陽光の獣

■ショートシナリオ


担当:Urodora

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:5 G 55 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月16日〜08月21日

リプレイ公開日:2009年10月06日

●オープニング

 夏というには涼しく、秋というには暑いその日。
 男が一人キエフの街を彷徨っていた。
 陽射しの洗礼を身に浴び、眩さに瞬きを繰り返しく足取りに定まらぬ視線の先。
 男は何処を目指しているのかは分からない。
 しばらく進むと一点を凝視して男は立ち止まる。
 先にあったのは冒険者ギルドの看板だった。
 昼過ぎのギルド、混雑する時間でもない。
 賭けに負け、昼食の当番に居残ったギルド員はかすかだが、入ってきた一人の男を見、胸の内によぎる雑念、違和感を。
 目の前の男には、表情らしい表情がない。
 やや切れ長の目元、全体的に整ってはいるが、瞳に宿る色は冷たい。
 冷酷そうな口元に張り付いたような笑顔は、まるで──。
「仕事を」
 男が言葉を発すると淀む空気の中でギルド員は、肌ににじむ汗に気づいた。
 いったいこれは何だ? 
 独り自問するギルド員を横目に、男は依頼書の群れに目をやり、一枚の依頼書を指した。 指した先にある文字は擦れてはいるが、デビルに襲撃された村について記されているようだった。
 一瞬恐れを抱いたギルド員だが事務的に処理を行い、男は去る。
 そしてギルド員は雑事に追われ、記憶の片隅に今日を追いやった。
 
 ────。

「簡単に言うと、人質の解放かい」
 早口で捲し立てる依頼人を宥めるかのように、その中年のギルド員は諭した。
 何の因果か、いまだ仕事を続けている。
 怠惰こそが信条だったものを、浮世のしがらみというものは・・・・・・そこまで彼が思ったところで喚く依頼人に現実に戻された。
「デビルです。デビルが、早く、俺達の村を」
「デビルね、親玉をやられた腹いせってところか、まあ自分の住処を荒らされたんじゃ、奴さんたちの心中も穏やかではないだろうね」
「冗談でも言って良い事と悪い事が!」
「悪い、悪い」
 これではどっちが悪党なのか分からないな。
 依頼人の睨み顔など気にもせず、ギルド員は皮肉めいた思いを感じつつも言葉を続けた。
「それじゃあ、あんたの知っていることを話してもらおう」
「は、はい」
 依頼人は状況について話し出した。


●今回の状況

 デビルは村の中央にある村長の家に立て篭もっている。
 子供を含む数人が人質に捕られている。
 村長の家の出入り口は二つ、家の周囲は平地。家屋の大きさは並。
 周囲での戦闘は十分可、ただし家屋内はそれほどの広くも無い、人質は地下室に居る。
 なお、デビルの数は五体ほどらしい。
 主に子鬼のような物。
 そして凶悪な獣のような顔をしているのが一体。
 彼らの目的が何なのかは分からないが、夜半に徘徊して人質をさらっているという話もある。
 怪しい儀式、虚ろな視線の村人を見たという話もあるようだ。
 目的は人質の解放、及び、デビルの討伐。

●今回の参加者

 ea6228 雪切 刀也(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb4721 セシリア・ティレット(26歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb5885 ルンルン・フレール(24歳・♀・忍者・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 eb7876 マクシーム・ボスホロフ(39歳・♂・レンジャー・人間・ロシア王国)
 eb8106 レイア・アローネ(29歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)
 eb9226 リスティア・レノン(23歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●一
 
