【レミエラ症候群】Over the Rainbow

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:5 G 55 C

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:06月10日〜06月15日

リプレイ公開日:2008年06月29日

●オープニング

●夢の欠片『レミエラ』
 透明度の高い、クリスタルのようなガラス。それ自体が宝石のような品であるが、それが魔物に抗することのできる魔法の品となれば‥‥まさに人々の夢そのもの。
 しかも、素体となるレミエラは庶民でも手の出る金額で販売され、庶民でも入手可能な何らかの品と、庶民でも手の出せる金額で合成すれば──‥‥

 ある時は鋤や鍬を軽くさせることができる魔法の品になり、
 ある時は野生動物のような鋭い感覚を身につけることができる魔法の品となり、
 ある時は冒険者のような素晴らしい剣技を習得することができる魔法の品となり、
 またあるときはデビルやオーガに抗する素晴らしい力を得ることができる魔法の品となる。

 その金額と利便性故に急速にレミエラが普及しつつある昨今、その品で直に命が左右される冒険者が新たなるレミエラの開発に没頭するのも当然の話であるが──各地の大公や領主、貴族らもまた先を争いレミエラの開発に着手しているのもまた当然の話。
 だが、何らかの魔的な力が作用しているようで、レミエラは5つまでしか装備することができない。使用時に胸の前に浮かぶ光点にかかわりがあるという噂もあるが、真偽の程は未だ定かではない。解っていることは──数が限られている以上、少しでも有利なレミエラを開発した方が有利だという厳然たる事実。特に互いに様子を探り陰謀を廻らせ合い、隙あらば足元を掬おうとしている各大公や野心あふれる貴族らにとっては死活問題と言っても過言ではないようである。

 ──夢の欠片『レミエラ』を真の『夢の結晶』たらしめんために、多くの者が日夜汗を流していた。



●ある晴れた日に

 
 少年は、雲を見つめていた。
 想い出に残るあの頃は遠い。
 繰り返される毎日は少し退屈だが、変わらない日常こそ平穏なのかもしれない。
 村にやって来た遅い春。
 冬は過ぎ、春が来て、夏になり、また冬がやって来る。
 けれど、巡る時の中で自分は取り残されているような気もする。
 そんな時、その話を聞いた。
 根も葉もない噂だとしても、きっかけが欲しかった。
 村の近くに虹の橋の架かる滝があると言う。
 なぜかその話が気になった。
「母さん、あのね、噂を聞いたんだ」
「行って来なさい。たまには息抜きが必要でしょう」
 話を切り出す前に、母はそう言った。
「いいの?」
「母さんは、無駄なことはしない主義なの。止めても行くでしょう」
 最初からそのつもりだったから彼は、はにかんだ。
 部屋に戻りしまっておいた記憶を取り出した。
 贈られた剣。抜いた刀身を指先でそっとなぞると淡く輝いている。
 刃に映る自分の顔はどこか寂しげで、笑ってみても無理が出る。 
 鞘におさめた剣を腰に差す。
 準備を整え、見送る家族に手を振った。
「行ってきます! 母さん、プースキン」
 出発の挨拶。
 その言葉を口にするのは、何度目かは分からない。
 今から探すものは、過去に誓った願いとは違い、後悔に根ざした望みではない。
 素直に希望という二文字を冠した気持ち。
 歩み、見上げた空は青く、彼の赤髪は風に揺れた。


 キエフのギルドはいつになく盛況だ。
 中年は、いつものように欠伸をしつつその様子を眺めている。
「虹・・・・・・ね」
 窓口にやって来た少女の話を聞いた時、彼は疑念と不審が混ざった声を発した。
 彼女の依頼は、虹の架かるという滝を一緒に探して欲しいと言う依頼だった。 
 探して欲しいと言うのだが、場所は地図があるため迷うことはないようだ。
 頬杖をついた中年の態度を見て、
「駄目ですか?」
 不安げな様子で少女は聞く、
「いいや、誰か探してみよう」
「それで、君の名前は?」
 金色の髪を持つ少女は、問いに
「ナターシャです」 
 そう答える。
 一瞬、彼女の茶色の瞳を見つめた後で
「では、掲示してみよう」
 とだけ、彼は言った。




●銀狐兵団兵舎

「退治ですか?」
 青年は珍しく上官の執務室に呼ばれた。
 長く続く平和で鈍った体は、どこか重い。
 だからこそ、上司の命令を聞いたとき、彼の内に高揚感に似たものが走った。
「退治というよりも、単なるパトロールだな。だが、最近妙に偵察から不安な報告が多い。
 何にせよ杞憂で終わると良いのだが。そこで隊を一つ預ける。お前も、もうそろそろ一人立ちするころだろう」
「!?」
 その言葉を聞き部屋から出た彼は、背伸びを一つした後駆け出した。
 それはボリス・ラドノフの新しい夏始まりであった。 
 

