妖精さんと一緒☆

■ショートシナリオ


担当:やなぎきいち

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:0 G 39 C

参加人数:6人

サポート参加人数:3人

冒険期間:03月26日〜03月29日

リプレイ公開日:2007年04月13日

●オープニング

 エレメンタラーフェアリー。
 それはどこにでもいる妖精で、そして滅多にお目にかかれない妖精でもある。
 彼(女)らは総じて人目を嫌う傾向にあるからだ。

 しかし、例外はどこにでもあるもので‥‥稀に、冒険者がエレメンタラーフェアリーを連れていることがある。
 野生のものを手懐けたり強引に捕らえたりしたものではなく、卵の状態から愛情を持って接し育ててきた愛しむべきペットだ。
 その卵の出所はエチゴヤであることが多いようだが、国を超えて店を構えるエチゴヤに睨まれたくはないので、エチゴヤがどんな経路で卵を入手しているのかは伏せさせていただく。

 さて、そのエレメンタラーフェアリーを羨望の眼差しで見つめている一対の瞳があった。
「‥‥ああ、可愛いなあエレメンタラーフェアリー‥‥可愛いなぁ‥‥」
 あるときは半開きの扉の陰、あるときは壁の向こう。またあるときは机の下から、こっそりと覗いているのは一人の男。
 決して怪しくはない。ただ、彼はちょっと‥‥いかつい外見がコンプレックスなだけなのだ。
 決して怪しくはない。赤銅色の肌と体系ゆえにオーガに間違われることがあったりするけれども。
 決して怪しくはない。可愛いものを愛で、絵画として残すのが生きがいの絵描きというだけなのだ。
 うっとりと見つめる絵描きは、ちょっとばかり人間より大きかった。なぜなら彼はジャイアントだったから。
 大きな身体の、いかつい外見。彼が可愛いものを愛するのは、コンプレックスゆえなのかもしれない。
 初めてエレメンタラーフェアリーを見かけたときから、彼は妖精を描きたくて、描きたくて、仕方がなかった。
 ‥‥そうして、悩みに悩んだ彼は‥‥冒険者ギルドにひとつの依頼を掲示した。


 ──妖精さん、ついでに飼い主、求む。
 妖精さんの絵が描きたいので、モデルを探しています。
 素の妖精さんがみたいので、三日ばかり一緒に生活をさせてください。
 雪の積もった森で遊ぶもよし、料理作りにチャレンジするもよし、教会で歌うもよし。
 一緒に妖精さんと遊びたいという方もぜひ参加してください。


 ‥‥やはり、ちょっと怪しいかもしれない。

●今回の参加者

 ea4744 以心 伝助(34歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea8989 王 娘(18歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9114 フィニィ・フォルテン(23歳・♀・バード・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 ea9342 ユキ・ヤツシロ(16歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb5610 揚 白燕(30歳・♀・武道家・シフール・華仙教大国)
 ec0720 ミラン・アレテューズ(33歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)

