神社の大掃除と蟻退治
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■ショートシナリオ
担当:八神太陽
対応レベル:6〜10lv
難易度:普通
成功報酬:3 G 9 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月20日〜12月25日
リプレイ公開日:2006年12月24日
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●オープニング
京都から少し離れた山の中の小さな神社に2人の親子が住んでいました。
一人は設楽安太郎、神社の神主様です。
もう一人は設楽源之助、安太郎の父に当たります。先代の神主様ですが、すでに安太郎に職を渡し、今では半隠居生活を送っています。
寂れた神社ではありましたが、2人は何とか生活をしていました。
しかし2人ではやって行けないこともあります。それが年末年始でした。
小さいといえど神社は神社、それなりに敷地はあります。大掃除するのはそれなりに大変なことでした。
それでも近所の人や知り合いに頼み今までは何とかやってきたのでした。
しかし先日のこと、安太郎が本堂に入るとどこからともなくカサカサっと音が聞こえます。
不思議に思った安太郎が音の出る方を探してみると、どうやら床下から音がするようです。
ねずみでも紛れ込んだのだろうか、始めは安太郎もそう考えました。
山の中にある神社なのでねずみが紛れ込んでも不思議ではありません。
ですが子供を生まれるとちょっと大変なことになります。
仕方無しに安太郎は床下の通気口を通ってねずみ採りに向かいました。
床下は狭く、加えて暗いものでした。安太郎は音を頼りにねずみの位置を捜して生きます。
しばらくすると光っているものが見えました。ねずみの目かなと思って近づいてみると、それはねずみではなく大きな蟻の集団でした。
どうやら本堂の床下部分の地面に蟻が巣を作っていたようです。安太郎は一目散に逃げていきました。
その日の夜、安太郎は父源之助と蟻退治について話し合いました。
狭く、暗い床下で集団の蟻とどう戦うのか。
2人は相談の結果、冒険者ギルドに話しを持ちかけることにしました。
●リプレイ本文
イシュメイル・レクベル(eb0990)は親子の話と煙を頼りに炭焼き小屋に来ていました。大蟻退治に使う木酢液をわけてもらうためです。
「どれくらいの量必要なんだい?」
炭焼き小屋のおじさんはイシュメイルに尋ねます。
「うーん・・貰えるだけ貰っていい?体長1mの蟻退治に使うから」
「ほーそりゃでかいな。噂に聞く大蟻って奴か」
「知ってるの?」
イシュメイルは身を乗り出して話を聞きます。
「実際に見たことは無いけどな。働き蟻でも体長2m超えるらしいぞ。女王蟻だと10mとかになるんじゃないか?」
イシュマイルは思わず両手を広げます。イシュマイルの身長は138cmなので10mはイシュマイル7人分ということになります。
「おっちゃん脅さないでよ。怖くなるじゃないか」
「はっはっは、退治する前に怖がってどうする。しかし10mの蟻なら見る価値蟻(有り)だな」
おじさんは笑いながら木酢液を酒樽1杯分もわけてくれました。
「ただいま。木酢液もらってきたよ」
イシュマイルがペットのマルスから酒樽を降ろします。
「おかえり、随分と沢山もらってきたな。運ぶの手伝おうか」
クリスティーナ・ロドリゲス(ea8755)はイシュマイルのもとに近寄ります。
「結構重いから気をつけて」
「重い?あたしを舐めるなよ?」
身長差があるものの2人は何とか酒樽を母屋まで運びました。
一方、母屋ではシェリル・オレアリス(eb4803)、マキリ(eb5009)、斑淵花子(eb5228)が甘味の山を前に作戦会議を開いています。
「使えるかと思って寺田屋で買ってきたんだけど、どうかな?」
マキリは2人の顔色を伺います。
