【MMO】 今ここにある君!

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:7人

サポート参加人数:1人

冒険期間:08月23日〜08月28日

リプレイ公開日:2007年08月31日

●オープニング

●はじめに

 まるごとは?

 「全身きぐるみ愛好家に向ける、全身保温機能もたらす防寒着のことをさす」

 この物語は、そのまるごとの魅力にとりつかれた者たちが織り成す、ドラスティックな無敵ストーリーかも?
 ちなみに、MMOは「まるごと課外活動部」の略である。


●前回までのあらすじ

 昔々、キエフの近くに一人のまるごと巨匠が住んでいたそうな。
 まるごとの王者と呼ばれたその巨匠は、数々のまるごと衣装を作り出し、世に送ったと聞く。しかし、時は流れ、まるごとを愛好するものたちにその名を忘れられた。
 そして、今。その伝説が去年の冬に蘇ってしまって・・・・・・色々あって夏になっちゃった、もうちょっとで秋だよみたいな感じ。

 それは、突然の出来事であった。
 まるごと魔王が復活したのである。
 訪れたまるごと世界の危機を知り、MMOの名を受け継ぎしものたちが集った。
 彼らは、伝説のまるごと勇者を作成するべく、羊毛・織機・職人を暗黒まるごとナイト、真っ黒卿より取り戻すのだった。
 その後、彼らの活躍により勇者が完成した事を知った魔王は、じたんだを踏み、配下のまるごと魔女っ子とお菓子を食べた。
 しかし、だからといって、状況が何も変わるわけでもない。
 この展開を重く見た、まっくろ四天王の一人髑髏博士こと、まるごと髑髏さんは、意味もなく郊外の雪山に秘密基地を設置、MMOに挑戦状をたたきつけるのだった。

 そして今。
 ──戦いが始まる。

 
●まるごとハウス

 キエフのはずれにある、いかにも安っぽい小屋の中に
「まるごとの名を知るものよ、前夜祭に来たれ!」
「ただの冒険者は帰るがいい。我が望むのはまるごとの名を知る者のみ」
「日給30C、三食昼寝つき、MMO放送部 職員募集中!」
 など、無作為に選ばれたメッセージを散りばめた、立て看板が散見している。

「やっぱりあぢい」
 まるごとクマさんを装着した、顔だけみると推定年齢14歳くらいの少女こと、MMO書記長(名前はない)は、いつものオンボロ小屋で汗をかいていた。
「心頭滅却すれば太陽を打ち砕くのもたやすい、ようは気合、気合」
 MMO部長こと初老のまるごとホエールは、相変わらず言うことだけはスケールが大きい。
「部長って、どっか壊れてるでしょ?」
「いちいち、ほめなくてもいいぞ書記長。さあ、勇者は私のものだ」
「・・・・・・いろいろ幸せよね、部長って」
 と、暑い最中防寒着を着ている二人。あまり気にしてはいけない。 
 
 そこへ届いたのは、髑髏さんからの挑戦状であった。

『拝啓 

 MMOのみなさまお元気でしょうか? 私は元気です。
 今回色々ありまして、みなさんをぶったおすことに決まりました。
 ということですので、よろしければ、私の用意した戦場までいらしてください。
 あ、怖かったら逃げてもかまいませんよ。
 それではこのへんで。

 敬具
 
 髑髏博士より』

「ずいぶん礼儀正しいのね」
 と、書記長が呟いた時、扉が急に開く、その先には。 
「あの、ボク呼ばれてきました」
 赤毛の少年が、落ち着かない様子で立っていた。


 『今回の部活動』

 髑髏さんの挑戦を受けて、秘密基地で決戦しまーす。
 雪山なので、まるごと着てても暑くないです。
  

入部規則

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

第一条
まるごとシリーズのどれかを必ず着用すること。
無い人には活動中のみ、貸し出します。

まるごとおーが
まるごとどらごん
まるごとホエール
まるごとオオカミさん
まるごとウサギさん
まるごとクマさん

あたりはいっぱいあるので複数貸し出しできますが
他のまるごとは在庫一品ものなので、喧嘩はしないでね♪

特例 
ミミクリーで変身して防寒服を着ているのもとりあえず許可。
獣耳バンドに防寒服も、まあいいかな。

第二条
もれなく、まるごと部員の証「バッジ、腕章、ワッペン」(称号)などがもらえますが
いらない人は返却しましょう。

※補則
MMO部員の称号をお持ちの方はもれなく
「○○MMO」
「MMOなんとか」

「MMO将軍」
などに変更可能です、ご希望の方はどうぞ。

第三条
活動中はみんな仲良く。

第四条
まるごと世界の危機を救う意気込みを忘れない!

