移動していたからだ。
「!?」
へいわのはとさんは、複雑なステップで左右にブレながら、えんじぇるさんとの距離を詰める。
そして、一定の距離に足を付けた刹那――――えんじぇるさんに向けて衝撃波を放った!
「くっ、こんなのかわせる‥‥!」
かろうじてそれを回避したえんじぇるさんだったが、次の瞬間、自分の頭に何かが振り下ろされている事を把握し――――
「はべぅ!?」
そのまま意識を失った。
「勝者、へいわのはとさん!」
会場が大いに沸く中、はとさんは静かに一礼する。
彼女の武器は――――固い保存食だった。
長さ60cm位の長いバゲットは、敵を失神させる程の打撃を加えても尚、原形を留めている。
凄まじい武器だ。
「すごいぞ、はとさん!」
子供達の歓声に、はとさんは深々とお辞儀を返した。
1回戦、第2試合。
みにちゅあわんこさん(鳳令明) vs はくちょうさん
「は、早い‥‥!」
戦闘開始から僅か10秒。
戦慄の表情を浮かべていたのは――――はくちょうさんの方だった。
みにちゅあわんこさんの小さな身体は、はくちょうさんを遥かに凌ぐスピードで彼の周りを飛び回る。
シフールのわんこさんは、自身の速さに絶対的自信を持っていたはくちょうさんを圧倒していた。
「にょにょにょ〜っ!」
そして、飛びながらはくちょうさんにグルグルパンチを見舞う。
「フッ‥‥シフールなだけあって機動力は大したものだが、肝心の威力は‥‥!?」
そのパンチを余裕で受けていたはくちょうさんが、急に悶絶する。
「らっきーひっとなのじゃ〜!」
みにちゅあわんこさんは、小さくまとめたパンチの中に、ストライクEXを混ぜていたのだ。
通常なら当たらない大砲も、グルグルパンチと言う煙幕を張ってた事で、しっかり命中させる事が出来た。
「ぐ、ぐうっ‥‥」
膝を突くはくちょうさんに、みにちゅあわんこさんは勝機を見出し、その顔面に向けて猪突猛進!
「食らうのじゃ〜!」
全体重を乗せたわんこさんパンチが、はくちょうさんの顎を捉え――――勝負あり。
「わんこの力は偉大なのじゃ〜!」
小さな体で大きなはくちょうを討ったその姿に、観客席から大きな歓声が上がった。
1回戦、第3試合。
つきのうさぎさん(レティシア・シャンテヒルト) vs おおがらすさん
「うさぎさーん!」
「つきのうさぎさん、がんばれ!」
多くのうさぎさんが参加する今大会。
先陣を切ってお月様のマークが入ったうさぎさんが入場した。
その姿に、観客席から乗り出す子供達。
大会開始前、つきのうさぎさんが共に憩いの一時を過ごした子達だ。
彼等に夢を――――その決意を胸に、うさぎさんは所定の位置に着いた。
だが。眼前の相手は、第2回大会優勝者のおおがらすさん。
「第2回大会の決勝戦がこの1回戦で実現です!」
リディアが叫ぶ中、おおがらすさんは不敵に微笑みながら、その手の鑿を愛しげに掲げた。
「丁度良かったですね。貴女の依頼品、その目で確かめて下さい、レティ‥‥いや、つきのうさぎさん!」
戦闘開始と同時に、おおがらすさんが舞うように武闘場を駆け、鑿を振り被り、跳躍する。
「これが『神魔をも滅ぼす』石工道具ですよ!」
つきのうさぎさんは、その圧力を察知し、全力回避を施行。
ドガアァァ――――‥‥ァアアン!
「‥‥なっ!?」
耳を劈くような破壊音と共に、おおがらすさんの鑿は会場の床直径3メートルを粉々にした。
「ふふふ。どうです? この破壊力」
おおがらすさんの攻撃に、つきのうさぎさんを応援していた子供達が萎縮する。
そんな中、うさぎさんは敵に向けて弓を引くようなポーズをとる。
そして――――
「みんな、力を貸して!」
そう子供達に懇願した。
この巨大な敵を倒すには、みんなの想いの力が必要だと――――そんな願いを込めて。
「うさぎさん、負けるなー!」
勇気を振り絞り、子供達は声をあげる。
その瞬間、うさぎさんの手に光が宿った!
