狼の騎士
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■ショートシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:6〜10lv
難易度:難しい
成功報酬:5 G 94 C
参加人数:10人
サポート参加人数:3人
冒険期間:05月21日〜05月27日
リプレイ公開日:2007年05月29日
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●オープニング
●バルタザールの悔恨
バルタザール。
悔恨を担う男は狼が騎士の一人。朱色の鎧を着込み、戦闘用にあつらえた特殊馬戦車に乗り込み大斧を振るうドワーフ。
主の命を受け、陣取る彼が率いる騎士団は遠く彼方、狼の地よりやって来た。
「皆の者聞くがいい。主は混乱に乗じ、この地にさらなる混沌をもたらすことを望んでおられる。主命であれば その命が何であろうと従うのは、戦場の騎士である者の務め。我らは朱の爪、赤き牙、夕陽落ちる場に集うヴォルグ。なればこそ全てを血に染めあげ暗き淵に沈め進まん」
ヴォルニ領主、アレクサンドル・ヴォルニの命を受け、王都を目指すため機をうかがっていた狼達は、キエフでこれより起こるであろう、大罪の祭りに参加するため、はせ参じる。
ウラジミールとラスプーチンの間に生まれた確執がなんであれ、このまま微妙な駆け引きが続くわけもなく、両者ともにその意思も・・・・おそらく無い。
矢は今まさに放たれた。
仮初の平和に見せかけた祭りなど所詮、現世に咲く仇花の一つ。世の天秤は力をもって傾けるもの。だからこそ雄たけびをあげ騎士は進む。
「剣を抜け、餓狼ども。お前たちの力をキエフの腰抜け貴族どもに見せつけてやるがいい」
斧を掲げ指し示したバルタザールの前に、王都への街道が見えはじめていた。
●蜂起
近付く祝祭に沸く王都とは裏腹に、嵐はすでに巻き起こり始めた。
反王派と目される、地方領主の軍は王都に迫っている。各大公はこれを黙認するか独自に介入するかの選択に迷っているようだが、その意思はこのさい置いておこう。
現実問題すでに、王都周辺に各地の小領主の軍が迫っている今、迎撃に向かう一軍に依頼を受けた冒険者の姿もあった。
今回の作戦
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「地域地図」
王都侵攻迎撃戦 天候・曇り
■■■■■■■■■■■■■
=3▲==========☆
××▲××‖××2▲××××
××▲××‖×××▲××××☆
●=▲==‖========
××▲××‖×××▲××××☆
××▲××‖××1▲××××
==▲〇=========☆
■■■■■■■■■■■■■
←至 キエフ
「表示記号」
☆ 推定、敵軍布陣
〇 自軍 黒は本隊
■ 遮蔽物・障害物
=‖ 道
× 平原
▲ 柵 (破壊可能)
数字 配置可能位置
左端 最終防衛ライン
索敵情報
数は相手は四個小隊、こちらは二個小隊と遊撃隊、今回の作戦目的は防衛。
銀狐の主力は戦士と弓兵、敵軍は騎兵を主とした構成、本隊と思われる部隊は、特殊な馬戦車を指揮車とする重騎兵の集団のようだ。そのため並の歩兵では敵本隊には歯が立たない。
歩兵主力の銀狐は相性と数からして不利だが、狐の本隊は長槍兵主力のため、騎兵に対する防衛戦では優位といえる。
冒険者は遊撃部隊である。なお、主力がどこから来るかは今のところ不明。
配下として一人頭5人程度の兵がつく、兵種は戦士と弓兵のどちらか一種。
配置位置は、個人ごとに選択可能。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●リプレイ本文
●報告書
キエフより離れた戦場。
進軍してくる反乱軍を迎え撃つ銀狐の部隊は、予想よりも敵軍の進撃速度が速い事を知り準備に追われていた。
これより後方にあるのは王都へ行く道。
この壁を突破されれば、キエフが炎上するのは眼に見えた事実である。よって軍幕には張り詰めた緊張が走る。
