魔女のアルペジオ

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:11〜lv

難易度:やや難

成功報酬:9 G 63 C

参加人数:7人

サポート参加人数:1人

冒険期間:03月18日〜03月24日

リプレイ公開日:2007年03月26日

●オープニング

●森の魔女

 キエフから西、歩んで数日離れた開拓村の近くに、フォークロアという名の森がある。 
 その森には一人の魔女が住む。魔女は二頭の狼を友に生きるとも聞く、狼の名をジラニィとナジャール。
 これより語るは、村に住むとある少年その魔女の家を訪ねた後の話。
 少年は夢を追い、道を進む。女は過去をたゆたい、森に潜む。時は螺旋の向こう、戻らぬ残滓の果てに魂の共鳴がある。ゆえに織り成す想いの扉を今、静かに開こう。  

 
●フォークロアの森

 この地域では、魔女は蔑称である。自ら魔女を名乗るのは禁忌に近いものだ。
 言うならば、何かしらの罪を犯したものか、それ相応の事件を起こしたものなどが後ろ指さされる存在としての呼称、とも言えるかもしれない。
 しかし、あえてそれを自ら名乗る者もまたいる。この森に住む魔女のように・・・・。

 幾年ぶりの来訪だったろうか。
 彼は彼女の家を訪ねた。逆らえない運命というものがあるのならば、きっとそれは必然というものかもしれない。翻したマントは蒼黒、腰に湾曲した鞘を立たせ、陽に影を伸ばした男は迎えた狼に微笑み撫でた。
「無事、息災のようだな」
 答えるかのように、黒い狼は森の奥へと彼を誘う、奥に住むのは彼の主ある魔女の館。望まぬものとは誰とも会わず、ある意味神秘の対象となった彼女の家。
 男は面頬を上げると、冷たい空気の中で素顔をさらした。普段は表情を伺えぬよう隠す彼にとって、息苦しさから解放された瞬間でもある。
 進んだ先、その扉は時に経ても変わらずあった。確かめるように数度軽く触ったあと、強く叩く。
「おはいり」
 掛けられた声、開いた扉の先に、そこに在ったのは何も変わらない彼女の姿だった。
「未だに、このような辺鄙な場所に隠遁か?」
「久しぶりだというのに随分な挨拶だね。あんたこそつまらない復讐を追っているのだろう」
「お互い、過去に縛られ続けているということだ」
「汚れた手が清くなることなどないさ、時がいくら経ってもね」
「相変わらず感傷的だな。だが、そういうところが気に入っている」
「そりゃありがたいね」
 何気ないやり取りの中、言葉に忍ばす過去の記憶。
 二人の再会であった。

●暗い底

 闇でまどろみ、それは思った。なぜここにいて、これからどこにいくのだろうか?
 翼が痛い、鼓動は疼く。きっと目覚めの時は近いだろう。
 そう、暗い底で静かにそれは蠢いていた。
 

●ギルド

 中年ギルド員は、ギルドに届けられた手紙に二度驚いた。
 一度目はそれを運んできたのが狼だったという話を聞いたこと。
 もう一つは、その内容が。

「封印されていた悪魔が目覚める。退治を頼む、場所を指定した村に関係者を派遣した」
 
 それだけしかなかったことにだった。


冒険情報
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●目的

 「封印されていた悪魔が目覚める。退治を頼む」

 の通りです。

●場所

 キエフから徒歩で一日半から二日弱、馬車で一日強の村の近くにある森、その奥にある洞窟
 が目的地となります。


●準備したほうが良いもの
 
 判断はお任せします。


※登場人物

 ■森の魔女 

 フォークロアの森に住む魔女。この依頼の依頼人のようですが、今のところ
 彼女と直接会うことはできません。

 ■蒼黒の騎士

 蒼い鎧の騎士、名前はゼロサムと名乗っています。村で待っているのは彼です。

 ■赤毛のアレク

 村に住む少年です。魔女の使いに頼まれたらしく、情報の繋ぎ役をします。


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●今回の参加者

 ea0042 デュラン・ハイアット(33歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea8769 ユラ・ティアナ(31歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb1052 宮崎 桜花(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2918 所所楽 柳(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2919 所所楽 柊(27歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 eb5856 アーデルハイト・シュトラウス(22歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 eb9405 クロエ・アズナヴール(33歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)

