ぺっとぶりーだー
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■ショートシナリオ
担当:若瀬諒
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:5
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:12月19日〜12月24日
リプレイ公開日:2006年12月27日
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●オープニング
●冒険者の酒場
酒場は、妙に張り詰めた空気で支配されていた。
カオスの侵攻。それに伴う大きな依頼。その他様々に緊迫した状況の続くメイであるため、その只中に関わる冒険者達が気を張らせるのも無理はない。
今後のメイの動向や、カオスの侵攻、依頼の作戦会議などなど、各テーブルでは、神妙な面持ちの冒険者達が議論を交わしている。
「ぅ〜‥‥」
そんな物々しい会話が飛び交う中。一人の少女がテーブルに突っ伏し、恨めしそうな目で冒険者達を見渡していた。
短くまとめられた髪と幼い顔立ちが、少女らしい活発さと可愛らしさを醸し出している。が、傍らに置かれたこれ見よがしな長い剣は、少女がただの子供ではないことを物語っていた。
「むー‥‥」
何が不満か、少女は突っ伏したまま唸り、目の前に置かれたカップに口をつけ、
「うぅぅー‥‥」
また唸る。飲み物がなくなっていたらしい。
しかし、別段追加注文するというわけでもなく、ただバツが悪そうにカップを立て直す。
ピリピリとした空気の中、気を紛らわす手段もなくなった少女はしばらくの間唸り続け‥‥やがて、遂に弾けた。
「つまんなーい!」
叫び、テーブルを叩き付けながら立ち上がる。
突然の奇行に、酒場にいた全員の動きがぴたりと止まった。
その注目を一身に集めながら、少女はまた叫ぶように言う。
「みんな硬すぎるー! もっとぱーっと‥‥! こう‥‥ばーんって感じじゃなきゃダメー!」
擬音ばかりでよくわからないが、ともかく少女はこの空気が不満だったらしい。
とはいえ、冒険者達は別に嫌がらせをしているわけでもなく、そんなことを言われてもどうしようもない。
「‥‥そうだ!」
困り果てる冒険者達にフォローも入れず、少女は羊皮紙を手に取ると、おもむろにペンを走らせ始めた。
やはりどうしていいのかわからず、冒険者達もその様子をただ黙って見守っている。
少し待つと、少女は再びテーブルを叩き付けながら立ち上がった。掲げているのは、今しがたの羊皮紙。書かれていたのは――
「第一回! みんな大好きペット自慢大会ー!」
叫ぶ少女に、やはり声も出ない冒険者達。しかし少女はお構い無しに言葉を続ける。
「ルールは簡単! みんなのペットに何か芸をしてもらって、一番楽しめる芸をしたペットが優勝! 優勝者には、あたしことミリーが『ぺっとぶりーだー』の称号をあげちゃうよ!」
高らかに宣言すると、少女――ミリーはウェイトレスを呼び、手近な壁に羊皮紙を貼り付けさせる。
「よーし、そうと決まれば早速準備だー!」
一人はしゃぎながら、軽い足取りで酒場を後にするミリー。残された冒険者達は、やはり立ち尽くしたままだ。
「あ! 依頼はちゃんとギルドを通してくださーい!」
ウェイトレスが、羊皮紙を貼り終えたミリーの背中に向かって叫ぶ。
「‥‥」
「え、あ、あの‥‥私、何か間違ったこと言いました‥‥?」
複雑な感情の入り混じった視線を一身に受けながら、彼女はただおろおろとするばかりだった。
後日。
