【最速の騎士】投げろ雪球 雪合戦

■ショートシナリオ&プロモート


担当:Urodora

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月02日〜01月05日

リプレイ公開日:2007年01月10日

●オープニング

●序

 大地を白く染めた雪が解けぬ間に新しい雪が降り‥‥深く深く降り積もる。水は凍り、生き物は息を潜める冬がロシア全土を多い尽くした頃に、神の子ジーザスは誕生した。最初のレースはその伝承に倣ったという説がある。三賢人のように、より早く駆けつけることができるように、と。
 冬季の開拓は苦難が数倍にもなる。開拓のための伐採樹木の搬送もその要因の1つである。運ぶ代わりに数本の木をロープでしっかりと結びつけ、丘の斜面を滑り落とすのは生活の智慧。それに併走するため、割った丸太をソリ代わりにして皆で滑り降りたのが最初だとも伝えられている。
 古くからロシア王国に住む人々が、新年の吉凶を占うために動物を争わせたのが最初だと言う者もいるが──実際のところ、どうして始まったのかなど今となっては知る物はいないのだ。
 しかし、現実として、聖夜祭時に様々な雪上レースが行われている。
 所持金を増やし聖夜祭を楽しむ金を作るために賭ける、賞金を稼いでより良い年を迎えるために参加する、数少ない娯楽として観覧して酒を飲む、緩い懐を狙って様々なものを売る、そんな様々な目的を孕んだ聖夜祭の楽しみの一つとしてロシア王国の長くは無い歴史にしっかりと根付いた。
 そして今年も、走りっぷりで新年を占うと称して数々のレースが執り行われることとなった。

●レース?

 年も押し迫る頃だ。
 この一年、色々騒動があったキエフだが、そんなこと今は雪の中にぽい。
 ということで、いつものように中年ギルド員は適当にあくびをしていた。
 ちなみに、他のギルド員はきちんと仕事をしている。
「いや、真面目ってのは偉いね。俺給料泥棒だからな」
 頬づえをついて言う彼、いつものことだ。 
 そんな彼に割り当てられたのは、聖夜祭にちなんだレースの依頼の話だった。
「はぁ、雪上レース?」
 レースの主催者が言うには、犬ぞリに搭乗したもの同士が雪玉をぶつけて、着順を競う遊びとのことだ。
「ようするに、雪玉ぶつけて相手を倒して先にゴールしろってことか?」
 簡単に言うとそう言うことらしい。
 ということで、雪上犬ぞりレースが開催される運びになるのであった。

 
 ★★★


【レースの説明】

 参加費用 10C
 防寒服は着ましょう。
 優勝商品と順位による賞金あり。 
 終了後に新年を祝うささやかなパーティーがあります。

 今回のレースは犬ソリにのってゴールせよ。です。
 そのコースはカーブが二つと最後の直線だけというシンプルなものです。 
 ちなみにソリの御者は専用の御者さんがいます。
 
 さて、ここからはレースの匙かげんを決める。
 攻撃・加速・クリティカルについて伝授しましょう。
 このレースは、雪玉を使用して他の競争者を妨害することも可能なレース。

 雪玉の使用回数は二回。
 その使用地点は第一カーブ、第二カーブ、最後の直線の三地点です。
 加速の使用回数は一回、同じ三つの地点で使用できます。

 多少面倒なので、攻撃と防御を整理すると。

 『受ける影響』

 レース中、各ポイントで使用回数に応じ、攻撃と加速の選択ができます。
 そのさい以下のような影響がでます。
  
 雪玉同士を投げあった場合は、スピードの減速相殺。
 加速した場合、雪玉の影響は受けない。
 防御手段がなく雪玉を受けた場合はクリティカルで、かなり減速。

 どこで逃げ、どこで攻撃するか?
この読み合いを制したものが、晴れてトップの栄光を手に入れるのです・・・・多分。
 貴方も是非雪玉レースの覇者を目指して! みたらいいかも。

 『最後におさらい』

 レースには、三つのポイントがある。 第一カーブ、第ニカーブ、ラスト直線。
 レース中、各ポイントの地点で雪玉攻撃が二回まで、加速は一回使用できる。

 そのさいでる影響として

 雪玉を投げ合った場合は、投げたもの同士は減速相殺。
 加速した場合は雪玉の影響を受けない。
 何も手段がなく雪玉うけると、かなり減速。

 です。

 ちょっとだけ複雑ですが、何も考えないで雪玉なげて加速する人が勝つような気も。
 ちなみに雪玉を投げる相手の指定はできせん、影響はレース参加者全体に出ます。

 

●今回の参加者

 ea0639 菊川 響(30歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 eb4721 セシリア・ティレット(26歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb5634 磧 箭(29歳・♂・武道家・河童・華仙教大国)
 eb5885 ルンルン・フレール(24歳・♀・忍者・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 eb6447 香月 睦美(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb9400 ベアトリス・イアサント(19歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●レース前

「ええ!? 俺も働くのかよ」
 年末年始ギルドは残務処理も忙しいということでサボリ、もとい暇な中年ギルド員も今回レースの係員として同行しているようだ。どうやら任務はレース解説員という大役のようだが、彼にそんなことを任せて大丈夫なのだろうか?

