砂の中の針
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■ショートシナリオ＆プロモート担当：若瀬諒 対応レベル：8〜14ｌｖ 難易度：難しい 成功報酬：4 G 98 C 参加人数：8人 サポート参加人数：-人 冒険期間：10月28日〜11月04日 リプレイ公開日：2006年11月05日 |
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●オープニング
●阿修羅の剣探索『阿修羅の剣』は、現在は『竜戦士』の称号を冠せられるメイの国の英雄、ウーゼル・ペンドラゴンの所持していた剣である。
ペンドラゴンは『天界人』と呼ばれる、異世界からアトランティスに来落した異世界人だ。約５０年前、カオスの穴の開口とバの国の侵略で滅びかけたメイの国の人々を牽引し、その超絶的な戦技で数々の敵とモンスターを破り、そしてメイの国の復興とカオス戦争の勝利をもたらした、ある意味アトランティスそのものの英雄である。
だが、彼は死んだ。
原因は分かっていない。病死や自然死ではなく、戦死したと伝えられるのみである。信心深い人々には、『天界から来た英雄が天界に還った』と思われているが、その真偽は定かではない。
だが少なくとも、ペンドラゴンが勇者でありそれに見合った武具を装備し、そしてその力を以て平和の礎（いしずえ）を築いたのは間違いない。彼が居なければ現在の平和は無く、そして東方世界はカオスの暗黒に塗りつぶされていただろう。
だが、現状が危ういバランスで立っているのも事実である。
カオス戦争で完膚無きまでたたきのめされたバの国も、その本国までは侵攻を許していない。
つまりバの国本国の戦力は、今なお健在なのだ。
「いずれ、バは動く」
メイ王アリオ・ステライドは言う。
「その時、我々には切り札が必要だ。天界人の来落はすでに全アトランティスにおよび、切り札たり得ない。だが唯一無二の『切り札』がある。それが、竜戦士の剣、つまり『阿修羅の剣』だ」
アリオは、声を張り上げた。
「見つけるのだ！ 竜戦士のつるぎ、伝説の器物、約束された勝利の剣！ 阿修羅の剣を！」
●砂の中の針
サミアド砂漠。時折見える小さな砂の凹凸以外に障害物の無い、そんな見通しのいい場所に、遺跡『らしきもの』があるという情報が入った。
確信でないのは、そこにカオスニアンが居留しているからに他ならない。
カオスニアンは軽騎兵クラスの俊敏な凶獣――おそらく、ヴェロキラプトル辺りの一個群を駐留させ、周辺の警備に当たらせながら、そこで発掘作業を行っているらしい。
発掘にしては規模が小さく、看過しても構わない情報にも思えるが、そこに『阿修羅の剣』やそれに繋がる情報が埋まっていた場合のことを考えると、見過ごすわけにはいかなくなる。
『阿修羅の剣』の探索はこうした万が一、あるいは『億が一』にも備えなければならないものだ。
それでなくては、伝説の器物を見つけることなど不可能といえるだろう。
とはいえ、確定情報ではない以上、軍を動かすわけにもいかず、かといって調査隊だけでは戦闘になった場合に太刀打ち出来ない。
そこで今回、身軽かつ戦闘能力のある、究極の遊撃手こと冒険者に遺跡確保の依頼を出す運びとなった。
君たち冒険者にはカオスニアンを掃討しての遺跡の確保、及び行き帰りの調査隊の護衛をお願いしたい。
●今回の参加者
ea2361 エレアノール・プランタジネット（22歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国）ea5276 アズマ・ルークバイン（33歳・♂・ファイター・人間・フランク王国）
eb2093 フォーレ・ネーヴ（25歳・♀・レンジャー・人間・ノルマン王国）
eb7850 フローラ・ブレイズ（33歳・♀・ファイター・人間・メイの国）
eb7896 奥羽 晶（20歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
eb7992 クーフス・クディグレフ（38歳・♂・鎧騎士・人間・メイの国）
eb8108 レオニード・アノチェセル（30歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・イスパニア王国）
eb8383 ロゼリッタ・クローゼン（33歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国）