注釈
一応戦闘はあるようですが勝っても負けても、怪我はしません。
 

●今回の参加者

 ea5352 デュノン・ヴォルフガリオ(28歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea9114 フィニィ・フォルテン(23歳・♀・バード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb3232 シャリン・シャラン(24歳・♀・志士・シフール・エジプト)
 eb5604 皇 茗花(25歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・華仙教大国)
 eb5706 オリガ・アルトゥール(32歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb5967 ラッカー・マーガッヅ(28歳・♂・クレリック・エルフ・ノルマン王国)
 ec3063 ジリヤ・フロロヴァ(14歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●サポート参加者

虎魔 慶牙(ea7767

●リプレイ本文

●いつものやつ

 細かいことを説明するほどのこともない。
 まるごとハウスではいつものように、まるごとに大好きな仲間たちが集まって遊んでいる。
 おーぷにんぐを飾る小芝居繰り広げられる、これハウスの掟。

 今日の部長は意味もなく偉そうだった。
「勇者は私にきまっている、頭が高い控えおろう」
 目の前にいる、子供に偉そうにする部長。
「部長は、勇者って柄じゃないでしょ? せっかく誰の差し金か知らないけど、勇者候補が来てくれたんだからそれでいいじゃない」
 書記長は、どうでもよさそうに言った。
「いやじゃ、いやじゃ、わしがなるんじゃ」
 急に部長の態度と口調が変わった。
「あの、ボク帰っていいですか?」
 赤毛の坊やは、駄々っ子部長を見て驚愕する。
「ダメよ、これから起きる予定調和のためには、貴方の力が必要なのよアレク君。全てはシナリオどおり、神の計画にそっているの、筋書きのないドラマなんて嘘、嘘なの」
 書記長がそこらへんは、てきとーにぼやかしておいたほうが世の中ため、人のためなことを指摘した。
 
 まあ、こんな感じでまだまだ続くのだが、そろそろ本編へ行かないと色々不都合が起きる気もするので、それでは本編へどうぞ。

 
●雪山・前編


 最初に言っておこう。名前で呼ぶのもあれなのでこーどねーむをつける。

デュノン・ヴォルフガリオ(ea5352)
「まるごと死神」

フィニィ・フォルテン(ea9114)
「まるごとえんじぇる」

シャリン・シャラン(eb3232)
「まるごと羽・・・・・・ではなくこあくま」

皇茗花(eb5604)
「まるごとウサギ」

オリガ・アルトゥール(eb5706)
「まるごとわんこ」

ラッカー・マーガッヅ(eb5967)
「まるごとくりネズミー」

ジリヤ・フロロヴァ(ec3063)
「まるごとクマさん二号」

 以下、こーどねーむで呼ぶので、脳内変換して欲しい。


「雪山なんて寒いわね、しふしふー」
 まるごとこあくまは羽をばたつかせ飛んでいる、今思ったが、まるごとを着ると飛べなくなるような気がする。いや、気の迷いだ、きっと飛べる。明日に向かって飛ぶんだ、羽!
 そんな時だ、いきなりの急展開が。
「YOYO、YO、ヘブン・天国・マイラバー 元気? ゲンキン 支払い中!」
 なんだか微妙に近づいてはいけない雰囲気がする、テンションの高い黒まるごとがしゅつげんした。その姿は説明できない、想像しよう。
「死神の前に立ちはだかるとは、問答無用! 死ぬがいい」
 っていうか、君もしかして黒まるごとだからあっちの仲間じゃない? そんな感じのまるごと死神(黒ホエール、顔は包帯ぐるぐる巻き&デスサイズモチ)がいきなり、死の呪文はぶつけた。
 その死闘を見た仲間たちは? って、あれ。
「ゆうしゃさんの好きな食べ物は何でしょう?」『でしょう♪』
「ボク、お魚が好きです」
「初めてのゆうしゃ活動ですが緊張していませんか?」『せんか♪』
「ゆうしゃなんてボク・・・・・・」
 えんじぇるのインタビューにゆうしゃが答えている。
 インタビューを他のまるごとたちも主に観覧しており、まるごと死神VS黒らっぱーの戦いを見ているものはあまりいないようだ。
「頑張りなさい、死神」
 そんな中で、まるごとわんこが言った。相変わらず髪の毛で視線が読めない。
「あの、おねーさーまとお呼びすればよろしいでしょうか?」
 まるごとくりネズミーが聞いた。
「好きにしなさい」 
「うきゅぅ、クールな感じと、まるごとのギャップがイイ」
 確かに、いつものよりわんこは、ほのぼのクールな雰囲気だ。娘に対する挑戦だろうか? といっても何に挑戦しているかはよく分からない、ただ言ってみただけである。
「はじめまして、ゆうしゃさん」
 まるごとクマさん二号がゆうしゃに挨拶した。
「あの、はじめまして。みんないつものこんな感じなんですか?」
「分からない、僕もはじめてだから」
 まるごとクマさん二号は、外見だけが非常に若い。ゆうしゃよりも若い。若さ爆発、少年に見える少女なんて中年魂をくすぐる。
 などと、平和? な一時を満喫していたMMOに浴びせられたのは。
「フハハハ、この雪ウサギは貰った」
 あがる声、視線の先には、雪の上にいるまるごとウサギが・・・・・・捕まっている。
「あまりの自分のうるわしさにボーっとしていたら、この不始末」
 どうやら、まるごと好きすぎたウサギの油断のようだ。
 そして、現れたのは。
「MMOの諸君! 油断したな、そのうるさい黒まるごとらっぱーは囮、オトリ、見世物」
 だが、見世物としても三流である。
 ともかく、どうやら黒に明らかに白色に着色した髑髏模様のまるごとが登場した。そして、まるごとウサギが紐で首輪をつけられ人質になっているようだ。
「卑怯だぞ 髑髏博士!」
 ゆうしゃがそれっぽいことを言った。
「卑怯、なんて素晴らしい台詞、悪役にとってこの上ない名誉」
 聞いた髑髏博士はこもった笑い声をあげるのだった。