「届け! 閃光のムーンアロー!」
うさぎさんの放った想いの光は――――おおがらすさんの身体の闇を切り裂き、そして昇華した。
「はっ‥‥僕は何を」
おおがらすさんは、その巨大な力を持った石工道具に操られていたのだ!
「よくわかりませんが、どうやら僕の負けのようですね」
自ら負けを認めたおおがらすさんは、静かに会場から足を下ろした。
勝者――――つきのうさぎさん。
1回戦、第4試合。
ふわふわうさぎさん(ヴァンアーブル・ムージョ) vs ごーるでんわんこさん(リュシエンナ・シュスト)
今大会、非常に多くのまるごとが競合する中、人気を二分した2体のまるごとに身を包んだ2人が同時に登場し、会場は一気にヒートアップする。
まず、小さな体をふわふわ浮かべ会場入りするシフールのうさぎさんが左から。
名器「桜の散り刻」に口付け、テンポが速く、それでいて陽気なメロディを奏でつつ、ぐるっと会場を飛び回る。
「うわー、ちっちゃいうさぎさん、すごーい!」
子供達はその音色に合わせ、拍手を送っていた。
そして右から、淡い金茶のわんこが箒に跨り、観客席に向けて手を振りながら滑空してくる。
共に空中からの登場とあって、観客に近い場所でアピールしながらの登場となり、会場は興奮の坩堝と化していた。
そんな観客の声援に笑顔で応えるごーるでんわんこさんは、視界の中に身内を発見し、大きく手を振る。
「リュシエンナ、ファイトっ!」
「ま、怪我のないようにな」
純白のわんこに身を包んだルネ・クラインと、次に試合を控えるきたきつねのラルフェン・シュストに見守られる中、ごーるでんわんこさんは所定の位置についた。
そして、直ぐにふわふわうさぎさんもすーっと会場に降り立つ。
「はじめっ!」
審判の合図と同時に、ふわふわうさぎさんが距離をとる。シフールの正攻法だ。
「では、参りますわ〜」
間延びする声とは裏腹に、高速詠唱で紡がれたその魔法は――――シャドゥフィールド。
一気に会場が暗闇と化す。
「あらー、どうしましょ」
視界を塞がれたごーるでんわんこさんは、犬なのでその嗅覚を持ってうさぎさんを探す。
「そこかな? えーい♪」
しかし手応えはない。
今度は耳を澄まし、その羽音を探る。
だが自分が動く度に『キュ♪』と言う音が足元から聞こえ、上手く察知できない!
そして――――
「お休みなのだわっ」
いつの間にか射程内に移動していたうさぎさんのスリープによって、ごーるでんわんこさんは夢の世界へと誘われた。
「ふわ‥‥」
勝者――――ふわふわうさぎさん。
1回戦、第5試合。
「全く、世話のかかる‥‥おい、いい加減起きろ」
「むにゃむにゃ‥‥あれ、兄様?」
武闘場の外で目覚めた妹をルネ・クラインに託し、まるごときつねに身を包んだラルフェンは舞台に足を乗せる。
「きつねさーん!」
きつね好きの子供から飛んだ声援に対し、ラルフェンは軽く手を振り応える。
所作はややぎこちなかったが、笑顔は心からのものだった。
そんな彼と対峙するのは――――
「アイドル射撃主さんだー!」
前2回の大会にも出場していたゆみひくりすさん。
「クックック。愚民ども、この2本の弓の威力をとくと拝むが良い」
その人気は今尚絶大だ。
「アイドル射手さん、可愛い♪」
「まあ‥‥ファンになってしまいそう♪」
そしてそれは、ラルフェンの身内2人も例外ではなかった。
「‥‥」
その様子を横目で確認していたラルフェンは、こめかみの辺りに疼きを覚え、一人静かに集中を始めた。
まじめなきつねさん(ラルフェン) vs ゆみひくりすさん
「はじめっ! それまでっ!」
まじめなきつねさんが牽制の為放った衝撃波で、りすさんはコロコロ転がって場外に落ちた。
試合時間、3秒。
「ラルフェン、酷いっ」
「兄様には可愛いものを愛でる心が不足してます!」
「‥‥そう言われてもな」
身内に顰蹙を買ったきつねさんは、嘆息しながら会場を下りた。
1回戦、第6試合。
ぐるぐるはとさん(ジャン・シュヴァリエ) vs うるわしのりすさん(リディエール・アンティロープ)
「おおーっ! 凄いぞはとさん!」
強烈な竜巻が武闘場に発生すると同時に、所定位置に突然はとさんが現れた。
観客席からはどよめきが起こるが、それに応えるはとさんの表情には、少しだけ影が見える。
はとさんは、頭の中がぐるぐるしていた。
理由は――――目の前の対戦相手、うるわしのりすさんだ。
一応、共に同じ依頼で協力し合っている仲間、と言う共通点があるが、それが原因ではない。
今、ぐるぐるはとさんは一つの想いの置き所に悩んでいた。
しかし、その想いは一時封印し、この戦いに集中する予定だったのだが――――
「‥‥うう」
目の前のうるわしのりすさんの中の者は、そんな想いを何となく想起させてしまう外見だったのだ!