ギルドを通して正式に貼り出された依頼に、冒険者達はミリーの本気度を認識した。
「大会はいいけど、暴走しないだろうな‥‥?」
ぽつりと呟いた誰かの言葉が、多くの者の心情を代弁していたのは言うまでもない。
●リプレイ本文
●それゆけ自慢のペットたち
嵐のように騒がしい依頼から数日。
(おそらく依頼人が一番)待ちに待ったペット自慢大会の開催日となった。
場所は冒険者街。名前の通り冒険者の集う場所だ。通りに沿って冒険者達の家が並び、一角には大きな舞台がいつの間にか作られていた。これは主催者であるミリーが作った物だろう。いつの間に作ったのかはわからないが、木製のその舞台は十分な大きさと強度があるように見受けられた。
その舞台の裏では、大会の開始を待つ参加者達がそれぞれ自慢のペットと共に本番に備えていた。
「参加者もバッチリ! 客入りも完璧!」
舞台袖から客席と裏手を交互に見ながら満足そうに頷くミリー。酒場での大騒ぎがいい宣伝になったようで、会場は満員状態だった。
「それじゃあ、そろそろ始めるよー!」
振り向き、参加者に告げてから、ミリーは颯爽と舞台へ上がる。主催者の登場に、観客もノリ良く歓声を上げた。大方は冒険者であるが、そうでない者もちらほらいる。
「大変長らくお待たせ致しましたー! ただ今より! 第一回、時には戦う友として、時には心の癒し手として、離れられない心の絆、溢れ出す愛の名の下に! みんな大好きペット自慢大会を開催しちゃいまーす!」
妙に大仰な手振りをつけながら開催を宣言する。酒場の時よりだいぶ長くなっているのは、その場の勢いというものか。観客もやはりそれに乗って、大きな歓声を上げている。
「ではでは、早速いってみましょー! まず最初に登場するのは‥‥この人!」
僅かに溜めてから、手のひらを上に向けて舞台袖を指し示し、最初の参加者を呼び込む。
おずおずと出てきた一人目は、巫女装束を着込んだ眼鏡少女、結城 梢(eb7900)だった。
●梢式きぃちゃん占い
舞台へと上がった梢の姿に、一部男性客から歓喜のようなざわめきが起こる。理由はよくわからないが、ともかく嬉しそうだ。
「初めまして、結城梢と言います〜」
言って、ぺこりと頭を下げる梢。
「あたしのペットを紹介しますね。まだ進化前なんですけど、きぃちゃんです〜」
梢の横でふわふわと浮かんでいる球体。これが『きぃちゃん』のようだ。時折光を放っているように見える。
「今回は、このきぃちゃんが占いをしますよ〜」
ペットを例えた占いなら聞いたことがあるが、ペットによる占いは聞いたことがない。観客も興味津々といった感じで梢ときぃちゃんを見つめる。
「それでは‥‥そこの青い服の方、占ってほしいことがあったら何でもどうぞ〜」
梢は最前列に居た男を指名した。観客の質問に答える形になるようだ。
「お、俺? 急に言われてもなぁ‥‥」
突然の指名に戸惑いながら頭をかき、
「じゃあ、どうすれば彼女が出来るか、とか」
「はい、了解しました〜」
照れ臭そうに言う男の質問を、今度は梢がきぃちゃんに伝える。
と、きぃちゃんはぴかぴかとゆっくり明滅を始めた。梢は会話でもしているように横でうんうんと頷いて、くるりと男の方に向き直った。
「きぃちゃんによると、髪を二つ結びにした女の人に告白すれば思いが叶う。だそうです〜」
「ほ、ほんとか‥‥? 二つ結びだな‥‥?」
入念に聞き返しながら座り直す男。飢えているのか。
「じゃあ、次は‥‥赤い服のあなたです」
「あ、私ね」
次に指されたのは、その斜め後ろにいた女。
「それじゃあ私は、どうすれば彼氏が出来るか、聞いてほしいわ」
「今度は彼氏ですね〜」
