雛ちゃんと小さなお人形

■ショートシナリオ


担当:やなぎきいち

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:4

参加人数:8人

サポート参加人数:5人

冒険期間:08月31日〜09月03日

リプレイ公開日:2005年09月12日

●オープニング

●雛ちゃんとリュナさんとお人形をもったジャパン人
 ジャパンの忍者・雛菊は今日もパリを散策中です。
「雛ちゃん、お仕事はしないんですか?」
「雛、今お仕事ないなのよー」
 嬉しそうにぴょこん、と跳ねる雛ちゃん。お仕事も嫌いじゃないけれど、まだまだ遊ぶ方が好きなご様子?
 エルフのギルド員リュナーティア・アイヴァンさんは、雛ちゃんが冒険者ではないことを知っています。
 雛ちゃんがなんで冒険者ギルドに来るか‥‥それは、ジャパン人と出会うためです。
 ノルマンはその成り立ちから比較的多くのジャパン人が見られます。
 けれど、やはりジャパン人が目立って多いのは冒険者ギルドと、最強と噂されるウェイトレス──何が最強なのか不明ですが──とともに冒険者に愛されている酒場シャンゼリゼでしょう。
 雛ちゃんは酒場に行く勇気がないようで、冒険者ギルドの建物内を、荒れくれ者たちの足元を、とてとてぽてぽて時々ころんと歩き回っているのです。
 さて、そんな雛ちゃん。今日はあるものを見つけてしまいました。
 それは、手のひらサイズの小さなお人形でした。
 木綿の体に羊毛が詰まっているのでしょう、まぁるく膨らんで柔らかそう。顔は濃い色の太い糸で刺繍されているようです。
『‥‥可愛いの〜‥』
 目をきらきらと輝かせ手を伸ばすと、そのお人形を持っていたお人形とよく似た顔をした冒険者にその手をやんわりと止められてしまいました。
『これは駄目だよ〜。お嬢ちゃんも、欲しかったら自分で‥‥』
『お嬢ちゃんじゃないのー、雛は雛なのよぅ』
『雛ちゃんかー、ごめんごめん。じゃあ雛ちゃん、自分で作ってごらん? 雛ちゃんとそっくりのお人形、きっと可愛いよ』
 人形の手でなでなでされ、雛ちゃんはすっかりその気になってしまいました。
「雛も作るー!!」
 手足を大きく伸ばし大の字に飛び跳ねた雛ちゃん。
 それを見ていたリュナさんは、お友達のドナ・ウェイスさんにこっそりと材料の入手をお願いしたのでした。

●今回の参加者

 ea2816 オイフェミア・シルバーブルーメ(42歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea3665 青 龍華(30歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea5066 フェリーナ・フェタ(24歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・ロシア王国)
 ea6337 ユリア・ミフィーラル(30歳・♀・バード・人間・ノルマン王国)
 ea8357 サレナ・ヒュッケバイン(26歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea8989 王 娘(18歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 eb0013 ヴェレナ・サークス(21歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb0648 テンペル・タットル(21歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

ヴィグ・カノス(ea0294)/ ガゼルフ・ファーゴット(ea3285)/ アルビカンス・アーエール(ea5415)/ ユウ・ジャミル(ea5534)/ セフィナ・プランティエ(ea8539

●リプレイ本文

●雛菊「お兄ちゃんとお姉ちゃんは、だぁれ?」
 ギルドの隅に用意された椅子に腰掛け、床に着かない足をぷらりぷらりとさせているのはジャパンの忍者、雛菊ちゃんです。今日は、彼女の‥‥まあ一言で言ってしまうと遊び相手になってくださいという、ギルド員リュナーティア・アイヴァンさんからのお願いで何人かの冒険者が集まったようです。
「私はサレナ・ヒュッケバイン、騎士をしております。今日は宜しくお願いしますね」
 最愛の夫アルビカンスに送られたサレナ・ヒュッケバイン(ea8357)さんにご挨拶され、雛ちゃんはぴょこんと椅子から飛び降りました。そのまま床に躓いてころり──と転がりかけたところを、ユリア・ミフィーラル(ea6337)さんが抱きとめました。
「大丈夫? あたしはユリア、よろしくねっ」
「ありがとなのっ。雛はね、雛菊っていうのよ?」
「はじめまして、雛ちゃん。フェリーナ・フェタだよ。よろしくね?」
「ヴェレナだ、宜しく」
「サレナお姉ちゃんと、ユリアお姉ちゃんと、リーナお姉ちゃんと、ヴェレナお姉ちゃん? 雛はね、雛菊ってゆーの、よろしくなの〜」
「お兄ちゃんと呼ばれた方が嬉しい」
 無表情ながら片手をしゅた、と挙げたヴェレナ・サークス(eb0013)さんを真似て、ユリアさんの腕の中でしゅたたっと両手をあげ、元気良くご挨拶です。フェリーナ・フェタ(ea5066)さんは元気な雛ちゃんの頭を撫でました。そんなフェリーナさんの後ろでは、王娘(ea8989)さんがぶつぶつと呟いています。
「なぜ私がこんな‥‥」
 ちょっと不貞腐れている娘さんはお友達のフェリーナさんに引っ張って来られたようです。あまり乗り気ではなさそうなのはオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)さんも同じ。
「冒険者ギルドも暇なものね‥‥忍者のガキのお守りとは」
 まあつきあってやるわ、とどことなくやる気がない様子ですが、雛ちゃんはオイフェミアさんの足にしがみ付き、きゅるんと円らな瞳で見上げます。
「オイフェミアお姉ちゃんは、また雛と遊んでくれるのね〜? 雛、大好きー」
 スラング風の言葉はまだ聞き分けられない雛ちゃん、つきあってやるという都合の良いところしか聞こえていないみたいです。
 かわいい子がいっぱいね、うふふふ‥‥幸せそうな青龍華(ea3665)さんは、けれど3人のハーフエルフに不安を隠せません。なぜなら、耳を隠していないハーフエルフがいるからです。雛ちゃんはハーフエルフがとても嫌いですから、気付かれてしまったらきっと大騒ぎになってしまいます!!
「人形って作った事ないんだよね〜上手く作れるかなぁ‥‥」
 楽しそうなテンペル・タットル(eb0648)さんの長い長い髪を撫でながら、そっと耳を隠してあげるのでした。これでどこまで隠せるか判りませんが、やらないよりはずっと良いでしょう。ちょっと窮屈な思いをさせてしまいますが、髪型ひとつで皆が楽しめるなら、それに越したことはありませんものね。
 フードをかぶったままの娘さんにちらっと視線を送られたヴェレナさんも、ふむと頷いて耳が目立たないようにこそりと隠したのでした。
「それじゃ、行きましょうか」
「「「はーい♪」」」
 花屋の一人娘のドナ・ウェイスさんに連れられて、右の手をサレナさんに、左の手をフェリーナさんにそれぞれ繋がれた雛ちゃんと一緒にドナさんのお花屋さんまで出発です♪