●リプレイ本文
『砂の中の針』●サミアド砂漠
砂漠の夜は寒い。
この乾燥した砂の地に慣れぬ者も多く、体調を崩さぬように‥‥襲撃を受けぬように‥‥細心の注意を払いつつ進んで三日。一行は大した障害もなく、遺跡の手前までやってこれた。
「今夜も襲撃は無さそうだな」
クーフス・クディグレフ（eb7992）が夜警をしていると、背後で物音がした。振り向くと、簡易テントからフォーレ・ネーヴ（eb2093）が出てきたところだった。
「ん‥‥？ もう交代の時間か？」
「まだだよ。ちょっと‥‥ね〜」
小さく歌を口ずさみつつも、周囲に視線をはしらせる。一行で最年少の彼女は旅の途中、ずいぶんと一行を和やかにしてくれたが、内心では誰よりも神経質に襲撃を警戒しているようだった。
「あまり気負い過ぎていると、砂漠では体力が保たないぞ」
「は〜い」
面倒見のいいクーフスの気遣いに元気よく返事をするフォーレ。
到着前最終日――心配も杞憂に終わり、そして朝が来た。
「‥‥はぁ〜、行けども行けども、砂しかありませんね」
辺りを見渡して、レオニード・アノチェセル（eb8108）がため息をつく。この辺りは林立した岩すら消えて、緩やかに波打つ砂、砂、砂‥‥それしかない。体力のあるレオニードはともかく、天界人の奥羽 晶（eb7896）などには辛い道のりだ。
「それで、どのような遺跡なのでしょうか」
エレアノール・プランタジネット（ea2361）は白馬に乗りながら調査隊の人間から話を聞いていた。
「文献にもないですし、正直、遺跡かどうかも‥‥。まあ、この手の調査は百回行って一回当たるかどうかですからねぇ‥‥」
「まあ、敵さんが駐留してるくらいだから、なんかあるんだろうな。どんな敵か判らないのが辛いが」
アズマ・ルークバイン（ea5276）がそう言って不敵に笑う。
と、先行して偵察していたフローラ・ブレイズ（eb7850）が戻ってくる。どうやら遺跡を確認したようだ。
「あの砂丘を越えたらもう敵の視界内よ。見た限り恐獣は三体、カオスニアンは一人ね。恐獣には鞍がついてた。多分、騎馬のように騎乗するのね」
「作戦に変更は必要だろうか」
ロゼリッタ・クローゼン（eb8383）の問いに、フローラが答えた。
「いえ、打ち合わせ通りに行きましょう。煙で敵をおびき出すわ」
彼らが立てた作戦は、大まかに言って以下のようなものだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・炊事の際に出るような煙を立たせて、敵の注意を引く。
・少数で偵察に来るか、獲物と思って大勢で襲いかかってくるかは判らないが、遺跡から引き離したところでエレアノールの範囲魔法、及び前衛の攻撃で殲滅する。
・調査隊の護衛のために、数名を後方に待機させる。
なお、排除組と護衛組の割り当ては以下のようになる。
・排除組：エレアノール（魔）、アズマ（戦）、フローラ（戦）、レオニード（騎）、ロゼリッタ（鎧）
・護衛組：フォーレ（旅）、晶（天）、クーフス（鎧）
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●戦闘――死線
「まあ、こんなもんだろうな‥‥」
先が砂に埋もれたロープの端を見下ろして、アズマが呟く。投網とロープで作った即興の罠だ。脚に引っかけて転ばせられれば御の字、といった程度のものだ。
「ですね。うまくかかってくれるかは判りませんが、機動力は出来るだけ削りたいものです」
「ロゼリッタさんはエレアさんの護衛に回るから、排除組の前衛は実質三人ね‥‥出来るだけまとまって行動しましょう」
「そうですね」
フローラの意見にレオニードが頷く。
「術者はこちらで守る。そちらは背後を気にせずやってもらいたい」
「よろしくお願いするわ。私は避けたり受けたりはさっぱりだから」
「煙が上がったわ。作戦開始よ」
調査隊の側で、クーフスが炊いた煙が細く白く青空に昇っていく。
「さて、どれだけおびき寄せられるかだな」
遠目には単なる昼食時の小休憩に見えるように振る舞いながら、クーフスは何気なく周囲に視線を走らせる。
「ん？ どうした？」
青い顔をした晶に、クーフスが問いかける。
「あ、い、いえ‥‥なんでもないです。大丈夫です」
「そうか？ ならいいが‥‥」
警戒に戻ったクーフスの後ろで、晶は見たこともない神様にひたすら祈っていた。
（「こっちに来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように、来ませんように‥‥」）