●サポート参加者

シャリン・シャラン(eb3232)/ ウィルフレッド・オゥコナー(eb5324)/ ソフィーヤ・アレクサシェンコ(ec0910

●リプレイ本文


 ジャイアントの画家、グイードの思惑はどうやら第一段階は成功を収めたようだ。緊張した面持ちで待つ彼の前に、なんとあれほどまでに焦がれたエレメンタラーフェアリーが5匹も姿を現したのだから。──それも、炎・水・地・陽・月とそれぞれ別の属性だったのだから万々歳だ。
「なるほど、酒場でたまーに感じてた視線はこのグイードさんのだったんすね」
 愛でる気持ちに共感を抱き破顔する以心伝助(ea4744)が連れてきたのは、炎の属性の焔。尻尾のような伝助の髪に跨ってまじまじと巨人(少なくとも焔にとっては巨人だ)を眺める、属性のままに迸る好奇心を持つ雄の妖精である。同じく好奇心を抑えきれないのか、飼い主の何倍もの身長を誇るグイードの爪先から頭頂部までついーっと飛び、ついーっと降り、再びついーっと上り、つんつんと髪を引っ張ってみたりしているのは虹羽。
「しっふしふ〜☆ お招きありがとうだよ〜☆」
 そんな虹羽の行動はさらっと流して元気良く挨拶をしたのはフェアリーより一回り大きなシフールの揚白燕(eb5610)である。
「あまり‥‥大きさ、変わらない‥‥ん、だな‥‥」
「えへへ、だから本当に弟みたいなものなんだよね〜☆」『ね〜☆』
 嬉しそうな白燕。楽しそうな主人の雰囲気に触発されたのだろう、虹羽も語尾を真似てくるくると舞う。虹羽は風の属性で、全体が風の属性の色──緑の雰囲気だ。白燕も碧の髪に碧の瞳、羽までほんのり碧なものだから、本当に姉弟のように見えてしまう。
「フェイ、大人しくしていろ‥‥」
 青いストレートの髪を靡かせ、虹羽と共にくるくる舞い始めた水属性の妖精はフェイという名らしい。名前が悪かったか、とぽつり呟く飼い主は子猫のミトンに猫足のサンダル、猫耳のようなふわふわ帽子を被った‥‥それでも野に生きる猫のような孤高の雰囲気を失わぬ少女だ。
「‥‥猫も連れて行っていいだろうか?」
 自分の倍ほどもある大柄なグイードを見上げた王娘(ea8989)の腕に抱えられているのは、額に宝石のような輝きを抱く麗麗。万が一にも喰われぬようにとしっかり抱きしめた飼い主の腕からやる気なくぷらりと伸びた身体のさらに下で、黒く長いベルベットのような尻尾が水にたゆたう草のようにゆらりゆらりと揺れている。
「‥‥も、もちろん‥‥」
 しゃがみこんだグイードは潰さぬように指だけを伸ばし喉を撫でた。ゴロゴロと喉を鳴らす愛猫に、娘も警戒を緩める。
「はじめまして、グイード様。私は聖なる母セーラ様にお仕えするユキと申しますの」
 普段の怯えた雰囲気はどこかへ隠し、にこりと微笑んだユキ・ヤツシロ(ea9342)は、足元に擦り寄る白い子猫と頭の上に陣取った妖精を紹介する。
「この子が少し前から飼い始めた子でヴァイス、そしてこの子がお求めの妖精さん、月のエレメンタラーフェアリーのリリーです」『です』
 月光のように凛としたものを感じさせる眼差しで、おしゃまな妖精は飼い主を真似た。でも知能は普通の動物と同程度なので多分、意味は解っていない。
「リュミィ、絵を描いてもらえるんですって。ふふ、たくさんおめかしして可愛くしましょうね♪」『♪〜』
 まるで自分の一部のように常に傍らにいる相棒に、フィニィ・フォルテン(ea9114)はにこりと微笑んだ。色々な服を着せるのが好きなフィニィに育てられた陽の妖精リュミィはそれが楽しみにしているような素振りを見せる。今回も着ている服を合わせて12種類もの服を用意してきて、しかも妖精のおめかしのためだけに理美容用品を持ってきている素晴らしい親馬鹿っぷり。
「しかし、これだけたくさんいるとモデルを選ぶのも一苦労ではありませんか?」
 ミラン・アレテューズ(ec0720)は妖精たちを眺めてグイードに尋ねた。
「いや‥‥スケッチ、だけでも‥‥たくさん、し、し、て、おく‥‥」
 不器用に笑った顔がオーガそっくりで、つい手が霞刀に伸びてしまっていたのはここだけの話。