「はじめっ!」
それでも、何かをやり遂げる事で自信を持ちたいと言う思いで、ぐるぐるはとさんは開始と同時に姿を消し、ムーンアローで牽制する。
だが、命中したのも束の間。フレイムエリベイションで強化されたりすさんは直ぐに反撃に転じる。
居場所も直観力によって看破された。
「それなら‥‥!」
追い詰められたはとさんは、りすさんに突進。その身体を捕まえ、トルネードを唱える。
対象は――――自分。
「フライング‥‥ハトアタック!」
トルネードの風で共に舞い上がる。
落下地点は場外だ。
りすさんを掴んだ手を離し、翼を広げ、浮力を上げる事で、先にりすさんを場外に落とす作戦だった。
だが――――
「‥‥くっ!」
はとさんは何を思ったか、掴んだその手を離せず、そのまま落下。
先に落ちたのは――――はとさんだった。
「勝負あり!」
どよめく観客席を背にしゃがみ込むはとさんに、りすさんが声をかける。
「本調子ではなかったようですね」
様々なものをその一言に込め、りすさんは敗者を労わった。
しゃがみ込むはとさんに、彼の友たる妖精達が心配そうに近付く。
はとさんは顔をごしごし擦った後、りすさんに一礼し、妖精達と抱き合った。
1回戦、第7試合。
いぢわるわんこさん(ミシェル・コクトー) vs クマさん
「くまさんといぬさん、似てますワン♪ 仲良くしますワン♪」
「そ、そうか? でへへ、そうだな‥‥ぶふっ!?」
開始8秒。
犬語に鼻の下を伸ばしたクマさんは、後頭部を銀のトレイで殴打され、鼻血を流し気絶した。
勝負あり。
「皆さん、応援ありがとうございますワン♪」
非道な戦略も何のその。
いぢわるわんこさんのいぢわるは男性客から大きな支持を集めた。
この後、参加した冒険者達は全員勝利。
2回戦へと駒を進めた。
2回戦、第1試合。
どじっこりすさん(レムリィ・リセルナート) vs ふわふわうさぎさん(ヴァンアーブル・ムージョ)
「可愛いりすさんだー!」
多数のりすさんが参加する中、今日1番に登場したりすさんはキュートなデザインに特化していた。
しっぽにリボンまで付けている。
「はいー♪ みんな応援よろしくー‥‥わわっ?!」
そんなりすさんは、武闘場に上がる階段で転び、コロコロ転がって行った。
「わー、どじっこだ!」
「ドジっ子りす‥‥ちくしょう、萌えやがるぜ!」
そんな様子に子供達と成人男性は大喜びだ。
そして、それを迎え撃つふわふわうさぎさんにも、似たような声援が飛ぶ。
癒し系決戦が早くも実現した格好だ。
「はじめっ!」
その号令と同時に、うさぎさんが距離を取る。
ちなみにシャドゥフィールドは観客にも戦いが見えなくなると言う事で、イマイチ評判がよろしくない為、うさぎさんは別の攻撃を選択した。
「いくのだわっ!」
シフールから放たれたとは思えないような、強力なムーンアローがりすさんを襲う!
「ぎゃーっ!?」
ムーンアローはりすさんに直撃。
だが、仰け反りながらも耐える。
「ならば追撃を‥‥っ!?」
そして、その際にりすさんが思わず手放した武器――――紅いトレイが放物線を描き、うさぎさんに直撃!