頷きながらきぃちゃんに伝えると、今度は先ほどよりも少し早く明滅する。
「短髪で中肉中背の男の人があなたに熱い思いを抱いている。だそうです〜」
「そんな人山ほどいるような‥‥」
呟き、ふと先ほどの男を見る。青い服を着て、中肉中背。短髪だ。
ちなみに女は、髪を左右二つに結んでいる。
「‥‥」
「‥‥」
見詰め合う二人。更にそれを見つめる観客達。にこにこ笑顔の梢。きぃちゃんの占いは、意外と当たるのかもしれない。
●白銀の美
「どんどんいきましょー! 続いては、この人ー!」
次いで、レフェツィア・セヴェナ(ea0356)が舞台へと呼び込まれた。両脇には一頭ずつのペットが連れられている。
一頭は、輝くような美しい毛並みのフロストウルフ。もう一頭は、高貴な雰囲気を醸し出す、角の生えた白馬――ユニコーンだ。
普段見ることの出来ないユニコーンの姿に、一般の観客からどよめきにも似た歓声が上がる。
「やっほー! 僕レフェツィア。よろしくね」
ただの自己紹介に、何故か嬉しそう男性客が見える。
「それと、こっちがフロストウルフのプリン、こっちはユニコーンのパフェだよ〜」
紹介しながら頭を撫でると、どちらも嬉しそうに目を閉じる。
「まずは、プリンの芸からいくよ〜っ」
言ってレフェツィアは、プリンの頭を撫でながらぴっと上空を指差した。
プリンは釣られるように空を見上げ、
「ごーっ」
レフェツィアの合図と共に深く息を吸い込み、天高くへと向かって吹雪の息を吹き上げた。
空へと舞った吹雪は光を反射して、きらきらと輝きながらゆっくり降り注いでくる。舞台と客席を包みながら舞い降りてくるそれは、まるで小さな星々のようだ。
光の雪が降り終わるまでのしばし。観客達はたっぷりと幻想の世界に酔いしれ、やがてレフェツィアへ大きな拍手と喝采を送った。
「ありがと〜。プリンも、よくやったよ〜」
観客に手を振って応え、プリンの頭を優しく撫でる。
「次は、パフェの番だね。並べたアイテムの中から、指示した物を取ってくるんだよ〜」
レフェツィアはいくつかのアイテムを取り出すと、舞台の端にそれらを並べていく。人参や筆記用具の他に、バラの花びらをあしらったブローチがある。
「さぁパフェ、あの中から『一番綺麗な物』を取ってくるんだよ。『一番綺麗な物』だからね」
頭を撫でながら、パフェに指示を与える。
パフェはその場から並べられた物を一通り見渡し‥‥くるりとレフェツィアの方へ向き直ると、器用に服の端を軽く銜えた。
「え、ぼ、僕!?」
どうやら、レフェツィアがパフェにとっての『一番綺麗な物』に選ばれたようだ。
●頭脳派ミント
「ここから更に直球だよー! どうぞー!」
「「お? おおー!」」
よくわからない紹介に一瞬疑問符を浮かべた観客だったが、ソフィア・ファーリーフ(ea3972)の登場に会場が揺れた。
ソフィアが着込んでいるのは、煌びやかなチャイナドレス。袖のないワンピース状のドレスで、太ももの辺りから入った切れ込みからちらりちらりと白い脚が見え隠れしている。
「みなさん初めまして。今回はこのミントが、計算問題に見事答えます」
紹介しながら、しゃがみこんで頭を撫でる。天界の牧羊犬、ボーダーコリーだ。
「まだ10迄しか数えられないですけど、計算ショーとくとご覧くださいね」
にこりと微笑むと、釣られて男性陣がにやけ顔になる。
「それじゃあミント、まずは簡単な問題からね。1+1−1は、わかるかな?」
「わん!」
ミントはどこか上品な気がする声で一つ吠えた。
しかしこれはまだまだ序の口か。ソフィアは矢継ぎ早に問題を出していく。
「5−4は?」
「わん!」
「3+6−8は?」
「わん!」