「リュミィ、いらっしゃい」
 手招きするフィニィ。豊かな金髪に控えめな陽光が反射する。
 まだ色濃く残る冬の残滓。その白い雪の上を、冬次郎がのたのたと走り、氷を見つけてはついーっと滑っていく。
「こら、駄目だぞ」
 追いかけて‥‥というより一人前に獲物と認識したのだろう、爪を立てて飛びかかろうとしたヴァイスに気付き、首を掴むミラン。暴れるほどに肉球が目に付き、グイードは木炭を投げ出しかけ、名残惜しそうに木片に肉球を描く。
「気持ち悪いよー」『よー』
「す、すまん‥‥」
 うええ、と白燕が渋面を浮かべた。リアルな肉球がびっしりと並んだ木片がそこら中に転がっていればそれも当然の反応かもしれない。というか、それだけ描きちらすほどに肉球がちらちら視界を掠めているともいえる。慌てて、描きかけだった白燕とミニ貴族服に着替えた虹羽の絵を羊皮紙に描き始める。描き始めたときはかまくらを作り始めた所だったはずだが、いつしか門番のスノーマンまで出来上がっていた。ちなみにスノーマンはミニミニチャイナを着ている。女の子らしい。
「娘さんも焔も、帰ってきやせんねぇ」
 娘はフェイと青空のランデブー。もとい、何かを見つけたらしく弾かれたように飛び出したフェイと、一緒に飛び出した焔を追いかけてフライングブルームで文字通り飛んで行った。伝助はグイードの手元を覗き込みながら気になっていたことを尋ねた。
「グイードさんは可愛らしいものがお好きなんすね。では、こういうのはお好きっすか?」
 とりだしたるはちま伝ちゃん。手裏剣「八握剣」に乗っかったニューバージョンだ。
「これ、は?」
「ちまという人形っす。冒険者の中でちょこっと流行ってるんすよ」
「可愛い、な‥‥でも、俺、き‥嫌われ、れても‥‥生きてる、もの、の方が‥‥暖かくて好きだ」
「なんとなく、わかります。私も‥‥一人ぽっちのとき、人形が大切なお友達でした。‥‥ちまも好きですけれど、友達だって言ってくださる皆さまと皆さまやリリーたちがいなければ‥‥ちまがいても、また‥‥一人ぽっちですもの‥‥」
 雪の下から顔を出す小さな花のように、未来を信じ、自分を信じて微笑むユキの手を、グイードは大きな手で握り締めぽろぽろと涙を零した。くまのぬいぐるみにもふもふっと抱きついていたリリーはグイードの豹変に目を瞬く。
「伝助も‥‥ユキも、お、俺が‥‥恐く、ないのか?」
「大切なのは外見じゃありやせんからね。ペットたちが怯えたりするのも、グイードさんがとても大きいというだけでやすし」
「グイードさんが優しい人なのは絵を見れば解る、とウィルフレッドが言っていましたよ」
 ミランが頷いた。余程優しい人でなければ世界をあんなふうに優しく受け取ることはできないのだね、と語っていた友。
「初対面の方が外見で判断するのは、相手の性格がわからない以上仕方のないことです‥‥けれど、本当の事は必ず伝わるものだと思います」
 そしてユキは小さくクスッと笑って、伝助を振り返った。
「それに、私たちには免疫がありますもの‥‥なんて言ったら怒られてしまうでしょうか」
「落ち込むと思いやすよ、あの人は」
 ひょいと肩を竦める。いかつい顔をした大きなちまを持つあの友人は、笑いながら背中に哀愁を漂わせるに違いない。
「そういえば、ミランさんはフェアリーたちを眺めているだけで良いんすか?」