勝負あり。
「あ、あれ?」
どじっこりすさんは勝因もわからず勝ち名乗りを受けた。
2回戦、第2試合。
ごーじゃすうさぎさん(アレーナ・オレアリス) vs はじらいうさぎさん(フィーネ・オレアリス)
この試合を前に、明らかに立ち見の客層が変わった。
「おおお! 何てごーじゃすなうさぎさんだ!」
「俺は! セクシーなうさぎさんが! 大好きだーーーっ!」
大人の殿方が興奮して叫び倒す中、うさぎさん姉妹は同じ方向から並び歩き、会場入り。
共に見事なプロポーション。うさぎさんの可愛らしさより、その体のラインに男どもは震えた。
ごーじゃすうさぎさんは煽情的に、はじらいうさぎさんは初々しく手を振る。
その対照的な姿が、一層観客に火を点けていた。
そして、それぞれ所定の位置に到着。
姉妹対決――――それは、運命の悪戯に他ならない。
だが、両者の間に剣呑とした雰囲気は微塵もなかった。
「はじめっ!」
共に神聖騎士であるうさぎさん同士だが、その能力と性格にはかなりの相違点がある。
それを知り尽くしている同士故に――――勝負は一瞬だった。
「はっ!」
はじらいうさぎさんのおっとりした性格、そして敏捷性の脆弱性を熟知していたごーじゃすうさぎさんは、開始と同時に直進。
驚くその様もたおやかな身内に内心苦笑しつつ、その首筋に長曽弥虎徹の峰を打ち付けた。
「‥‥痛いです」
「済まない。が、これも勝負だ」
この先手で主導権を握ったごーじゃすうさぎさんが終止試合を支配。
そのまま押し切り、姉妹対決に勝利した。
2回戦、第3試合。
ぽんぽこたぬきさん(文月太一) vs へいわのはとさん(アニエス・グラン・クリュ)
共に前回大会出場者と言う事で、会場入りは堂に入っている、
「たぬきさんがペガサスさんにのってきたー!」
「何!? なんでちゃんと乗るんだよ! わかってねぇ、わかってねぇなあ!」
前回大会でペットのペガサスに乗れず、置いていかれる様が好評だったぽんぽこたぬきさんだったが、真面目に乗ってきた今回は大ブーイングを食らった。
「うう‥‥失敗だったかな」
ちゃんとした入場にも拘らず、周囲の冷たい視線に晒され、たぬきさんは少し凹んだ。
一方、へいわのはとさんは、1回戦終了後に餌付けしたハト(本物)を周りに連れ、堂々の入場。
実に平和な光景に、観客はほのぼのとした様相でその光景を眺めていた。
彼女は本大会に挑むにあたり、バゲットの可能性について研究を重ねていた。
時に保存食、時に武器として使えるこの万能な食物。
やや白い目で見られる事が多い現状に、不服を抱いていたのだ。
その為、このルッテ街のパン屋を巡り、趣旨説明と食べ比べを行い、より良いバゲットを探しだしたのだ。
「はとさん、しっかりねー!」
その中で最も素晴らしいバゲットを提供していたパン屋が、はとさんに歓声を送る。
はとさんは胸に巻いたその店名入りのリボンを指差し、必勝を期した。
そして、それぞれが所定の位置に付く。
はとさんは一礼し、対戦相手への礼を尽くした。
「はじめっ!」
開始と同時に、へいわのはとさんは自身の武器となるバゲットを――――
「‥‥ああっ!?」
かざした瞬間、気付く。
そこには、殆ど原形を止めていない、食い散らかされたパンの成れの果てがあった。
どうやら、ハトに食べられたらしい。
「こ、こんな欠点があるなんて‥‥私の負けです」
「え? い、良いのかな」
勝負あり。
ぽんぽこたぬきさんが呆然とする中、はとさんの元にはルッテ街のパン屋さんが揃って慰めに集まっていた。
2回戦、第4試合。
「では、前回大会ベスト4の円巴さんにインタビューを始めます」
試合前。
まるごとに身を包んだ巴に、リディアが取材を行う。
「えっと、巴さん、ちょっと良いですか。お話を‥‥」
「いーぐるさんだ」
「す、すいません。流石ベスト4の猛者、既に気持ちが入ってますね」
巴は既にぶらっくいーぐるさんとなっており、静かに闘いの時を待っている。
とても取材できる雰囲気ではなかった!
「えっと‥‥いーぐるさん、重くないですか」
「いや別に」
「うわーん!」
リディアは取材に失敗し、その場から逃げ出した!