●今回の参加者

 ea2970 シシルフィアリス・ウィゼア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 eb4721 セシリア・ティレット(26歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb5375 フォックス・ブリッド(34歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb7760 リン・シュトラウス(28歳・♀・バード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb8684 イルコフスキー・ネフコス(36歳・♂・クレリック・パラ・ロシア王国)
 eb9405 クロエ・アズナヴール(33歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)

●サポート参加者

アレーナ・オレアリス(eb3532)/ 水之江 政清(eb9679

●リプレイ本文

●参加者
 
シシルフィアリス・ウィゼア(ea2970)
セシリア・ティレット(eb4721)
フォックス・ブリッド(eb5375)
リン・シュトラウス(eb7760)
イルコフスキー・ネフコス(eb8684)
クロエ・アズナヴール(eb9405)

●虹の彼方

 夏の訪れには早い曇りの谷間、晴れの午後。
 ナタリーは、訪れる客の来訪を静かに待っていた。
 小さな騒動というには、大きな出来事だった過去の事件は、すでに胸中に仕舞われて想い出になりつつある。
 あれから伸びた金の髪、暑さを感じた彼女は手で払うと、部屋の傍らにあるイーゼルに視線をやった。
 掛けられている絵は、教会を途中まで描いたもの。そこにある風景に光の輝きをまだ入れてない。
 彼女はここから先をどう描くかを考えてみた。
 空の色をどうしよう。ナタリーが悩んでいた時・・・・・・ドアが叩かれた。
「ナタリー、お客様だよ」
 聞きなれた神父の声が彼女を呼ぶ。
「今、行きます」
 用意しておいたバスケットを手に取ると、開いた先にいる彼らに何を話すを考えながら──彼女は扉を開く。

 陽が翳った。
 小高い丘の上に立つ教会を目指していた数人は、お互いについて話しながら進んでいた。
「彼はどうなっているの、元気?」
 リンはセシリーにそう聞いた。問いに含まれるのが何なのかは、聞かれた側のほうがよく知っていた。
「強いから、一人でも、きっと大丈夫です」
 不安は特に無い。セシリーは信じている。
「幸せなら、何より」
 セシリーの態度に、リンはなぜか羨ましさを感じ、同時に、微笑ましいと思う。
 フォックスは、そんな様子を見つめている。
 今日、彼はナタリーにある事を告げなければならない。
 といっても、彼自身とはそれほど関係のないことだ。
 いわば、それは過去の回収のようなものだから。
 ──着いた先で少女は待っていて、
「こんにちは!」
 久しぶりに会った彼女は、いつもどおりの変わらぬ笑顔で迎える。
 フォックスは視線を外した、彼は伝えなければならない事があるのだが、後回しにする。
 セシリーは、遠くて近い彼女の親戚について話しようか、迷った。その間にリンがナタリーに贈り物をして、早速・・・・・・。
「ありがとう、リンさん」
 そういう姿もまたいい。フォックスは頷いた。
 セシリーはそんなフォックスの姿を見てぽつりと言った。
「こういうものは──早いもの勝ちですよ」
 リンは、セシリーの呟きを聞いて言う、
「セシリー。最初から・・・・・・そういう人だと、思っていました」
「そういう人ってどういう人ですか?」
 二人の会話を。聞いたナタリーが問いかけた
「ナタリーはそういう話聞かなくて、いいんです」
 フォックスがナタリーを守るよう動いた。
「過保護ですね」
 その様子を見て、セシリーがにこやかに言った。
「過保護です」
 リンは少し真面目な顔して言った。内心は笑いをこらえていたが、
「?」
 ナタリーは、何のことか分からなかった。
 フォックスはなぜか照れていた。
 さて──その前に。
「騎士が私の周りを守らないなんて駄目です、護衛失格です」
 かしずく騎士へ向かって、彼女は言った。
「じ、時間があれば必ずそちらへ向かいますから、のんびりと待っていてください」
「一人じゃ、いやです」
 ナタリーは拗ねた。クロエの名前があるのを見て、同行すると思っていたらしい。
「我侭ですね。我侭ついでに、ナタリーの作ったお弁当などがあればやる気も出るのですが・・・・・・兎も角早く終わらせていきますから」
 ナタリーは、それを聞くと笑った。
「それだと、どっちが我侭か分からないよ。仕方ないなあ」
 クロエは、彼女にしては珍しく、お願いをした。ナタリーはそれを聞いて、手持ちのバスケットから何かを取り出すと。
「ちゃんとクロエさんの分も、あります。早く帰ってきてください」
 クロエはこうして、討伐に向う。

