【普通の冒険!】 最初の一歩
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■ショートシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月14日〜09月19日
リプレイ公開日:2007年09月24日
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●オープニング
●ギルド
「ここは冒険者ギルド。あまり難しい説明はすまい。モンスターがいて、依頼が来る。そう、それだけのことだ」
で、おなじみの意味深ギルド員。
その元に駆け込んできた一人の少女は、真剣な様子で彼を見つめる。ときどき漏れる息がみょうに色っぽいが、そのあたり気にしてはいけない。
少女は、深呼吸したあと、彼に言った。
「ゴブリン、ゴブリンが村を、お願い助けてください!」
いつになくシリアスな場面だが、あえてこの男は断言するだろう。
「またよくある話だな」
皮肉めいた台詞のギルド員、しかし彼の手にはすでに依頼書が握られている。
少女は泣きそうな顔で言葉を続けた。
──ゴブリン退治。
それはきっと、冒険者にとって通らなければいけない一つの試練であり、次のステップへの最初の一歩。
「冒険者とは、自分の意思で選び成るものだ」
ギルド員はそう呟くと、依頼書をギルドに掲示した。
さて、この依頼、受けるか否か?
冒険者への道。
そこに歩みだすかは、君の意思なのだから。
普通の冒険
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キエフから徒歩で1日程度の距離にある開拓村。
その村がゴブリンの群れに襲われました。
村に速やかに急行し、以下の情報を元に、ゴブリンを退治してください。
〇ゴブリンは群れですので、それなりの数です、最低でも10匹程度はいます。
〇一匹だけ、やや大きめのゴブリンがいるようです
〇村は森に囲まれています。死角などには、気をつけてください。
これらの情報を元にして、ゴブリンを退治してくださいね。
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●リプレイ本文
●ギルド
玖琉藍(ec3664)が自分の体重と同じくらいの荷物を背負い、ふわふわと飛んで冒険者ギルドにやって来ると目の前で口論? というほどのものではないが、フローネ・ラングフォード(ec2700)とゼロス・フェンウィック(ec2843)の二人がある事柄について話し合っていた。
「我々が敵ではない。それを証明してもらうためにも同行してもらう必要があります」
ゼロスはフローネにそう言った。
「しかし、彼女は肉体的にどうであれ、混乱しています。無理に連れて行くのは、あまり良いことではないと思いますが?」
フローネの言うように、依頼人の少女は肉体的には無傷に近く、疲労が残っている程度だろう。
そのやりとり見た玖琉は何気なく。
「待っていてもらおうぜ! 俺達だけできっと大丈夫だよ」
明るく言った。
彼の言葉によって場の流れは、少女を置いていくこと傾きはじめる、ゼロスはやや不服気味ではあったが、冒険者ギルドから冒険者として保障する。
その一筆を手に入れると出発した。
●村
9月14日
ゴブリンの群れに襲われた村を救出する依頼を受けた。基本的故に、こういう依頼にこそ大事なものがあると考える。油断も手抜きも禁物。
ハロルド・ブックマン(ec3272)の手記
ジル・アイトソープ(eb3988)は、なぜかいきなり血を吐いた。
「生きるなんて儚いものじゃのう」
いきなり世を儚み、血を吐いているジル。外見は生きているのか、死んでいるのか分からないほど不健康・・・・・・ではなく、幻想的で人形のよう少女に見える。
なお、彼女の発言は、ゼロスの同時通訳でお送りしています。
ハロルドは、無言のままそのジルの様子を数秒眺めたあと
―――仲間に血を吐く女がいる、死にそうだ―――
( 「―――」これについて、説明しよう。これは彼が手記に書いた証である。以上)
フォン・イエツェラー(eb7693)は後からやってきた仲間の様子を見ていた。彼が到着した時、ゴブリンたちは一旦退却したあとだった。
村はひどい有様で、フォンは情報を集めるため動いた・・・・・・はずだったのだが、なぜか。
「私はなぜ、子守をしているのでしょうか?」
「つべこべ言わないの、手が空いているなら頼むわよ、緊急事態なんだから」
戸惑いつつも、彼は頷いた。
「あそぼう」
「このまま流されるのも悪くない」
台詞の使用方法が色々違う気もする。とりあえず、フォンは子守をして今に至る。
残りの仲間もやってきたところで、ゴブリンの情報を総合した。それほどたいした敵ではないようだ。
「ゴブリン以上、ゴブリン以下でもないようですね。おまけは多少ついているようですが」
ウォルター・ガーラント(ec1051)はある可能性を考えているようだ、多分それは正しい。
馬若飛(ec3237)は眠そうだ。特に理由はないが、なんとなくそんな気がする。彼は特徴的な片腕をもっているのだが、今回詳しい説明はなし、手甲で腕を隠している気もする。
「誰も怪我してないといいと思ったけど、こんなにボロボロなんて・・・・・・ゆるせねえな」
このメンバーの仲間では熱男、玖琉。しかし、シフールなので、ちょっとほのぼのになってしまうのは宿命だろうか?
