【普通の冒険!】 遺跡探索
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■ショートシナリオ
担当:Urodora
対応レベル:6〜10lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 9 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:03月04日〜03月10日
リプレイ公開日:2008年03月12日
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●オープニング
●とある依頼
冒険というと色々あるものだが、やはり適度に慣れてきたので、遺跡探索が良い。
ギルドで遺跡探索の依頼を見つけた一人の冒険者はそう思った。
彼は、机に頬づえをつきぼんやりしているギルド員に声をかけるか迷ったが、思い切って声をかけた。
「あの、この依頼を」
彼に気づいたギルド員はどこか物憂げな様子で欠伸をこらえつつ言った。
「一人かい?」
「は、はい」
品定めするように視線が彼に向けられる。しばらく後、ギルド員は言った。
「あんた一人では犬死だな、まずは仲間を探すことだね」
そう言うなり、ふて腐れたような態度のままギルド員は仕事に戻る。
放置された彼は、もう一度依頼書に目をやった。
目の前の依頼書にはこうある。
キエフより二日程度先にある森に遺跡が見つかった。
遺跡の内部はそれほど複雑ではないと思われる。
盗掘に入ったものが帰ってこないなどの情報もあるため、手付かずの宝などもきっとあるだろう。
ただし、その反面危険も大きい。
探索依頼はとある好事家より出ている、深層部に何かしらの財宝があるという目測のようだが、それを確かめ、場合によっては持ち帰るのがこの依頼の趣旨となる。
なお、遺跡であるため、ガーディアンの存在が考えられる。
単純ではあるが迷う可能性もあるため、考慮に入れると良いだろう。
読み終わった彼は、仲間の募集をかけるためギルド員にもう一度話しかけるのだった。
普通の冒険
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●目的
遺跡探索
●諸情報
行程は片道二日、場所は知っている、滞在期間は約二日。
●特殊情報
登場した冒険者の名前は名無し、呼ぶ場合は好きに呼んで良い。
彼は足りない部分を補う。
エンチャントする者がいない場合、その役割にするなど。
無理に使う必要はない。
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●リプレイ本文
●今日もいい天気
冒険といえば! ゴブリン退治!
と思ったが、今回は普通に遺跡探索へ向かうことになった一行。
同行者にモウ・シンデルスキーなどという呼び名ではなく、ミハイル・セルゲイビッチ・ゴルバチョフ・・・・・・ゴルビー? とつけて呼ぶ彼ら。
とにかく通称ゴルビー君と一緒に、彼らは遺跡を目指し、特に何事もなく遺跡にたどり着いた。
森の中にある遺跡は、遺跡、それ以外形容のしようがないほど遺跡すぎる。
「ゴルビー、あれが遺跡?」
声をかけたのは、限間時雨(ea1968)紅一点。胸はない。
彼女は上機嫌だった、理由は分からない。先ほどからゴルビーをからかって遊んでいることからすると、きっとそれが楽しいのだろう。ゴルビーは小柄で笑顔の可愛い青年である。今そう決まった。
遺跡探索というとレンジャーである。
このパーティーにはレンジャーが二人いる。
○フォックス・ブリッド(eb5375)
冒険しつつもナタリーとかいう子の事をよく考えている。
○クルト・ベッケンバウアー(ec0886)
スクロールなレンジャー志望、25歳。書類の提出はお早めに。
この二人が探索の生命線だ。ちょっと頼りないような気もするが、気にしない。
明日はきっと晴れる、たとえ今日は曇りだとしても。