 それはさておき、今回レースに参加する六人の直前の状況を観察していこう。
「さあ、楽しんでいこう! 聞きたいのだけど、今回魔法をつかっていいのかい?」
「いいんじゃない、別に。ああ、強化系やら直接攻撃はルール違反だったような気もするな」
 中年ギルド員は相変わらず適当に答える。それを聞いて担当のワンワンとオーラテレパスで意思疎通、ほんわかな会話の中、作戦談義をしている彼の名は菊川響(ea0639)、ジャパンからロシアにやって来て新年を迎えるという剛の者である。
 ようこそ! ロシアへ。でも、寒いですよね、ここ。
 と、思ったが、もう一人ジャパンから最近ロシアにやってきた少女が一人。
 みんな寒いのがお好きなのでしょうか? 彼女の名はセシリア・ティレット(eb4721)、きょろきょろと周りを見回しているあたり物珍しいのかも知れない。
「バウン」
「きゃ」
 おっきな犬たちに驚くあたり、なかなか清純な感じで中年ギルド員好みである。彼には十分注意して欲しい。
「よしよし」
「バウバウ」
「ふかふか、しばわんことは違うんですね。でも、そり引き大丈夫なのかな」 
 多分、大きいから大丈夫。
 その横を鍋を持って通りすぎる女が一人。どう見てもジャパン出身の気配な香月睦美(eb6447)、鍋の中身は何の料理なのだろう、気になる。とりあえず今日はジャパンデーのようだ。彼女は待機所に鍋を置くと戻り、担当の犬の頭を撫ではじめた。
「頼むぞ」
「ワン」
 なでなでなでなでなでなでなで。よほど触り心地いいのでしょう気の済むまでどうぞ。 その一方で強い眼差しとよだれ、ではなく好奇の視線をある人物に向ける女、名はルンルン・フレール(eb5885)。ルンルンの視線の先には菊川響。
 彼女は、響の特徴的な容姿を見て矢の刺さった鴨を連想しもぐもぐしたいもようである。・・・・ちょうど鴨のローストのおいしい季節ですしね。料理うまくなりましたか?
 はい、次。
 どうやら飲酒運転は避けたベアトリス・イアサント(eb9400)、今回勝ちを狙っているようだね、荒くれ知的僧侶さん、しかしそう簡単にはいかないらしいぜ。見なさい彼の姿を・・・・あのカッパを。
 カッパの磧箭(eb5634)はなんだかよく分からないが、物凄く入念にそりをチェックしている。みんな「かわや」って呼んであげてね。しかし、その気迫は何なのでしょう? キラーンって、ぶっちゃけ別にその勝利を狙って輝く瞳なんていりません、お祭りですよ、これ。 

 ということで、簡単ですが今回のレース参加者の群像詩集をお送りしました。
 なお、レース中は実況を記録係が聞いた形で進行いたします。

 では、皆さんに雪玉の幸運を。   
 
●実況

「やって参りました年末恒例紅白雪合戦・・・何か違うような。今回の実況は私、オショウガ・ツーと、解説の」
「中年ギルド員だ。よろしく」
「ここで本名隠してどうするんです」
「俺よりも、お前の名前はどうなんだ」
「・・・・あまりこの件に触れてはいけないようですね。ということで、第一回雪上雪球犬ぞりレースの開幕となります。では、選手とコースについて紹介をしていきましょう。どうやら天の声で、コースは先ほど紹介した順のようです・・中略・・以上、選手インタビューでした」
「思いっきり省略してないか」
「事情です」
「つっこみたいが許す。それよりも後ろの武装集団はなんだ」
「いいところに気づきましたね。彼らは雪玉聖堂騎士団です。不正を働くものを処罰する雪の騎士」
「それを聞いて雪玉をこっそり捨てている女がいるのだが」
「お花のルンルン号のルンルン選手ですね。てへっって微笑みかけられても、困ります」
「どうせ、石でも入れたのだろう」
「何か、中年さんと似たところがありますね」
「どういう意味だ」
「別に・・・・さて、スタートまであと少し、レースについての展望をどうぞ」
「作戦としては逃げか追い込みをとるのが一般的だろう。奥の手としてはそれを先読みして第2カーブで雪玉全放出、場を混乱させて加速の差し切り。もしくは攻撃を捨て、雪玉を載せず軽量化した分で大逃げをかます荒業もあるが、どちらも博打だ。その賭けをするかどうかは分からんな」
「ありがとうございました。それではスタートです」

 テテテッテッテ♪ テー♪ 

 スタート!

