雛ちゃんのお勉強
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■ショートシナリオ
担当:やなぎきいち
対応レベル:フリーlv
難易度:やや易
成功報酬:0 G 62 C
参加人数:8人
サポート参加人数:7人
冒険期間:06月21日〜06月28日
リプレイ公開日:2005年06月29日
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●オープニング
6月。それは恋人をもつ女性たちの憧れの季節。
そう、ジューンブライド、6月の花嫁。古来より6月の花嫁は幸福になれるという言い伝えがあるのだ。
恋人のいない女性たちにとっても、それは憧れの季節であった。
花も恥じらう15歳、花屋の娘ドナ・ウェイスもジューンブライドに憧れる女性の一人である。
「‥‥このブーケ、今月何個目かしら‥‥ああん、羨ましいっ!!」
身を捩りながらも作り上げるのはピンクの花のブーケ。純白のドレスを身に纏った花嫁が放ったブーケが綺麗な弧を描き自分の手に収まる。そして喜ぶドナを優しく抱きしめる──‥‥
「『ぶぅけ』ってなぁに?」
幸せな妄想を木っ端微塵に打ち砕いたのは時期の遅いデイジーをじっと眺めていたジャパン人の少女、雛菊である。
「この花束をね、ブーケっていうの。花嫁さんが持つのよ」
「花嫁さんは、花束なんて持たないの〜。三々九度に邪魔でしょお?」
「サンサンクド? サンサンクドって何?」
「えへ、雛、難しいことわかんないのね」
首を傾げたドナを脱力させる雛菊。まあ齢7歳の雛菊に結婚式の作法などわかるはずもない。
「でも、やっぱり憧れるわね、ジューンブライドって‥‥」
ほんのりと頬を桜色に染め、うっとりと目を細めるドナ。その前に相手を探せというツッコミはもちろん厳禁なのだろう。
そして、今度は雛菊が首を傾げる番だった。
「じゅーんぶらいどって何?」
「6月の花嫁のことをそういうのよ。6月に結婚した女性は幸せになるっていう言い伝えがあるの」
「そんなの、変なの!! 梅雨の6月に結婚式なんてやったら、白無垢が泥だらけになっちゃうの〜! きっと不幸なの!!」
梅雨はノルマンにはない、ゆえにドナには何のことなのかさっぱりである。
何とか判ったことは、6月の結婚式を特別視する風習がジャパンにはないらしいこと、そして雛菊は1度しか結婚式を見たことがないということである。
それもジャパン式の結婚式、ノルマンのそれとは全く違うものである。
「あのね、雛ちゃん。ノルマンの結婚式はね──」
ドナは何とか雛菊にジューンブライドとノルマンの結婚式について教えようとしたのだが、中途半端なジャパン式結婚式の知識があるため巧くいかない。
「話すよりも見せた方が早いわよねっ。リュナ、手伝ってちょうだいっ♪」
ドナ・ウェイスが友人のギルド員リュナーティア・アイヴァンを頼ったとしても、誰もそれを非難できないだろう。
そして、スズメの涙程の金額で、雛菊にノルマン式結婚式を見せてやってほしいという、なんとも珍妙な依頼が掲示されたのだった。
●リプレイ本文
●パリでの準備〜初日・2日目〜
『雛ちゃん、元気そうねっ』
宮崎 桜花(eb1052)は、ちょこんと椅子に腰掛けて、花嫁の小さな人形を持ってきたリューヌ・プランタンと話していた雛菊へ駆け寄った。そして、そのぷっくりとした頬へ頬擦りをする。
『いやあんなの〜!』
嫌だと喚きながらも大好きな桜花の頬擦りに嬉しそうな雛菊、自分から頬を擦り付けている。
と、反対側の頬へ男性の手が触れた。
『雛菊、元気にしていたか? あれから転びまくってないか?』
『大丈夫なの〜、毎日ちょっとしか転んでないのよ?』
きゅっと小さく柔らかな手が頬に触れた手を握る。小さな雛菊の自慢気な笑顔に、双海 一刃(ea3947)は凍てついた表情を僅かに綻ばせた。
『そうか‥‥雛菊は偉いな』