●サポート参加者

キドナス・マーガッヅ(eb1591

●リプレイ本文

●道

「悪魔と戦うのも冒険なら、世界を牛耳るのも私の役目だ」
 金髪の魔術師デュラン・ハイアット(ea0042)は、半ば本気でそんな科白を口にしつつ翻したマントを風になびかせ洞窟への道を進んでいる、相変わらず無駄に偉そうだが、なぜか姿は聖職者風なのでかなり変だ。
 その姿を嘆息しつつ見る彼女。 何度か見慣れたとはいえ、その態度に呆れ半分おかしさ半分でユラ・ティアナ(ea8769)は様子を観察している。
「それにしても、ロシアに来てまでデビルなんて、つくづく私は、悪魔に縁があるというか、なんというか・・・・」
 自嘲するように笑うユラは、デビルと死闘を繰り返した過去があるらしい。
「そう、大変ね」
 ユラの隣を歩いていたアーデルハイト・シュトラウス(eb5856)は、ぼんやりと気の無い返事を返した。どうやら、ちょっとした手違いもあったのか、今回少し不機嫌のようである。
「冷たいなあ。いつもより三割増しくらいクール?」
 ユラの突っ込みにもアーデルハイトは、にこりともしない。
「アーデル嬢は、ギルドの依頼関係で色々あったようだよ。もしかして結構天然さんなのかもね」
 所所楽柳(eb2918)の言葉に、アーデルハイトはちょっと恥ずかしいのか、歩調を速め、そそくさと一人先に行ってしまった。
「って、柳姐。何言ってるか分かんない。通訳してくれよ」
 やりとりを見ていた柳の妹の所所楽柊(eb2919)。彼女は、今回遥々ジャパンからやって来ているようだ。女性らしさよりも、中性的な雰囲気を感じる。所所楽家の女性は、比較的男勝り多いのだろうか? 母親は別として。
「ってなんで柊がここにいるの?」
「あぁ? 人が足りないから来てやったのに、その態度はなんだよ!」
「デビルなんて、僕一人で十分」
「もしかして、喧嘩売ってるわけか」
 ロシアにやって来てまで、姉妹喧嘩とは仲の良い二人だ。 
「よく分かりませんが、微笑ましい姉妹ですね」
 じゃれあう二人を、のほほん眺めている彼女の名は、クロエ・アズナヴール(eb9405)。黒髪の女重戦士。
「仲が良いのとは、違うと思います」
 一見すると子供のようにも見える彼女、宮崎桜花(eb1052)は、ジャパン語で言い争っている柳と柊の内容を通訳するか迷いつつも、今回の倒すべき敵であるデビルについて想いを寄せ、自らと縁の深いある少女の姿を思い浮かべていた。
 そんな彼らの後ろを黙々と付き従う騎士は一人、何も言わずただ雪の道を進む。
 目的の洞窟は近づいている。戦いの序曲は、今まさに始まろうとしていた。


●陽炎
 
 暗き闇に映るは光の灯火。
 デュランは自らの視界に入ったそれを見て不審を感じていた。予測よりも数が多い。数体の反応は、どれも話に聞いた悪魔らしい生物のように見える。
 だが、ここで迷っていても無駄なこと、素早く先手を取るため彼は電光の呪文を唱える。光は闇を裂き、目標たちを切り裂いた。続けざまに彼は、後衛に控えていたメンバーに合図を送った。
 剣を抜いた前衛。桜花は雷撃の刀を抜くと構える。
 補助の魔法を唱えはじめた柳。
 一瞬の緊張の後駆け出す戦士たち、闇を照らす篝火に現れたのは、翼をもつ犬のような獣。地を這うそれは、迎え討つかのように呻くと牙を剥く。
 姿を確認し振るう剣、しかしそれを避ける動きも、ろくにせず剣の洗礼を受ける獣たち。何かが違う? 
 前衛に立つ、クロエ、桜花、柊、アーデルハイトはあまりの手ごたえのなさに驚いていた時、後衛では。

(お前は、何のためにここにいる)
 柳は背後から、その囁きを聞いた。どこか遠くから聞こえる、声ならぬ音。
(何も守れず、何も救えず。過去にずっとしがみつくのだな)
 僕は、後悔なんてしていない。だからここまでやって来たのに。
 心の中で精一杯否定する。例え・・・・偽りだとしても。
(抗うな。さあ、自らの罪を贖え。血に染まった因縁、絡んだ糸を断ち切るがいい)
 痛みの甘い囁きに柳は剣を抜くと、振るった。
「後ろ!?」
 気配を感じたユラが振り向くよりも早く、陽炎のような黒炎の球が挑発するのごとく舞い上り洞窟の入口付近を塞いだ。

  
●心の鏡

 いったい、何のために戦うのだろう。
 暗闇に淀む炎は、その意思に関係なく燃え上がる。たゆたう過去に眠っている間は、誰しも自分を否定するつもりなど無い、それは許された贖罪だ。
 だが、影は誘うように傷跡を抉り歌い始める。
 心の鏡、そこに弾ける音は重なりあって和音を奏でるだろう。そのアルペジオは音の数だけ不幸を呼ぶ、呼んだ先にあった未来は・・・・滅びだ。
 痛みに気がついたクロエは自らの手が赤に染まっていることに気づいた。
 暗闇に揺らめくランタンの灯り、ここは洞窟。そして彼女はデビルを退治しに来たはずだった。だが、彼女の視線の先にあるのは魔術師の姿。魔術師は己の流した血溜まりに倒れている。
「二度堕ちよ」
 クロエに向き、鷹の翼を背に生やした獣はそう言うと、嘲るように一声吠えて消えた。

