まるごと課外活動部

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:8人

冒険期間:01月25日〜01月30日

リプレイ公開日:2007年02月02日

●オープニング

 昔々、キエフの近くに一人のまるごと巨匠が住んでいたそうな。
 まるごとの王者と呼ばれたその巨匠は、数々のまるごと衣装を作り出し、世に送ったと聞く。しかし、時は流れ、まるごとを愛好するものたちにその名を忘れられた。

 そして、今。その伝説が蘇る・・・・みたいな。

 キエフのはずれにある、いかにも安っぽい小屋の中に
「まるごとの名を知るものよ来たれ!」
「ただの冒険者には興味ありません。この中にまるごと先生、まるごと将軍、きぐるみマスターがいたら、今すぐ来なさい。以上」
「まるごとの戦いは終わりではないのだよ。まるごとの夢で、まるごとは後10年は戦える」
 など、どこかで聞いたようなメッセージを散りばめた、立て看板が散見している。
「あーあ、部長。やっぱ部員こないね」
 まるごとクマさんを装着した、推定年齢14歳の少女は、溜息をつき話を続ける。
「書記長。諦めてはいかん、今まさに危機が迫っている。まるごと魔王の侵略が間近なのだ。このままではキエフ。いや、まるごと世界に滅びがやってくる。それを止められるのは、まるごと課外活動部『MMO』の勇者たちのみ」
 まるごとおーがを見事に着こなした多分初老の男は、無意味に熱い。
「いつも思うのだけど、MMOって何の略なの?」
「しらん」
「・・・・まあいいや。まるごと戦隊とかも居そうだよね」
「いるなら呼んでみたいものだな。まるごと博士とお友達になりたいぞ」
「個人的な願望は聞いてないの。で、この先どうするわけ?」
「良くぞ聞いてくれた。まるごと魔王を倒すためには、まるごと勇者を作成することが必要だ。そのためには特殊な材料が必要、まずはそれを集めることから始めるのだ」


 『部活動』

 今回の部活動は、キエフ近くの雪山に潜むブラックまるごと団から、聖なる羊毛を取り返すのが目的のようだ。魔王の波動を浴びた黒いまるごとたちは、当然君達の邪魔をしてくるだろう。
 その障害を乗り越え、まるごと勇者復活の第一歩を、来たれ、まるごとたちよ。
 君達の手で、まるごと世界の危機を救うのだ!



入部規則

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

第一条
まるごとシリーズのどれかを必ず着用すること。
無い人には活動中のみ、貸し出します。

まるごとおーが
まるごとどらごん
まるごとホエール
まるごとオオカミさん
まるごとウサギさん
まるごとクマさん

あたりはいっぱいあるので複数貸し出しできますが
他のまるごとは在庫一品ものなので、喧嘩はしないでね♪

特例 
ミミクリーで変身して防寒服を着ているのもとりあえず許可。
獣耳バンドに防寒服も、まあいいかな。

第二条
もれなく、まるごと部員の証「バッジ、腕章、ワッペン」(称号)などがもらえますが
いらない人は返却しましょう。

第三条
活動中はみんな仲良く。

第四条
まるごと世界の危機を救う意気込みを忘れない!

注釈
一応戦闘はあるようですが勝っても負けても、怪我はしません。
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●今回の参加者

 ea0639 菊川 響(30歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea3190 真幌葉 京士郎(36歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea6251 セルゲイ・ギーン(60歳・♂・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea9114 フィニィ・フォルテン(23歳・♀・バード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 ea9128 ミィナ・コヅツミ(24歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb5763 ジュラ・オ・コネル(23歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb5967 ラッカー・マーガッヅ(28歳・♂・クレリック・エルフ・ノルマン王国)
 eb6853 エリヴィラ・アルトゥール(18歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・ロシア王国)

●サポート参加者

ゴールド・ストーム(ea3785)/ シャルク・ネネルザード(ea5384)/ キルト・マーガッヅ(eb1118)/ 理 瞳(eb2488)/ シャリン・シャラン(eb3232)/ フィーネ・オレアリス(eb3529)/ ルイーザ・ベルディーニ(ec0854)/ ユーリィ・マーガッヅ(ec0860

