海の底に開いた穴〜リベンジ〜

■ショートシナリオ


担当:やなぎきいち

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月13日〜02月19日

リプレイ公開日:2005年02月20日

●オープニング

●場末の酒場で誘惑する年増。
 そこはドレスタットでは珍しくない、荒くれ者が好んで訪れる酒場の1つだった。
 小麦色の肌の蓮っ葉な彼女は、そんな荒くれ者たちと対等に渡り合う──言ってしまえば、海賊上がりの女性だった。
「よぅ、ロージィ」
「あたしにも一杯おくれ」
 小さな海賊団を率いていた彼女はロージィ・ローズと名乗っている。いかにも偽名だが、それはあまり褒められない過去を持つことを示していて、却って都合が良かった。
 ジプシーらしい露出度の高い服は視線を集めた。店主が一睨みして黙らせたが、彼女はそんな些細なことはどうでも良かった。汗をかくジョッキを指先でリズミカルに弾く。
 元相棒、現在は夫婦という関係の店主はカウンターに精悍すぎる肘を付き、ニヤリと笑いかける。
「仕事放ったらかして遊んでた割には、ずいぶん機嫌が悪ぃじゃねえか」
「煩いねっ! あんたには関係ないんだよっ」
 エールを一思いに飲み干し、ロージィは店主を無視して客の中へと歩いていった。

「儲け話があるんだけどねぇ、ひと口乗らないかい?」
 腕の立ちそうな冒険者風の男を選んでロージィは声を掛ける。
「どんな仕事なんだ?」
「なぁに、ちょっとダンジョンに『潜って』、邪魔な『人形』を退治して、お宝を持ってくる‥‥簡単な仕事だろう?」
 色気を滲ませて満面の笑みを浮かべる年増。
「魅力的な話だがなー、ロージィのその笑顔が信用できねぇんだよ」
「‥‥失礼な男だねっ!」

 ──ガッ!!

 男の足の甲へ踵を乗せ踏み躙る踊り子。不意を突いた一撃にうっすらと涙を浮かべ、男はロージィから離れていった。そんなやり取りが数回行われ──ロージィは呆れて髪を掻き上げた。
「まったく、腑抜けばっかりだね──ん? なんだい、あんた。興味あるのかい?」
 振り返ったロージィが話し掛けてきた。
 返答に困っていると、脈アリと見たのか諾と受け取ったのか、矢継ぎ早に口撃してきた。
「大丈夫、時間は取らせないよ? 片道二日、現地では余裕を見て二日。ちょっと凍えるかもしれないから、防寒対策は必要になるねぇ。ま、クラゲとウッドゴーレムを何とかするだけだから、問題ないだろ?」
 ニカッと笑うその表情は、獲物を捕えた肉食獣に似ていた。

●今回の参加者

 ea8218 深螺 藤咲(34歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea8357 サレナ・ヒュッケバイン(26歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea8417 石動 悠一郎(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8791 カヤ・ベルンシュタイン(26歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)
 ea8934 蒼 麗風(30歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9449 ジム・ヒギンズ(39歳・♂・ファイター・パラ・ノルマン王国)
 eb0370 レンティス・シルハーノ(33歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 eb1040 紫藤 要(35歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●場末の酒場の貧乏くじ?
「ふうむ、海の底の洞窟探検か‥‥ある意味冒険者らしい依頼かもしれん」
 まず興味を示したのは石動 悠一郎(ea8417)だった。確かにゴーレム退治をして宝を入手する──ある意味『冒険者』らしい依頼である。ターゲットが壊滅した海賊の宝だというのも、ドレスタットらしいと言えばそうだ。
『そうすると、馬次郎は留守番か。海の上では流石に連れてくわけにはな』
『馬次郎‥‥大きいのかしら?』
 つい母国語で零した石動の言葉に、紫藤 要(eb1040)が訊ねた。
『まあ、それなりに』
『なら一人でも大丈夫よ』
『‥‥何の話だ?』
 どうにもかみ合わない会話に、不思議そうに問い返す石動。
『お子さんよね?』
『‥‥馬次郎って馬ですよね?』
 深螺 藤咲(ea8218)が目を瞬きながら訊ねる。いかにも、と頷かれ、要も納得したようだ。
『道理で馬のような名前だと思ったわ』
「そろそろ、分かる言葉で喋ってもらえますか」
 にっこり──場違いなまでのドレスに身を包んだカヤ・ベルンシュタイン(ea8791)が微笑んだ。まったくだねぇ、と頷くロージィ‥‥張り合うように大きな胸を逸らす。
「私はサレナ・ヒュッケバインと言います。宜しくお願いしますね?」
 胸の張り合いには参加せず、サレナ・ヒュッケバイン(ea8357)は至極真面目にロージィに挨拶をする。呆気に取られていた蒼 麗風(ea8934)も、慌てて依頼人へ頭を下げた。
「礼儀正しいエルフの神聖騎士さんにお話聞いてやってきたです、よろしくお願いしますです」
 にこにこと微笑みを絶やさずに自己紹介する。
「ちゃんとお宝があると分かった以上、こらもう張り切るしかないよな! また宜しく頼むなロージィさん」
「宝探しの続きもあるけど、負けるのは嫌いだからね。ゴーレムめ、今度は負けないぞ!!」
 他のメンバーより気合いが入っているのは、レンティス・シルハーノ(eb0370)とジム・ヒギンズ(ea9449)の二人である。彼らは不本意ながら、ロージィと共にウッドゴーレムに煮え湯を飲まされた経歴を持ち、ロージィ同様にリベンジに燃えていた。
「可愛い女の子も多くて嬉しいぜ! いっちょ張り切っていくか!!」
 レンティス、リベンジでないところにも燃えているようである。
 レンティスは可愛い女の子たち──と、野郎が2人と年増が1人──を先導して、ドレスタットの酒場から出発した。