「スタート出遅れなし。短い直線を抜け、第一カーブ直前抜け出たのは驚くほどのスピードで走るカッパの磧箭号、物凄い形相です。続いてお花のルンルンと荒くれベアトリスが僅差、以下ほんわか響、シリアス香月、ピュアピュアティレット」
「その呼びかたはなんだ」
「恣意的なイメージです」
「・・・・。しかし大逃げとは、なかなかやる」
「自慢のペットinuを引きつれ参戦した磧箭、どうやら中年さんの同僚が担当したペット大会でロシアの犬ぞりレースNo1を目指すという目的を掲げたことから、特訓したもよう」
「そうなの? まあ、それよりもレースに移ろう」
「ここで第一カーブにいる騎士団とテレパシーで中継を」

 第一カーブ中継。

「わんちゃん達、がんばって! 何人たりとも私の前は、走らせないんだから」
「inu! 今こそ訓練の成果を見せるで御座るよ」
 気合を入れたルンルン、しかし追い抜きカッパが走る。
「待ちやがれ! お前ら」
 追うベアトリス、先頭集団三人がデッドヒートを繰り広げてるようだ。
 その後ろで三人は、雪玉を楽しそうに投げ合っている様子、のほほん。

「カーブを抜けて以前順位変動なしのまま、第ニカーブに差し掛かります」
「シリアス香月が動いたな」
「どうやら、大外を回るようです」
「雪玉の影響を最小限に留める気かもしれない」
「なかなかいい所をついてきますね」
「さて、そろそろだ」
「それでは、第ニカーブの中継と繋ぎます」

 第ニカーブ中継。
   
 順調に走っていた磧箭。しかし、そこにピンポイント攻撃が。
「よし!」
 にっこり笑った彼、響の投げた雪玉が直撃した。
 減速する磧箭。どうやら状況は少し変わったようである。
 
「どうしたことでしょう、カッパの磧箭号が減速しております。ただいま三番手」
「雪玉が無い分、防御に欠けるということだ」
「そして、シリアス香月が前に詰めています」
「うまく避け、鋭角に切り込んだ結果だろう」
「それにしても磧箭号。どうなるのでしょう」
「策士、策に溺れる。だな」
「中年さんが言うと、安っぽさ満点」
「お前に言われたくない」
「現在、先頭はお花のルンルン、横に荒くれベアトリス、以下、カッパの磧箭、シリアス香月、ほんわか響、ピュアピュアティレット号の順となっております」
「これは分からんな、逃げを打った三人が逃げ切るのか、それとも追い込みが届くのか」
「では、運命の別れ道、ラスト直線。私オショウガ・ツーの実況で参ります」

ラスト直線。

「さあ、真っ直ぐこのままゴールまでGO! ラスト直線誰か仕掛けるか。おっと先ほど大外から切り込んだシリアス香月が一番最初に動いたか」
「このまま差しきるつもりだろう」
「しかし、続いてほんわか響、ピュアピュアティレットともにかなりの勢いで加速しております。追われる前方で熾烈な雪合戦をしている、お花のルンルン、荒くれベアトリス。そしてズルズル後退していくのは・・・・」
「大逃げの末路か」
「二人の雪玉の餌食になっているのは序盤、場を沸かせたカッパの磧箭号です。筋書きの無いドラマをありがとう! 安らかに眠ってください」
「前の二人もそろそろ追い抜かれそうでもある」
「やはり、磧箭号の大逃げの影響でしょうか?」
「ありえないハイペースで競っていたからな。犬のスタミナがそろそろ切れるころかもしれん」
「こういう時の中年さんの意見、まともですね」
「仕様だ。どうやら勝負は追い込み三人の競り合いになりそうだな」
「直線残り半ば、トップ集団は団子状態、シリアス香月、ほんわか響、ピュアピュアティレット。その後ろにお花のルンルン、荒くれベアトリス、カッパの磧箭と続いています。 誰が最後に仕掛けるか? 走るも息も白い走者たちの姿、犬にかける掛け声も大きい、それをかき消すかのようなゴール前の歓声。レース会場の実況席の前、走り出したのは響です! ほんわか響がシリアス香月と叩き合いになっております、それを臨むようにピュアピュアティレット。もはや、どれが勝ってもおかしくない距離。ゴール版を最速で駆け抜けたのは!」


 ・・・・・・・・・・・・!!