『えへへ〜。一刃お兄ちゃんも大好きっ』
頭を撫でられ、喜び抱きつく雛菊を抱えながら伝えなければならない言葉を飲み込む一刃。
隠し通す気はないが、今言うことでもないか‥‥と、しばらく胸の内へ封じることにしたようだ。
「ふむ、ジューンブライドねえ‥‥やっぱ、あこがれるモンなの?」
「‥‥良い響きだよねぇ」
よく分からないんだがな、とソウジ・クガヤマ(ea0745)は率先して花嫁役に立候補したローサ・アルヴィート(ea5766)へ視線を投げ、恍惚とするローサに苦笑した。
「結婚式ですか。私もいつかは‥‥」
その隣では、想い人との結婚式を脳裏に思い描き頬を染める年齢不詳のエルフ、淋 麗(ea7509)。ジューンブライドに興味がなさそうなのはウィル・ウィム(ea1924)と挙式の打ち合わせに余念のないシャルロッテ・ブルームハルト(ea5180)くらいである。
──答えはどうやら、聞くまでもないようだ。
「雛菊さん、一緒にウェディングドレスを用意しに行きませんか?」
ローサと共に立ち上がったフィニィ・フォルテン(ea9114)が雛菊を誘う。どこか退屈そうに、それでも律儀に『新婦』へと付き添うソウジも含め三人で古着屋へ向かい、ウェディングドレスを貸してもらえないか交渉するつもりのようだ。
「うぇでぃんぐどれす? それってなあに?」
「花嫁さんが着る衣装のことですよ」
「雛、さっき教えてもらったのね。ジャパンのと違うのよ♪ 白無垢じゃないのー」
しろ‥‥? 聞きなれない言葉にフィニィが首を傾げると、慌てて桜花が取り繕った。
「雛ちゃんは物知りね〜。それを、ノルマンではウェディングドレス、っていうのよ」
「ふぅーん?」
名前には興味のなさそうな雛菊。とりあえず、本物を見せてみようと二人は雛菊を連れ出した。もちろん、通訳の桜花も一緒である。
『あの子と仲良くしてあげて下さいね』
通りすがりにシルバー・ストームが小さく呟き雛菊の耳へ入れたが、悪意なき少女には何のことだか分からなかったようである。
そして古着屋で無事にウェディングドレスを借り受け──とはいっても、汚したり破損したりした場合は買い受けると念書をとられたが──なんとか体裁を整えることができそうだった。
『雛菊は俺の馬に乗ればいい。歩くのも疲れるからな』
まさか、そこかしこで転ばれては面倒だとも言えず、喜ぶ雛菊を一刃が愛馬に乗せるのを待ち、教会目指して出発と相成った。
●教会のある村で〜4日目・5日目〜
「使っても構わないそうですよ」
ウィルが教会の司祭に教会の使用許可をもらい、また神父の役目を務めることを了承してもらったことを仲間たちへ報告した。
模擬挙式の新郎新婦は結婚するわけではない。果たす気のない誓いは神への冒涜であるため、司祭としては許可したくなかっただろうが、異国からの小さな客人へジューンブライドを見せたいというウィルたちの真摯な願いに快く了承してくれたのだった。
「では、張り切ってお掃除をしましょうか」
「はーいなのー。雛も、お掃除頑張るー」
仮にも教会、決して汚れているわけではないが‥‥丁寧に磨き上げ、模擬挙式を成功させ、小さな雛菊を喜ばせたいという想いは全員に共通していた。
床や壁を丁寧に水拭きし、庭の掃除をし、雑草をむしり、拭いた床を雛菊が歩いた足跡を消し、結婚式の会場としてよりいっそう胸を張れる教会へと仕立ててゆく。
──そんな中。
「ウィルさん、どうかされましたか?」
教会の裏手、日の当たらない木陰に隠れるように佇(たたず)むウィルへシャルロッテが声を掛けた。
「見つかってしまいましたね」
どこか照れくさそうに笑うウィル。その言葉はやはり身を潜めていたことを暗示していた。
「こんなところで何を?」
「式の次第確認と、式口上の練習をしていたんですよ。練習が足りないと緊張してしまいますし、模擬挙式といえども失敗はできませんしね」
もちろんその腕には普段から愛用している聖書をしっかりと抱いている。