「それでは、はじめるとしましょうか」
ゼロスの言葉を聞いてフローネは、祈りを捧げてふと思った、自らが剣をもった意味。だが、それは彼女しか知らないことだ。
理由と目的はなんであれ、ここに冒険者は揃った。
―――退治を始める、それほど危険はないだろう―――
●退治
曇りの午後だった。
奇声にも似た、叫び声が村を覆う。
あらかじめ村人は中央に集められ、二班に分かれた冒険者が迎撃に向かった。
振るう剣の音に混じり、断末魔の声が響く、血を浴びた騎士は自らの手をみつめ思う。
(練習にもならない)
フォンにとってゴブリン程度は遊び相手のようなものだ、彼は油断することもなく、一匹ずつ着実に片付けていった。
「な、なんでー落ちてるの」
玖琉は、追われていた。
隙を見て蹴った。確かに、相手も転んだ。だが、それとこれは関係ないようだ。
「ごほ、ごほ、小さすぎて見えなかった。じゃだめ? だめじゃろうな」
お約束で血を吐いていたのは、ジルだ。あんがいお茶目さんなのかもしれない。彼女の重力反転魔法、ローリンググラビティーともいう。
それでシフールさんも落ちた。
かなり気をつけていたはずなのだが、間が悪かったともいう。
―――このメンバーは面白い、ただ私はシリアスである―――
戦闘中に記帳しているあたり、そんなにシリアスでもない気もするが。ハロルドは黙々とある戦法を使っている、説明すると長くなるので。
「(仮名)水を張って動かしてびりびり連携」
その作戦で、ゴブリンをびりびりさせている。
そんな一班とは別に、中核を襲撃したのは。
際立つ大きめのゴブリンに男は狙いを定めた、息を数度吐く。何度もくりかえしたことだ。手先がぶれることはない、距離を測って、矢を番える。
相手の大きい、それほど注意せずとも当てることは可能だろう。しかし、油断は大敵だろう。
ウォルター、弦を引き絞り。
ゆっくりと射た。
矢は風を斬って大きなゴブリンを襲い、突き刺さった矢に驚き痛みに叫ぶ。その好機を逃すほど馬は甘くもない、構えた縄ひょうのをすかさず投げ続ける。
「終わりだな、あばよ」
飛ぶ矢と、降る穂先が数度切裂き、いつしか赤い肉塊にゴブリンを変えた。
「新手のようです、油断しないように」
ゼロスの再度索敵に使った魔法でその来週を知り、村人を治療していたフローネに告げた。
「分かりました」
「仲間に来襲を教えてきます。一人で大丈夫ですか?」
ゼロスの言葉を聞いた、フローネは、剣に手を置くと言った。
「大丈夫です。この剣で守ってみせます」
「結構、では君に武運を」
ゼロスが去ったあと、それはやって来た。
「お姉ちゃん?」
治療を終えたフローネ、様子が変わった彼女に少女は聞いた。
「すぐに終わるから、いい子で、待っててね」
微笑み歩んで、彼女は剣を抜く、影は・・・・・・すぐそこだ。
──戦いは、それからしばらく続いた。
終始優勢に戦闘を進めた彼らはゴブリンを駆逐する。
退却するゴブリンの姿を見て、さらにゼロスが掃討を提案した。
フォン、馬、ウォルターなどの比較的傷の浅いメンバーを中心に、逃げていったゴブリンを追跡した結果、すでに掃討するほどの頭数も残っていないことを確認した、その場で全て退治。
結果、ゴブリンの脅威を駆逐され。
村に平和が戻った。
●退治の後
「思ったより楽に終わったぜ! いい戦いだった。さあ次の戦いが俺を呼んでいる」
玖琉は、満面の笑みで言った。それなりに色々あったような気もするが、明るい彼は前向きなのでもう次のことを考えているようだ。
「子守はもうよいのですね。それよりも、皆さん村の復興を手伝いませんか?」
フォンの問いかけに、馬は、
「あー、俺そういうの苦手。やらないと駄目? さすがにちょっと疲れたから休みたいと思うんだけど」
馬の発言を聞いたハロルドは何事か書き記すと見せる、そこには。
―――ルカに告げ口する―――
「うげ・・・・・・やります、やらせてください! 俺が悪かったです」
彼の態度がなぜ豹変したかはよく分からないが、とにかく積極的に活動する気になって良かった、良かった。
「ごほごほ、私は、肉体労働はまったくだめじゃ、あとは頼む、ぐふ」
ジルは血を吐いた、妙にタイミングのよい吐血だ。いったいどういう病気なのか非常に気になる。
「何をしましょうか?」
ウォルターがおだやかに、そう問いかける。
皆しばらく、何事か考えていたようだったが。
「今回は無事駆逐できましたが、新たな脅威、モンスターの襲撃があるとも限りません、よって村の周囲に柵などの防護施設を作るのが妥当だと思います。皆さんそれを手伝っていただけませんか?」
ゼロスが言う。
メンバーもその案に乗った。
それから帰還する日まで、彼らは村の周りに柵を作る。完全とはいえないが、ある程度形になった最後の日、パーティーが催された。
騒ぎに疲れ、一人涼んでいたフローネに声をかけたのは。
「お姉ちゃん」
あの時の少女だった。
「村が、無事で良かったね」
「お姉ちゃんたちのおかげだよ」
それを聞いた。フローネは少しだけ、自分の力に自信が持った。
「ね、行こうみんな待ってるよ」
「いきましょう」
歩き出す二人。
宴は、まだ始まったばかりだ。そして──君達の冒険も。
9月某日
無事依頼は完了した。土産に何かもらったようだが、特に気にしていない。
初心に帰るのも良いものだ。
ハロルド・ブックマンの手記
終