 ──大歓声が上がるゴール前。
 行われるヒーローインタビュー。

「実況席、実況席。優勝者インタビューです。では、今回の勝因について一言」
「え、あ、その。無欲の勝利です」
「照れているあたりが可愛い、セシリア・ティレット選手でした。優勝おめでとうございます」


「ということで、ピュアピュアティレット号が見事レースを制しました」
「ダークホースが勝ったな、体重の軽さも影響したのかもしれん」
「正直、その変わった名前にだけ注目していました」
「お前が自分でつけたのだろう」
「堅いことは言わないお祭りですから。ともかく、表彰台では発砲酒の掛け合いが始まっております。なお、着順は以下のとおり」

 一着 セシリア・ティレット

 二着 香月睦美
 
 三着 菊川響

 四着 ルンルン・フレール
 
 五着 ベアトリス・イアサント

 圏外 磧箭

「そろそろ時間のようです。それでは中年さん今回のレースについて一言」
「当然、超過勤務手当ては出るんだよな」
「・・・・。それでは第一回雪上雪球犬ぞりレースの閉幕となります。実況、オショウガ・ツー。解説、中年ギルド員でお送りしました。それでは、皆さん機会があったらまた来年お会いしましょう」
 

●ささやかなパーティー

 こうしてレースはセシリーの勝利にて幕を閉じた。その後、ささやかなパーティーが催される。
 彼らは、一緒に戦った犬たちを労わったあと、やってくる新年を祝うパーティー会場へとやってきた。
「ささやかと言わず、パーっと派手にいこうぜ。おら、呑めよ、呑め。辛気くさい顔してんじゃねえぞ」
 すでに酔っ払っているベアトリスは、隅っこのほうでうつむいている磧箭に酒を勧めている。磧箭は、ベアトリスの言葉を聞きもせず明後日の方向を向き言った。
「inu・・・・ミーとユーの魂の絆は偽りだったで御座るか」
 その横でショボーンとしている愛犬inu。彼らは顔を合わせ溜息を着く。
 なぜだろう、見える夕陽がとても綺麗だ。
 せっかくだから次のレース頑張って! あるかは分からないけれど。
「お、いけるね、このスープ。素朴な感じが良い。誰が作ったの?」
 ちなみに中年ギルド員は、かなりグルメである。
「私だ」
「お、シリアス香月か」
「なんだ、その呼び名は」
「あ、ああ。そう! シリアスでカッコイイ姉ちゃんだなってことだな。うんうん」
「そうなのか」
 ちょっと苦しいが、一応納得したようだから、良いことにしておこう。そこにやって来たのは
「ギルド員さん♪ この間のお礼です」
 来た! 殺人料理。ルンルンが差し出した真っ黒こげの得体の知れない、黒焼き。
「あ、ありがとよ。嬢ちゃん」
 女にだけは優しいギルド員は食べた、それを。迸る苦味の中にささやかな希望、芳しいその甘みは・・・・。
「進歩したな。嬢ちゃん」
「分かるのね、ギルド員さん。この微妙な焼き加減が」
「フ、俺も味皇帝と言われた男だぜ」
 ・・・・お料理バンザイ路線になっている二人は放置して、今回優勝者セシリーのお手製のペリメニを食べましょう。
「ロシアには新年の食卓にある料理が次の1年間の間に食べることができる料理。そんなお話があるそうですね」
 そうだったのか、知らなかった・・・・。
 
 宴は盛り上がる。
 響は、異国の地でジャパンの楽器を奏ではじめる。その旋律は風に乗り会場を包み独特の空気を辺りに撒いている。それを聞いたセシリーは言った。
「かまくらを作りましょう」
 かまくら? その言葉を聞いた参加者たちは、一瞬首をかしげる。
「かまくらか、懐かしいな。手伝おう」
 香月とセシリーの指示を聞き、かまくらを作り出す彼ら。
 小さな雪の家は、酔いの醒めぬ内になんとか出来上がる。
「全員入るには小さいぜ、これ」
 ベアトリスは中に入ったとたんに珍しそうに言った。
 出来上がったかまくら。そのかまくらを背景に、響の曲に合わせて演舞をはじめる香月、夜闇に篝火、雪に人。踊る彼女の影はとても美しい。
 しばらくたったころだろうか、奏でる旋律が止まり、響は皆に言った。

「あけましておめでとう!」

 やってきた新年、いずれまた年はやって来るだろう。
 けれども、次の新年を彼らがともに祝えるかは分からない。
 だから今はこの新しい年を祝おう。
 
 乾杯!

 六つの声が杯を満たし、続く喜びが場を覆った。

「今年もどうぞよろしく!」

 こちらこそよろしく。
 君たちがいるからこそ、今があるのだから。