「はい。眺めているだけでも楽しいですし、フロストフェアリーを思い出して懐かしくもなりますよ」
「ふ、フロストフェアリーを‥‥見たのか?」
「ええ、極楽鳥の吟遊詩人が見たいと言っていて、吹雪の中を探しに行ったのです。幻想的で美しくて‥‥他のフェアリーも見てみたいと思い、今回は伺ったのですよ」
 ロシアの地だけに棲むという、雪の妖精フロストフェアリー。羨望の眼差しを向けたグイードの肩を叩き、ロシアに住んでいればきっと会えますよとエールを送るミラン。
「これだけの種類の妖精を見られることの方が、素晴らしいことだと思いますけれど?」
 あれもこれもと画家として描きたいものが沢山あることは解るが、目の前のモデルたちを観察しそこねては本末転倒だとミランは冷静に注意を促した。
 フィニィは妖精の髪をブラシで優しく梳いていた。小さな十二単に合わせて髪形を変えるようだ。リュミィが時々渋面を浮かべるのは、妖精には大きすぎるブラシの毛が顔を撫でるからだろう。
「〜♪」『〜♪』
 楽しげな二人の姿に、リリーはぬいぐるみを離れてふわふわと誘われる。
「リリーさんも髪型を変えてみますか?」『か?』
 興味津々に覗き込んだリリーを手招いて、フィニィは癖のある月妖精の髪を梳く。お団子‥‥にはちょっと髪が短いので、伝助に似たポニーテール♪ 仕上げにリボンを結んで完成だ。
「ふふ、リリーさん、とても可愛らしく出来上がりましたよ」
 興津鏡を覗き込みくすぐったそうに笑うリリーと、見守るフィニィ。ぷうっと膨れたリュミィがリリーのリボンをぐいっと引っ張った。
「あ、あ、駄目ですよリュミィ! リリーさんも!」
「ちょっと妬いてしまいやしたね」
 リボンを巡る激しい攻防をのんびりと見守る伝助だが、ユキがその腕を引っ張った。
「で、伝助様‥‥」
「ん? どうしやしたか、ユキさ‥‥‥あっ!? こら、だめでやすよっ、焔!」『ほむらっ!』
「虹羽、やるならあたいのにしなさーいっ」『さーいっ』
 小さな手が指差す先で、二匹の少年妖精がバックパックを漁っていた。それは飼い主のものではなく、娘が置いていったバックパック。その中のカラフルな衣装に興味を示したようだ。主と遊覧飛行を楽しんでいたはずのフェイがぴゅーっと慌てて飛んできて、装飾された杖をうんしょっと抱え上げる。どうやら自分のものと認識しているようだ。
「焔、それはちょっと大きすぎやすよ。それに、女の子の服っすよ?」
「あ、あたいは無理! だってそれ、シフールサイズじゃないもの!」
 ちらっと視線を向けられて白燕がぶんぶんと首を振る。
「何でこっちを見るのだ! それは14歳以下の少女が着るものだろう!」
「ユキさんがきっとよくお似合いですよ」
 スルーされたボールをパスするミランとフィニィ。フェイントで攻撃を受けたユキは困惑して空を見上げた。
「持ってきているということは、娘姉さまが着るおつもりなのではないでしょうか‥‥?」
 つられて見上げた伝助の鍛えられた目には、箒に跨りほんのりと頬を緩めるレアな姿が映った。
「‥‥どうしたのだ?」
 騒ぎに気付いた娘が滑るように地面に降りてきた。
「これ、着る‥‥妖精たち、喜ぶ‥‥」
「何なら、麗しき薔薇も貸すが?」
 極楽鳥の吟遊詩人が記念にとくれた、不思議な薔薇。娘はそれを見なかったことにし‥‥薔薇を背負った焔とフェイが、魔法少女まじかる☆にゃんにゃんの背後でクロスした。

