【普通の冒険?】 わくわく☆デビルズ
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■ショートシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:11〜lv
難易度:易しい
成功報酬:2 G 19 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:06月12日〜06月17日
リプレイ公開日:2007年06月19日
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●オープニング
「ここは冒険者ギルド。あまり難しい説明はすまい。モンスターがいて、依頼が来る。そう、それだけのことだ」
最近、登場頻度の高い意味深ギルド員。
今日の彼は、ギルド内の煤払いをしているようだ。冬の間に溜まったそれはかなりのもので、時折咳き込むほど・・・・・そんな時にやって来たのは、一人の男である。
「急ですが、村がグレムリンなどの大群に襲われました」
落ち着きを払った男、淡々とそう言い放つ。
「村の危機のわりには冷静だな君」
「所詮グレムリン。強い冒険者の手にかかれば、いちころですよ」
はじめから強力な冒険者を雇うつもりの依頼人。よく考えるとそれはそれでなかなか良いアイディアかも知れない。
「それなりの報酬を出すのだろうな」
「ふ、当然金は無いに決まっているでしょう。私の村は貧乏です」
・・・・・・分かりやすい展開だ。意味深ギルド員はそれを聞くとしばし黙った。
「そう言えば、グレムリンを指揮しているのは変な四人組らしいのです」
「少し前にどこで似たようなキーワードを聞いたな」
確かにそういう事もあった気もする。
「何のことやら私には、とりあえず村の危機です。是非救ってください」
と、最後まで無表情な依頼人である。
「仕方あるまい、依頼は依頼。募集してみよう」
こうして、村を襲う大量のグレムリンなどの退治がギルドに掲示された。
今回の冒険について
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キエフから徒歩で一日半程度の距離にある開拓村。
そこに現れた、どえりゃあ数のグレムリン達と一緒に暴れている変なカルテットを退治する依頼です。
というとそのままなので、冒険情報をいくつか。
○デビルはグレムリンやインプなどだ。下級といえど数が数、結構強敵かもしれない。
〇なにやら変な四人組の目撃情報あり。
〇勢いあまって魔法などで、村を木っ端微塵にしないように。
〇油断していると足元をすくわれるかもしれない、多少緊張しよう。
余裕がある方は、対悪魔装備とポーションをどうぞ。
これらの情報を元にして、依頼を遂行してくださいね。
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●リプレイ本文
●はじめ
ま、あれだよ。君達これがどんな依頼か、分かっててやって来たんだよね? え、違うの? そんな酔っ払いの戯言のようなことを言われても困る。
もう、そんなこと言わないの、ほら、やっぱりさ常識ってやつを疑って、ぐほ。
「前置きが長い人は嫌われちゃいますよ。やっぱり、脇役はすっぱりさっぱり逝ってもらわないと、い・や☆」
語尾に☆がつく女の子に常人は少ない、それ世界の常識。
とりあえず、そんなことはどうでも良いけど、このノリについていけない貴方もいるよね。だけど、今回はそういうテンションで送るハートフルわくわく物語なの、あきらめたほうがいいよーうん、マジで。
ってなことで、いっぱい沸いてるデビルさんたちを退治しに行く冒険者について行くはずの記録係は、不慮の事故で動けなくなったようなので、代わりに多分可愛い女の子がいきます。よかったねー。さ・て・と、さっさと次に行こうよ!
パッと飛ばして、デビルがわきわきしまくってる村に集結した冒険者さん。一応みんな結構強い。その中でちょっとよわよわな自分にちょっぴり切ない気分なのは以心伝助(ea4744)、忍者。最近色々あったようだけど、元気?
