【夏の夜の夢】 ちびっ子ウォーズ

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:フリーlv

難易度:やや難

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:06月30日〜07月05日

リプレイ公開日:2007年07月09日

●オープニング

●はじまり

 冒険者ギルドの無駄飯ぐらい。サボリギルド員こと中年は、一通の依頼書を見て首を傾げていた。
「祭? 個人的に祭をやるなんて、また景気の良いことだな」
 その依頼書にはこうある。

【拝啓 毎日お仕事お疲れ様。今日はいつも頑張っていてくれる君達のために、私の領地で祭りを開催することにしたよ。色々趣向を凝らしたから、良かったら遊びにきて欲しい。旅費などはこちらで用意する、それが報酬の代わりだ。それではこのへんで UD】

「まあ、慶事には違い無いし、とりあえず募集するとするか」
 中年はそういうと依頼書を張り出すのだった。


 ちびっ子ウォーズ
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●目的

 たぶん貴族? UD氏の領地で開催されるお祭りで開催されるイベント。
 ちびっ子ウォーズに参加します。

●ちびっ子ウォーズ

 ちびっ子ウォーズは、四人一組で行われるゲームです。
 今回は四チーム作り、男女ちびっ子リーダー同士を対決させて男女別に
 優勝を決めます。男女対決は、あればまたの機会に・・・・。
 チームリーダーとして、どこかで見た子たちを用意しました。
 行われるゲームは、君主と下僕というゲームのようです。
 ルールはシンプルです。

 まず、四人を下の四つの職にわけます。

「君主、僧侶、騎士、悪魔or天使」

 君主、僧侶、騎士は三すくみの関係にあります。ようはじゃんけんです。
 君主はパー、僧侶はチョキ、騎士はグーです。
 悪魔と天使はリーダー固定の職です
 悪魔は君主、天使は僧侶以外には必ず負けます。 
 ただし、悪魔は君主、天使は僧侶に徹底的に勝ちます。
 よってこのゲームの勘所は、ジョーカーである天使と悪魔をどこで使うかとなるでしょう。
 もう一つ、天使と悪魔が相対した時は最終戦争がおきます。この場合は敗北数が勝ち点となります。

 一回戦は四回勝負です。一つ勝利したさい+1ポイントです。ただし悪魔と天使で勝った場合は3ポイント。同職は0ポイント。同率の場合は役職で地位の高い物の勝利数で決まります。
 それを三回繰り返して勝敗を決めます。
 なお、同点決勝の場合は、偶数・奇数にわけて審査委員会がダイスを振って決めるようです。
 各人一つは、出す順番を記載しては案を提出してください。人数分なかった場合はランダムで決まります。

●リーダー

 男の子

 ☆アレク「いわずと知れた冒険隊リーダー」J・天使
 ☆ジル 「キエフに轟く流れ星」J・悪魔
 
 女の子

 ☆ニーナ「泣き出したら止まらない」J・悪魔
 ☆ナタリー「貴方の心のプリンセス」J・天使

 です。
 
●その他

 質問がある場合はアレクにどうぞ。
 終了後、閉会式に参加します。

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●今回の参加者

 eb0516 ケイト・フォーミル(35歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb4721 セシリア・ティレット(26歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb9405 クロエ・アズナヴール(33歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)
 ec1023 ヤグラ・マーガッヅ(27歳・♂・クレリック・人間・ノルマン王国)
 ec1053 ニーシュ・ド・アポリネール(34歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 ec1103 アスタルテ・ヘリウッド(32歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec1182 ラドルフスキー・ラッセン(32歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 ec1500 マリオン・ブラッドレイ(20歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

キール・マーガッヅ(eb5663)/ イルコフスキー・ネフコス(eb8684

●リプレイ本文

●オープニング

 物事には全て始まりがある。
 これから開始される一つのイベント、それに関してもやはり始まりの準備が必要だ。
 それでは、初めに開催される祭りのイベントに足を運ぶ冒険者をあげておこう。