式に備えるためでもあり、練習するためでもあり、自分を落ち着かせるためでもあった。
それを聞き、シャルロッテは安心させるようににっこりと微笑んだ。
「色々と難しく考えると、それこそ緊張してしまいますよ? 場数を踏めば慣れるものですし、それこそ『模擬』挙式なのですから、練習のつもりで気楽にしてみてはいかがですか?」
考えすぎて緊張し、そして失敗してしまったのでは、折角練習した実力も出し切れない。
「それもそうですね」
ウィルも小さく微笑みを返した。
「でも、もう少し練習させてください。掃除や準備を任せきりにして申し訳ないですけれど‥‥」
あまり根を詰めすぎないようにしてくださいね、と一言だけを残し、シャルロッテはその場を後にしたのだった。
●いざ、偽りのジューンブライド! 〜6日目・1〜
その日は狙ったかのように良く晴れた一日だった。朝晩は冷え込むものの、初夏の陽気は心地よく肌を焼く。
新郎役ソウジは礼服に着替えながらも空を見上げてボヤいた。
「結婚式ねえ、いまいちピンとこねえな」
ローサに振り回されるように新郎に選ばれたソウジ。もちろん、新郎役を行うことは悪い気もしないのだけれど‥‥と、小さな溜息を一つ。
──カツーン‥‥
溜息に誘われるように、アーモンド・ブローチが床へと滑り落ちた。ソウジの目が花を模(かたど)ったブローチの上へと落ちる。
ある少女との思い出が頭を巡り‥‥
‥‥そして何事もなかったかのようにブローチを拾い上げ、思い出したように着替えを再開した。
「ソーウジっ。どう、似合う? 綺麗? 可愛い?」
真っ白なウェディングドレスを身に纏い、ローサがソウジへ見せびらかすようにくるりとその場で一回転。
「‥‥‥良いから褒めとけっ!」
返事を待たずにポコンッ、と軽く足を蹴るローサ。
「その格好なら似合うかもな。‥‥頭が寂しいんだよ、見てて」
真珠のティアラをそっと、ローサの頭上へ置いた。やっぱり似合うな、と素直に頷かれ、ローサは思わず頬を染めた。
「さて、そろそろ行くか。雛菊が待ちくたびれちまうもんな」
「そうだね」
父親役はいない。ローサはソウジの腕にそっと腕を絡ませ、教会へと向かった。
教会の外では、ヴェールガールの役目を与えられた雛菊がフィニィやローサ、桜花に見立てられたドレスを身に纏って、一刃と共にローサを待っていた。
「ヴェール持ち頑張ってね、雛ちゃん」
「うん、雛、がんばるのー!」
目新しい役目を与えられ、雛菊はジャパン式結婚式のことなど頭から消し飛んでしまっているようだ。
きゅるん♪ と目を輝かせ、ヴェールの裾をしっかりと握る雛菊。
ヴェールは外れやすいように細工をしたものの、どこか不安を拭い去れない一刃。それでも『頑張れよ』と雛菊を撫でた。
ジャパン式結婚式へ近付けるため、ジーザス教式結婚式では見られない儀典官を務めることにした淋は、一刃からの合図で新郎新婦の準備が整ったことを知る。
「フィニィさん、お願いします」
会釈を送ると、花のように結われた淋の髪が涼やかに揺れた。
聖歌隊の予定だったものの、なにぶん人手が足りない。フィニィは教会の小ぶりのパイプオルガンに手を掛けた。
●新郎新婦、入場──〜6日目・2〜
暖かで、重厚で。そして神聖な音色が礼拝堂を満たす。
そして、その音色に導かれるように新郎ソウジが姿を現した。ゆっくりと、ゆっくりと、曲に乗せてウィルの前まで進み出、姿勢を正した。
止まることなく奏でられるパイプオルガンから、止め処なく音色が溢れ出す。
少し間をおき、何故か父親役を押し付けられた一刃にエスコートされ、にこにことヴェールを持つ雛菊と共に、新婦ローサがバージンロードをゆっくりと進む。
──にこにこと微笑んでいた雛菊の表情が次第に険しくなってきたが、誰も気付かない。
「きゃっ!」
「えええっ!?」
雛菊、ウェディングドレスと自分のドレスの裾をまとめて踏み、盛大にすっ転んだ!! 当然、ローサも道連れだ!!