「やってくれるわね、同士討ちなんて・・・・これだからデビルは」
 味方の攻撃を回避しつつ矢を放ち呟くユラ。だが、撃った矢は黒炎の壁の前にして、無残にも落ちる。デュランを失い不意を突かれた今、消える姿を視覚で追う手段は、ほぼ失せた。

 心は鏡。光と闇を内包したそれに、誰しも闇を内に隠す。誰であろうとその囁きから逃げられぬ。
(大事なものを奪ってやろう。堕ちていく少女などはどうだ。可愛い花も枯れてしまうくらいなら、いっそ摘んでしまうのが慈悲というものではないか?)
 桜花は、囁きに抗しようと過去の思い出に縋る、あの日々。彼女と冒険した日々は
(お前何のために一緒にいるのだ? いつか壊れるくらいなら、いっそ)
 違う、違う、違う、違う、私は、好きだから。
(愚かな。さあ、彼女の敵はそこにいる。行って自らの手で障害を消すがいい)
 雷の剣を握り桜花は斬りかかる。

 騎士は、ユラを守るかのように立つと言った。
「正気なのは、どうやら我々だけのようだな」
「私、デビルとは腐れ縁だから・・・・あんまり嬉しくないけど」
 自嘲するかのようにこぼし、肩をすくめたユラは続ける。
「皆、ちょっと痛い目に合わせれば目覚めるはずよ」
「承知した、傷つけても構わないのか?」
「そんなこと言ってる場合じゃないもの。目を覚ましてあげて」

 痛みに気がついたアーデルハイトは、自らの現状に気づくとそれを恥じた。デビルの誘惑とは言え、抗すことができなかった自分を許せなかったからだ。
 シュトラウスの名に賭けて、この恥辱は忘れるわけには行かない。彼女は剣を握り締めると悪魔の姿を追う。
 同じく正気に戻った柊は、ぶつくさ言いつつ、柳に後でなんと言い訳をしようか考えていたが、どうやら柳も同じく惑っていたことに気づき、内心ほっとしつつ
「何か腹立つし、そこの雑魚きえやがれ」
 とばかりに、目の前にいる悪魔もどきへ思いっきり武器を振り下ろした。

 彼は、楽しんでいた。
 久しぶりに目覚めてみれば、このような座興。脆弱なる者どもを弄ぶのは無常の悦楽。争え、争え、争いを見ることこそ、我が望み。彼は止めを刺すべく姿を現した。
「馬鹿にするのも、大概にしなさいよ」
 ユラは悪魔を追い、続けざまにつがえた矢を放つ。その間に正気に戻った柳はデュランの元に走りより、ポーションで回復する。回復したデュランは、いつもの十倍ほどの気迫で
「このデュランを地に這わせた代償は大きいぞ、下郎め。普段は良い子のヒーローデュラン様だが、時に地獄の使者デュランの力を見せてやろう」
「デュランさん・・・・何か怖い」
 柳はデュランの口上を聞きつつ、内心ちょっと脅えながらも彼の背後を守っている。デュランは制限を解除したかのごとく魔法を連発し始めた、その魔法の前にデビルを模した疑似デビルはことごとく灰となる。

(幕を引くつもりが、とんだ道化ですね)
 強く束を握り、怒りを堪えたクロエは、無言のまま。目の前のデビルに向かって無心に強力な一撃を振るう。一度は魔力によって阻まれた一撃だったが、素早く持ち替えた短刀によって傷を負わせることに成功した。
 傷ついたデビルは、焦燥と不安を感じはじめていた。
 傷は浅い勝てぬ戦いではない。だが目覚めたばかり、あえて危険を犯す必要もない・・・・。
 そう感じた彼は決断した。
 燃え上がる黒き球。何者もの攻撃も通さずくぐるものに痛みを与える結界は、飛ぶ矢、剣、魔法も阻む・・・・その影に隠れた悪魔は、次に。
「逃がさないで! 変身して逃げる気よ」
 ユラが叫ぶ。しかし時すでに遅い。
 羽ばたく小さなそれは、いずこかへと飛び去っていった。