 焼けた大地を歩くたび痛みが頬を走る。 
 空から見下ろす無遠慮な眼差しに苛立ちを感じた。
 だが、頭上の陽に言い返すこともできず、目的地まで冒険者は歩んでいる。 
 滴る汗に面をおろし、時折大地を見つめる彼らの脳裏には旅立つ前の記憶が浮かんで消える。
 瞬く情景は特に意味がないように思える。だが、同時に何かしらの事象、目覚めの予兆を感じさせるものだ。
 記憶の淵に眠る破片は鋭利、鮮明に巻き戻る物ほど、突き刺さり深い。 
 刺さった欠片は疼きと共に一種の味が混ざる。
 湧いた味は過去と溶け合い、いたずらな反応を時に起こす。 
 心なしか苦味を強く感じるもの。
 迸る痛みが心に残りやすいのと同じなのかもしれない。
 照りつける太陽を仰ぐ。
 暑い。
 誰もがそう感じていた。
 生暖かい風が肌を撫ぜた。
 ふと──記憶を思いだす。



 出発前の話だ。
「ギルド員の俺が言うのも、なんだが。いまさら無理にデビルに仕掛ける必要もないだろう」
 目の前の相手は不機嫌だった。
 理由は分らない。
 だが、ギルド員は横柄かつ反抗的な態度だった。
 会話の発端がなんだったのか、その場にいる人間は分らない。
 ギルド員の前にいるのは、もっとも彼の言葉に憤慨したものが一人。
 名をレイア・アローネ(eb8106)と言う。
「随分、分ったような口を利くものだな」
 眼下、机上にある一枚の依頼書をじっと見つめるレイアは、握った拳を叩きつけるかどうか、迷う。
 今生まれた衝動に大した意味がないのをレイアは理解していた。
「他意はない。いまさら、それが言いたいだけさ」
 彼女の思いを他所に冷静さに忍ばす皮肉。ギルド員の言う、いまさら。
 その言葉が意味するところが何のなのかは、分らない。 
 無理に藪を突く必要もない。
 窮鼠と化す可能性があるのなら、放置しておけ。
 そんな意味なのだろうか。
 正しいといえば正しい。
 だからこそ彼女の怒りに触れる。
「いまさらも何もないだろう」
 無意識にレイアの語気は荒くなった。
「悪を退治する。そして、みんな幸せに暮らそう。めでたし、めでたし。それなら、火の粉を払うならまだしも、仕掛ける必要があるのか?」
 レイアは黙った。
「個人の感情であれこれ言ってる暇はねーな。場所は教えた通りだ。助けにいってやんな、それがあんたらの仕事だ」
 そこまで言うと沈黙が場を支配し、ギルド員は手のひらで出て行くよう手で指示した。
 その場に残っていた数名は、レイアとギルド員のやり取り見ていた者もいたが、あえて口を挟まない。
 挟む必要がない事を知っていた。
 複雑な思いを飲み込んでレイアは外に出る。
 一種独特の高揚感に包まれている者がいるとも知らずに。
「美少女探偵団、セシリア登場! さあ、ルンルン☆ティレット結成よ」
 セシリア・ティレット(eb4721)は指先で頬をぽやっと突いた。
 いつもより可愛さに比重をかける笑顔。
 だが、デビルバスターならまだしも、なぜ探偵団なのか? いや、気にした方がきっと負けだろう。 
 勢いよく登場したセシリアは想像するに怪しい高揚感。
 というよりもかなりずれた熱気をまとっていた。
 この暑苦しい中で、その発せられる熱気はある種の狂気を場にもたらす。
 セシリアの姿を見た瞬間、レイアは凍った。
 微動だにしないレイア、凍りついたかのように、一点をみつめている。
 そんなレイアに話かけたのは、中年という領域に差し掛かった独りの男。
「事の起こりはレイアさんにあるんじゃないか?」
 肩をすくめる男はマクシーム・ボスホロフ(eb7876)という。
 久しぶりにロシアに舞い戻ってきたのはいい。
 騒動の根は何処にでもあるもの。
 なのに、これか?
 頭が痛いのはいつもの事だ。
 なのに、これか?
 複雑な心境、逡巡する想い、結果、マクシームは状況の黙認を決め込む。