複雑な計算式にも的確に答えるミント。‥‥答えは全て「1」なのだが。
「『ワン』だけにか〜」
客席のどこからか、苦笑のような呟きが聞こえた。天界に広く普及する言語で、「ワン」は「1」を指す‥‥まあ、駄洒落だ。
その頃合を見計らってか、今度はくるりと客席の方へ向き直った。
「ふふ、では余興はこれくらいにして‥‥次は、みなさんの出す計算に答えますね」
流石にあれで終わりということはなく、ここからが本番のようだ。
ソフィアは客席をざっと見回し、中から二人を指名して問題を出してもらう。
「じゃあ‥‥7+1−5は?」
「ミント、わかるかな?」
「わん! わん、わん!」
頬に手を当てながらソフィアが聞くと、三つ吠えてぴたりと止まる。
「9−3+4は?」
「ミント、わかるかな?」
「わん! わん!」
今度は頭を撫でながら聞くと、力強く二つ吠えた。観客から感心の声が漏れる。
「最後は‥‥ミリーさんに出してもらいましょう」
「あたし!?」
ぽんっと手を打ち、舞台袖で眺めていたミリーへ振り向いた。
「んっふっふ‥‥。それじゃあ‥‥28×4−13×7−16は?」
ミリーはにやりと不敵に笑うと、いきなり難しい問題を出してきた。
「ミント、わかるかな?」
しかしソフィアは変わらず笑顔で、背中を撫でながらミントに問いかけ、
「わんわん! わん! わん、わん!」
ミントは五つ吠えて、ぴたりと止まる。
「‥‥」
ミリーも同じく、ぴたりと止まり‥‥やがて、がくっと膝から崩れ落ちた。
「せ‥‥正解‥‥」
「「おおぉぉー!」」
愕然としながらぽつりと言った声に、観客が大きな歓声を上げた。
大喝采の中、笑顔で観客に手を振るソフィア。対照的に、ミリーは崩れ落ちたまま。
「ま、まけた‥‥犬に‥‥」
舞台袖で必死に考えていた問題をあっさり解かれ、ミリーはしばらくいじけていた。
●妖艶と美の宴
フィーネイア・ダナール(eb2509)の登場に、男性客――いや、女性客も含めた会場全体が、今まで以上に熱狂した。
視線を集める踊り子のような姿と、そこから露出した褐色の肌。そして女性客の羨むスタイル、透き通るような青い髪。それらが相まって、独特の色香が醸し出されている。
「私はフィーネイア。こっちは、私のペットのアリオト。よろしくね」
紹介されたのは、足元に擦り寄るボーダーコリー。男性客は明らかに嫉妬の色を燃やしていた。
が。フィーネイアの演舞が始まると、観客のざわめきはぴたりと収まった。
朗らかに歌い、踊るフィーネイアと、その周りを軽快に飛び跳ね回るアリオト。先ほどまでの色香は勇壮な美しさへと変わり、それがまた快活さを引き立てている。
楽しげでどこか美しいその演舞に、観客の目は釘付けにされていた。
ひらひらと風のように衣装をなびかせ、その場でくるりと回転してみせると、一歩遅れてアリオトもフィーネイアの周りをくるくると回り、跪いて伸ばした腕の上を軽い足で跳び越える。
拍手が起きないのは歌う声を掻き消さないためか。観客はただ見惚れるばかりだった。
駆け回るアリオトを追いかけるように地を撫で、天を仰ぐ腕を追って今度はアリオトが跳ぶ。
軽やかにステップを踏むフィーネイア。その足をくぐり、ぴょんぴょんと跳ね回るアリオト。
朗らかな歌に合わせて犬と戯れている、そんな微笑ましい光景にも見える。それはまるで、どこかの広い草原か、光の差し込む明るい森にいるようだった。
楽しい時間というのはすぐに過ぎてしまうもので、ほんの一瞬とも思える間にフィーネイアの演舞は終了を迎えてしまった。
丁寧に頭を下げるフィーネイアに、登場の時とはまた違った、大きな歓声と拍手が送られる。