【ちびっ子ウォーズ参加者】

ケイト・フォーミル(eb0516)
セシリア・ティレット(eb4721)
クロエ・アズナヴール(eb9405)
ヤグラ・マーガッヅ(ec1023)
ニーシュ・ド・アポリネール(ec1053)
アスタルテ・ヘリウッド(ec1103)
ラドルフスキー・ラッセン(ec1182)
マリオン・ブラッドレイ(ec1500)

 【お祭り見物人】

ジークリンデ・ケリン
マイア・アルバトフ
ユーリィ・マーガッヅ
ロザリー・ベルモンド

 それでは、夏の夜に弾ける夢。
 祭りを開始しよう。
 


●お祭り周辺

 ニーナ・ニームは迷っていた。
 彼女の目の前に熊のぬいぐるみがある。
 一つはケイトが、先ほど祭りの出店で買ってくれたもの、もう一つはラドルフスキーが友人であるのパラのクレリックのイルコフスキーから譲り受け彼女に贈ったもの。
 二体とも欲しいという気持ちもあるが、最近部屋の中がぬいぐるみだらけのため、置く場所はない。 
 けれど、もらったものを返すのも何か悪い気がしたニーナは、自分の部屋から持参した熊型のぬいぐるみ、名前はグッキー。それをラドルフスキーにあげて交換することにしたようだ。
 さて、そのグッキー。見かけは確かに熊っぽい、しかし全体のバランスが微妙に崩れていて可愛いというよりも‥‥‥特に目のあたり、血走っているようにも見える。
 一説にはグッキーは、ニーナが自分で縫ったぬいぐるみという話もあるし、目覚めるとなぜか違う場所に移動していた。そんな噂がまことしやかに囁かれるニーナお気に入りのぬいぐるみ。
 はたしてグッキーの正体とはいったい? その真相を知っているのは、きっとニーナ祖父だけだろう。
 ニーナからグッキーを手渡されたラドルフスキーは、困惑しつつも礼を言った。
「あ、ありがとうニーナ」
 本心はどうなのか知らないが、とりあえずラドルフスキーも喜んだらしい。
「ケイト遊びに行くデス」
「う、うむ行こうかニーナ」
 ニーナはそれを見て安心したのか、ケイトと一緒に手を繋いで買い食いへ出かける。
 残されたラドルフスキーはグッキーを抱きつつ、見送るのだった。

 アレクは、喧騒の中を一人で歩いていた。
 彼は何かを探しているらしい。けれど、目的のものは見つからないようだ。初めて来た道を迷いそうになりつつある中、ちらちらと周りを見まわしていたアレクに声を掛ける人物がいた。
「これはアレク君? お久しぶりです」
 アレクがその声に振り向くと、どこか調子の良さそうな調子の金髪の男がアレクの前に立っている。
「あれ、ニーシュさん?」
 アレクは男をそう呼んだ。呼ばれた当人は起きているのか寝ているの分からないくらい細い目をアレクに向ける。
「長い不義理をお許し下さい、私も色々ありました。それにしても一人とは珍しい。何か買い物ですか?」
 ニーシュの問いにアレクは
「うん、この前もらったペンダントが二ついっしょで一つって、ジルに言われたの。だからボク返さないと」
「それは、それは。もらったプレゼントにお返しをする、それも愛のテクニック」
 ということで、アレクとニーシュはこまどりのペンダントを探しはじめた。しかし、肝心のペンダントは見つからないようだ。
 訪れた店の主によると残っていたペンダントを買っていったのは、女性のようだ。 
「女性用のペンダントを買ったのが女性ですか? あれは一組でお互い贈りあう物のような気がしますが」
「あ、そろそろお祭りの出し物の時間だよね。ボク行かないと」
「そうですね、残念ですが戻りましょうか」
 アレクとニーシュは会場へと向かった。