「謎が呼ぶ、私を呼ぶ、轟き叫べと泣き叫ぶ。我が前に解答なし!」
 セシリアの暴走を目の当たりにした美少女忍者一号、ルンルン・フレール(eb5885)は出現した敵手というには、嫌な感じのする美少女探偵団、結成?
 に、困惑した。
 握った手に冷たい何かが走る。
 ルンルンがここで自分の存在を主張すれば、確かにある意味、色物という素晴らしい称号がきっと手に入るだろう。
 しかし。
 それはいわば、賭け、自尊心に対する挑戦。
 人生において、そんな賭けは何度もしたくはないもの。
 仮にその先に勝利という美酒が待っていても。
 自分は確かに美少女だけど。
 そういう雰囲気に流れてしまいそうになっても。
 (い、いやです。同じに見られるのは、いやです)
 ルンルンは心の底から湧く、何かしらの相容れない想いを感じて目を逸らす。
 その時だった>
 彼女の心境、危惧を代弁するかのように、新たな女が立ち上がる。
 がばっと、一歩。
 走りこんで、ポーズ。
「水のウィザード探偵。美少女リスティア・レノン☆ どうぞよしなに」」
 よしなにって、なにが? というより美少女、少女なのか。
 そんなところに突っ込んでいる場合ではない。
 彼女はリスティア・レノン(eb9226)。
 おっとりした雰囲気からは想像できない、挑戦者。
 決して空気が読めないわけではない。
「さあ、ルンルンさんも諦めて、GO。かもーん」
 いったい何を諦めるのか分らないが、セシリアの瞳に炎が宿る。
 ルンルンの背筋に怖気が伝わった。
 繰り広げられる光景を遠くからやや冷たい視線を送っていた雪切刀也(ea6228)は思った。
(斬る)
 柄に手を添えた。
 だが、ここで余計な干渉をすると自分の立場がきっと危うい。
 巻き込まれてしまえば、刀也とて無傷ではすまないだろう。
 いまだ冒険に向かっていない状態で、違う意味で冒険をするわけにはいかない。
(堪えるしかないのか、ないのか)
 そのとおりだ。
 こういう場合は、堪えるのが正解だろう。
 巻き込まれると自己像というものが崩壊しかねない。
「はあああ、サーチモードオン」
「ですわね、スクロール装着」
 セシリアとリスティアが気を吐いた。
「ティア、いったい何が。この流れはいったい、まさか」 
 レイアは固まった。
 確かに何気ない一言を放ったのは自分だったような気もする。
 けれど、今更後悔しても仕方ない。
 それよりもこの圧力は何だろう。
 不安、不安ではない。
 不安というよりも、恐怖、恐怖というよりも、これは。
 呆然自失!?
 レイアは唐突に空を見上げ。
「いい天気だな」
 嘆息した。
「ああ、いい天気だ」
 マクシーム・ボスホロフ、そろそろ青年というより中年。
 見上げた空をみつめる彼は、何から逃避するかのように答える。
 その心に去来するものは──。

「さあ、謎を解きにいきましょう。デビルなんてぽい」
「そうですわね、お散歩ですわね。ルンルンさんもいかがですか?」
「た、たすけて」
 手を引っ張られるルンルン。
 刀也は見切りをつけすでに出発した。

 その日は確かに良い天気だった。
 だが、なぜか‥‥‥一部の者の胃がきりきりと痛んだ。


●ニ

 この依頼において大事なことは、敵に見つからず、素早く行動するということである 敵の戦力は元々大したものでもない。
 デビルの動きは一種の八つ当たりのようなものを感じさせるほど、稚気溢れる行動と言える。
 