「試してみる価値はありかと思いますですよ」
「普通の蟻なら集まるはずですしね」
話し合いの結果、木酢液と甘味の2段構えでおびき出すことになりました。
思ったより多くの木酢液を手に入れた冒険者達は一箇所を残して本堂周りを木酢液を少しずつ撒く事にしました。
そしてあえて空けた一箇所に甘味の山を置き、蟻が出てくるのを待つことにしました。
「できれば1匹ずつモキュモキュっと出て来て欲しいですますよ」
斑淵が話していると、目の前に赤い光が見えました。
「蟻さんのお出ましかな」
クリスティーナが弓を構えます。シェリルも詠唱を始めました。
マキリも矢を番えようとすると、少しずつ蟻の巨体が見えてきます。
「ちょ、ちょっとちょっと。あれ1mなんて大きさじゃないよ」
「あー炭焼き小屋のおっちゃんが言ってた。働き蟻でも2mを超えるって。女王蟻だと10mくらいじゃないかとも言ってたよ」
イシュメイルがメイスと盾を構えながら、さも当然という感じで言ってのけます。
「いいね、自分より大きな敵との戦闘。戦い甲斐があるってもんよ」
オープニングヒットはクリスティーナです。矢は蟻の眉間に命中・・しましたが蟻の動きは鈍りません。
「あっちゃーやっぱ効かないか」
「そんな時のための魔法ですよ」
シェリルのディストロイの詠唱が完了、発動します。蟻は重傷に陥りました。
「すごい威力ですますよ」
斑淵はシェリルの魔法に狂喜乱舞です。
「しかし何発も撃てるわけではないので、あまり期待はしないでくださいね」
「そうだね、女王蟻がいるのは間違いないだろうしね」
5人は蟻に止めを刺し、女王蟻の待つ巣に侵入することにしました。
「これが巣の入り口?」
マキリは半信半疑でした。
「ちょっとした落とし穴ぐらいありますね」
シェリルが穴にたいまつを入れてみます。それなりの深さありそうです。
「こんなところでうだうだしてても時間の無駄だろ。早く行こうぜ」
クリスティーナの言葉に従い、冒険者達は巣の中に進入しました。
「なんだか小人になった気分ですますよ」
「蟻の巣に入った人間なんて初めてかもね」
冒険者達は更に奥へと入っていった。
「音が聞こえる。蟻がいそうだよ」
先頭のイシュマイルが蟻の足音を聞きつけました。
「何が出るかな〜何が出るかな〜」
「多分蟻じゃないかな?」
「その手も蟻だね」
「蟻だね、じゃないだろ。さっさとつっこもうぜ」
なぜかピクニックに行くような雰囲気です。
しばらくするとちょっと広めの部屋に出ました。10畳ほどあるでしょうか。
その部屋に蟻が2匹と人間大のマシュマロのようなものが無数にあります。
「あれってひょっとして」
シェリルが息を呑みます。
「卵ですますよ、きっと」
斑淵は楽しげに言います。自分と同じ大きさの卵に興奮しているのでしょう。
「卵の前に蟻が来るよ」
イシュマイルはたいまつをシェリルに渡し、前回同様盾とメイスを構えます。
他の人たちも自分の武器を構えました。シェリルは女王蟻戦に向けてMP温存、今回はたいまつ持ちに専念します。
部屋自体は十分広いのでイシュマイルと斑淵が前衛、クリスティーナとマキリが後衛に入ります。
2匹の蟻はイシュマイルに標的を定めたようです。集中攻撃をかけてきました。
「ちょっとーなんで僕に集中攻撃なのさ」
イシュマイルは嘆きますが、他の人にとっては絶好のチャンス。1匹の蟻を集中攻撃します。
マキリ、クリスティーナのシューティングPAEXと斑淵のスマッシュに1匹目があえなく瀕死、次のターンには2匹目も瀕死へと追い込みました。
しかし集中攻撃にあったイシュマイルは1匹目の攻撃を盾で防いだものの2匹目を防ぎきれずに軽傷を負っていた。
「痛かったんだよー」
イシュマイルはヒーリングポーションを飲み、2匹の蟻に止めを刺し、蟻の卵に八つ当たりします。
「まぁ確かに卵は壊さないとですね」
斑淵も小太刀で卵を破壊、クリスティーナとマキリも鏃をつかって破壊していきます。
「さて次の部屋行くよー」
