【夏の夜の夢】 イユーニの歌劇団

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:1人

冒険期間:06月30日〜07月05日

リプレイ公開日:2007年07月09日

●オープニング

●はじまり


 冒険者ギルドの無駄飯ぐらいのサボリギルド員こと中年は、一通の依頼書を見て首を傾げていた。
「祭? 個人的に祭をやるなんて、また景気の良いことだな」
 その依頼書にはこうある。

【拝啓 毎日お仕事お疲れ様。今日はいつも頑張っていてくれる君達のために、私の領地で祭りを開催することにしたよ。色々趣向を凝らしたから、良かったら遊びにきて欲しい。旅費などはこちらで用意する、それが報酬の代わりだ。それではこのへんで UD】

「まあ、慶事には違い無いし、とりあえず募集するとするか」
 中年はそう言うと依頼書を張り出すのだった。
  

 イユーニの歌劇団
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●目的

 たぶん貴族? UD氏の領地で開催されるお祭りに遊びにいきます。
 この依頼は行われる歌劇の出演者や演奏者として参加することになります。

●イユーニの歌劇団

 なぜか訪れている、マリーナフカ一座の六月公演の演目
『オルフェの瞳』の出演者、もしくは演奏者として参加します。
 オルフェの瞳は歌と踊りにて、紡がれる喜劇です。

 【筋書き】

 オルフェという少女が、知り合いの妖精を訪ねて妖精の住む森へと出かけます。
 けれど途中、道に迷い魔法使いの館にたどり着きました。
 魔法使いに捕まったオルフェは、同じく囚われていた青年と出会い恋に落ち。
 そこへ妖精が彼女を探しに来て・・・・・・。

 という筋書きですが、結末は決まっていないので、構成を色々考えてみるのも面白いかも
 しれません。配役については、四人は決まっていますが、作るお話によって色々足してみましょう。

●閉会イベント

 歌劇の他に、お祭りの最後にあるイベントの企画と司会を担当できます。
 無理に企画しなくても構いませんが、何か案がある、みんなから聞いて企画するなど、可能であれば 
 ぜひどうぞ!

●ゲスト

 着ぐるみコンビ、MMO会長と書記長も参加するようです。その他にも、色々来るらしい。


●その他

 質問がある場合はアレクにどうぞ
 終了後は、こちらの方たちは閉会式のイベントと司会担当になります。


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●今回の参加者

 ea9114 フィニィ・フォルテン(23歳・♀・バード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb5624 ミランダ・アリエーテ(45歳・♀・ファイター・人間・ビザンチン帝国)
 eb5763 ジュラ・オ・コネル(23歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb7760 リン・シュトラウス(28歳・♀・バード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●サポート参加者

サラ・シュトラウス(ec2018

●リプレイ本文

●オープニング

 
 物事には全て始まりがある。
 これから開始される一つのイベント、それに関してもやはり始まりの準備が必要だ。
 それでは、初めに開催される祭りのイベントに足を運ぶ冒険者をあげておこう。

【歌劇参加者】

フィニィ・フォルテン(ea9114)
ミランダ・アリエーテ(eb5624)
ジュラ・オ・コネル(eb5763)
リン・シュトラウス(eb7760)