「あ、元気っすよ」
心なしか力ない返事だけど、頑張ってねーきっと明日は晴れだよ。
「デビルなんて、デビルなんて、デビルなんて、だいたいデビルとかいなければ私だって彼氏の一人や二人くらい出来たかもしれないのに、そう全部あんたたちのせいよ!」
なにやらいつもに増してデビルへの呪詛を深めるのはユラ・ティアナ(ea8769)。デビルと因縁だらけなんだって、デビルに関わると不幸・不幸なのかな。
「ユラ嬢‥‥‥」
「普段と雰囲気が違うわね」
所所楽柳(eb2918)&アーデルハイト・シュトラウス(eb5856)の好奇、もとい心配の視線をよそにどこか暗い視線のユラ、こわひです。
「今回こそ、ミーのニヒルさを万人に知らしめるで御座るよ」
キラーンな瞳の磧箭(eb5634)。でも河童である時点でニヒルさが七割減ですよねー、うんうん。え、偏見? だって緑色なんですよ、緑色。緑色が街を歩いているんですよ、想像するだけで‥‥‥‥。
「もしかして私、場違いなところに来たかしら?」
なんとなくそんな気がするのはルカ・インテリジェンス(eb5195)。だって人生背景がシリアスぽいしーここは違う意味で戦場ですよ、多分、多分。
「我こそ、いつか全ての覇権を握る、これもまたその一歩」
その科白時点でもう場違い予感ひしひしのカイザード・フォーリア(ea3693)。かなり真剣に生きてるよかーん、覇権ってなんだろうね。それについてそんなに気にしないくていいと思うよ誇張とかだから☆
あ、ここでいきなり回想シーンです。場所は冒険者ギルドで真幌葉京士郎(ea3190)と依頼人の無表情さんの会話です。
「大量のデビルには実力のある冒険者か、悪くない選択だ」
「そうでしょう、私は賢いのです。とっとと行って消してきてください」
「実力のある冒険者の中には、趣味とか慈善で冒険をしてるのではないかと思うような者も多いからな、もっとも、俺は遊んで暮らせるような身分にはほど遠いが・・・・・・」
「ようは、暇人ということですね」
京士郎は、いちいち勘に触ることを言う依頼人だと思った。
「まあ、安心しろ、俺が依頼を受けたのは趣味と気まぐれだが、報酬分は働かせて貰うゆえ、泥船に乗ったつもりで居てくれ」
「沈むこと前提ですか。さすが実力のある冒険者は違いますなー」
冷ややかな空気が張り詰める。
「・・・・・・冒険に行く前に、この剣の錆にしてくれる!」
試し切りをするための剣を抜いた京士郎、そりゃ腹立つよね。
でも、依頼人を斬っちゃ駄目です。てなことで、皆に止められた京士郎は半ば嫌々ながらも依頼を受けたのでした。
●戦闘
軽快というより軽薄な感じで展開されてきたが、やはり一般人向けではない。とりあえずそろそろ少し真面目に記録するようだ。
では、偵察の結果を報告しよう。
『いっぱいいる』
それに対して、対デビル用能力アイテム用意をした彼ら。その名も。
『色つき水袋!』
ひとまずその色水袋という素晴らしいアイディア投げつけるパーティー、しかし重大な危機が! といっても単にデビルさんたちが、変な色だらけで目が痛いだけのようだ。
「赤、青、黄色のグレムリンなんて、これだからデビルは嫌なのよ」
ユラが、無意味な憎しみを込めて言う。しかし、作戦通りにやっただけである。そのあたりはデビルへの嫌悪感で全て消えているようだ。
事前計画通り、付与魔法は全員準備完了、なぜかデビルたちは冒険者を発見しても無視しているので、特に妨害は無い。
(いったい、やつらの目的とは・・・・・)
カイザードが襲ってこないデビルたちを見て、深刻に悩んでいるようだが、あまり気にしてはいけない。
「ミーの秘策は、まだ早いで御座るな」