●リプレイ本文

●OP

 さあ、みんな楽しいまるごとの時間だよ♪
 今日からはじまる新しいまるごと物語に期待、え、誰も期待してないって
 えへへ、照れちゃって、じゃいってみよー。

 オープニングを飾るのは、お耳を髪で隠したキュートな女の子

「ふぃにぃです♪ まるごとって本当にいいですよね♪」
『よね♪』
 のフィニィ・フォルテン嬢(ea9114)&リュミィちゃん、そしてまるごとダンサーズだ。
 よーしレッツまるごと!!


「ミンナまるごと」 詩・おうた フィニィ・フォルテン
 
 みんな仲良く 歌いましょ
 おてて繋いで 笑いましょ
 まるごと 着てれば お友達
 元気に 明るく 遊びましょ

 いつも一緒さ 僕の傍
 ずっと一緒さ 君の横

 まるごと まるごと にっこり まるごと
 まるごと まるごと にっこり
 いつでも 笑ってる
 まるごと まるごと ふかふか まるごと
 まるごと まるごと ふかふか
 みんなを 包み込む
 まるごと にっこり にっこり まるごと
 まるごと にっこり にっこり まるごと

 まるごとゲッチュ(コーラス)

※繰り返し


「出演」

☆まるごとシンガー

 フェレット(フィニィ・フォルテン)

☆まるごとダンサーズ
 
 こまいぬ(菊川 響(ea0639))
 ハトさん(真幌葉京士郎(ea3190)
 ホエール&ぺット(セルゲイ・ギーン(ea6251))
 トナカイ(ミィナ・コヅツミ(ea9128))

☆まるごとコーラス
 
 わんこ(ラッカー・マーガッヅ(eb5967))
 雪だるま蝋燭(エリヴィラ・アルトゥール(eb6853))

☆まるごと仮面
 
 まんげつ(ジュラ・オ・コネル(eb5763))
 
☆まるごとエキストラ 

 ダンス指導、シャリン・シャラン
 スノーマンの血族、フィーネ・オレアリス
 貸衣装、キルト・マーガッヅ
 屋根からずっこけ、シャルク・ネネルザード
 無意味にツン、ユーリィ・マーガッヅ
 片言変人、理瞳

●「第一話 その名はMMO」前編

 オープニングダンサーに不合格だった部長であったが、書記長のフォローによりなんとか背景の一部として登場することに成功した。だからどうしたいわれても困るがここはまるごとワールド、気にしてはいけない。ということで、少しの間二人の小芝居に付き合ってもらおう。

 おーが部長は、部室の中央に配置された机での上に意味も無く両手を組み座ると、書記長を睨んでしかめっつらだ。
「部長!」
「問題ない」
「入部希望者がきたよ」
「そうか、計画通りだ」
「・・・・その一世紀ほど前の鬱な劇もどきは何なの、今時の良い子には分からないよ」
「問題ない。全てはまるごと補完計画の、うぼぉ」
 書記長の後ろ回し蹴りが部長に見事に入った。
「そういう小ネタは時間の無駄なの、ほらさっさと挨拶しなさいよ」
 こうしてクマ書記長のお力により、部長と新入部員は顔合わせをするのだった。