「‥‥ふふ」
その様子に、ぶらっくいーぐるさんは内心とても和んでいた。
ぶらっくいーぐるさん(円巴) vs ぺがさすさん
唯一、地元の参加者で2回戦まで勝ちあがったぺがさすさんだったが――――
「ぐあっ!?」
いーぐるさんの2刀流殺法にまるで歯が立たず、追い込まれていた。
「受けよ、いーぐるさんの羽ばたきを!」
「ぐわあっ!」
両手の剣から繰り出される衝撃波は、ぺがさすさんをどんどん弱らせていく。
ほぼ攻撃に特化したこの2刀流殺法は、本来のいーぐるさん(の中の人)の闘い方ではない。
「いーぐるさん、かっこいー!」
「まるで本物の鷹が羽ばたいているみたいだ!」
いーぐるさんなりに、いーぐるを追求した結果こうなったのだ。
それでも、まるで意に介さない戦いぶり。
歴然とした実力差が、両者の間にはあった。
「く、くそっ。燃えろ俺のコズミック!」
ぺがさすさんは自身を奮い立たせ、必殺技の構えを取る。
一点集中のストライクEX。それが、彼の奥の手だった。
しかし――――
「貫けーっ! ぎゃーっ!」
突っ込もうとして、やっぱり衝撃波に吹っ飛ばされた。
勝負あり。
地元の参加者を破ったいーぐるさんに対して、観客は惜しみない拍手と歓声を送る。
少し予想外のその反応に、ぶらっくいーぐるさんは頭を掻きながらその様子を眺めていた。
2回戦、第5試合。
いのちのともしびさん(エルシー・ケイ) vs いぢわるわんこさん(ミシェル・コクトー)
会場入りする両者に、それぞれ対照的な声が挙がる。
「うおーっ! わんこお嬢様ーっ!」
「メイド姿のわんこさまー! くそっ、どうにかしてやりたいぜ! いや、どうにかされたいぜ!」
いぢわるわんこさんには、その華やかな風貌に対して賛美する声が。
そして――――
「わはははっ! 何だあれーっ!」
まるごとろうそくに身を包んだいのちのともしびさんは、自身のペットである筈のディアトリマに引き摺られながら登場し、その様子に子供達が大喜びで大爆笑。
今日一番の盛り上がりを見せていた。
「あら‥‥思いがけず皆様が笑顔に」
実は単にまるごとの重さに身動きがとれず、運んで貰っているだけだった。
そしてそのまま所定の位置に放り投げられる。
「試合に‥‥なるのかしら?」
いぢわるわんこさんですらいぢわるより心配をしてしまう中、いのちのともしびさんはヨロヨロ立ち上がった。
「お待たせ致しまして申し訳ありません。いざ、参ります」
ぷるぷる身体を震わせながら、いのちのともしびさんは祈りを捧げる。
そして、試合前の礼儀として深々と頭を下げ、またベチャッと倒れた。
「はじめっ!」
進行上時間を避けないので、そのまま開始。
「調子が狂いますわね‥‥釣竿で吊り上げようかしら?」
用意していた戦略が頭を掠める中、いぢわるわんこさんは取り敢えず倒れたままのともしびさんにローズホイップを振るう。
しかし、その攻撃をともしびさんは転がりながら回避した。
「この命の灯、そう簡単に消させません!」
そして、そのままコアギュレイトを――――
「あらっ、あらっ、あららららー!」
唱えようとするも、転がったまま加速し、目を回した挙句に場外に落ちた。
勝負あり。
「‥‥何故かしら、余り勝った気がしないのは」
勝ち名乗りを受けたいぢわるわんこさんは、少し口惜しそうに地団太を踏んでいた。
2回戦、第6試合。
じゅんぱくわんこさん(ルネ・クライン) vs みにちゅあわんこさん(鳳令明)
「にょにょ〜! らぶりーわんこなのじゃ〜!」
「え、えええ?」
試合開始前に、みにちゅあわんこさんが突然じゅんぱくわんこさんに抱きついた!
