【JAM SESSION】 SEPTETTE#WIND
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■ショートシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:4
参加人数:7人
サポート参加人数:6人
冒険期間:09月12日〜09月18日
リプレイ公開日:2007年09月20日
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●オープニング
●Autumn
新緑に飾られていたはずの街に、季節を運ぶ足音がやってきた。
不機嫌でやる気のなくなった暑さは、まだここにいる。だが、振り向いた先には緑翳る気配も感じる。
吹き抜ける風の中、人気のない通りに立ち尽くす少年は、伏せた瞼を開く。
何気なく指を鳴らした彼、その奏でた小さな音は、和らいだ陽射しがふり注ぐ街並、涼しげな風景へと響いていった。
「秋か」
一人呟き、背負ったザックから取り出したのは、黒表紙の一冊の本のようだ。彼はその本を、着ているチェニックの胸元に押し込むようにしまい、歩き出す。
見上げる空は青い。けれど、澄んだ青に憂いも見える。
胸に沈む想いは、彼の記憶の傷を触り、乱暴に掴む。新しい季節の使者は、気づいていなかった気持ちをどうやら思い起こさせるようだ。
──懐かしい匂いがする。
どこかでパンを焼いているらしい、その匂いを嗅いだ彼は何かを思い出し、少しだけ尖った耳に触れたあと。
「・・・・・・母さん」
俯き言葉をこぼした。
視線の先にあるくたびれた靴に、陽の光が当たり鈍く輝いている。
その光景をしばらく見つめたあと、落ちていた石を彼は勢いよく蹴る。想いを込め放たれた石は、道を走りぶつかりながら転がって、いつしかどこかに消えて行った。
JAM SESSION
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以下の場所・地域への移動と、関係した人物と遭遇することができます。
目的は皆さん次第ですが、情報収集としても利用できると思います。
初対面でも、報告書なりを読んで知識としてあれば探すことは可能です。
興味のある誰かを、見つけてみるのも楽しいかもしれませんね。
●場所
移動距離(片道) 主な場所
キエフ内 「水竜亭」「冒険者ギルド」「銀狐兵団兵舎」「ナタリーの教会」
郊外 「まるごとハウス」
2日程度 「悪魔の門の村」 「幻影の洞窟の村」
3日程度 「ヴォルニ地方 中心都市ヴォルニフ」
●関連NPC
いつもの場所にいるようです
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●リプレイ本文
●水竜亭
キエフの表通りから・・・・・・長くなるので以下略。
「いらっしゃい、ませ」
出迎えたパラの少年は、何度か見慣れた光景とはいえ、着ぐるみをきた人物を見て口ごもった。
パラの少年、給仕であるリュートの前に立つミィナ・コヅツミ(ea9128)は、トナカイだ。
最近まるごとを着ている場面ばかり見ているので、まるごとで活動している姿が脳裏に焼きついているとしても、きっと普通の人だと思う。
だが、ここで。
「普通って何なの?」
そんな思春期ぽい質問をされても正直困る。お父さん・お母さんに聞こう。
彼女に付き添って来たのも、またちょっと癖のある眼帯をつけた女だ。眼帯の女とトナカイの着ぐるみの女。
もしかしてこの酒場で今日、仮装パーティーでもあるのだろうか? そんな疑問を感じていた客もいたようだが、とにかく。
「ご注文はどうしますか?」
そんな流れで話は進む。
さて、ジャパン在住、なぜかロシアに来て古代魔法語を研究していたシーンの研究結果がミィナにわたされた。
「これがウチの調べた結果」