 ★★★

 まじめに紹介しようと思ったけど、見渡した感じそれってムリ、ほどほどにいくっす。
 とりあえず、書記長が皆に挨拶しました。 
「ってことで、皆さんMMOへようこそー、私が書記長のクマです。よろしく」
「ジャパン代表、菊川響こまいぬで推参」
 鴨な響はジャパン代表なのね。というかなぜ彼は鴨なのだろう、きっと葱と関係があるのかな。
「この地に渡る際、友より送られたコレが役に立つ日がこようとは、あいつの先見性、改めて感服する」
 と、頷いているのはまるごとハトさんを着用した真幌葉京士郎だ。というかあいつって誰? 気になるよ。
「破壊じゃ、破壊」
 お供の妖精では飽き足らず、ゴーレムにもまるごとを着せているお爺さんがいる。名前はセルゲイ・ギーン。彼はホエール着用。目からビーム! キャメロットから着ぐるみ戦隊を連れてきて、まるごと大決戦? だ。
「こ、これはまるごとどらごん!あっちにはホエールに・・・・にウサギさんが♪」
『さんが♪』
 と、言いつつ部室のまるごと倉庫でおめめを輝かしているのは、フィニィ・フォルテンとお供のリュミィ。
「ミニミニうさぎさん狩りまーす」
 狩り・・・・まあいいや。ということで、リュミィたんは兎妖精になりました。
「はい、部長さん。みんなもにゃーす☆」
「にゃーす」
 にゃす☆普及の会、会長。ミィナ・コヅツミ(ea9128)は、にゃーす挨拶を世界に普及する活動を行っている、多分。
「まるごと世界の同志として一緒に頑張りましょう♪」
 そして、きらめく視線でおーが部長と熱い握手を交わした彼女だった。
「にゃーす!」
 と遅れて答えたのは、変態仮面。ではなくて、ジュラ・オ・コネルである。彼女は誰が呼んだか『まるごと剣士』しかし、今回はイカシタ仮面をかぶっている。なんとお呼びすればいいかしらね。とりあえず、まるごとムーンで妥協。このさい月にかわって仕置きでもしてもらおう。
「スケッチ、スケッチ、ランランラン♪」
 マーガッヅ家、色物担当と推測されるラッカー・マーガッヅ君がお絵かきをしている。物凄く嬉しそうだ。モデルはそこら全員だが、よくみると、さらに変なエリヴィラ・アルトゥールさんが部長に一礼して仁義を決めている。
「キエフに咲いた一輪の花もとい雪ダルマ、でも夏場になると溶けちゃう雪蝋燭エリヴィラです、今回は宜しく!」
 エリヴィラたん・・・・また大人の階段を登ったわね。彼も泣いて喜ぶわよ。何のことか理解していない君に説明しよう。このお嬢は彼氏もちだ、さあ羨め、愚民どもよ! ひざまずけ恋愛弱者たち、うははは。何か口調がエキサイティングなのは、愛嬌、愛嬌。
 ということで、皆揃ったみたい。
「よくぞ揃った、MMOの勇者たち。朕はまことに嬉しゅう思うぞ」
 部長は、まるごと皇帝に着替えたようだ。当然、書記長もまるごと華国、スリットが良い。
「そこの素敵な華国のお嬢さん、詳しい話をお聞かせ願えないかな」
 書記長に微笑みかける京士郎だったが。
「後編に続く♪」
 
●幕間

「ふぃにぃと♪」
「ミィナの☆」

『まるごと大好き!!』 

 この幕間は、ジ・アースに住むまるごと愛好家の心に発信されております。
 受信するために必要なのは、まるごとの愛、ただそれだけのようです。 

【今回のテーマは、MMOの真相について】

「ゲストはMMO部員のみなさんでーす」
『でーす』
「みんな、にゃーす☆」
「にゃーす」
 ザワザワ・ザワザワ。
「秘められたまるごと伝説・・・・解明してみせる」 
「魔王はいったいどこだ?」
「ふぉふぉふぉ、皆元気じゃの」
「月に変わって」
「そのまま動かないでくださーい。スケッチぶれる」
「こんな姿見られたら恥ずかしいよ」
「にゃーす。錯綜しているけれど拍手」
 パチパチパチ。
「ということで、フィニィは、MMOって『みんな まるごと おともだち』だと思いますみんなの意見は」
『意見は?』