かくして遺跡へと侵入を始めるわけだが、彼らは早速戦慄の歓迎を受ける。
ヤグラ・マーガッヅ(ec1023)は、そこにあってはならない光景をみた。
「治療を!」
血の海に倒れているのは、どうやら盗掘にやってきた者のようだ。
「もう遅い、息をしてないぜ。哀れなものだ」
ラドルフスキー・ラッセン(ec1182)は、どこか突き放したように言った。
「こりゃ、やばいとこ来ちまったな」
馬若飛(ec3237)が言った。ウマと呼びたくなる。確かマオだ。顔は猿人──ではない。豪快な感じのする男だ。
「カリカリ・・・・・・例えば、冒険者の仕事といって人括りには表現し難い。だがその中で遺跡探索は人気の高い仕事の一つであると言えるだろう。
何故なら多くの冒険者にとって実益、好奇心双方を兼ねる仕事だからである。
何より未知との遭遇機会が望める仕事である。故に誰もが知る欲求を持つ以上、人気が高いのは必然と言える。
その未知が、我々にとって良い物であるとは限らないが―――――ハロルド書記」
ハロルド・ブックマン(ec3272)は、周りの様子など気にもせず、書き物をしている。
ともかく簡易の埋葬を終え、弔いを兼ねたヤグラの祈りの後、墓の前で黙祷を捧げる男が一人。
名をイオタ・ファーレンハイト(ec2055)、たまにイオ太。変態の寵愛を受けし騎士。
真面目な精神性を備えていると本人は言うのだが、自ら変態たちの現れる場所に成敗という名目で赴き被害に会う、変わった趣味をもつ男である。
「さあ、いきましょうか」
イオタの爽やかな声が響く、こうして彼らは魔の遺跡、普通遺跡へと足を踏み入れたのだった。
●中は暗くてまっくら
「こんなの聞いてないよ」
クルトが言った。
遺跡に入った彼らの前に現れたのは、五つに別れた道であった。どの道も直線で全て奥に繋がっているようにも見える。
「とにかく、どこを進むのか、それが問題です」
フォックスが返した。
見た感じ、どの道もそれほど変わった感じはしない。
クルトとフォックスの二人が調べたところ、罠らしい罠はどの道の入口にもないようだ。
「手分けをする? のは無理ですよね」
道を見回して嘆息するイオタ、
「無理だろ、この人数じゃ。仮に分かれて奥に進んだとしても、一本に繋がっている保障もないしな」
馬がどこか楽しげに答えた。
「よーし、ここは適当にきめちゃえ! どこもきっと同じだって」
だいたいそんな結果になるような気もするが、時雨の発言は保留された。
「きっと、炎が導いてくれるさ」
ラドルフスキーが言う。根拠は特にない。
その間、ハロルドはスクロールを駆使してみた。しかし選ぶことにはあまり関係ないようだ。
ひとまず、敵らしい敵はクルトのブレスセンサーと共に確認し、近くにはいない事が分かった。
道については、やはりどれを選ぶかは、博打であることを判明したため、
「運に賭けるしかない―――――ハロルド書記」
というメモをハロルドは見せた。
さあ、どれにしよう・・・・・・みんなが困っていた時。
「ここにしませんか? ビキナーズラックというものを自分は聞いたことがあります」
初めての遺跡探索、幸運、それとも不運を運ぶのか、ニコっとしたヤグラが選んだのは。
●いいえ、それは敵です
あれからどれくらい進んだかは定かではない。
しばらくすると前方にゆらゆらと人影のようなものが見えた。
その瞬間、時雨の持っていたどくろが威勢良く鳴り出す。
「お出迎えご苦労さまです。ってことで敵。気をつけて」
そろそろ歩くのに飽きていた戦士たちは、嬉しそうな表情を浮かべると剣を構える。
さらに、呪文の詠唱を始める者。矢をつがえるもの、準備は整った。
戦いが始まった。
イオタが前衛となり壁を作る。他もそれぞれ自らの役割を果すために動き始めた。
そんな中で、
「俺のマグナブローを喰いな!」
ラドルフスキーが先制の迸る火炎柱を放ったときだった。
ハロルドは後方というより、斜め後ろの壁から人影が現れるのを見た。
現れたのは!