●小舟に乗ってえんやこら。
「ああ、ロージィさん。小さな空き樽を調達してくださいます? それから、クラゲ捕獲の為の網もお願いしますね」
「前回使った網があるよな? それ持ってこーぜ」
 当然のようなレンティスとカヤのセリフに、呆れたロージィが溜息を漏らした。依頼人の手に余るから『依頼』となるのである。例えば経費込みの報酬を提示されるギルドの依頼であれば、物資の調達といえども、自分で動くことをせずに初めから依頼人任せというのは『依頼を受けた自覚が足りない』と注意を受けるだろう。
 麗風が申し訳なさそうに小さくなりながら、進言した。
「でも、ドレスタットのエチゴヤさん網売ってなかったです。漁師さんが買い占めてしまうですかね?」
「あはは、わかったよ。お宝のためだ、小舟のついでに借りてくるさ。なぁに、ちょいと絞めれば‥‥」
 徒歩で一日半、二日目の午後に訪れた小さな漁村でロージィは2艘の小舟を借りていた。ついでに魚網も2つ、借り受ける。
 いつもどおりニコニコした麗風と体力自慢のレンティスがそれぞれの船に乗り、櫂(かい)を握った。
「頑張って漕ぎますですよ」
「こんなに何度も、漁師の修行が活きるとはな」
 漕ぎ手を交代しつつ、星を頼りに一晩中小舟を進めて、問題の入り江へ辿り着いた。
 冬の澄んだ空気の中、朝日を受けて海が輝く海に、藤咲が感嘆した。
「青い海、故郷とは違い、広くて綺麗です」
 しかし、煌めく波間に漂う太陽、もとい月。──もとい、有象無象のジェリーフィッシュ。
「こんなにいるとなんだかぞっとしますね‥‥」
「とりあえず、倒さないと泳げないであろう? っと、樽の改修は終了だ」
 譲り受けてきた小ぶりの樽、人数分には足りないが幾つか用意されたその全てに細工を施し終えた石動が大きく伸びをした。
「樽は水が入らないものだが、木製で浮きやすいので重りを付けてみた。それから、ロープを通せるようにしてみた」
 手を離してしまっても、ロープ沿いに浮き上がっていくだけなら、荷物がなくなることもないだろう。
「石動さん、ありがとうございます。ええと、武器に防具は外せませんよね。それから服と──」
 武器、防具、携帯品、換えの下着に服‥‥次々に樽に詰める藤咲に、ジムが不安な表情で尋ねる。
「そんなに詰めて、樽‥‥沈んだりしない?」
「まあ、大丈夫だろう。沈んだらロープで引き上げればいい」
 さて、荷物を樽に荷物を詰め終えると、波に乱反射する陽光が和らいでいた。
「さて、待っていてもジェリーフィッシュは減らないようですし、少し減らしましょうか」
 サレナが仲間たちを促した。
「じゃあ、まずは網だな」
 漁師の心得のあるレンティスが、網を投げた!! 前回来ていた漁師ほどの結果は出せなかったが、それでもかなりのジェリーフィッシュを捕獲!!
 網を引き寄せると、要にジム、サレナが中のジェリーフィッシュへ武器を振るう!!
 そして、改めて網を放り──そんなことを繰り返す。
 洞窟への入り口を確保するため、定位置で捕獲と退治を繰り返すレンティスの小舟とは別に、麗風と藤咲、石動、カヤ、依頼人が乗る小舟が周囲を周遊している。
「捕獲漏れは任せてください!!」
「──ソニックブーム!!」
 捕獲できなかったジェリーフィッシュへ、藤咲のスピアと石動のソニックブームが襲い掛かる!
 そして、小舟の反対方面を漂うクラゲへは、カヤのオーラショットが猛威を振るっていた。
「少しは動かないと、プロポーションの維持も大変ですから」
「あら、ごめんなさい」
 スピアがカヤを掠めたのは偶然だ、多分。
「次は向こうへ船を移動しますです。皆さん、よろしくお願いするですね」
 麗風がゆっくりと船を移動させ──半日の成果で、周囲に居るジェリーフィッシュの数は激減した。
「明日になったら、また増えているかもしれませんわ。サクッと潜ってしまいましょう」
「レンティスさん、先導をお願いします」
「任せとけ」
 可愛いお嬢さんたちのお願いにレンティスは先陣を切って冬の海に飛び込んだ。間をおかず、レンティスが端を持っていったロープをしっかり自分で掴んだジムと、荷物の入った樽を抱えた石動も海へ飛び込む。
「‥‥脱がないと、だめ、よね‥‥」
 要が覚悟を決めて、自分の服に手をかけた。女同士で、誰にも覗かれていないとはいえ、やはり脱ぐのは恥ずかしい──年頃の乙女である。
「当たり前だよ、沈みたくないだろ? って、あんた‥‥なかなか形がいいねぇ、恋人も喜ぶだろ」
「えええっ!?」
 突如話を振られたサレナ、耳まで真っ赤。恋人どころか、家に帰れば新婚家庭なのは、まだ皆へは内緒である。
 ロージィが加わったことでだんだんと、胸の大きさ比べになり、プロポーション自慢になり──一向に潜ってこない女性陣を迎えに来たジムへスピアが飛んだのは、まあ、不運だったとしか言えまい。