『『危ない!!』』
反射的に飛び出したのは桜花! 床に奪われる前に雛菊を抱きとめた!!
「大丈夫ですか?」
シャルロッテから投げられた言葉は、雛菊だけではなく、一刃に支えられたローサへも向けられた言葉だった。
「もちろん大丈夫よ。ありがと、一刃。危うく買い取る羽目になるところだったわ‥‥」
「雛、桜花お姉ちゃんに助けてもらったのー」
「お怪我もなくて何よりです〜。では、結婚式の方を続けましょうか」
早々にアクシデントに見舞われてしまったが、淋の結婚式への情熱はそんなことでは削がれない。
むしろ『ウィルさんの緊張が解けて、ちょうど良かったです‥‥』と事態を歓迎するほどの前向きさだったのは誰も知らない。
●限りある永遠への誓い〜6日目・3〜
ウィルが聖書を朗読し、ジーザスへ祈りを捧げると、新郎役ソウジと新婦役ローサが僅かに緊張の色を浮かべた。
「ソウジさん、あなたはこの女性と結婚し、夫婦となろうとしております。健やかなる時も、病める時も、この人を愛し、この人を敬い、この人を慰め、この人を助け、その命の限り‥‥かたく節操を守り、共に生きることを誓いますか?」
「はい、誓います」
神父役ウィルのストールは、本来ならばジーザスのシンボルが刺繍された聖餐式用の服装の1つであり、ジーザスのくびきの記しであり、ジーザスの為に働く者の姿であって、不死と希望のシンボルとなるものなのだが‥‥雛菊の目には袈裟にしか映らない。
いや、淋がジャパンの雰囲気をかもし出すために袈裟を貸したのだから、見間違いでもなんでもないのだが。
少々違和感を覚えながらも誓いを口にするソウジに微笑みを向け、今度はローサへと問いかける。
「‥‥かたく節操を守り、共に生きることを誓いますか?」
ソウジが恋人であったならどんなに幸せだろう。しかし、ローサには残念ながら恋人はいない。
せめて雰囲気を堪能しようと教会の空気に身を浸しながら、ローサはウィルに答えた。
「はい、誓います」
「では、指輪の交換を」
永遠の愛を誓う男女の姿が刻まれた『誓いの指輪』がお互いの薬指へとはめられる。銀色の輝きはフィニィが提供したものだ。
そして、神の前に愛を誓うキスのためのヴェールオープンだ。ソウジがヴェールに手を掛け、ゆっくりと持ち上げ──響き渡る雛菊の声!!