ということで、ありがとうシーン。あとは眼帯に任せておけば多分大丈夫。
ミィナはシーンから受け取ったメモをリュミエールに、
「それほど多くないですけれど」
と、結構な数の金貨を袋に入れて渡そうとするが。
「ああ、金はいいよ。どうせ頼まれていた仕事だしさ」
差し出された袋を差し戻すと、リュミエールはそう言って片目を瞑った。
●キエフ
「押忍! 押忍! 押忍! いくぞ暁」
セシリア・ティレット(eb4721)がキエフの通りを歩いていると、お空をグリフォンに乗って叫ぶ男が飛んでいた。
「最近のキエフは平和ですね」
セシリーはその様子を眺めて微笑んだ。
といっても、それが微笑む光景なのかとても疑問ではある。ともかく、彼女、アレクという少年と買い物にいく約束をしていた。
そして、セシリーが待ち合わせの場所に行くと・・・・・・なぜかアレクは河童と稽古をしている。
「いかなるトキでも己の意志をたもつ事、勇気を失わぬ事ぢゃな」
「はい!」
「怖さを正しく感じ取れるのは素晴らしい、だが、そのせいで即座に己の身体が動かせぬのはイカンのぢゃ!」
「分かりました、河童さん」
セシリーはアレクの姿を見て、心の中で思った。
(・・・・・・アレクさん、がんばって)
この街のど真ん中で、熱血ですか? という声は無視して、稽古を終えて一汗拭いたアレクはセシリーを見つけると走りよってきて
「セシリーお姉ちゃん!」
抱きつく。
セシリーは勢いでよろめくが、なんとか耐えて聞いた。
「今日は、どこに行きましょうか?」
「お買い物、この前のお返し!」
アレクは笑顔でそう言った。
●MMO的歓談
ここはまるごとハウス、細かいことは省く。
「アイドル・・・・・・なんてよい響き。この想い! 君に届け」
部長は、ほえーる姿で青空に向かって叫んだ。
「歳のわりにテンション高いわね」
書記長は、雪を溶かして作った冷水を飲み涼んでいる。
「いつでも気まぐれ、私は雲。それよりも客が来る予定と聞いたが?」
「部員さん。特に召集をかけてないけど、遊びに来るって連絡あったよ」
ということで、早速訪問客が現れた。
「ありがとうございました。押忍! さん」『押忍♪』
フィニィ・フォルテン(ea9114)は押忍! のグリフォンに乗ってまるごとハウスに来たようだ。
ここからは、彼女をえんじぇる、そのお供をみにえんじぇると呼ぶ。
どうやら後から、ゆうしゃと愉快なまるごとたちもやってくるようだが、ひとまずそこらに、なぜかまるごとべりーがぶらさがっている。
「粗茶でございます」
「結構なお手前で」
と、まるごとおおがまで出した、お茶を部長が飲んでいたりもすることを注目しておこう。
そのころ。
「まるごとハウスでお茶会をしますから、お友達も誘って遊びにきてくださいね♪ 〜えんじぇる〜」
その帰宅して手紙を見た、ゆうしゃはセシリーに聞いた
「お姉ちゃんは? どうするの」
そう、聞いたときだった。
「あなたの心をキャッチ、トナカイ マスコット☆ハート」
そんなセリフどこにもないが、突発的にトナカイが現れてゆうしゃとセシリーを浚った。
「アレク、晩御飯までには帰ってくるんだよ」
アレクママの空気を読まない発言を聞きつつ、セシリーとゆうしゃは拉致された。
●お料理
ジルという青少年がいる。
特に意味はない。だが、憶えていてもらおう。
マクシーム・ボスホロフ(eb7876)がリュミエールの元を訪れたとき、なぜかちょうど夕飯時だった。
「ちょっと時間ができたんでね。 箱を盗んだ連中の足取りを追ってみようと思うんだが、何か新しい情報が入ってないかな?」
「腹減った」
マクシームの問いかけに、リュミエールは無表情でそう答える。瞳のあたりに力を感じられない。
これは駄目だ。
マクシームは直感的に悟った。
「仕方ない、私の力を見せるときがきたか」
妙な気迫の溢れたマクシームは厨房に行った、しかしその場のあまりの雑然さに最初に掃除を始めた。