●激闘! ウッドゴーレム!!
 レンティスのランタンと石動の松明が、湿った洞窟内を温かに照らし出す。持ち込んだ服に着替えたものの、湿った肌には乾いた服も張り付くような気がしてしまう。
「‥‥依頼と宝の為とは言え‥‥あ、余り見ないでくださいね?」
 再び礼服に着替えたカヤの頬が赤く見えるのは、明かりのためだけではない──のかもしれない。
「洞窟内で分かってることは、さっき教えたのが全部だよ。他に何があるかわかんないから、警戒はしないといけないと思うけどね」
 二度目は負けない! と既に武器をしっかり構えているジム。
 しばらく進むと、積み上げられた木箱や樽の置いてあるスペースへ出た──ウッドゴーレムに遭遇した場所である。
「ええと、先にオーラパワーをかけておくですね」
「麗風さん、私もお願いできますか?」
 サレナが麗風へ、オーラパワーの付与を願い出た。あいにく、今回もモンスターに対する知識が豊富な人間はいなかった。調べることもせずに出てきてしまったため、ウッドゴーレムの能力は未知数である。
 相手の能力が未知数なら、せめて少しでも良い条件で戦い、可能性を上げておくべきだと考えたのだ。もちろん、麗風に断る理由などなかった。
「前衛の皆さんにも掛けさせてもらいますね。勝つのが、今回のお仕事だったですから」
 にこにこと微笑みながら1人ずつオーラパワーを付与し、戦闘態勢を整えると、ゆっくりと宝物へと歩き出した。
「気をつけてねっ」
 先導するジム。無論、周囲への警戒は怠らない。
 と、正面の木箱の陰から、ウッドゴーレムが立ち上がった!!
「この前は逃げるだけだったけど今回は決着をつけるぞ!!」
 ジムはフレイルを構え、ウッドゴーレムの懐へと飛び込んだ!! そのまま、勢い良く殴りつける!!
「少しでも威力を上げます! 炎よ、勇者に熱き加護を──バーニングソード!!」
「これがウッドゴーレム、また1つ勉強になりましたよッ!」
 藤咲からも魔法の支援を受けたサレナ、炎を纏ったメイスでスマッシュを放つ!!
「それにしても、丈夫ですね‥‥」
「接近戦のためにも油投げは禁止ですか──面倒ですねっ!!」
 左手をゴーレムへ伸ばし、半身を引いて弓引くような仕草をするカヤ。ピンクの光が少女を包み、矢をつがえるように伸ばされた人差し指と中指へ集約され──その光は、ゴーレムのひざ関節へ一直線に飛ぶ!!!! 
「今ですわ、カナメさん。ぶった斬っちゃってくださいっ!!」
 微笑みを絶やさぬまま、要は日本刀を振るう!! 同時に、背後へと回りこんでいた麗風が、メイスを振り上げる!
 日本刀の攻撃は、木製の相手にはいまいちダメージが通りにくいようであったが、しかし、3人の連携はゴーレムを転倒させることに成功した!!
「成功したですね!」
「ふふふ‥‥逆らうお人形は‥‥壊しちゃいますよ?」
「とりあえず、足だな」
 石動の一撃が、カヤの与えたダメージの残るひざ関節を完全に破壊!!
『────』
 見た目は大きく破壊されてきているが、無生物のウッドゴーレムは、何も言葉を発さない。表情を変えることも無い。
 何も変化のないまま、両の腕を振るう!! 吹き飛ぶ麗風とサレナ!!
「「きゃあっ!!」」
「あぶない!!」
 吹き飛ばされた麗風をジムが、サレナをレンティスが、抱きとめる!!
「可愛い子に手ぇあげるなんて、ちょっと許せることじゃねーぜ?」
 壁への激突を避けさせ、レンティスとジムは倒れるウッドゴーレムを見下ろす。
「それからな‥‥使いもしないお宝抱え込むんじゃねーよ!」
「今度は、おいらたちの勝ちだ!!」
 容赦の無い一撃は、ゴーレムの頭を、胴を、叩き潰した。