「‥‥何をしている」
そんなみにちゅあわんこさんを、次の試合の為控えていたきつねさんが鋭い目付きで引き剥がした。
「にょにょ、申し訳ないワン。おりはどーも、ラブリーなわんこを見ると我を忘れるにょじゃ」
「ラブリーだなんて、そんな」
じゅんぱくわんこさんは照れ隠しに、みにちゅあわんこさんをばしーんと叩く。
「にょー!?」
すると、その勢いでシフールのみにちゅあわんこさんは上空へまっしぐら。
星になった。
「あ、ああーっ! すいません! すいませーん!」
しかし、とある目撃証言によると、すっ飛ぶみにちゅあわんこさんは満足げだったとか。
何となく勝負あり。
2回戦、第7試合。
「兄様ーっ! 兄様ーっ!」
「ラルフェン頑張れーっ!」
リュシエンナと、試合を終えて観客席に戻ったルネの声援がきつねさんに向けて飛ぶ。
普通声援と言うのはやる気を出させるものなのだが――――
「何なんだ‥‥あれは」
メイド姿で派手に応援する2人の姿に、きつねさんは唖然としたまま所定の位置に付いた。
そして眼前の相手を確認する。
「宜しくお願い致しますわ」
明らかに戦闘職ではない、妹よりもずっと年下の小さなたいがーだった。
まじめなきつねさん(ラルフェン・シュスト) vs てのりたいがーさん(レリアンナ・エトリゾーレ)
「はじめっ!」
試合開始と同時に、きつねさんはソニックブームの発動を試みる。
しかし、その衝撃波は意図した所から逸れ、場外の壁に衝突した。
それで確信した。
「‥‥審判」
「はい?」
「参った。俺の負けだ」
きつねさんはそう告げ、武闘場に背を向ける。
「あら、どうされました?」
その姿に、たいがーさんが思わず声を掛ける。
「いや、何でもない。済まないな、こんな試合にしてしまって」
そう呟き、きつねさんは観客席の妹達に視線を送った。
彼女達の見ている前で、女の子を傷付ける気にはなれなかったのだ。
「勝負あり!」
てのりたいがーさんはその視線からきつねさんの真意を察し、深々と頭を垂れ、祈りを捧げるのだった。
2回戦、第8試合。
うるわしのりすさん(リディエール・アンティロープ) vs つきのうさぎさん(レティシア・シャンテヒルト)
既に面識のある同士、それぞれの特徴については知っている仲。
それだけに、つきのうさぎさんは迷っていた。
男性対策の為の秘策を実行するか否か。
「‥‥くっ」
その迷いが、彼女の動きを鈍らせていた。
一方、りすさんはウォーターボムによる攻撃で主導権を握る。
水攻めは、これまでの大会でも使われた事もある、対まるごとの有効な攻撃だ。
つきのうさぎさんは多少のリスクを覚悟で攻めに出る。
が――――攻撃に転じたうさぎさんに対し、りすさんは目をウルウルさせて小首を傾げる。
さも『いぢめる? いぢめる?』と問い質さんばかりに!
「ダメっ、出来ない」
つきのうさぎさんは、可愛いものに手を出せない!
追い詰められたうさぎさんは、ついに奥の手を使う決断をした。
すれ違いざま――――
「‥‥まるごとさんの下‥‥何も付けてないの」
ボソッ、とそう呟く。
女性の羞恥心が勝つか、男性の情欲が勝つか。
まさに諸刃の剣と言える戦略だ。
だが。
「すいません……実は、既に知っていました」
「ど、どうして!?」
驚愕するうさぎさんに、りすさんは心底申し訳なさそうに俯く。
「水が、身体に染みて、その‥‥」
「‥‥!」
うさぎさんの身体はかなり濡れており、必然的に身体のラインがくっきりと見えていた。
会場は文字通り、水を打ったような静けさに。
「不覚‥‥私の負けっ」
そう言い残し、つきのうさぎさんは猛ダッシュで武闘場から飛び出した。
2回戦が終わり、大会は後半戦を迎える。
会場は更にヒートアップ。
その中で、冒険者達は熱い戦いを繰り広げた。
それはもう、凄い戦いだった。
言葉では言い尽くせないほど!