雪はすでに融け、原野と平野がそして埋もれていた街道が見えはじめた地表に、響く軍靴の高き音。布陣した軍とは別に冒険者たちは遊軍として独自の行動を取る。
彼らの率いる隊の名前をここで識別するために列挙しておく。
【ヴォルニ侵攻防衛戦】
「ルーク」ヴァイナ・レヴミール(eb0826)
「名無し」フィリッパ・オーギュスト(eb1004)
「銀月」ルカ・インテリジェンス(eb5195)
「銀弓」レイブン・シュルト(eb5584)
「銀眼」キール・マーガッヅ(eb5663)
「銀槍」ロイ・ファクト(eb5887)
「銀復」イルコフスキー・ネフコス(eb8684)
「銀妖」ディディエ・ベルナール(eb8703)
「サツキ」オルガ・バラバノフ(ec0538)
「銀猫」ルイーザ・ベルディーニ(ec0854)
敵軍との直接対決まで実質一日弱、今回工兵は最低限度しか従軍していないため、作業に関しては遅々たるものではある。だが敵兵が騎兵であることが判明している以上、対抗策をとらないのは無策と言えるだろう。
それに対しては、予防策と罠の準備は怠りは無い。ただし問題は敵の本隊がどのラインからやってくるか? 実際騎兵主力だけなのか? この二点ではないだろうか。
これに関しては、時間の関係から十分な索敵をするのは無理であったが、判明したのは敵本陣は中央から来るのではないか、ということだ。
敵兵の兵種については、その情報が確実であるかどうか? その信憑性について一部メンバーのみが確認したことは、多少の問題があるかも知れない。
戦場では偽報と撹乱は当然の策である。
今回、銀狐の公式見解ではある。ただし注意するに越したことは無いだろう。
よって主に騎兵のみを想定した戦線を維持することになり、それに対する備えに、ほぼ穴は無い。
後衛として陣に布陣した部隊は弓兵を主力とし、前衛に立つ物は戦士を主力し、防衛線に騎兵用の障害物と、簡易の陣地を設置した冒険者は敵軍が到着するのを待つ。
●前哨戦
馬蹄が地を蹴る轟音とともに、敵軍の第一陣が到着したのは陽も中天に射した頃だ。前方右翼・左翼で待機する冒険者は、自らが仕掛けた対騎兵用と柵を障害として敵を待つ。
照りつける日差し、気だるげに空を見上げたあと、ヴァイナは手短に指揮下の兵に指示を送った。
死に場所を求めて流離い逝きつく先が戦場とは、よく出来た話。彼はどこか皮肉の混じった思いを自嘲気味に感じつつも言った。
「それじゃ早速、戦争を始めようか」
遠くから土煙が迫ってくる。
「戦功のあった者には特別報酬出します! 20Gまで用意。オルガ作詞、誉れの歌つき」
指揮下の兵を鼓舞するのはオルガである。この状況下でも妙に明るいというか、のほほんとした三人の一人。彼女は歌の題材集めを兼ねて今回従軍したようだ。かなり前のめりな詩人人生な気もしないでも無い。
ともかくそんな彼女の近辺にはもっと能天気というか明るい女、ルイーザ率いる銀猫隊がある。
「はぁい皆、さっさと終らして帰るにゃー。バッサリくっきりお仕事完了にゃ」
彼女の隊は、隊長の雰囲気を受け継ぎ妙な感じだ、ともかくバッサリ斬られない事を願う。
「いやあ、ゴーレムを連れて来られるなんて楽しいですね〜。そんなことよりあの草花、レアです。レア」
ちょっと貧相な男。ディディエ。園芸好きウィザード。なぜ今戦場に居るのか、不明。緊張感なし。
このようにシリアス度が低くて本当に大丈夫なのか、心配になるが・・・・・・。ともかく神のご加護を。
初戦、前方よりやって来た騎兵隊を向かえる、冒険者達。敵兵は猪突猛進を趣向とする愚か者揃いだったらしく、見事に罠に嵌った。
ここで戦域の地図について一度眼を通そう。
■■■■■■■■■■■■■ 左翼
=3▲=====◇☆===
××▲××‖××2▲××××
××▲××‖×××▲××××
●=▲==‖==◇☆===★☆
××▲××‖××1▲××××
××▲××‖×××▲××××
==▲====〇◇☆===
■■■■■■■■■■■■■ 右翼
自軍配置地図
1・2、ルーク・名無し・銀月・銀槍・銀妖・サツキ・銀猫