磧箭の秘策というのは、その白い粉だろうか、怪しい、とても怪しい。粉というのが怪しい。そんなことは良いので、そろそろ突撃してもらおう。
「真幌葉京士郎、参る!」
依頼人をぶった切れなかった思いを胸に、京士郎は悪魔殺しの剣を振るう。白刃が宙を斬り、グリムリンから勢いよく血が噴出すと、一匹ほぼ行動不能となる。
襲われたデビルたち応戦をするかと思いきや
「せっかく会合をしてんのに、襲ってくるなんて何事。冒険者だからって悪魔を殺してOKなわけ?」
普遍的な質問をされた冒険者たち。返事をする必要があるのかは不明だがとりあえず。
「いいのよ、デビルは敵、私の敵」
狂信的なユラは、そんな言葉など無視して矢をつがえては見境無く撃っている、別に狂化してはいない。
伝助はその質問を聞いてちょっと迷ったようだ。
「悪魔学概論には、悪魔がこんな行動するなんて書いてないっすよ、このデビルさんたちは変わり者なんすかね」
はい、このデビルたちが変わり者なんですよ。普段はもっとデビルは悪役のはず。
「論は必要ない、我は依頼を遂行するため、力を極めんがため。剣を振るうだけだ」
カイザードは黒ずくめです。暑そうです。黒衣の騎士はそう言うと、重厚な装備を盾に前に進む。グレムリンたちは彼が来るとさっさと逃げ出した。
「やる気・・・・・・そがれるわね」
水袋を投げ終ったルカは、昼間ということもあってやる気が減な上に、デビルの態度を見てさらにげんなりした。
「でも、ルカ嬢、仕事だからね。やる事をやらないと」
柳はデビルを見つつ呆れたように言う、隣でアーデルハイトは何事か考えているように見えるが、多分早く帰りたいと思っているのだろう。
そんな様子の中で、デビルたちは、
「まったく仕方ないなあ、戦いたいなら四柱神様を呼ぼうぜー!」
「おう、神デビルだぜ、いでよー四つの力」
グレムリンたちの祈りに答えて、彼らの中から冒険者に向かって歩みだしてきたのは。
「バールベリド推参」「ベルセビュート登場」「ヘリアルです」「アズタロトよ♪」
『四人揃って、四柱神! デビル世界のヒーローがお前たちの相手をしよう』
変な着ぐるみを来たやつらが現れた。名前は確かに異様に強そうだ。だが、中身はどうみてもグレムリンのように見える。
驚く伝助。その彼の周りに集まってくるデビルたち。
「あれは? なんすかね。って、ちょっと、あっしのまわりにデビルたちがうじゃうじゃ」
四柱神の指揮の下というか、多分てきとにー動かしたデビルが襲ってきた。
伝助は素早く回避した、二本の小太刀を抜くと続けざまに斬りつける。やっと出番がきたアーデルハイトは風のように移動すると四柱神の一人ヘリアルの前に立ちはだかる。
「綺麗なお嬢さん、どうですデビルも良いものですよ」
「生憎、デビルは趣味じゃないの。先に地獄に行って待ちなさい。いずれ私も行くかも知れないわ」
「つれないお人、それでは地獄でお会いしましょう」
ヘリアルはそこらの下っ端をアーデルハイトに差し向けると逃げた。アーデルハイトは肩をすくめると何も言わず剣を抜いた。
「邪魔だ、退け」
カイザードは雑魚を潰し続けている。半ば飽きてきた。たまに攻撃が効かなくなるが、面倒なので殴ったりもしている。
「デビルを殺して平気なの?」
四柱神の一人ベルセビュートの問に彼は言った。
「理由など必要ない」
(やれやれ、僕はいつも面倒なことばかりに巻き込まれてる気がするね)
内心そう思いつつ柳もデビルと対している。後方からユラと磧箭の矢が飛んで来ては突き刺さっているようだ。振るう小太刀に想いを映し彼女はそれを振った。
状況的に問題はない、デビルとはいえ、やっぱり下級であり、ルカと磧箭の作戦もある。
途中、磧箭は例のあれを投げたらしい。