と言う訳で、気が付けば決勝戦。
勝ち上がったのは、見事ここまで生態系の下克上を果たし続けた『どじっこりすさん』と、武力で勝ち進んだ『ごーじゃすうさぎさん』の2名だ。
運や組み合わせの妙もあれど、それぞれに実力者。
それぞれに所定の位置に付くと同時に、観客席からウエーブが巻き起こった。
そんな中、ごーじゃすうさぎさんはステップを踏み、開始を前にリズムを刻む。
彼女を決勝まで押し上げた最大の理由は、この何時でも回避に転じる事が出来る構えと、魔法対策が万全であった事。
トーナメントでは、いかに相手の攻撃を受けないかが重要なのだ。
一方、どじっこりすさんは――――
「ふふ‥‥まさかここまで残る事になるなんてねー」
自身も予想だにしない快進撃に、まだ頭が高揚中だ。
どじっことして観客にアピールするつもりが、相手の油断を誘う事になり、底力を出させる事なく勝利を収めてきたのだ。
準々決勝では、ぶらっくいーぐるさんの連撃、剣歌剣劇【ミストルティン】を勘と転倒で回避。
準決勝では不戦勝。
準々決勝、ぽんぽこたぬきさんがうるわしのりすさんの水攻撃に対し、ほえーるさんに変化して虚を付き、見事勝利したのだが、それが『名前変わっちゃうし』と言う事で協議の結果『続行不可』と判断されてしまったのだ。
またしても運営側の説明不備に怒りの声が飛ぶ中、りすさんの決勝進出が告げられ、今に至る。
そして、りすさんとしても、ここまで来た以上は完全下克上を果たす気でいた。
「はじめっ!」
「おねがいしまーすとーりゃー!」
試合開始と同時に、どじっこりすさんは一礼し、そのまま全体重を乗せてトレイを振り下ろす!
「甘いな」
だが、回避態勢を既に作っていたごーじゃすうさぎさんはそれをよけ、会心の笑みを浮かべる。
大降りのりすさんは隙だらけ。そこにうさぎさんのポイントアタックが炸裂する!
「なんのーっ!」
だが、吹っ飛んだりすさんは下克上の一心で耐える。
「中々やるな」
「ふふふふふ」
そして、共に笑みを浮かべながら、盾とトレイで殴り合いを始めた。
「ははははは!」
「ふふふふふ!」
まるで子供のような笑い声を上げながら、鈍器のようなものでどつき合う。
しかし足の運びや間合いの取り方、体重移動は紛れもなく一流戦士のそれ。
そんな奇妙な闘いは、会場から湧き上がる怒号のような声援を受け、いつまでも続いた――――
戦いは終わる。
永遠に続く戦争がないように、どんな白熱した試合も、大会も、時が来れば終焉を迎えるのだ。 表彰式が終わり、観客の最後の一人が外に出ると、会場は直ぐに静寂へと身を投じる。
それまでの騒然とした雰囲気は嘘のように、一抹の侘しさを携えた2つの会場は、ひっそりと夜の闇に包まれていった。
「まるごとを着替えたら駄目なんて、聞いてなかったのに‥‥」
「残念でしたね」
「でも、勝利の宙返りで明らかに首痛めてましたよね。それを憂慮してのストップだったのかも」
そんな中、3人の男女が苦笑混じりに宿に向かう。
第3位――――文月太一。
敢闘賞――――リディエール・アンティロープ。
敢闘賞――――アニエス・グラン・クリュ。
「楽しかったねー♪」
「兄様、次はおおかみさんで参加してくださいね♪」
「遠慮しておく」
その後ろから、仲良し2人組の笑い声と、その兄の溜息が聞こえる。
第3位――――ルネ・クライン
「体のラインが見えてしまいましたけど‥‥大丈夫でしょうか」
「問題はないだろう? 楽しかったのだから、それで良いよ」
その後ろでは、やはり姉妹の声が対照的な音色で響いている。
第2位――――アレーナ・オレアリス
「どう致しましょう。お腹が、足に力が‥‥」
「おい! しっかりしろ! 皆、行き倒れだ! 今にも火が消えそうなロウソクが行き倒れてるぞ!」
「よよよ‥‥」
街の通りでは、行き倒れている女性と、それを介抱しようとするパン屋の姿があった。
敢闘賞――――エルシー・ケイ。
そして。
『優勝おめでとう!』
宿に戻った優勝者を、大会に参加した全員の冒険者達が出迎える。
優勝した女性は満面の笑みを浮かべ、その面々が掲げる手の一つ一つにハイタッチを交わし、最後にその武器となるブラッディ・トレイを放り投げた。
第1位――――レムリィ・リセルナート。
「おめでとう。ようやく容疑が晴れて釈放された町長のアウグストだ。この度は――――ぶほっ!?」
その武器は、最後に凄い下克上をやってのけたとか。