まだイシュマイルは納得できないのか再びたいまつを手に奥へと進んでいくのでした。
しばらく行くと行き止まりにぶつかります。
「ここで終わり?」
「っていうことは・・?」
イシュマイルと斑淵がおもむろに部屋の奥を見ると、蟻とは思えない巨体が現れました。そして他にも宮仕えするかのように2匹の蟻がついています。
「何あれ・・」
「多分女王蟻だと思いますが」
「あれって蟻(有り)なの?」
「いや無しで」
話には聞いていましたが、直に全長10mの蟻を見ると冒険者といえど流石に驚きを隠せません。
「あれだけの卵を産むんだから、確かにこれだけの巨体が必要なんでしょうね」
シェリルは女王蟻の大きさに関心さえしている。
「でも、あれだけ大きければ回避はできないですますよ」
斑淵はそう言って小太刀を構えます。他の人も武器を構えました。
今回は恐らくボス戦ということでシェリルも詠唱開始、たいまつは片手武器のイシュマイルが持っています。
「まずは雑魚をお願いしますですー」
斑淵は半分悲鳴交じりに叫びます。何とか蟻の攻撃を回避しているものの、どうやら攻撃には転じられないようです。
「了解っと」
引き絞られたマキリの弓から矢が放たれます。しかし今回は淵斑が回避しているせいか蟻の動きも機敏、蟻に命中はしたものの急所に当てることが出来ません。
「だったらこっちで」
クリスティーナは同時に3本の矢を発射、1本は回避されたものの2本は命中、中傷にまで追い込みます。
「僕も続くよ」
続いてイシュマイルのスマッシュEXが炸裂、負傷した蟻は重傷まで陥ります。
「ではこれでとどめですね」
最後はシェリルのディストロイで1匹目の蟻を無事戦闘不能にしました。
「これで随分楽になったですますよ」
ここで斑淵も攻撃に転じます。蟻の隙をついてスマッシュを繰り出しますが、蟻は回避します。
「モキュモキュはモキュモキュらしく当たるですますよ」
意味不明の言葉が巣の中に響きました。
戦闘は第2ラウンドに入ります。今回はマキリも矢を3本発射、無事2本命中させます。
クリスティーナも同じくダブルシューティングEX、見事蟻に重傷にします。
「みなさん、演出ありがとうですますー」
淵斑が再びスマッシュを繰り出し、無事蟻を戦闘不能にしました。
「さてとお後は女王蟻だけだね」
イシュメイルが移動後スマッシュEXを繰り出します。身体の大きな女王蟻は回避に失敗、中傷になります。
続いてシェリルがディストロイを唱えますが、女王蟻はまだ動きます。一番手近なイシュマイルに大きな牙で攻撃を仕掛けます。
とっさに盾を出そうとするイシュマイル、しかし今左手にあるのはたいまつ。とっさにたいまつを差し出してしまいます。
なんとか攻撃は避けたものの、たいまつの火は消えてしまいました。
「たいまつならまだあるですよ」
淵斑は2本目のたいまつをとっさに準備し、その後クリスティーナとマキリが矢を放ちます。
相手が女王蟻といえど、所詮は蟻。同じ蟻をすでに5体屠った2人は蟻の急所を正確に狙います。
そして2人の放った矢は女王蟻を見事戦闘不能にしたのでした。
「終わったー」
イシュマイルは怪我を負っているのも忘れて叫びます。
「でも問題はまだあるですよ。この蟻さんどうしますです?」
女王蟻の巨体はまるでトンネルのように土壁をくりぬいています。
「この蟻を破壊すると、巣全体どころか上の本堂まで影響でそうだね」
5人は考えた結果、設楽親子と相談することにしました。
「それでは巣を正確に地図にし、その後検討しましょう」
地図を作った結果、本堂の柱の下には巣が無いことが判明。地図をもとに重点を計算しシェリルのディストロイで破壊しました。
「なんだか大きな溝ができたね」
巣の真上の土砂が陥没したため、床下には大きな溝が出来てしまいました。
「まるで蟻地獄だぞ」
「獲物は蟻ですますか?それともあたし達ですますか?」
「僕達っていうのも蟻ってことで」
そんな話をしながら、5人は溝を埋める手伝いまでしたのでした。