●反省会

「さて、至高のデュラン様を血だるまにして活躍の機会を奪った柳とクロエ。お仕置き決定。後で私の部屋に来い」
 村に戻ってきた彼ら。怪我は手持ちのポーションを利用して治したが、心の傷はちょっと痛い。
 今回の悪魔退治の失敗を省みるという事を理由に、酒場でちょっとした反省会のようなことをしているようだ。 
「デュランさん、それって色々危険な発言よ。しかし変わり身戦法なんて姑息なデビルね」
 ユラは、半ば自棄気味に酒をあおっている。
「魔物も、東西の洋が違うと色々変わるもんだね。犬が飛ぶなんてさ」
 柊も一緒に飲んでいる、思ったよりも陽気だ。
「あれは犬ではない、カークリノラース。別名グラシァラボラスというデビルだ」
 騎士が淡々と言った。
「知ってるなら最初から教えてくれてもいいじゃないの。私はイギリスに居た時に出会ったあいつかと思った」
「あいつ? 意味深な感じね。ちょっと聞きたいわ」
 ユラの言葉にアーデルハイトが反応した、彼女も色々あって自棄酒かもしれない。
「話すと長くなるし、今夜一晩は語ることになるわよ。まったくデビルなんて」
「私もデビルは嫌いです、そして今回のことで、もっと嫌いになりました」
 ちんまい人形と少女の姿を思い出しつつ、桜花も言った。
「けれど、どうして僕たちの存在に気がついたのだろう?」
 柳の問いに答えたのは
「どうやらあの分身たちは、変身させられていた下位のデビルらしい。そのあたりから考えるに、使い魔に周辺の偵察させていた時、ちょうど我々がやってくるのを見つけ、おざなりの罠をしかけた。そんなところかも知れない。自分は虫にでも変身して背後から様子を伺っていたのだろう」
 相変わらず淡々と騎士は答える。それを聞いた柊は
「どっちにしろ逃がしたことには変わりねえしさ。今日はとことん呑もうぜ」
「でも、一応反省会だしね」
「そういや柳姐も、仲間に斬りかかってたよな〜」
 柊の挑発に柳は乗りかかったが、冷静に。
「まあ、どこかの誰かみたいにさ、壁を槍で突いたりするよりマシだよ」
「・・・・不意討ちじゃなきゃ、魔法もちゃんと掛けて、あんな子供騙しなんてよ」
「負け惜しみ」
「うっさい」
 またもや、仲良く姉妹喧嘩? を始めた柳と柊。桜花はそれを横目で見つつ、自分も斬りかかったことを忘れてしまうために飲み物に口をつける。とにかく、逃がしたデビルがキエフで悪さをしなければいい。桜花は一気に飲み干したそんなことを思った。

 宴は続いている。
 デュランは、やはりくやしかったのか、アーデルハイトを意味もなくからかってはみたが冷たく返されたので、ユラと一緒にデビル撲滅宣言をテーブルに彫りこんだあと、情報を出し惜しみした騎士に文句をずっと言っていたのようだ。
 柳と柊は一時休戦後、ジャパンの所所楽家の現状と今後について情報交換していた。
 そんな何かを忘れるかのように騒ぐ仲間たちを後に、酒で火照った頬を冷やすつもりで外へ出たクロエを月が出迎えた。
 振るった剣の感触からして、倒せない相手ではない。悔しさ、醜態を晒したことに対する憤りもある。だが、それよりもあの囁きに過去を思い浮かべた自分を許せなかった。
「まだ、未熟ですか・・・・」
 呟いた彼女は空を見上げる、綺麗な月夜だ。今頃逃がした悪魔もどこかでそれを見ているのかも知れない。
「風、心地よいわね」
 その声に振り返った先に、アーデルハイトの姿があった。
「アーデルハイト君ですか、酒盛りは終わったのですか?」
「まだ続いてるわよ、これから天罰開始と騒いでいたわね。そういえば、呼んでたわよ彼」
 話に聞くと、デュラン様直々の罰ゲームらしい。
「それは、愉快です。ご心配なく罰は罰ですから、きちんと参加しますよ」
 苦笑を浮かべるクロエ。
「律儀なのね、私は少し散歩してくるわね。皆に宜しく」
 アーデルハイトはそう言うと去って行く。彼女の内部にも複雑な想いが交錯していた。けれど、あえてそれを一切出さず、彼女は一人夜闇を彷徨うのかもしれない。
 見送ったクロエ、そこへすれ違いざまにやって来たのは
「クロエ嬢! デュランさんがご立腹だよ。早くしないと酒場で暴れそうな勢いだから、急いで、急いで」
「やれやれ、悪魔だけでも大変だというのに・・・・今行きます」
 逃した悪魔、それはいずれまた現れることもあるかもしれない。
 今度会ったら、負けません。
 クロエは心の中で一度そう誓うと、宴の席へと戻って行くのだった。
 
 ちなみに、デュランの罰ゲームがなんだったのか?・・・・・・それは皆さんのご想像にお任せしよう。

 了