 初めに──。
 SAT(スレイヤー・アクマ・チーム)出動!
「SATだ!全員手を挙げろ!!」(記録係の声)
 ‥‥‥‥‥。
 なかったことにしよう。

 マクシームは村に着くと周辺で聞き込みを始めた。
 デビルの行動だ。たいてい裏がある。
 彼が聞き込んだ結果、村人が言うに、
「あのデビルは酒盛りをしてるだに」
「酒盛り?」
「ああ、毎晩してるだに」
 酒盛り、魂を抜くとか、生贄にするとかではないのか。
「いったい、村長の家で何が行われているのだい?」 
 村人はしばし口ごもった後、
「デビルぱーちー」 
 ‥‥‥‥‥。
 表情が固まったマクシーム、しかし、ありえないともいいきれない。
 その後、その情報を仲間に伝えた。
 情報というには、信憑性もなく突拍子もない話をきいた面々は、
「根性が曲がったを通り越して、折れきったデビルらしいね」
 刀也は溜息を一つ。
「デビルの方々は何がしたいのかしらー‥‥‥? そうだ」
 リスティアは懐から一枚の巻物を取り出した。
 フォーノリッヂ。
 簡単に言うと占いのスクロールで未来を予測する。
「でびるのでびるのでびるさん、貴方はいったい、なんでーす、のっと」
 フォーノリッヂが発動した。
 【酒】【おしゃく】【楽】
 関連性がよく分らないが、きっとこれは。
「酒盛りというのは、事実なのでしょうか?」
 リスティアが結果を伝えた。
 それを聞いたレイアは 
「‥‥‥面倒だから、家ごと壊そう、そうだ。そうしよう」 
 何かに取り付かれたようにぽつりといった。
「だめです。それだとルンルン忍法の出番がなくなってしまいます!」
 確かに、家ごと壊してしまえば、潜入も何もない。
「まあ落ち着いて。人質の位置を把握して、潜入するのが目的だろう。察するに危険な状態でもないようだし」
 さすが、マクシーム大人である。
「そうです。いまこそSATの出番です!」
 セシリアは、探偵から転職したらしい。
 こうして色々あったが、当初の通り潜入作戦の開始となる。

 初め、ルンルン、リスティア、セシリアにより内部の状況が観察された。
 その結果に基づいて、マクシームが偵察、情報中継する。
 刀也は、入口に張り込む。
 レイアは、出口に張り込んだ。
 館に最初に踏み込んだのは、
「SAT! 水ウィザード、リスティア・レノン参上ですー」  
 意外にもリスティアだった。
 リスティアの登場に中にいた酔っ払いデビルは困惑した。
 決して彼女の胸に威圧されたわけではない。
 リスティアは人質が居ないことを確かめると、
「あいすぶりざーどー。ちょっと弱」
 を唱えた。
 弱いのであまり威力はないが、下級デビルにはかなり痛い。
 混乱している中で、ルンルンは自らの姿を隠す。
 彼女の役目は人質の救出である。
 たいした障害もなく、ルンルンは村人の居場所に辿りついた。
 困惑する村人にテレパシーで事情を話した時、子鬼がやって来た。
 子鬼は騒動を感じ、村人を盾にでもするつもりなのかもしれない。
 訪れた危機を悟ったルンルンは、
「不利になったからって、人質を盾にするなんて許さないから!」
 姿を現し、印を結んで、叫んだ。
「ルンルン忍法、畳返し!」
 彼女の気合と共に、ボコボコという音ともに村人と子鬼の間に石の壁が生まれた。
「この隙に早く」
 ルンルンは村人の誘導を始める。  

 一方、外で女が一人、逡巡していた。
 握った拳がやけに熱い。
 なぜだろう、この感じは、きっと、迷い、違う、イ・ラ・ダ・チだ。
「ぜーんぶ、ぶっこわれろーーー!」
 物凄い勢いで剣圧が発生した。
 逃げてきたデビルは驚く暇もなく戸外に吹っ飛んでいった。
 レイアの衝動は熱い、理由はよく分らないが、熱い。
 
 さて、その頃、美少女探偵セシリアは。
「きっとこの彫像に謎があるはずよ」
「セシリアさん、それ自分で魔法をかけたやつですわよ」 
 リスティアと共に動き止めた子鬼たちを弄んでいた。
 