ある程度片した後、彼は料理を始める。美味しそうな匂いが辺りに立ち込める、それにつられ。
「ういーす、お邪魔しまーす」
どこかの青少年がやってきた。
「なんだ、少年。今日は一人か?」
「一人になりたいときもあるんですよ」
そんな話をしているうちに、マクシームの料理ができたようだ。
「あれ、お客さんかい?」
知らぬ間に一人増えた客人に驚き、マクシームは作ったものが足りるか迷った。
「食事時におじゃましてまーす」
作為的だが、まあいいだろう。そして料理食べた彼が言ったのは。
「☆一つデス、精進してね」
だ、そうです。マクシームさん。
●キール・マーガッヅ(eb5663)の事件簿
俺はキール、レンジャーだ。
今回色々思うところがあり、調査に赴いた。
これで、手に入らないピースの不足を補えればいいのだが。
と言ったかは知らないが、キールが今回調べたことをまとめておこう。
「誘拐犯の足取り」
これは思ったより簡単に裏が取れた、一度に大人数を輸送していたので目立ったのもあるようだ。
ヤグラを通して手に入れた情報を元に、誘拐犯の根拠地と思われる場所を調べたところ。狼をあしらった徽章が見つかった。
キール自身がこの印が何を意味するかを正確に知っていたわけではないが、続くヴォルニフに行ってそれが何を意味しているのを知った。
(この紋章は)
ヴォルニ家の紋章は狼を模ったものである。
元々ヴォルニ家は、ヴォルグ、狼を基本とした意匠が多い。
領主の城にあったそれは、彼が見つけたものと似通っている。
繋がって点と点が何を意味するかは別として、どうやら誘拐されたと思われるものはヴォルニフに拉致されたと思うのが良いだろう。
続いてヴォルニフで調べを続けた彼が知ったのは
「そういえば、領主さまの城で、近いうちに大きなパーティーがあると聞いたよ。珍しいこともあるものだ、のわりに使用人の数が変わったようにも見えないけどな」
そんな話であった。
●キエフの教会
ナタリーが庭先で掃除をしていると、珍しく一人でやってきた見慣れた姿がある。
「あれ? お一人ですか」
フォックス・ブリッド(eb5375)は、ナタリーの問いに軽く会釈するだけで何も言わずに頷き、教会の聖堂へと向かった。
神父と会った彼は、今回の来訪の目的をそれとなく告げると離れで一人護衛をはじめた
時は経ち、月の夜である。
ナタリーは夕食の差し入れをフォックスへと運んできて。
「フォックスさんは、どうして私なんかと関わるんですか」
前から思っていたことを聞いた。
ナタリー自身、自分の過去に何があったのかを知っていても、やって来る冒険者達に感謝はしているが、なぜ命を懸けてまで守ってくれるのかは、分からない。
「そんな価値ないのに・・・・・・」
ナタリーは自分の手を見つめる。
例え洗いながしたところで、汚れがすべて取れるわけでもない、忘れることで全てを清められるとして。
「理由はないと思いますよ。仕事だから」
フォックスは淡々と返す、聞いたナタリーは
「それだけ?」
どこか寂しそうに言った。
「ご不満ですか」
フォックスの口調にからかうような、雰囲気を感じたナタリーは、
「からかってる、ひどい。帰ります」
「分かりました、しかし帰る前にこれをどうぞ」
差し出したものはルーンを刻んだネックレスだ。
フォックスは、ナタリーにネックレスを手渡したあと。
「あなたは一人ではない。それを信じて進んで欲しいと思います」
フォックスの言葉を聞くと、ナタリーも小さく頷くのだった。
●ラドルフスキー・ラッセン(ec1182)の旅
「ラドラド」
「また、派手にやったな」
傷の治療していたニーナの元を訪れたラドルフスキー。
ニーナは前回のMr.・AFとの死闘の結果、瀕死の大怪我を負ったため、療養中である。
「ぶー、死ぬところだったデス」
「そう簡単に死なないだろ、ニーナだし」
「グッキーをあげたせい。あれは守り神なの」