「大丈夫。勝てるよ」
そんな晶の肩をフォーレがぽんと叩いた。
「動きましたね‥‥三騎全部」
「あんまりいい展開じゃなさそうね」
「ああ‥‥」
砂丘の陰に隠れ、レオニードとフローラ、アズマが声を交わす。
一度は一騎でやってきた。しかし、魔法の効果範囲である１００メートルよりはるか手前で足を止めてしまった。おそらく、あの位置で十分見えているのだろう。見通しの良い砂漠である以上、ある程度想像できたことだ。
一度戻ったカオスニアンは仲間を呼び、武器を手に、獲物を見つけたハゲタカのように三騎でこちらへと向かってきている。騎乗するのはティラノサウルス・レックスを小型にしたような恐獣――ヴェロキラプトルだ。
「なんとも凶悪なツラをしたトカゲですね」
「正直、あの牙にはかかりたくねえな‥‥」
レオニードとアズマが武器を手に取る。相手がこちらを『獲物』と判断したことは明らかだ。まぬけな旅人を装うこともない。
「うわっ、あのトカゲかなり速いですよ！？」
「１００メートルを１０秒‥‥いえ、もっとかしら。抜かれたら追いつけないわね」
三騎は一騎ずつ中央と左右へと分かれながら、冒険者達を囲むように迫ってくる。その速度を見て、効果範囲のかなり手前から、エレアノールが詠唱をはじめた。
「三騎とも捉えきれるだろうか‥‥？」
「拡がりすぎてるわね。一騎は撃ち漏らしそう」
厳しい顔で武器を構える一行の横で、エレアノールの詠唱が完了する。
「アイスブリザード♪」
歌うように唱えられた最後の言葉。直後、敵へと伸ばされた手のひらから、達人級の氷の吹雪が扇状に伸びていく。
「グアァァァァッ！」
捉えられたのは向かって中央と右の二騎。一騎が倒れ、一騎の乗り手が振り落とされた。乗り手を失ったヴェロキラプトルは暴走し、エレアノール達のはるか右を抜けて調査隊へと迫っていく。
「アイスコフィン‥‥は届かなさそうね。後はあちらにお任せしましょうか」
「くそっ、くらえぇぇぇっ！」
エレアノールの隙を狙うように、倒れた一騎の影から短刀を構えたカオスニアンが飛び出す。
どうやら上手く恐獣を盾に使い、吹雪の威力を減らしたようだ――が。
ギィィィィンッ！
間に割り込んだロゼリッタのサンソードが、すかさずカオスニアンの刃を防ぐ。
「悪いが、ここはあたしの持ち場なんだ。通すわけにはいかない」
ロゼリッタはそう言ってカオスニアンに鋭い眼差しを向けた。
ズシャァッ！
唯一、魔法から逃れた一騎の脚に、網がからまりつく。
「よし、かかった！」
「行くわよ！」
恐獣の動きが止まったのを確認して、フローラとレオニードが飛び出す。
罠にかけたアズマもやや遅れてそれに続いた。
「はあぁっ！」
「行きますよっ！」
フローラとレオニードは気合と共に一気に恐獣との距離を詰め、勢いを殺さぬまますれ違うように斬り抜ける。
「当たった――けど浅い！」
「こっちもです」
左右から胴を狙った攻撃は、ともに致命傷にはほど遠い。
「お前等‥‥ただの旅人ではないな？」
「だったら、どうする？」
「‥‥変わらぬ。殺して荷物を奪う。それだけだ」
地面に降り立ち、短刀の一閃で網を断ち切ると、カオスニアンが短刀を構える。
「来ますよっ！」
「く‥‥っ！」
鋭い牙と爪を持った恐獣と、カオスニアンが同時に仕掛けてくる。
恐獣は自身を傷つけた二人へ。カオスニアンはアズマへ。
「はは‥‥流石に緊張してきましたよ〜♪」
レオニードの瞳が血の色に染まり、徐々に髪が逆立っていく。ハーフエルフの特徴――狂化だ。
「キルキルきルきるルルルるるぅ〜♪」
「ちょっと、レオニードさん！ 一人じゃ――」
慌てて後を追うフローラの数歩先で、狂化したレオニードが恐獣に迫る。
剣先で砂地を削り取り、砂煙と共に恐獣へと迫り――その目の前で、滑るように体を捻らせながら巨大な剣を振り抜いた。
「グギアァァァァッ！」
脚を切り裂かれ、恐獣の身体が傾く。だが――体勢の崩れたレオニードに恐獣の牙が襲いかかる。
「ぐアぁッ！」
「レオニードさんっ！」
一撃――たった一噛みで地面に倒れるレオニード。そればかりか、その鋭い牙と爪がフローラへも迫る。
「くっ！」
一撃めを脇へのステップでなんとか避わす。
二撃めの爪も、剣ではじき返した。
だが――反撃の間もなく襲いかかってきた三撃めまでは、避けられなかった。
砂漠に悲鳴が響き渡る。
「‥‥くっ、時間かけてる場合じゃねえな」
レオニードとフローラの悲鳴に、アズマがシールドソードを構え直す。元々、防御を主体とした武器で、一撃必殺というわけにいかないのが欠点だ。