●三


 凶事は日を選ばない。
 殺意と鮮血を友に
 使者はいつでも君の傍に佇む。
 

 村人を無事助け出した頃。
 入口を一人張っていた刀也は、妙な気配を感じて背後を振り向いた。 
 視線に似たようなものは、殺気はない。
 だが、確実に何か──いる。
「誰だ」
「見つかってしまいましたわね」
 声に反応、現れたのは一組の男女だった。
 独りは流れる黒髪、どこか異国の匂いを漂わせた女、まだ歳は若い。
 若いというに幼いと言っても良い。
 独りは、大柄な男、薄汚れたローブに身をやつしている。
 少女は腰に帯びた剣を愛しげに撫でる。
「何者だ?」
「名は必要ないです。死合と致しましょう」
 少女は剣を抜いた。  
 刀也は鈍い輝きを前にしている。
 瞳の先にあるはずのもの。
 何の変哲もない剣だと経験は告げている。
 無意識は自らの持つ鋭い切っ先に保護を求める。
 交互に移す視線には鈍い光が残影を落す。
 培われた己の武威とて脅威ではない。
 理性はそう判断を下している。
 内部に生まれた想いは瘧のようだ。
 広がる病は身を犯す。
「来ないのですか?」
 数秒、凝視していたが刀也は、滲んできた唾を飲み干すと、
「──参る」
 駆け出した。
 迎え撃つ少女は諸手で柄を握ると、半身、右足を摺り体の重心をあずける。
 やや斜に構え待ち受ける姿。
 駆け寄る刀也は、危険を察知し足を止める。
 閃、同時に刃は宙を切る。
 寸で避けた刀也、
 抜刀した少女は抜き身を鞘には戻さない。
 態勢を戻し、刀也も自らの刀を握る。
 少女は微笑みむと、念仏のように何事か唱える、
「壱に残影、弐に無斬、参は放縦、死よ無迅。玉響喰らいて刃を成し現に亡者を寿げよ。まかり越せ雷帝、是亞逆生の破神、天命蛇烈の法義。是即ち道理、結え」
 刀身に添えた指先、愛撫をゆっくりと滑らせると魔力が剣に漲る。
 眩いばかりの電光。
 曇って来た空の下でその灯火は、周囲を照らす。
 渦巻くその光輪は
「雷龍! ?」
「貴方にはそう見えるのですね。これは只の刀、そして魔の彩りにしかすぎません」
 武人ならば問答よりも取るべき手段がある。
「勝負」
「是非もありません」
 死線は場にただある。
 刀也は剣で空を凪いだ。
 刃先から放たれる真空の刹那、弐の先を読む女の瞳の色が変わる。
 振り下ろされる撃を避け、間合いを一気に詰めた女は、刀也の懐に入ると
「死角です」
 厳かな柄で力任せに腑を抉った。
 態勢を崩した刀也は少女にもたれかかるように倒れこむ。
「そりゃ当然だよな、あれで終わりなわけはない」
 様子を確認し、事態の急変に気づいたのは、マクシームだった。
 握った短剣。
 牽制をこめて放つか迷うが──マクシームは先に救援を乞う。

 彼のテレパシーによって、幾人かがその場にやって来た。
 リスティア、セシリア、ルンルンは残る敵の掃討と村人の保護に努める。
 正体不明の二人組の前にレイア、刀也、マクシームの三人が立ちはだかった。
 何度衝突したあと少女は、
「遊びは仕舞い、夜の褥に抗うよりも、今はしじまに消え行くのみ」
 そう言うと、傍らに居た男に何事か囁く。
 男は呪文唱える。
 陽光が堕ちる。
 立ちすくむ三人。
 迅雷が宙を引き裂く中で、奇妙な雄たけびをあげるのはローブの異形。
 それに対するは大蛙。
 ルンルンの作り出したガマが雷光の贄となった後で、一対の何かもその場から逃げ去った。

 なお、伝え聞くに村人の被害はない。
 彼ら正体は、いまだ不明のままである。


 了