 仲間を人質に捕られたMMO! 彼らの運命やいかに?

 それでは、後編でおあいしましょう。
 
 

●MMO放送部

「はい、全国のまるごと大好きのみんな! 元気? 今日もMMO放送部の時間だよー今日も私、書記長&とMMOメンバーと一緒にまるごとワールドにGO!」

 このテレパシー放送は、ヴォルニ領、領主の提供でお送りしています。
 だからといって、あまり深い意味はありませんので、気にしないでください。

「じゃあ、今日のゲストは、羽ダンスのこあくまさんです」
「羽、羽。言わないで欲しいんだけど、どうせならシフシフのほうが・・・・・・・」
「それよりも、観覧席にいるまるごとらーの誰かにダンスを教えてみたらどうかな?」
 観覧席では、まるごと死神が鎌を振ってアピールしている。
「え、あれに教えるの? うーん。やだ」
「やだって、こあくまさん、先生じゃないですか?」
「教えるほうにも選択権があるでしょー、仕方ないわね。あのネズミーとウサギとわんことクマをステージにあげて」
 ということで、獣たちがステージにあがった。
「じゃ、あたいの踊りを真似るのよ」
 ここから説明すると長くなるので、端折っていこう。
 とにかく彼らは踊りを踊った。
 迸る汗! 躍動するまるごとたちの素敵なステップ、ターン、ステップ、ターン。
「うーん、ナイスティング、Hey、Hey、Hey」
 彼らの踊りは招かざる客を召喚してしまったようだ。
 人呼んで男の名、まるごとアフロ。
「何、あの鳥の巣?」
 書記長は予想外の展開に驚く。
「どうやら、俺の出番のようだな、じゃ早速」
 まるごと死神が立ち塞がっって、「死にさらせ」呪文を唱えた。
「へいカマー、youは何の戯れ、カマカマー」
 しかし、アフロには効かない。
「さすがアフロ。伊達にダンスを踊っていませんね、死を退けるとは」
 なぜか、わんこが感心した。
「すごいです、わんこおねーさま。それよりも、ここからどうやってオチをつける気なんでしょう? うきゅぅ」
 小首をかしげてネズミーが言った。
 それは言わない約束でしょう、ネズミーさん。
「ってことで、そろそろ時間がきてしまいましたー。今週のエンディングはえんじぇるさんの『まるごと哀歌』バックダンサーはクマ二号&ウサギダンサーズです」
 書記長の無理矢理な進行とは裏腹に、ステージで大暴れしているまるごとたちの姿もある。とはいえ、実況している時間はないので、諦めよう。

 『まるごと哀歌』 作詞「ダレカ」作曲「ドコカ」歌「まるごとえんじぇる」

 相変わらず、フィニィ親衛隊こと、まるごと親衛隊で埋め尽くされている会場。
 そこで、ややスローリーなステップを踏む、ウサギとクマ二号。
 拍手が鳴り響く中、ステージに現れたえんじぇるとミニえんじぇるは
「神曲です聞いてください」『きっと新曲です♪』
 ミニのつっこみも入ったが、とにかく今回の歌は哀愁漂うバラードのようだ。
 そしてえんじぇるが歌いだした・・・・・・。
  