 【お祭り見物人】

 イコロ

 それでは、夏の夜に弾ける夢。
 祭りを開始しよう。
 

●イユーニの歌劇団


 キエフ近郊のどこにあるのか、謎なまるごとハウスに、どこからともなく投函された招待状。それを手にMMOの元締めである部長と書記長はこの暑い中、まるごとを着てやって会場にやってきていた。
「部長・・・・・・夏の間は活動を自粛しようよーあついよー」
 普通のまるごとクマさんを着た書記長(推定年齢14歳・乙女)は、汗をかきかき、そう部長に進言するが。
「書記長! そんな脆弱な精神でまるごとを愛せるのか? それに次から舞台が雪山だ。問題ない」
 ここぞとばかりに意味不明なことを喚きちらす部長(推定年齢初老・シルバー)。彼は、普段着のまるごとホエールを装備している。
「それよりも、いったい何があるのかな?」
 流れる汗が妙にセクシーな書記長の視線の先、なぜか特設舞台が用意されている。どうやらここで何かの公演が行われるようだ。
「公演のお伴にいかがですかー? お茶、お茶、生ぬるいおちゃー」
 部長はなんとなく、売り子の兄ちゃんをどこかで見たことがあるような気がした。確かあれは、しるばーふぉっくす団の団員。最近影が薄い団員Borisu君ではないか。
 注、部長の脳内変換で本来、銀狐兵団のようです。
「売り子に成り下がるとは、落ちたものよ。出番が無いとは、さびしかりけり」
「もう、そんな三流キャラはいいから、早く本題に入ろうよ」
 
 無残な書記長の言うとおり、いつまでも前座の小芝居を続けていると、そのうちに槍を投げられる気もするので、そろそろ本題へと入ろう。

●準備中

 準備が整った舞台裏では公演までの時間、主役を努めるフィニィがセリフの練習をしていた。
 その横には、なぜかまるごとのジュラがいる。ジュラは四季の全てをまるごとで過ごすそんな誓いを立てたのだろうか? とりあえず役柄という理由をつけて見ないふり、見ないふり。
「主役が少年じゃないのに、がっかりです」
 思わず心の声が現実化したのはリンである。
「このさい少年にしてしまいましょうか、リンさんにメイクを施す。それも良いかもしれませんよ」
 ミランダが微笑んでいる。もしかしてやる気かもしれない。
「え? そ、その遠慮しておきます」
 リンも意外と似合いそうだが、少年ならばジュラのほうがより、はまり役だろう。
 なぜなら彼女は、凹凸がほとんどない。最近は、まるごとを着ているので、ほぼ忘れかけていたが、胸は平らである。
「そういえば、まるごとハウスからのお客様は、来ました?」
 フィニィが思い出したように言ったときだった。
「ここが現場か、書記長」
「ここが現場ね、部長」
 そう奴等がやって来た。
 フィニィはそれを確認すると手短に今回の用件を話す。彼らはいつもまるごとを着ているようところからして、目立ちたがり屋度Maxなコンビ。
 その言葉を聞き、きっと否の選択は無い。
「それでは、まるごとをはじめようか! 諸君」
 なんだかよくわからないが、格好をつけている部長の宣言により、舞台が始まることになった。

●オルフェの瞳

 ペットのマトナウ・アニカラ、狐・猫を引き連れたパラの少女であるイコロは、舞台の公演が始まるまで祭りの会場を散策していた。その横を先ほどから売り子をしてる青年が通りがかった。
「いかがっすかー、観劇用保存食、安いよ」
「観劇用の保存食なんてあるの?」
 なぜか興味を惹かれたイコロは、売り子の兄ちゃんに声をかけた。
「素敵な保存食だよ。味も形も普段と同じ」
「凄い! それなのに観劇用なんだ」
「そう! 観劇のために作った専用保存食なのさ」
 どう考えても、ただの保存食のような気もするが、イコロはそれを一つ買ったようだ。
「マトナウ・アニカラ! 一緒に食べようね」
 ということで、いたいけなパラの少女を騙した? 青年は、あらたなターゲットを探してその場を立ち去った。  
「お祭り記念公演、舞台劇『オルフェの瞳』が上演されます。観劇されるかたは特設広場までご来場ください」
 売り子の後ろ姿を見送っていたイコロだったが、それを聞いて会場へと向かうのだった。