 ──そして、ウッドゴーレムはその活動を停止した。

●今度こそ、お宝ゲット?
「ほれ、可愛い女の子が傷でも残したら大変だろ?」
 レンティスが麗風とサレナにリカバーをかけ、治療していた。
 男は信用できないと拒んでいたサレナも、傷でも残したら──という一言で、好意に甘えることにしたようだ。
「これだけの番人だと財宝にも期待してしまいますね」
「どんなのが残ってるのかな、わくわくするぞ!!」
 藤咲は仲間たちの治療が終わるまで我慢できず、ジムが罠を探っている木箱を横から覗き込む。
「何か面白いものが入ってると良いのだが」
 石動も、様子を見ながら樽に触れる。
 空けた箱からは、様々なものが姿を現した。刺繍入りローブや、アメジストのペンダント、アーモンドブローチなどという装飾品から、シルバーダガー、シルバーアロー、血のこびりついたハルバードなどという武器も見つかった。
 海賊旗でも作ろうとしたのだろうか、ひどく手触りの良い紫の布などというものも出てきた。
「油断大敵です、取るもの取ったらさっさと出ちゃいましょう。ほら、急いでくださいねっ」
 ちゃっかりシードルの入った樽を確保したカヤが、仲間たちを急かした。
「お宝は逃げやしないよ、大丈夫さ」
 あっけらかんとロージィが笑った。その笑いを凍らせる、サレナの一言。
「で、この宝‥‥どうやって持ち帰りましょうか。あの小舟では、全部は乗りませんよね」
 そう、いくら2隻あるとはいえ、小舟は小舟、手漕ぎは手漕ぎ。荷物と人間でほとんど余裕のないあの小舟では、運べる量も限られている。
「これは譲れませんからね! 何のために来たんだか、分からなくなっちゃいます!!」
 小さな樽を抱え、カヤが必死に主張した。皆の視線を浴びて、ロージィは苦渋の決断を下す。
「‥‥お宝は逃げやしないって、あたしが言ったんだったね。価値のある、小さなお宝を持って行こう。欲張っても良いこたぁないよ」
 顔に書いてあるセリフと違う、というのは、流石に哀れで誰も突っ込めなかった。

 宝を引き上げると、砂浜で一夜を過ごす。冷え切った体を温めることも必要だった。
 要の用意した布は非常に重宝された。そして、その独特な思考も、歓迎されることになる。
「‥‥その魚は?」
「ジェリーフィッシュを捕まえたときに、網にかかっていたの。新鮮で美味しそうだったから」
 尋ねてきたジムへ、焚き火で焼いていた魚を差し出しながら、要が微笑んだ。魚の焼ける良い匂いが漂い、どこからか大きな音が聞こえた。
 真っ赤になってもじもじと恥ずかしそうにしているのは、金の髪のサレナだ。
「おいらは後でいいから、先に食べなよ」
 ジムが笑いながら焼き魚を差し出すと、サレナはますます赤くなった。
「ワインで体を暖めましょうです」
 麗風の差し出したワインは、石動が受け取る前にカヤが奪っていた。そして、優雅に口へ流し込む。
「ああ、美味しいお酒‥‥生き返ります」
「これはこれとして、後は改めて祝杯といきたいね」
「賛成です! 皆で、ご飯でも食べに行きましょう」
 焼き魚を食べたばかりの腹が、また、大きな音を立てた。
「き、騎士としてお腹が空くというのは当然のことなのです‥‥」
 真っ赤になったサレナに、ロージィが、皆が、大笑いだ。
「あっはっは!! じゃ、戻ったら酒場で宴会でもしようかねぇ!」

 宴会の代金が分け前から差っ引かれ、愕然とするのはまた後日の話である。