3、銀弓・銀眼
後方支援、銀復
◇トラップ
現在の状況は、以上。
どうやら、今のところ比較的正攻法で進撃してきたようだ。。
血塗られた剣風の中、槍に倒れ馬上より落ちた敵と剣を交える男が一人、振った剣は血に染まるが、本人は表情一つ変えずさらに斬る。男の名はロイという。
「小細工を弄しおって、戦士なら正々堂々戦え、誇りを失ったか!」
それを聞いたロイはにこりともせず。
「戦場に浪漫はいらない、欲しいのは」
罵声に返すのは、白刃の輝き。
「力だ」
鮮血が空に迸った。
前哨戦の打撃に一時後退する敵、このまま退却してくれるほど甘くは・・・・・・きっと無いだろう。
●激戦
「隊長! 俺達は何もしなくてもいいのですか?」
戦闘が始まったかなりの時間が経つ、一時後退した敵はいまだ動きを見せない。
そんな緊張の中、部隊銀月配下に声を掛けられたルカは返す。
「私たちの出番は、あれが本格的に侵攻してきた時よ。見なさい」
対峙した敵陣にかすかに見える戦車の影だ。
無言で、敵軍を見つめる女。フィリッパ。
(次回は前回のように兵力を分散してくるとは思えません。張った罠も大分消耗してしまいました。このまま一点突破されるとまずいですね)
冷静に分析する彼女の言うとおり、敵は来た。
「戦域の地図」
■■■■■■■■■■■■■ 左翼
=3▲☆===2☆====
××▲××‖×××▲×××
××▲××‖×××▲×××
●=▲==‖==◇=★==
××▲××‖××1▲×××
××▲××‖×××▲×××
==▲====〇☆====
■■■■■■■■■■■■■ 右翼
【左翼、銀狐本隊防衛線】
後衛へ一度下がり、負傷兵を治療していたイルコフスキー。聞こえてきたのは剣戟と鏃を放つ音だ。
「ここは危険です、もっと後ろに下がってください」
「でも、おいらがいなくなったら、誰がここで治療するの?」
部下を見つめ言い返す彼、諦めたのか兵士は剣を握りイルコフスキーを守る。
レイヴンとキールは、斉射を行った。一時進行の止まった騎兵は弓兵にとっては良い獲物とも言える。走っているものを射るのは難しいが止まっている物を撃つのは容易い。
「矢を無駄にするな、確実に正確に射ろ」
自らは精密に射撃しつつキールは、部下にそう命じた。
レイヴンとキールは二交代制で、射撃をしており、矢が途切れる事は無いようだ。
消耗戦となった本隊防衛線だが、その唯一の守りである柵が破壊された時、彼らの命運は危うくなるのかもしれない。
その頃、戦車の突撃を受けた前衛は戦力の三割ほどを失っている。
ルカの部隊により戦車の進行は一時的に止まり半数ほど破壊したが、敵隊長の力が尋常ではなく、彼女の指揮下銀月は壊滅状態である。
急遽駆けつけたルイーザの銀猫の擁護により難を逃れ撤収するルカ、彼女自身も傷を負い。
「鈍ったわね、ドジ踏むとは。久しぶりの戦場。帰ってくるのはやはりここしか無いのかしら。我ながら懲りないわね、ホント」
そう苦笑いを浮かべつつ後方へ搬送された。
フィリッパとヴァイナの隊により、なんとか敵本隊を一時後退させた。
これにより、第二次攻防戦は終った・・・・・・かに見えたのだが。
●夜襲
それは戦闘を始めた二日目深夜。敵は騎兵であるため、夜目が利かず進行は無いと思っていた友軍を襲ったのは。
魔法の嵐だった。
突然の襲撃に混乱に陥った味方部隊、その緊張の中ヴァイナは己の中で生まれる新たな意思を感じていた。
この猛りは、
(つまらないな、誰も彼も、そう自分さえ死の淵に送ればいいだけさ)
新たなる意思とも言えるそれはハーフエルフが持つ独特の要素、逆立つ感情を纏い、敵陣に向けて赤い瞳を彼は向けた。
「卑怯だ、卑怯。夜は、サツキの弓兵はあまり役に立たない」
オルガの言うとおりのこの状況では、矢を射るのは自殺行為である。
「魔法兵ですか、私とユンヌピエールの出番ですね〜」
ディディエは相変わらず、のんびりしている。
そんな話をまったりしている場合では、無い。敵は四属性の範囲魔法にて集中砲火をしてきている。このまま前線を維持するのは自殺行為とも言えるだろう。