どうみても、あの恐ろしげな熊のぬいぐるみが守護神とは思えないのだが、ラドルフスキーはそう思いつつも。
「今日も持ってるぞ」
「大事にして、あれは私が作ったものだから、お願い」
妙に大人びた口調でニーナは言った。
「なんだ、いつもと違って子供っぽくないんだな」
「死ぬかと思った。それだけデス、死んじゃったらもう会えないものね」
「そうだな、ひとまずまた来るよ。ちゃんと治療しろよ」
ラドルフスキーはその場を去って思った。
女は見かけでは計れないな・・・・・と。
その後、彼は縁の深い悪魔の門がある村を訪れ、今では誰も訪れることのなくなった遺跡の古代魔法語を読解をして。
「竜というこの単語はなんだ? そうか、昔は竜がいたこともあったんだろうな」
と、もはや彫った人も忘れかけていそうなことを調べたあと。
自らが関わった精霊の森跡などを訪ね、森と語ったという。
彼にとって色々な想いがあるその場所で、新たな気持ちで再スタートを誓い、彼はキエフに戻った。。
●まるごとハウス
到着したゆうしゃとセシリーここからはひろいん(仮名)は、えんじぇるの歓待を受けていた。
美味しい紅茶を淹れたり、トナカイが持参したまるごと龍一歩々夢風という、レアまるごとが物議を醸したり、BMに対抗するためのレクチャーなど色々あったのだが。
ともかく、本日のメインイベント。
「ぶっちゃけ、好きな人はいますかコーナー!!!!!!!!」
部長、かなりやる気だ。
メンバーは色々いる。
しかし、トナカイやらゆうしゃに聞いても答えが普通で、あまり面白くなさそうだ。
ひろいんは答えられるとは思えないので、やはりここは、
「あーえんじぇるさんに質問です。好きな異性のタイプは?」
「わ、私の周りも含めてまるごと包んでくださるような、包容力のある方が」
えんじぇるの顔が赤い。
「じゃ、今お付き合いしている方はいますか?」
「い、いません」
「私とかどうですか?」
「・・・・・・」
えんじぇるは黙った。
「ひ・ど・い」
「い、いやとかじゃなくて、むり、むり」『です♪』
照れつつもえんじぇるは、部長にとどめの一撃をさした。
青空がきれいだ・・・・・・部長はそう思った。
「元気出して部長、あたしと一緒に新しいまるごとの開発を!」
トナカイのフォローが胸に沁みる。
部長は、なぜか決意した。
「よーし職人タロウを借り出して、まるごとひろいん作るぜ!」
「なんかこの展開。ご都合主義よね」
書記長の鋭い突っ込みが響く中、ダンサートナカイをバックにいつものようにえんじぇるが歌いはじめる。
そして、後ろのほうから、伝説の織機と共に職人タロウが現れるのだった。
「次回、ひろいん誕生? なのだろうか」
●残りのキエフ
当初の目的を忘れかけていたマクシーム。
その調査結果を報告しておこう。
彼の推測から、結論を出すための決定的な証拠は見つかったわけではない。
しかし、状況と集めた情報から考えるに、箱はヴォルニフに運ばれた可能性が非常に高い。ただし、その目的がなんであるかは、今回の調査では分からなかった。
その謎を解くための鍵は、領主と愚者をつなぐ線だろう。
遊びつかれたアレクをつれてセシリーは彼の家に戻った。
出迎えたアレクの母親は、セシリーの問いを聞くと答えた。
「アレクの父親は、昔領主様の館に勤めていたことがあってね。それなりに有名な戦士だった。あの当時、前の領主さまには二人息子がいて、その弟君の方のお付きだった。今から大分前の話だけど、とある騒動が起き、その時主君を庇った傷が元でアレクの父親は逝ってしまったよ・・・・・・。。
確か、その弟君のほうが蒼色の鎧を好んだはず。人違いかもしれないし、その騒動以後誰も姿をみてないから、なんとも言えないけどね」
セシリーからアレクを受け取った母親は言った。
「血は争えないっていうけどねえ。私もこの子の父親とかなり歳が離れてるのよ」
それを聞いたセシリーは、はにかんだ。
●追記
解析結果はもう少し時間が、かかるようだ。
了