 三日間というのはとても短い。けれど、少なくともそれは依頼人グイードにとってとても充実した三日間であったようだ。
 聖書の朗読をするユキと、じっと聞いていられず子猫のヴァイスから逃げ回るリリーの姿(ユキは遊んでいるのだと言っていた)が描きとめられた羊皮紙、薔薇を背負う焔と薔薇を捕らえようとする虹羽の姿、うつらうつらしながら髪を梳かれるリュミィの姿、着替えに辟易して逃げるフェイの姿、麗麗と生死をかけたバトルを繰り広げる冬次郎の姿なども羊皮紙にスケッチされていた。
 今もなお木炭が羊皮紙の上を滑る音が静かに聞こえている。
 いつしか耳に馴染んだその音を聞きながら、ユキと白燕はせっせと料理を設える。この時期のロシアといえば、口にするもの全てが保存食といっても過言ではないほど──燻製や塩漬け、蜂蜜漬けなどがほとんどとなる。
「なんか、テント張ってる時と大差ない食事になりそうなんだよね〜。ああ娘君、鍋がぐらっとしたタイミングだよ」
「漉すのだろう、解っている」
 それは料理人として我慢ならない白燕、一手間どころか二手間も三、四がなくて五手間もかけた料理まで用意するつもりのようだ。ふりふりエプロンを用意した娘も、大きな鍋を抱えて白燕の片腕以上の働きをしてみせる。
 家庭料理ならばまだまだひけは取らぬが、いつしか弟子に追い抜かれたユキは微笑んで成長を見守る──どちらもまだまだ子供だけども。
「娘姉さま、そのエプロン──」
「う‥‥うるさい! これしか無いのだから仕方ないだろ!」
「え? あの‥‥良くお似合いです、と‥‥」
 真っ赤になった娘、普段よほどからかわれているのだろうか。かみつかんばかりの過剰反応に、思わずユキはびくっと身体を竦めた。
「いじめちゃ駄目だよ?」
「いじめてなどいないっ」
 面白い玩具を見つけた子供のようにキラーン☆ と目を煌めかせた白燕であるが、今はそれより料理が先。
 娘のとった出汁で蕎麦の実を煮る。一味違うカーシャになりそうだ。
「ユキ君も、こっちを掻き混ぜるの、頼んでもいい?」
「あ‥‥はい、わかりまあああリリー──っ!?」
 目の前で放物線を描く、白い粉。
「虹羽ーッッ!?」
 手伝おうとしたのか真似たかったのか、虹羽とリリーが協力して持ち上げた塩入りの瓶は見事に傾いていて、カーシャの中に白い小山を築いていた。
 二匹は空気を察し、厨房から逃げ出した!!
「おや、リリーちゃんに虹羽さん、遊びに来たっすか?」
 二匹はそれぞれ、ミランのサーコートと伝助のマフラーの陰に隠れた。フィニィと一緒に飾り付けを手伝っていたリュミィとフェイは頭隠して尻隠さず、バレバレな二匹を何事かと見守る。グイードが折った木炭を一欠けら握り、手も顔も真っ黒にしながら木片に何かを書いていた焔はふわりと浮かんで、サーコートに隠れたリリーのクレリックローブをくいくいと引っ張った。
「虹羽とリリーが来ただろう‥‥!」『ろー!!』
「どうかしたのか、娘?」
「料理に塩をひっくり返して、逃げたんだ‥‥!」
「あたいは作り直せばいいって言ったんだねぇ〜」
 ついてきた白燕は肩を竦める。ユキはリリーにとりあえず謝らせようと考えたようだが‥‥ミランの言葉は予想を裏切るものだった。
「いや、そのふりふりエプロンがだな」
 娘の何がぷちっと切れた。ぷうっと頬を膨らませた娘の瞳が深紅に染まっている。
「もう、皆してそんなことばっかり! 似合ってるからいいじゃないかー! それにね、料理は愛情なんだよっ」
「ミランさん、似合っていないとは一言も言ってないっすよ?」
「ええ、可愛らしいですよ。ねえ、リュミィ?」『りゅみぃ?』
 まるで祭りのような騒ぎだが、依頼人のグイードは楽しそうに笑う。
 彼の手元の羊皮紙には、そんな一場面もしっかり描き残されていた。

 そして、少し未来。妖精たちのお茶会と銘打たれた名画が生まれるのだが──それはまた、別のお話。

●ピンナップ

以心 伝助(ea4744


PCパーティピンナップ
Illusted by 白亜