●一幕

 配役
 
 ☆少女オルフェ 「フィニィ・フォルテン」
 ☆魔女っ子 「リン・シュトラウス」

 
 上がった幕。
 舞台上に現れた少女は森に住むという妖精を訪ねるため森の道を進む。
 その手には土産の入った籠を持ち、友人の妖精の喜ぶ顔を思い浮かべ歌を口ずさみ。
 だが、進む道は幾度となく同じ形を繰り返し、道案内に記したはずの記し何度か見た。いつしかオルフェのまわりの風景が暗い色に染まり、森の奥へと迷い込むその中で、彼女の前に現れたのは、一軒の屋敷であった。

 「ここはどこ?」
 動揺するオルフェの前にあらわれたのは、なにか変な杖とかもってるーほらいわゆる魔法少女ってやつかな、うん。
 どじっこってあたりが、ちょっとキュートな彼女の名前は、そう
「魔女っ子☆リラとうじょー!」
「下僕の部長です」
「同じく書記長よ」
「呼ばれたリュートです」
 まるごと三人の下僕を引き連れた魔女っ子というには、ちょっと年増・・・・・・の魔女っ子さんは、屋敷を訪れたオルフェに向かって言った。
「何もないから、はやく帰れー」
 初対面でいきなりその挙動、めっちゃ怪しい。オルフェは驚きつつも聞いた。
「でも、私は妖精さんに会いに来ただけです」
「妖精なんていない。いないったら、いないです」
 リラは無意味に強気だ。どう見ても何か隠したがっているようだ。
「姐御、こんな小娘。娼館売り飛ばして小銭にしちまいましょうぜ」
 部長はワルを演じている、が、似合わない。
「私‥‥‥」
 オルフェが迷っているのを見て、待ちきれなくなったリラはついに、魔法少女の杖を使った。
「リルリラリルラ リラックス♪ リルリラタッチでこまどりになぁれ」
 お決まりの台詞とともに、杖を向けるとあら不思議、大道具さんがやって来て、まるごとこまどりをオルフェに無理やり着せて。 
「変身成功!」
 リラが高らかに宣言した。
「なに、なんなのこの展開、私理解できない」
 書記長がなにやら一人感じいっているが、これは喜劇である。喜劇という物は、お約束と予定調和で構成されるデカダンスなのだ。なんだかもっともっと意味不明だが、そういうものと理解しよう。
「それで、僕は何のために呼ばれたんですか?」
 水竜亭という飲み屋の給仕パラ下僕リュートは、たんにリラの嗜好を満足するために呼ばれたのだ! 少年バンザイ、少年バンザイ! 
 ふー、このテンションにも疲れてきたころだ、そろそろ日常の世界に戻ろう。

 こうして魔法使いリラの野望? の犠牲により、まるごとこまどりに変身させれられたオルフェは、屋敷に監禁されるのであった。

●ニ幕

  配役
 
 ☆少女オルフェ 「フィニィ・フォルテン」
 ☆魔女っ子   「リン・シュトラウス」
 ☆魅惑の妖精さん「ミランダ・アリエーテ」
 ☆まるごと青年 「ジュラ・オ・コネル」

 色々あったが無事捕まったオルフェ。
 そのころ妖精は、自分に会いにくるはずだったオルフェを探して森の奥の館にやって来ていた。
「私は妖精ーラララー」
 踊りながらいきなり壇上にあらわれたのは、妖精。
 今妖精は、森で一番怪しい魔法使いが住むという屋敷の扉の前に立っている、妖精自身が怪しいという突っ込みはいらない。

 トントントン。
「留守です」
 ‥‥‥‥‥。
 トントントン。
「留守です」
 トントントン。
「留守だって言ってるでしょうが!」
 リラが自ら扉を開き現れた。
「あらあら、いるじゃない。で、聞きたいだけど」
 どうやら、策士妖精の勝ちのようだ。

 と、表玄関でそんな古典的な世界が繰り広げられているころ、内部では
「コケー」
「‥‥‥‥」
 オルフェがニワトリ型青年を見て警戒している。見ないふり、見ないふり。
 この同じく監禁されていた。青年が歌を歌うと
「コケッコ、こっこ、こっここ、ここっこー」
 と、聞こえるが、多分空耳だろう。
 こうして彼と彼女は出会った、それが幸せかどうかは定かではない。