 一方会場では、アスタルテことルーテとナタリーが他の参加者がやってくるのを待っていた。
 ナタリーは、ルーテの愛犬、そろそろ飼い主にとっても脅威になりつつあるセイバーの背中を撫でているようだ。
 どうやらルーテはナタリーを他のちびっ子メンバーを紹介するつもりらしいのだが
「みんな、来ないわね」
 ルーテの問いかけに、こくりと頷くナタリー、どうやらちびっ子の過半数は遅刻のようだ。そんな会場に一番最初にやってきたのは彼。
「ういーす、ジル君到着!」
 いつになく軽薄な態度で現れた彼の名前はジル・ベルティーニ。少年冒険隊最年長にて、屈折した二重人格をもつハーフエルフの青少年。 
 いきなり登場したジルに、脅えた様子でこちらをみつめるナタリーをルーテが庇う。ジルはその態度に首をひねったあとルーテに視線を移すと目を輝かせた。
「きたー☆二つ」」
 あまり詳しく説明するのも面倒なので、とりあえず彼は胸が大きい異性を追うの趣味ということで理解しておこう。ルーテは結構胸が大きいほうだ。
 さて、無意味に上機嫌のジルだが、その背後から黒い影があらわれた。
「久しぶりですね、ジル君。元気で何よりです」
 とごかで聞いたような声にジルが振り向くと、夏でも真っ黒クロエが現れた、心持ち暑そうだ。 
「ク、クロエさん」
 動揺するジル。ジルはクロエに多少弱いようだ。何か弱みを握られているのだろうか? 単に大人の女性に弱いのかもしれない。少し大人しくなったジルの横を通り過ぎるとクロエはナタリーの元へと向かった。
「元気そうで何よりです」
 ナタリーは、クロエのその言葉を聞いて 
「はい」
 一言だけ返すのだった。

「ただいまー」
 ニーシュと共に戻ってきたアレクは、ひとまず旧知の間柄である人々に挨拶したあと、ナタリーを紹介されたようだ。
「君がジル君ですか?」
 歩いていたジルを呼び止めたヤグラは、自分とキールの関係を彼に告げた。ジルはキールに出発前に彼のことを聞いてたのですんなりと
「貴方がヤグラさんですか? いつもキールさんお世話になってます」
「あの叔父と会話を続けられる事ができる子とは君ですか、話は聞いていましたけれど、直接話をしてみたかったのですよ」
「キールさんは、単に不器用なだけだと思いますよ。たぶん」
「そうそう、便乗といいますか・・・・・・できれば女性の口説き方を教えていただけると嬉しいです」
 なにやら、ヤグラの目が真剣だ。
「俺がですか? そういうのは俺よりも、そうですね」
 ジルの指指した先には狐目の男がいる。彼に聞いてもなんとなく無駄な気もするが、とりあえず呼んでみよう
「ボンジュー。狩人諸君。不肖このニーシュ、及ばずながら愛のレッスンを」
 ニーシュの講義が役に立つかどうかは別として、彼の話を聞くヤグラ達、そのうちにニーシュの背後に影が・・・・・・。
「ニーシュくーん、まだ懲りないのね。ナタリーに告げ口しちゃうわよ」
 ルーテの言うようにニーシュのナンパ成功率は極めて低い。だが、懲りない。それが男という生物の性だ。
「ルーテさん、これは私の使命なのです。とめないでください」
 妙にシリアスな空気が漂う二人、ジルとヤグラは緊迫した表情をその経過を見守っているが、それを破ったのは。
「ニーナ! エチゴヤ襲撃はやめたんじゃなかったのか」
 グッキーを抱いたラドルフスキーがニーナを追っている。
「ぶー、どらごんのぬいぐるみも欲しいです。ケイト買ってデス」
「あ、あまりのわがままを言って困らせてはだ、だめだぞ」
 ケイトも一緒に追っている。