「これで終わりにさせてもらうぜ！」
斬――
傷だらけのカオスニアンにとどめの一撃を叩き込み、アズマは二人の元へと急いだ。
一方――調査隊。
（「うわあああっ、き、来たぁっ！？」）
護衛をしていたフォーレ、晶、クーフスの元へ、乗り手を失ったヴェロキラプトルが一匹、暴走してくる。
しかもまた狙ったように、晶の正面に。
「いくよっ！」
フォーレの縄ひょうが飛び、恐獣の瞳の横を切り裂く。ダメージは大きくないが、足取りが乱れた。体勢を崩しながら突っ込んでくる恐獣、しかし晶は動かない。
「晶君っ！」
「う‥‥うわぁぁぁぁぁぁ！！」
その声に背中を押されるように、晶が突っ込んでいく。
手にした剣を大きく振り上げ、死に物狂いで斬りつける。
「グゲァァァッ！」
いくら素早いとはいえ、ダメージを受け乱れた足で避けられるものではない。不細工な悲鳴と共に、恐獣の体から赤い血が噴き出す。
「あ、当たった‥‥！」
「晶君！ まだ！」
斬りつけたその体勢のまま立つ晶に、フォーレの声が飛ぶ。
「えっ‥‥！？」
慌てて目を向けると、恐獣は痛みにのたうちながらも片目を大きく見開き、晶を捉えていた。傷を負っても狩猟の本能は衰えない。瞳に捉えたその瞬間に、鋭い牙が晶を狙う。
――刹那。
「させるか！」
晶と恐獣の間に、クーフスが飛び込んでくる。
ほぼ距離のない肉薄した位置から、クーフスは迷うことなく剣を振るった。
ゾシュゥッ！
「グギュァァアッ！」
剣は開かれた口を一閃し、その強靭な力を一瞬で奪い去る。
「ギ、グァァッ‥‥！」
恐獣は搾り出すように声を上げ、くるりとクーフス達に背を向け、走り出した。捕食手段である顎を失い、敗北を確信したようだ。
「勝った、かな」
逃げ去る恐獣を確認し、フォーレはふぅっと小さなため息をついた。
「あ、ありがとうござます」
「いや、気にするな」
血糊をぬぐって剣を収めたクーフスに、晶はぺこりと頭を下げる。
「さて‥‥あちらは大丈夫だろうか？」
クーフスはぽつりとこぼし、排除組の方へと視線を移す。
そこには、まだ恐獣と戦っている仲間の姿が見えた。
「大丈夫か！」
「私はなんとか‥‥それよりレオニードが！」
血の流れる左腕をだらんと垂らし、フローラが応える。左腕に噛みつかれたものの、ダガーで恐獣の左目を潰して難を逃れたようだった。恐獣は頭を振り回して痛がり、己に傷を与えた者を探そうとしているが、半分の視界を失いまだ気付いていない。
と、恐獣に残った右の視界で、レオニードがゆらりと起き上がった。
「む〜ざん♪ む〜ざん♪」
髪は逆立ったまま、口元で小さく歌を歌いながら、巨大な剣を振り上げる。
「グルルルルル‥‥」
足と目に傷を負い怒り狂った恐獣の暴力がレオニードへと向けられる。
あの剣の一撃なら倒せるかも知れない。だが、もう一度牙を食らったら、レオニードもまた――
「逃げろレオニード！」
「む〜ざんっ！！」
ジャイアントソードが振り下ろされ――
キィィンッ！
「え‥‥？」
金属音ともまた違う、澄んだ音色を奏でて、ジャイアントソードがはじかれた。
「遅くなって申し訳ございませんわ」
振り向けば、優雅な微笑みを向けるエレアノールと、カオスニアンを下したロゼリッタの姿。
そして恐獣は‥‥微動たりともせずに、固まっていた。
砂漠に突き立った氷棺の中で――
●遺跡――出てきたものは
カオスニアン達を排除して辿り着いた遺跡は、遺跡とも呼べない小さな遺跡だった。残りの敵がいるわけでもなく、阿修羅の剣に関するこれといったものも出てこない。
ただ――
「これは‥‥井戸？ 不思議ね、砂漠なのにここだけ花が咲いてる」
調査隊と一緒に遺跡に足を踏み入れたフローラが疑問の声を上げる。
「あら、この花は‥‥どこかで見覚えが‥‥」
その隣で花に顔を近づけて、エレアノールが考え込んだ。そのまま調査隊となにやら話し込みはじめる。さらに、重傷を負ったカオスニアンを尋問していたクーフスの話と合わせ、この場所の謎が明らかになった。
カオスニアンはここで花の栽培を行っていたのだ。もちろん、ただの花ではない。カオスニアンが恐獣を手懐けるために使うと言われる麻薬、その原材料の一つがこの花だというのだ。
発掘調査に見えたのは、放っておくと埋もれる井戸を掘り返したりといった作業を誤認したものらしい。念のため井戸の底を確認してみたが、阿修羅の剣などはどこにもなかった。
だが、今回の旅は全くの無駄足というわけでもない。この旅もまた、少なからずメイの国益となる貴重な発見があった。冒険者達は誇ってもらっていいだろう。