「あ゛ー時間だ。じゃ今回はこのへんで。この放送は、まるごと愛する皆のために発信されています。MMO部員絶賛募集中、キエフまで来てね、あたしもまってるよ☆ 提供・ヴォルニ領主でおおくりしました!」

「ぬおー、出番がディストローイ」
「Hey、you! ダンス闘技場にカメン!」
「世界の皆さん、かっこいいゆうしゃさんが誕生しましたよ〜!」
 さいごに、クマサン二号が締めたところで。 
 
 ・・・・・・プチ・・・・・・。
 
●雪山・後編

「フハハハハ、どうするMMOの諸君」
「卑怯だぞ、髑髏博士!」
 ゆうしゃが言った。
 このままではどうにもならない、そんな時だった。
「あたいのミラクルパワーをみせるときよ!」
 こあくまがいきなり、必殺技を繰り出した。
「こあくま十奥義の一つ『天候変化』悪は無に帰るのよ!」
 きっとそのような奥義はない。
 だが、いきなり天候が悪化して猛吹雪で前が見えないないない。
「ぬおー、最初からよく見えないのに、まったく見えなくなった」
 髑髏博士は、確かに視線枠がほとんどないようなまるごとだ。
 さらに。
「俺の色に染まれぇー!」
 ネズミーが止めとばかりに絵筆で視線を真っ黒に遮った。
「目が、目がー!」
「いまです、みんな円陣を組む」
 わんこの号令で、まるごとフォーメーションΩが結成された。そんなものがいつ発生したかは深く聞いてはいけない。

「ついに、まるごと合体がはじまる時か、新しい伝説のはじまりだな」
 知らないうちに現れた部長が感慨深げに言った。
「機神合体まるごとーズね」
 書記長もついでに言った。 
「ああ、これもゆうしゃの導きがあればこそ」
「なにかノリが微妙に、いつもと違う気がするけど」
「きっと、次はまるごとゴーレムの上などに魔王が乗って出てくるのだろう」
「でも、合体といっても、円陣組んでゆうしゃが上に乗ってるだけに見えるよ」
「仕様だ」
「そう、せちがらい世の中なのね」

 勢いよく発射される、まるごとゆうしゃ砲、発射されるゆうしゃは博士を一撃で倒す。
「・・・・・・魔王さま、あとは・・・・・・ぐふ」
 かくして、Ωフォーメーションから飛び立ったゆうしゃ砲(円陣から飛んだだけともいう)の前に髑髏博士は倒れた。
 黒まるごと四天王の一人髑髏博士。
 雪山に散る。
 なかなかバトルなお話でした。

 さて、ここからはお友達タイムです。

 ハウスに帰ったえんじぇるが、今回の冒険談を歌にしている時、真っ白卿がやってきた。
「こーほー」
「久しぶりです」『デス♪』 
「こーほー」
 だが、会話が成立していないようだ。
「ともかく、今回お弁当を食べる暇がなかったのでどうぞ」
 まるごとウサギは、わんこやらクマさんゆうしゃと一緒にお弁当を食べている。
「髑髏さんも一緒にたべれば良かったのにね」
 クマさん二号の言葉に。
「きっと悪役のポリシーというものがあるのでしょう」
 わんこが返す。
「それよりも、さっきから雪の中で暴れているのは?」
 ゆうしゃの指差した先で、必死になって雪の中を泳いでいるまるごと死神がいる。
「たぶん、ホエールだから泳いでいるのだと思う」
 ウサギが冷静に言う。
「あれもきっとポリシーの一つですね」
 わんこの指摘は的を射ているような気も。

 和やかな空気が流れる、まるごとハウス。
 くりネズミーは、一つの計画をもってゆうしゃの前に立った。
「ゆうしゃ誕生の記念に絵を!」
「え、ボク、はずかしい。帰っていいですか?」
 ゆうしゃが周りに助けを求めるが、みんな首を振る。
「ゆうしゃの活躍は語りつがれるものです」『デス♪』
 えんじぇるがやって来てそう言った。
「そうね、いきおいよくぶつかったしー描いて貰ったら?」
 こあくまも頷くのだった。
 
 こうして、まるごとゆうしゃの絵が描かれることとなった。
 ゆうしゃの緊張を解きほぐすかのように、えんじぇるが竪琴を奏でる。
 しばらくして、完成した絵は、とても立派なものだ。
 え、ゆうしゃがどんな姿なのか?
 それは、きっと君たちの心の中にあるさ。


 了