「じゃじゃーん」
「ばばーん」
なにやら怪しい二人組みだ。
一人はシーフぽい格好の男の子だ。一人はシーフっぽい格好の女の子だ。
「盗掘兄妹参上! 巷にはびこる遺跡を荒らし、お宝がっぽり、ほっくほっく」
「ほっくほっくよ」
────。
「ちっ数が多いぜ」
前方で盾となり剣を振るうイオタを援護すべき馬は考えた。
敵は主に、探索に来た者の成れの果てのようだ。中には兇悪そうなものもいるが、それほど数は多くない、
しかし、思っていたよりも狭い通路。これでは展開する余裕がないため、レンジャー二人の投擲を活用するのが難しい。
時折、フォックスの矢が頭部飛ばし、クルトのダガーも飛ぶが足りない。
時雨は後方より前方に出て、斬撃を飛ばして援護している。
ハロルドはまだしも、ラドルフスキーの魔法では乱戦になった今では迂闊に使えない。
このまま待つのも仕方ないと思った馬は、ヤグラに言った。
「出番だ、眠らせてやってくれ、俺が擁護する」
「分かりました。やってみますね」
ヤグラはゆっくりと頷き、前進を始めた。
不浄の命を清めるために。
────。
「おい無視かよ・・・・・・帰る」
「帰るー」
あまりの反応のなさに、盗掘兄妹は諦めて元の通路に戻った。
彼らが去ったのを確認したハロルドは、
「カリカリ。変な生物と遭遇する。いったい何者か不明―――――ハロルド書記」
書き記す。
しばらくして戦闘は終わった。
苦戦したわりに、たいした被害は無く、ヤグラの治療によって回復する。
皆、ほっと一息ついた頃。
「さっき後方に、見てられない奴らがいたようだけどさ、あれなんだよ? 目立ちたいだけだろ」
クルトが言った。狂化が多少残っているような気もするが、幻聴にしておこう。
ハロルドはクルトの様子など気にもせず、先ほど確認した生物についてメモを見せた。
「ってことは、何か秘密があるよね」
クルトは元に戻った。落差が怖い。
「調べて見る必要がありますね」
クルトとフォックスが、消えたと思われる近辺の壁を調べるのだが──しかし。
「何も見つかりませんね」
肩をすくめてフォックスが言った。彼は一応矢も放ってみたのだが壁にぶつかって普通に落ちた。
「魔法だったのかな?」
クルトの魔法という単語に反応して彼が来た。
「燃え尽くしてみせるぜ、皆離れていてくれ」
ラドルフスキーは壁に炎を放った。しかし燃えない。
「さすが遺跡、古代知識の宝庫だぜ」
あまり関連性は無いような気がする。
その時、クルトは何かを思い出して叫んだ。
「エックスレイビジョン!」
エックスレイビジョン。それはある意味、透視。
「え、やだ。私を見ても、つまらないって」
なぜか胸を両手押さえる時雨。いや、誰も君を透視するとは言っていない。
「だ、駄目です、ここは私が守る」
イオタがなぜか、時雨の前に立つ。
「まあ、男のを見てもつまらんよな」
馬が顎鬚を触りながら独り、納得した。
実際、クルトは壁の向こうを見てみるだけだと思う。
「・・・・・見てみるね」
恥らう時雨の態度に困惑しつつクルトは、壁の向こうを見てみる。だが、今いる通路とさほど変わりがない様子だ。暗いというのもあるが。
「いなくなったみたいだね」
「危ない、また変態が増えるところでした」
イオタの心配はクルトにかなり失礼な気がするが、結局盗掘兄妹の行方は分からなかったようだ。
「今回、無事終わってよかったです」
剣を鞘にしまった後、イオタが満足げに言った。
「イ、オタさん、面白い、人です」
ヤグラはなぜか微妙な笑みだ。顔を強張らせている。
それにしてもイオタ自身、自分が準変態候補であることに気づくのは、いったい、いつの日の事だろう・・・・・・。
そして、その後彼らは恐ろしい現実に直面する。盗掘兄妹はその名の通り──。
●終わりました
道を進み、パーティーは通路の終端に到着、地下への階段を発見した。
二階を探索するほどの時間はなかったため、帰り道一階を少し調べるのだが、盗掘兄妹によって財宝はあらかた奪われていた事を知る。だが、いくつか見つけた貴金属をキエフで売却した結果、ある程度の資金が出来たので、分配した。
到着した二階は二つの道に分かれている。
その二つの道の入口には何やら石版が掛かっていた。古代魔法語らしきもので、ラドルフスキーが読解した。
石版は奥にある何かを示しているようだ。内容を書き写した彼らは、この情報についてギルドに伝える。
いまだ、好事家の言う財宝は発見されていない、さらにいきなり現れた盗掘兄妹とはいったい? 遺跡にはまだ、隠された何かがありそうだ。それよりも再度遺跡を探索する日は来るのか?
それは──誰かの気分に依存するため、分からない。
・追伸
ゴルビー君は今日も元気です。忘れていたわけではありません。
了