「行ってきます」
「いってらっしゃい」
 アレーナが見送る中、彼らはこうして旅立った。

 
 
 乾いた地、土煙を上げて走る馬のいななきが周囲に響く、軍としてそれほどの規模ではないが、軍にはちがいない。
 行軍が始まる。
 警戒という任務ではあるが、ボリスは緊張していた。
 そんな彼の前に現れたの彼女だった。
「シシルさん、それにあの二人も結婚したんですか!」
 久しぶりに、ボリスはシシルから、かつての知り合い達の近況を聞き、素直に驚き声をあげた。
「その、勢いで」
 シシルは少し照れた。
「い、勢いで結婚するものですか」
「細かい事は、あんまり気にしなくていいんです」
「シシルさんがねえ、確か初めてあったのは、冬でしたよね」 
 ボリスの言葉にシシルは頷いた。
 昔、といっても二年も経たない。シシルとボリスは吹雪の戦場で会った。
 当時は様々な出来事があり、色々な人物が物語を織りなしたものだが、今では幻のようなものだ。
 感慨深げなボリスへ声をかけたのは、
「おいらを忘れてない」
 背伸びをしたイルコフスキーだった。
「イルイルさんじゃないですか、お久しぶりです」
 イルコフスキーとボリスも面識がある。
 イルコフスキーは、シシルとボリスの会話を聞き、当時を思い出した。冬の終わりの話だ。
「一組の結婚式の司会はおいらが、やったんだ」
「そういえば、イルイルさん。神父さんでしたっけ、よく考えると神父さんが戦場にいるのって、すげー危ないですよね、大人しく教会で祈って──」
 ボリスの空気を読まない発言は、 
「細かいことは、あんまり気にしなくていいよ」
 同じに返される。
 諦めたように、ボリスの視線が、黒い女をみつけた。
「あ、あの、あの、なんというか綺麗なおねーさんは!」
 ボリスは年上好きである。クロエは翳りがある大人の女、彼のアンテナに引っかからないわけがない。
「クロエさんです。怖いので近づかないほうがいいです」
 シシルの助言は無視された・・・・・・そして、当然クロエに痛い目に合わされる。
 ボリス・ラドノフ。
 相変わらず報われることのない、かわいそうな男である。 
 言い忘れていた。シシルの疑念である騎士は、軍とは関係がないようだ。

 パトロールという名の、訓練を始めてから、少し経つ。
 彼らの前に、現れたのは──鬼の集団。
 警戒と怒号。
 隊の前に現れたのは鬼の集団だった。持っているのは不可思議な物体をはめ込んだもの 敵を見つけた前衛が突撃する前、シシルが人差し指を鬼に向けてふった後、言った。
「水と氷の競演をお見せします。みんな驚いて逃げないようにね♪」
 自信満々のシシルは、詠唱を始める。
 吐き出して言葉が呪を構成する。凍える大気がシシルの周りに膜を作り、渦を巻き起こし回転を始める。音を立てて回る大気は速度を速め、頂点、氷点に達すると集積した魔力が解放を求めて放たれる。凍風は嵐を巻き起して進む、荒む氷の刃は広がり、前方の敵を切り刻み吹き飛ばした。 
 切られた痛みよりも冷えた身体を感じて、鬼達は凍りついた。
 ひるんだ、敵に駆け出したクロエは暴風。馬上の騎士は、薄氷に包まれた鬼へ向かって、剣を構えると突撃する。すでに混乱の極み達している彼らは、なす術もない。
 斬が残り、鮮血が舞い散るたび、命は失われる。返り血を浴びたクロエと愛馬は朱に染まる。
 その様子を見て彼は言った。
「おいらの出番はないかな」
 イルコフスキーは、転んで怪我をした兵の治療をしている。
「はい、終わり。戦う前に転ぶなんて・・・・・・ドジだなあ。君にささやかな幸運を」
 イルコフスキーは、そういうと幸運を呼ぶ魔法を兵士にかけた。
 どうやら、イルコフスキーの言うとおり、この程度の敵ではシシルの魔法とクロエの突撃の前に相手は成らないようだ。 
 そんな戦闘の様子をボリスは呆然と見つめて思った。・・・・・・いつのまにか、こんなに差がついたのだろう。
 時間というものは誰にでも平等だが、経験は平等ではない良い例なのかもしれない。 
 