●三幕

 ☆少女オルフェ 「フィニィ・フォルテン」
 ☆魔女っ子   「リン・シュトラウス」
 ☆魅惑の妖精さん「ミランダ・アリエーテ」
 ☆まるごと青年 「ジュラ・オ・コネル」


 一時的に魔女の館より撤退した妖精。しかし、妖精の冷徹な知性の前に魔女の隠蔽工作など児戯に等しい。
 それを見越し、あらたな策を練った妖精の前に、魔女リラ率いる誘拐団が獲物を引きつれ現れるのだった。

「最後の決戦ね、オルフェ、あの人は渡さないわ」
「魔女さん」
 魔女は自らの手にもった杖を振って叫んだ
「我こそは夜の支配者、夜闇昇る七匹の獣。終りなき旅路の果て照らす光の主、明けの空に射す女王の力持ちて今ここに、リリラリルラ リラックス♪ リルリラタッチでまんげつになぁれ」
 まんげつに変身するリラ、その様子を観察していた青年は。
「こっこ、こっこ、くしゅん」
 羽を撒き散らした。彼は何かの呪いにかかっている‥‥‥‥はやく教会へいこう。
 話は進み、対峙する魔女とオルフェ。
「魔女さん、愛することは大事なことです。けれど、それを押しつけてはいけません」
 オルフェが魔女に向かって説得をする。 
「何が分かるんだ、お前なんか、お前なんか消えちゃえ」
 魔女の杖からリリカルな光が発射された、どういう効果があるのか不明だが危険だ。その時、妖精が飛び出し阻む。
「あたしの友達に何をするんだい。さっきはよくも嘘を吐いたね。こうなったらお仕置きだよ、逆さ磔だ!」
 妖精は怒らすと怖い。この劇で最強はどうやら妖精のようだ。あっという間に魔女は捕まった。
「さて、どうしようかね。火あぶり?」
 それを聞いて涙目の魔女。
 彼女は、ただ青年の気を引こうとしただけなのだ。不器用な自分の想いを伝えるための手段がそれしかなかった。
 オルフェは妖精の視線を受けて、首を横に振る。妖精はそれを見て言った。
「分かった、オルフェの信じる通りにすると良い」
 オルフェは縄を解かれた魔女の手を握ると微笑み。
「自分の気持ちに、素直になることは素敵なことですよ。さあ、正直に」
 魔女とオルフェの視線の先には、こっこ青年の姿がある。何度か言葉に詰まりながら魔女は──。
 その言葉を彼に伝えるのだった。
  
 物語はここで終っている。その後彼らがどうなったのか?
 その結末はきっと、貴方の心の中ある。
 
●終幕 

「マトナウ、大人しくしてて」

 イコロは舞台を見終り保存食を食べつつ、劇のその後について自分なりに考えていた。
「やっぱり、幸せに終るのが一番なのかな? それともそんなに上手くいかないのかな」
 イコロがアニカラにそう聞きつつ、最後の保存食の欠片を口に含んだとき
「お、さっきの子じゃないか。どう? 観劇保存食美味しかったかい」
 先ほどの売り子の兄ちゃんがやってきた。 
「いつもと同じ、普通だったよ」
「まあ雰囲気を楽しむものだからね」
 売り子は、ちょっとだけ目をそらして言った。
「そうなんだ。それより答え、劇の答え」
「答えって結末かい?」
「そう、どうなったのかな」
 悩むイコロに売り子は。
「君が望むように終らせればいいと思うよ。それが君自身の答えってやつさ、それじゃ、俺はまだ仕事があるからこのへんで・・・・・・まったく姉さんは人づかいが荒い」

 そうぼやくと、売り子は手を振って去って行く
 残されたイコロは何事か考えていたようだが、手を一つ打つと、さっぱりしたような表情を浮かべ、祭りの会場に紛れて行った。


 終?