「ニーナは今日も元気だね」
「そうですね、アレクさん」
 アレクは、先ほど合流したセシリーと一緒にそれを眺めているようだ。
「そういえばね、お姉ちゃんからもらったペンダントが二つ一組って聞いたから買いに行ったのに売ってなかったんだよ」
 アレクの言葉を聞いたセシリーは、なぜか自分の携帯袋のほうに視線をやったあと。
「そ、そうですか。残念でしたね」
「うん、キエフにもどったらさがしてみるね」
 セシリーはしばらくの間、どう返事をするか悩んでいたようだが、何も言わずそのままで終ったようだ。


●会場の外

 会場へ向かう道ロザリーは、宿敵? であるマリオンとなぜか対峙していた。
「ふ、似非お嬢様。またもやラヴラヴをしようなんて神が許しても私が許さない。決して通さない」
 早く行かないと競技が始まってしまう気もするが、マリオンはロザリーの前に立ちはだかった。
「マリオンさん。どうしてもやらないと駄目なのですか」
「両雄並び立たずよ、ロザリーの後は黒いのを倒す! そう私こそが主役よ」
 主役も何もあるのかは不明だが、とりあえずロザリーとマリオンの間に緊張が走った。

 そんな二人のちょっと遠く。
「それにしても、あの二人何をやってるのかしら」
「理解不能である。ひとまず喧嘩というやつと推測される」
 マイアとユーリィは途中で買ったお弁当を食べながら二人の様子を見物している。

「さあ、剣を抜きなさい」
「分かりました。仕方ありません。ここを通らなければあの人には会えませんものね」
 いきがかり上対決することなった二人。熱い火花が散る。

 またもや、ちょっと遠く。
「それにしても私たちもよく考えるとデートかしらね、ユーリィ君?」
「そうであるかもしれないし、そうでないかもしれない」
「はっきりしない男ね」
「マ、マイア君は怖い」
 ・・・・・仲良くしましょう。
 
「やるわね、お嬢」
「マリオンさんこそ」
 焼け焦げたり、切り傷を作るなど。意外と真面目に闘争している二人、しかし、そろそろ競技が始まる時間だ。
 
「二人とも何をやっているのです。特にマリオン君。時間ですよ」
 どうやら、マリオンが来ないの心配して、探しに来たクロエのようだ。
「黒いの! 二人で一緒に私を倒す気ね」
「・・・・・・何を馬鹿な事を。さあ、行きますよマリオン君。あ、そういえばロザリー君。ヤグラ君から言づてがあります」
 クロエはロザリーに何事か伝えたようだ。
 ということで、クロエに引っ張られてマリオンは会場へと引きずられて行った。

 そして、ちょっと遠く。
「何か黒い女が仲裁したわね」
「マイア君も、いっそのこと黒クレリックなったほうがお似合いである」
「それは、どういう意味かしら?」
「な、なんでもない」
 ということで、競技がはじまるようだ。


●ちびっ子ウォーズ会場

 【君主はパー、僧侶はチョキ、騎士はグーです】

「どうも実況は大分前に聖夜祭のレースに登場した私と、解説は中年ギルド員さんです」
「はしょりすぎのような」
「諸事情につき時間がないんです、理由なんて必要が無い。さあとっと行きますよ」
 
 アレクチームVSジルチーム

「ということで、このカードは一勝一敗の後の最終戦を中継です」
「どちらも人数が足りないな」
「ええ、ということで、さきほど劇が終ったのようなのでそこから、着ぐるみ軍団を直輸入したようですね」
「ご都合主義だな」
「これまでの対決はチームジルが一ポイントを獲得、三手目にはいります」
「次の手は、アレクチームは天使に扮したアレク君ですね。そしてジルチームは!」
「悪魔だな」
「ハ・ル・マ・ゲ・ド・ン」
「何だね、それは?」
「あまり深く聞かないでください、きっと天使と悪魔の最終戦争です」
「しかし、これによって勝敗は逆転か! 最後の手は」
「ええ、セシリー嬢の僧侶とジルチームの君主は、こっこ?」
「君主がこっこって選択ミスじゃないのか」
「あまり気にしてはいけません、しかしこれではアレクチームも一ポイント、クラスも同率ですね」
「これは協会審議だな」