「ダメなのっ!! 角隠し取ったら、ローサお姉ちゃんが鬼になっちゃうのねっ!!」
「あの、雛菊さん‥‥ヴェールですからね? それに、角隠しを外しても鬼にはなりませんよ」
淋がそっと宥めるが、雛菊は首を横に振るばかり。
「あー、いいよいいよ、ヴェールしたままで。そしたらソウジ君だって気が楽だろうし」
ローサは軽やかに笑い、ソウジを見た。ソウジも苦笑しながら頷く。
二人がそれで良いと言うのなら、淋もそれ以上言う気はないようだ。
マリアヴェール越しに、照れを押し隠したソウジとローサの唇が、そっと、重なった。
「二人の今後にジーザスの惜しみない祝福がありますように」
ウィルの言葉に、シャルロッテが小さく十字を切った。
そして、二人の署名。ゲルマン語とスペイン語という一風変わった署名がなされる間、フィニィをはじめ、参列者が声を合わせて賛美歌を送る。
♪二つの川が 交わりて
一つの流れ 生まれ行く
引き合わせしは 御神の奇跡
流れし先に 幸よあれ
御前に立ちて 誓い合う
此の先二つ 離れぬと
其の道行きを 御光照らし
永久の流れと 成し給え♪
ある仮面の吟遊詩人に教わった『聖句を盛り込む事と、誰でも歌い易い様に音域を広げ過ぎない事』という賛美歌の基本を踏まえ、フィニィが自ら作った賛美歌である。
「これが『じゅーんぶらいど』なの〜? 雛、よくわかんない」
「良い、雛ちゃん、ヨーロッパでは昔3,4,5月は結婚が禁止されていたの。6月には解禁になるから一斉に結婚式を挙げたのよ。それがジューンブライドの由来の一つね。今は、6月に結婚した花嫁は幸せになれるって言われているのよ」
首をかしげた雛菊へ、こっそりと桜花が囁いた。
●明日へと繋がる空〜6日目・4〜
そして、教会から出ると‥‥模擬挙式と言いつつ居並ぶ女性陣はどこかみなぎる期待を隠し切れない。
「じゃあ、いくよっ。幸せのお裾分けっ!」
高く放られたブーケが弧を描き‥‥一歩離れて控えていた淋の手の中へ、ぽん、と落ちた。
「‥‥結婚‥‥私が結婚‥‥ジョウさんと‥‥」
ぼふっと赤面する淋。あの人と挙式が出来る日が本当にくるのだろうか──来ると信じてもいいのだろうか。
「‥‥‥」
手の中のブーケをしばらく見つめた淋は、滲む涙に瞳を閉じ、そっとブーケを抱きしめた。
ブーケに興味のなかった雛菊は、一歩はなれて一刃とその光景を眺めていた。
そして一刃は、言えなかった言葉を雛菊へ告げる決心をしたようだった。
『あのな、雛菊‥‥キャメロットの婚約者からシフール便が飛んできてな。鷹を飼い始めたから見せたいそうだ。‥‥要は早く帰ってこいと言いたいらしい。しばらく会えないが、元気で頑張れよ』
『一刃お兄ちゃん‥‥雛、ヤなのー!!』
大きな瞳が涙で揺れる。
しがみつく雛菊を撫で、ジャパン語で優しく囁いた。
『今日はずっと一緒にいるさ。それに、生きていればまた会えるから、な?』
『‥‥じゃあ、雛、一緒に寝るの〜。それでね、兄さまからもらった内緒のお薬もあげる。だから、また遊んでくれる〜??』
じっと見つめてくる雛菊へ、約束すると微笑んで、一刃は雛菊を抱き上げた。
「そういえば‥‥結婚前にウェディングドレスを着ると、婚期が遅れるとか‥‥言いませんか?」
思い出したようにウィルが漏らした一言に目を見開くローサ。
「まさか皆、知ってたの!?」
「‥‥‥」
視線を逸らすシャルロッテ、淋、桜花──ローサはヴェールを毟り取った!!
「どうせ、どうせ私は嫁き遅れだよーっ!!」
どこか悲痛な叫び声は、抜けるように青い空へ吸い込まれていくのだった。