 どうやら、順番に意見を言うことになったらしい。
 こまいぬ→ハトさん→ホエール→まんげつ→わんこ→蝋燭雪だるま

「めざせまるごとおりじなる! 自分だけのオンリーワン」
 こまいぬは、なにやら胸を張っている。  
「まるごとマックスオーラ、愛は世界を救う」
 ハトさんは、やはり愛の象徴なのかもしれない。
「未来を まるごと楽しむための 俺たち冒険者の団」
 ホエールのは、ちょっと長い。
「マイティマックスオーケストラよ!」
 人呼んでまるごとムーンは、もう帰ってこれない場所にいる。
「毎日まるごと応援団 舞えよ回れよオルゴール まるごと満喫オンパレード♪」
 わんこのは、エンディングテーマに採用かな。
「めちゃくちゃ・まるごと・お似合い団!」
 そう、蝋燭がとてもお似合いだよ。ふふふ。
「いろいろでたけど、私はまるごとを・まるっと・おすすめしていき隊です。そしてちまっと人形プラス」
 トナカイのミィナは、何か自分に似たちっこい人形をぶらぶらさせて言った。
「ちまは可愛いです」
『です』 
 この勢いで突っ走ろうと思っていたよ。でもね、色々事情があってそろそろ後編へ進まないといけないのさ。
 つーことでそろそろ締めをクマ書記長に
「まるごと大好きは皆さんの愛情によってテイクオフされています。MMOでは、まだまだ新入部員を募集中、君もこの幕間へ登場してみよう!」
 なんだかよくわからないが、そういうことで幕間しゅうりょー。で、結局MMOって何なの?
「MMOは、皆の心にあるのだ」
 この部長の一言をもって後編のはじまり、はじまり。 

●後編
 
 状況を半分忘れてしまったが、MMOはブラックまるごと団の住むという雪山へやってきていた。途中、道に迷いそうになった彼らを助けたのは左手てぶくろ、残されし最後の援助部隊ゴールドの誘導であった。
 強い吹雪、しかしまるごとを着た彼らにはあまり関係がない。
「なあ、ハトさん」
 吹雪く山を仰ぎ見て、こまいぬが呟いた。 
「なんだい、こまいぬ」
「まるごと魔王って何なのだろうね」
「さあな、だが世界滅亡の危機とあっては捨て置けない」
 ハトさんは、手? というか翼を握り締めた。
「ああ、分かったぞ、魔王もまるごとだ! となると聖なる羊毛を欲するブラックまるごと団こそが伝説のまるごと職人集団だったんだよ」
 こまいぬの推論は、嘘のようでそれらしい気もする。
「って、そこで黄昏てる二人、危険だよ」
 蝋燭の意見の通り、遠く背後に黒いまるごとたちが迫っている。
「ほらほら、こんなに可愛くてかっこいい姿になれるんですよー♪」
 せまる敵をわんこがスケッチした二頭身まるごと絵と見せつつ
「あなたたちの悪さで、あなたたちのまるごとが泣いてる! もうこんなバカなことはやめて!」
 蝋燭の説得、しかしブラックまるごと団はのしのしと進んでくる。
「戦うしかないのね・・・・」
 
 これよりMMOの戦いが始まった!
 
 ちゃららーん、さっそく変な二人が雪山をバックに立っている。
「まるごと世界を救うため、まるごと魔王の野望を打ち砕く美少女戦士まるごとムーン! このまるごとのかがやきを恐れぬのならば、かかってこい!」
「魔王の黒き波動に染まりしまるごと達よ、世界をお前達の好きにはさせん! この、リュートを持った渡り鳥がな」
 ポーズを決めたまるごとムーン&胸にリュートを抱き羽付帽子を作って格好つけたハトさんは、小高い雪の丘に立ち黒いまるごとを指差し叫んだ! ハトは渡らないって突っ込んでほしい気分ありありですか? とりあえず、いきなりクレイジーな奴らの登場だ。
 いや、それだけではない、眼下にはまたもや
「キエフに咲いた一輪の花もとい雪ダルマ、でも夏場になると溶けちゃう雪蝋燭エリヴィラ登場!」
 かっこよさげな口上だが、ニ歩でコケた。
「え、聖なる剣よ、あたしに力を!・・・・って、あ、あれ?」
「こけたーたてないー! 誰か助けてー!!」
 魔法少女の枝を握っている蝋燭さん動けない、彼氏に助けてもらおうぜ! 