「後退かにゃー。こっちはまだ本隊が無傷だし、合流して迎え討てば、きっとだいじょぶっしょ」
寝ぼけ眼のルイーザは目をこすりつつ欠伸をしながらそう言った。
「そうですね。あくまでこの戦いは防衛線。勝つのが目的ではありません。無駄な犠牲を払って死守するよりも、より多くの時間を稼いだほうが良いかもしれません」
そのフィリッパの発言で、決まった。
「殿を俺が引き受けた」
「それでは私もグラビティーキャノンで、ささやかな援護を」
ロイはそういうなり剣を携えて歩みだし、ディディエがついて行く。
こうして、冒険者ら遊撃部隊は防衛線を一時的下げ、朝を迎える。
●最終戦
朝日は昇り、時は来た。
後衛で忙しなくうごく人影たち。
「治療お願いします」
「ごめん、少し待ってて」
イルコフスキーは懸命に治療を続けている。
しかし、間に合わず神の下へ行くものも多い。それを見、彼は神に向かって祈る。
(神様、彼らを安らかに過ごさせてちょうだい)
彼の祈りが届くのはまだ先のことだろう。血はまだ流される。
「結局ここまで来たか」
レイヴンは柵の向こう走ってくる戦車の姿を見、一人呟いた。
「戦域の地図」
■■■■■■■■■■■■■ 左翼
=3▲☆=========
×1▲××‖×××××××
××▲×魔‖×××××××
=●△★=‖=======
×2▲××‖×× ××××
××▲××‖×××××××
=〇▲☆=========
■■■■■■■■■■■■■ 右翼
・敵一個小隊撃破
・味方部隊は約三割死傷
「表示記号」
☆ 敵軍
魔 魔法兵
〇 自軍 黒は本隊
■ 遮蔽物・障害物
1・2、ルーク・名無し・銀月・銀槍・銀妖・サツキ・銀猫
3、銀弓・銀眼
後方支援、銀復
血の衝動が去ったヴァイナは最後の指示を配下に下す。
「背は都だ、つまり我々の後ろは退路の無い海が広がっている。生き残れば勝ちだ! 全軍! 何としてでも生還しろ! 我らが城を守りきれ! 諸君らの健闘を祈る」
我ながら、偽善者だな。
部隊を鼓舞した後、彼は相反する二つの想いを感じながら、迎撃兵へと向かった。
「はい、国歌斉唱! サツキ、サツキ、サツキ 我ら、サツキ。どこの部隊? サツキ。サツキ。最強の部隊。もっと、もっと、生きて、生きて、戦って戦って。勝つぞ!」
いつから国歌になったのかは、知らないが、部隊サツキのモラルは比較的高い。報奨金がでる事もあるが、隊長のノリもあるのかもしれない。
そんな中で、無言で弓の手入れをする男も一人、キールである。彼は感情をあまり表に出さない男だ。しかし内部ではそれなりの想いも感じている。
「暗い男はだめっしょ。もっとポジティブシンキング!」
ポジティブシンキングも過ぎると、後で不幸も一緒になってこんにちはするものだが、ルイーザにとって、それもおかまいなし?
「ルイーザ君だったな。確かベルディーニ」
「そうだよー何かあるのかにゃ?」
キールの心にその名は何かを思い起こさせたようだが。
「いや。なんでも無い」
「さ、お仕事、お仕事。やるぞー!」
にこにこしながら、ルイーザは去って行った。
戦闘が始まる、それは血溜まりに浮かぶ一輪の花。
飛沫と剣と魔法の衝突、この戦いに意味があるのかどうか分からない。けれどそれぞれの想いを抱き、彼らはこの地に立つ。誰も自らの意味を問わぬ者はいない。
だが、その答えはきっと此処には無いだろう。
戦線は夕暮れになるまで続いた。
三度目の突撃を防衛し血みどろになりながらも立っている両者、もはやこの戦いに勝者は無い。
敵軍指揮官大斧振るうバルタザールは、王都よりの報を聞き。この戦いに勝機が無いことを悟った。
「全軍、退却せよ」
彼の号令の元、朱色の騎士は整然と退却して行く。だが、それを追撃する余力は防衛側にも無い。
のちに、ヴォルニ侵攻と呼ばれるであろう辺境の局地戦は、これにて終幕を迎える。
お互い死傷者の流した血は、大地を赤く彩ったと言う。
〇戦果
防衛は、成功しました。
・自軍死傷者 八割
・敵軍 二個小隊半
・功績
作戦立案 ヴァイナ・レヴミール
後方支援 イルコフスキー・ネフコス
情報索敵 キール・マーガッヅ
以上。
了