そのせいで、一瞬皆咳き込んだの秘密だ。とくに投げた本人である磧箭が真っ白になったので、色々面白かったのだが、それはそれ。
デビルたちも戦いたくて戦っているわけではないようで、負けそうになるとすぐ逃げる。そのうちに残されたのは四柱神というなの可哀想な? 生贄であるグレムリンたちだ。
「さあ、最後よ」
ユラが、サディスティクな雰囲気で馬上から弓を構える。
四柱神たちは目を瞑った。
彼らは出来心で村を襲っただけのようだ。デビルは邪悪なのだが、邪悪なりにいたずら心がある悪魔もいる可能性も無いわけでも無い、特にグレムリンはそういうタイプがいそう気もする。
矢が放たれる直前。
「我ら直接手を下す必要もないだろう、警備隊あたりに引き渡してはどうだ」
カイザードがそう言った。パーティーメンバーはそれを聞き、それが良いと思ったらしく、彼らは警備隊に引き渡されることとなる。ユラはそれでは甘いと強固に反論したようだが。
かくして村に平和が戻ったのだった。
●わくわくの館
一仕事終えたあと、伝助はあることを思い出した。
「そういえば、わくわくの館ってどこにあるんすかね?」
思い出してはいけないことは、彼を思い出したようだ。
「村人が避難しているのだから、伝えにいかないと駄目かもしれない」
柳は気がすすまないようだが、まともな意見を返す。
「ミーは、さっさと帰ったほうが危険がなくて良いと思うで御座るよ」
磧箭がイイこと言った。
「でも、あっしは行ってみたいっす」
伝助君。好奇心は身を滅ぼすものだよ。だが、君の希望通り、わくわくの館に招待しよう。
【わくわくの館】
わくわくの館とは、万人向けて色々なサービスをするところである。その人の希望によって【わくわく】することが提供されるので、ありとあらゆる趣味娯楽が集められた地上の失楽園だ。こんなところに村人が避難したのでは、かえって戻らないような気がするのだが、そこにやってきた冒険者たち。
いきなり極彩色の看板に
「ただいま、わくわく☆冒険中」
と、ピンク色っぽい文字で書かれている。建物は何やらどぎつい変なオーラに包まれていて、怪しい、とんでもなく怪しい。
「こ、ここは・・・・・あっしはもしかして禁断の扉を?」
呆然としている伝助。まあ、その気にしないほうが良い。
「このさい、彼氏がほしいわね」
ユラの希望を叶えるためには、館に入るしかない。
「だから、ミーはやめたほうが良いと言ったで御座る」
でも、中に入ってニヒルさを増すのも一興かもしれない。
「なんだかよくわからんが、楽しそうだ。寄って行かないか?」
京士郎に忠告しよう、戻れない道なので、行ってはいけません。
「・・・・・・」
カイザードは無言だ。案外やましいことを考えていそうだが、内部はよく分からない。
「とにかく、帰るわよ。私の直感が早く立ち去れ、そう告げているわ」
アーデルハイトがそう言ってその場からそそくさと去って行った。
「興味深いわね」
ルカは、何に興味を感じたのか知らないが、建物をじっくり見つめている。
とはいえ結局、時間も無いことなので今回は帰ることなった。メンバーたちの中には、名残惜しく感じるものもいたようだが、入るのを拒んだものがいたため変えることにしたようだ。。
はたして、わくわくの館とはいったい・・・・・・。
後日の話である。
依頼人である、無表情な男は家に戻り呟いた。
「さて、わくわくしに行くか」
いつもより人通りが少ない村を進み、彼はその館に着いた。変な形の門を通り、扉を数度叩く。
「いらっしゃーい、お一人様ですか」
「ああ、男一人だ」
「一名ご案内☆」
男は扉の奥に吸い込まれるように消えて行った。中ではきっと【わくわく】することが待っているのだろう。
そして、そのわくわくは、きっと人それぞれなのかもしれない。
了