 この試合は審議・審議。協会のダイスによって勝敗が決まります。
 アレクチームは偶数、ジルチームは奇数に設定。六面ダイスが振られました。
 出た目の結果は4、よって優勝はアレクチームです。

「どうやら、アレクチームの勝利のようです」
「次に行くのだろう」
「はい、残り時間もありませんし」

 
 ナタリーチームVSニーナチーム

「このカードの中継も、やはり最終戦のようです」
「経過については?」
「最後にまとめられるようです」
「では、見てみるか」
「ナタリーチームは、騎士、僧侶。ニーナチームは僧侶、君主で五分ですね」
「ようは次の手次第だな」
「それでは、いってもらいましょー」
「ナタリーは君主。ニーナは騎士。ナタリーチームの勝利」
「となると、これでニーナチームの勝利が決まったわけか?」
「え、ああ。残った役で最終戦争が起きますものね」

 このカードは一回戦が引き分けでしたので、勝利クラスポイント数により優勝はナタリーチームになりました。

 なお、試合結果のまとめは

 試合結果

1、引き分け

2、一手ニーナ1、二手ハルマゲドン、三手ニーナ1、四手ナタリー1。
  勝敗逆転ナタリーチームの勝利

3、一手ナタリー1、二回戦ニーナ1、三回戦ナタリー1、四手ハルマゲドン。
  勝敗逆転ニーナチームの勝利

■ポイント換算

●ニーナ

君主1、僧侶1、騎士1、悪魔0=6

●ナタリー

君主2、僧侶、騎士1、天使0=7

と、なります。

「ということで、駆け足でしたが、ちびっ子ウォーズの中継を終わります」
「次の中継も俺かな?」
「知りません。それで機会があったらまたお会いしましょう、さようなら」

●終了後

 ジークリンデは、ちびっ子ウォーズの終了と共にその場を立ち去り、何気なく目に付いた広場に腰をすえると休む。
 彼女は、世界屈指の実力をもつウィザードである。だが、自らの力を用いる場所と術。それが過ちである気もしている。
 力というものは誇示することが重要なのか? それとも・・・・・・。
「まったく、ボリスは役に立たないわね」
 そんなシークリンデの隣に一人の女が座って呟いた。視線を合わせた彼女はジークリンデの、
「あれ、なんだか悩んでるようね。良かったら話してみたら、これも縁だしね。私はソフィア。よろしくね、貴女は」
 女の言葉に、
「ジークリンデです」
「で、何を悩んでるわけ?」
 話を聞いたソフィアという女は言った。
「私も偉そうに言える立場じゃないけれど、強さって振るうだけのものでは無いと思うわけよ。特に貴女が他者を圧倒するだけの力をもっているのなら、なおさらにね。私は力は守るための物だと信じたい。偽善だけどね。貴女は何のためにその力を手に入れたのかな」
「他者を越えるためかもしれません」
「そう・・・・・・その先に待つのが永遠の孤独でも求めたいのかな? 今でも貴女は十分強いのだから、必要な分だけ力を振るう事、それも一つの選択だと私は思うわよ」
 ソフィアはそこまで言うと笑顔で言った。
「貴女の人生よ、自分の進みたい道に歩めばいい。でも、人は一人では生きていけない。強いだけの怪物になるよりも、皆に慕われる英雄になることを祈るわ。それじゃ、またねジークリンデさん」
 残されたジークリンデは自らの考えに沈む。
 これからどの道を選ぶにしても、それは彼女自身の選択であり、取るべき責任なのだから。


 終?