 ──その頃。
「運命か、さて! 今は、どうかしら」
 リンの唐突な提案で恋の花占いをすることになったようだ。
 フォックスは逃げた。
 思わず、薔薇を渡し忘れた。この状況でナタリーに何かを言うと、色々面倒に事なりそうだとフォックスの嗅覚が察知したとも言う。
 ちなみに鍵はきちんと預かった。鍵というのはロザリオのことである。ひとまず、ギルドに預けることになるだろう。
 フォックスが退散した後、ナタリー・セシリー・リンは占いで盛り上がった。
「運命なんて、信じないです」
 ナタリーはそう言った。
「人は変われるものだから・・・・・・ナタリーを見てそう思えるようになったの」
「変わってないですよ。元に戻っただけです」
 ナタリーは、気恥ずかしそうだった。
「幸せの形なんて、人それぞれですよね」
 セシリーが悟ったようなことを言う、
「セシリーは幸せだから」
「幸せは自分でみつけないと」
 リンが横槍を入れると、ナタリーが言った。
 それを聞いて、リンは思う。
 運命か・・・・・・私はどうなんだろう 、熾き火があればそれで十分──でも、幸せにもなりたい。
 その答え、彼女自身が見つけるものだ。 
 温もりは炎だけではない。彼女が彼女なりの何かを導き出すまでは・・・・・・。
 一行は三叉路に着いた。
 この道のどれかが虹の生まれる場所に繋がっている。
「フォックスさん、ここでいいのかな」
「いや、こっちかもしれない」
 地図を片手にナタリーが調べる、不慣れな彼女の傍らにフォックスがいて、不器用だが見方を教えようとしている。
 その姿を横目で見て、セシリーは何気なく、道へ眼をやった。 
 人影といっても、まばらなこの地。治安もそれほど良くはない、通り過ぎるのは馬車や、騎乗して進む人。
 陽炎のような道の果て、徒歩で歩いてくるシルエット。それはどこかで見たことのある色と姿をしている。
「セシリー?」
 気づいたリンが、影に手を振った。気づいた影は歩む速度をあげ、いつしか走り始める陽光に輝く赤は道を翔け、抱きついて。
「会いたかった、僕、会いたかった」
 言った。
 だから、彼女は強く抱きしめて、
「おかえりなさい」 
 囁いた。
 ナタリーとフォックスは、照れくさそうに二人の姿を見ている。
「お茶にしましょう。アレク君、汗まみれだし、少し休まないと」
 リンはそう言うと、用意したハーブティーを沸かす準備を始める。
 道はいまだ半ば・・・・・・だが、終着駅はもうそこだ。


 ──雨が降り出した。
 話を聞いたボリスから任務の終了を半ば無理矢理指示、命令された三人は急いでその場所へ行き。
 物陰で雨宿りをしていた彼らに出会った。
 雨脚が弱まる。
 天が一瞬薄らいだあと、雨に反して陽が降る。
 現れた太陽に雨は逃げてしまった。触れる温もりはゆっくりと大地を暖め、零れた滴は流れて消えていく。
 見渡す光景、地平線の向こうにある灰は薄くなっていく。
 風が肌に触れ、気持ちを落ち着けた時──それは生まれた。
 眩しさに瞑った後、蒼が視界を射止める中で、広がる光は七つの輝きを束ねている。
「虹の向こうには、何があるのだろう」
 誰かそう言った。誰が言ったのかは分からない。
 皆が見守る中で、美しい姿を焦らすように現す懸け橋。
 姿を確かめるため、無言のまま一人が歩き出した。続く人の歩み、足音だけがその場に響いた。
 どれだけ歩いたのだろう。
 結局、空に架かる橋に手が届くことは、無かった。
 虹の橋を渡る事はできない。
 この地は人が住む世界。神の住む遠い国に渡ることはできない。
 けれど、誰もそれについて何も言わないで、笑っていた。
 今、伸ばした手の先にあるのが、過去ではない、未来という名を冠した何かだ。 
 人は思い出の中に自らの生を垣間見て幻影を追いつづける者もいる。それは一つ正しい選択だが、とても悲しい事。
 いずれ全て消えてしまうとしても、今もまた真実なのだから。
 
 冒険は終わった。別れがやって来る。
 
 冒険者は別れを惜しんだ。
 恋人は別離を悲しんだ。
 恋人になれない者も、再会を誓った。
 王女の騎士は騎士なりに、忠節を果たす。
 贈り物を友人に託した女は、贈り主の前途を祈った。
 少女は手製の贈り物を全員に配る。

「また、会おうね」

 少女は手を振った。 
 少年は泣いていた。
 
 部屋に帰ってきた後、少女は絵筆を取った。
 脳裏に焼き付けてきた光景を何度も思い返して、描こうとする。
 殺風景だった教会、射し込む光は、あの時のまま七色に描くことに決めた。
 絵は技術だけではない。心だと誰かが言っていた。
 だから、今自分ができる気持ちを精一杯込めて絵を描く。
 描かれた世界、教会に架かる虹を望むのは、八人の姿。
 虹の橋が架かった。
 辿りつくことなかったとしても。
 それがきっと──。
 虹の彼方。



 了