 戦いはそろそろ佳境? なのかな

 ぐぉぉん、破壊光線を発射してる巨きな神兵みたいのがいるんですけれど、ホエールさんのゴーレムでしょう? 敵も味方もなぎ倒してますよ。驚いたホエールは思わず無駄なのを知りつつお供のフェアリーに命じます。
 
「ラズリ、止めるんじゃ」
「バカ、しらないわよ」
「いや、そんなこと言われてもな」
「うるさいわね、爺がいけばいいでしょ」
「フェアリーって結構話せるもんなんじゃな」
「今だけよ、べ、べつに、標準仕様じゃないんだからね」
 ・・・・とりあえず、ぐぉぉん。
 メカボーグなハトさんは加速しつつ羽で敵を更正しまっくている。
「MMO奥義が一、ラブアンドピース。さぁ、今こそ愛と平和の心を取り戻せ」
 その横で、トナカイさんが
「ひっさつ、着ぐるみヘッドパットー! 絶対まるごと聖域展開」
 なんとなく、MOフィールドとか名づけておこう。
 つーことで、戦いはカオスティックに進んでいた。
 その様子を嬉しそうにスケッチしているわんこ、そして場の喧騒が少しおさまったころ。一人まるごとが前に歩みだして言った。
「みんな、たとえ悪い事をしててもまるごとを愛する気持ちはなくしていないはずですよね、だからきっと仲良くなれます♪ 思い出してください、みんな仲良く過ごした日々を♪」
『日々を♪』
 フェレットはそう言うと、みんなまるごとを口ずさみはじめる。それに合わせてトナカイもダンスを始めた。
「なあ、皆あったかいは幸せ、それは世界共通だろ? 皆一緒なら、もっとあったかい。さぁ目を覚まして共にまるごとを広めよう!」
 こまいぬの訴えは、はたしてブラック団に届いたのか!!
 
●ED

 元ブラック団のアジトに招かれたMMOたち。そこでトナカイさんのお弁当を一緒にたべながら歓談しているようだ。どうやら、まるごとの愛は彼らに通じたらしい。
「美味しいですねー」
『ですね』
 そのほんわかムードの中、追いかけっこしているのは
「ちょ、ちょっとわたしは羊じゃないわよ」
「ふわふわのもこもこー」
 ホエールのお供のラズリが、トナカイさんに追われている。聖なる羊毛と勘違いされたようだ。
「はーい、記念絵描きをしまーす。動かないでねー」
 わんこは、今回の記念にみんなの絵を入念に書き始めた。最初から最後までお絵かきが好きな栗ネズミわんこである。
「よーしかえって、看板にジャパン語でまるごと宣伝だな」
「うん、まるごとは世界の合言葉。まるごとは世界を救う! よね」
 こまいぬとに蝋燭の言葉にみんな頷く、そんな中でなぜか苦痛の表情を浮かべているのは、ハトさんだ。
「うぉ、しまった。こ、これはこむら返りか・・・・マックス活動の反動か。みんな、京士郎みたいにならない為にも、部活の前にはしっかりと準備運動しようね♪ や・く・そ・く」
「次回も、まるごとムーンの活躍期待してね!」
 そろそろ戻ってこないと普通の冒険ができなくなるよ、ムーン。
 ということで、MMOは聖なる羊毛を無事取り返したのでした。

●魔王城

 どこなのかはよく分からないが、無闇やたらに暗い広間に奴はいた。
「魔王さまー」
 目の前のでかい玉座には、巨大漆黒まるごとに身を包んだまるごとがいる。
 そこへ走ってくる、魔女っぽいまるごとを着た、ちびっ子が一人。
「ウィッチ、廊下は走らないと教えたであろうが」
「そうでしたー。って、そんな冷静かつ余裕かましてる場合じゃないよ」
「いちいち言葉に毒がある奴だ。報告しろ」
「羊毛がとられた」
「フ、想定内、想定内。次は光の織機を奪うつもりなのだろう。そうはいかぬ、ダーク四天王の一人、真っ黒卿をすでに召喚した。もはやMMOの命運は風前の灯火」
「魔王さま、セリフ長い」
「悪役のさだめだ」
 割と性格が良い感じのする魔王だが、とりあえず敵は敵である。
 MMO最大の敵がこうして姿を現したのだった。


 了