表裏ではない二面性で、フィーネイアは会場を二度も熱狂させた。
●フェアリーマジック
「お待たせしました女性陣! 最後はこの人の登場だー!」
今まで以上に大仰な手振りで呼び込むミリー。その触れ込み通り、アシュレー・ウォルサム(ea0244)の登場に黄色い歓声が湧き上がった。
「皆様初めまして。アシュレー・ウォルサムと申します」
芝居がかった口調と手振りで、恭しく頭を下げるアシュレー。
そしてそれだけで歓声を上げる女性客。応援団か何かのように見える。
「まずは簡単な手品と共に、ペットの月丸を紹介致しましょう」
言って大きく片手を広げ、一度観客に掌を見せてからゆっくりと閉じる。周囲にペットの姿が見えないが、何をするつもりだろうか。
アシュレーは閉じた手の隙間から指を入れると‥‥何も無かったはずの掌から大きな一枚の布を抜き出した。
漏れる感嘆に微笑むアシュレー。今度はその布を中空に広げてみせ‥‥勢いよく、ばっと布を振るった。 取り払われた布のあった場所には、シフールよりも小さな妖精。この妖精が先ほど言った月丸なのだろう。
しかしアシュレーは再び妖精を覆い隠し、布を振るう。すると先ほどまで確かにいた月丸の姿は跡形もなく消え、三度布を振るえば、やはりそこには月丸の姿が現れた。
一瞬のうちに出現と消失を繰り返すその手品に、観客から大きな拍手が送られる。アシュレーと月丸も頭を下げてそれに応えた。
「続いては、この月丸と共にダーツの投げ当てご披露しましょう」
さらっと言った言葉に、僅かにどよめく観客達。
しかしアシュレーは構わず準備を始め、壁に添って台を置くと、そこへ果物を掲げた月丸がちょこんと乗る。
観客の不安とは裏腹に、月丸は壁を背にしたまま至って穏やかな様子だ。
準備が終わると、アシュレーはダーツを取り出した。当然、当たればただでは済まないだろう。
緊張の一瞬。アシュレーも慎重に狙いを定め‥‥誰かがごくりと息を呑んだ瞬間。素早い手振りからダーツを投げ放った。
サシュッという音を響かせながら、ダーツは見事、果物の下辺りへと突き刺さる。
観客は喝采を送ろうとして――しかしアシュレーは、矢継ぎ早に残りのダーツを投げ放った。ほぼ同時に、小気味よく三つの音が響く。
唖然とする観客とは対照的に、ダーツの下で涼しい顔の月丸。それだけ信頼し合っているのだろうが‥‥観客の方は衝撃が大きかったようで、喝采を送るまでしばしの時間を要した。
●栄冠は君に
「けっかはっぴょーう!」
舞台上、横一列に並んだ参加者一同。全ての芸が終了後、観客による投票が行われ、既に集計も完了している。
「投票は一人一票! その気になる投票結果は‥‥」
溜めながら、すぅっと息を吸い込み‥‥。
「梢20票! レフェツィア20票! ソフィア20票! フィーネイア20票! アシュレー21票! よって優勝は、アシュレー・ウォルサムー!」
「「おおおおぉー!」」
怒号のような歓声と、最大級の拍手が送られるアシュレー。激戦を僅差で勝ち抜き、見事な優勝だ。
「おめでとー!」
「ありがとうございます」
観客と参加者からの惜しみない拍手に包まれながら、アシュレーは一歩前に出て深々と頭を下げる。
「優勝したアシュレーさんには、このあたしから直々に『ぺっとぶりーだー』の称号が与えられまーす!」
既に名の知れ渡っているアシュレー。ここにまた一つ、その名を刻むこととなった。
「それではもう一度、みなさんに惜しみない拍手をー!」
最後の最後でようやくまともな言葉を選び、ミリー主催によるペット自慢大会は大歓声と拍手の中でその幕を閉じた。
何故『とっぷぶりーだー』ではなく『ぺっとぶりーだー』なのかは、永遠の謎である。