●雛菊「お人形を作るなのよ〜」
 ドナさんと一緒にガゼルフ・ファーゴットさんとヴィグ・カノスさんが頑張ってくれたお陰で、材料は充分に集まりました。予定よりちょっと良い素材なのは、ガゼルフさんが一生懸命値引き交渉をしてくれたからです。
「おぉ〜! ガゼルフさんどうもありがとー!!」
 テンペルさんは元気良くお友達に感謝しました。ユリアさんもヴィグさんから材料をしっかりと受け取ってありがとうと言いました。ヴィグさんの見つけた材料なら、何とかなるかもしれません。何が? ‥‥それは後でのお楽しみ♪
「どんな人形をつくるかは考えて来た?」
 しゅるっと手際良くエチゴヤエプロンを着けたフェリーナさんの言葉に、もちろんと皆が元気に頷きます。手のひらサイズのお人形は一部の冒険者の間で密かな人気を誇っているようで、それぞれ自分の思い描く確固としたイメージがあったようです。そして、フェリーナさんとドナさんに教えられながら、胴体の右・左、腕、足、頭をそれぞれ前面と背面の分で切り取っていきます。
「うーん‥‥料理は得意なんだけど、そう言えば裁縫はあんまりやった事なかったね‥‥」
 余り布を貰ったユリアさんは、まず一度練習してみるつもりのようです。逆に娘さんは失敗しないようにゆっくりと丁寧に丁寧に形を考えながら切り取っていきます。
「ふにゅ‥‥」
「雛ちゃん、頑張って。頑張らないと『ひなちゃん』が寂しがるわよ?」
 細やかな作業に早くも挫折気味な雛ちゃんは龍華さんに応援されたり時々手伝ってもらったりしながら意外に器用な手つきを見せたりしています。
「っつ‥‥‥」
「大丈夫? っつ〜」
 娘さんの指にぷっつりと浮かんだ赤い珠は、これで何個目でしょう。心配顔で覗き込むテンペルさんもぷつっと針を指にさしてしまいました。
「血塗れの人形もシュールで良いかもしれないな」
 ボソッと言ったヴェレナさんの言葉に、二人は慌てて指を舐めます。せっかくのお人形が血塗れになってしまっては全然かわいくありませんものね。
 あまりの必死さに、冗談だと言えなくなってしまったヴェレナさん。けれど無表情な彼は、きっと自分が冗談を言うのに向いていないなんて‥‥そんなこと気付いていないのでしょう。
「お裁縫ってね、一針一針、想いを込めて縫うんだよ」
「む‥‥了解した」
 結果的に皆が気をつけるようになったので、ヴェレナさんも本意ではなくとも、それなりに満足のようですけれど。
 そうして、1人を除いては一生懸命ちまっこいお人形を作っているうちに1日目のお日様は沈んだのです。


●雛菊「雛、もうちょっと頑張るなのー」
 2日目も丸いお日様が昇りました。ちまっこいお人形はいつしか皆に『ちま』と呼ばれるようになったようです‥‥長いですものね。
 さて、2日目も中盤に差し掛かると、ちま作りもペースにばらつきが出てきました。
「想いを力に──オーラエリベイション!!」
 気合一献、ピンクの輝きに身を包んだのは龍華さんです! びっくりする皆を尻目に気合いを込めてちま足を縫います!! その甲斐あって、とーぅっ!! と今にも飛び蹴りをかましそうな元気な右足が出来ました!
「‥‥ふう、先は長いわね」
 ぐいっと汗を拭う仕種をした龍華さんですが、皆の指導をしてペースを落としているものの作業は一番進んでいるエチゴヤのお姉さん‥‥ではなくフェリーナさんと同じくらい進んでいます。顔さえ刺繍すればほとんど出来上がりです!
「もう、イラつくわね! 何で巧くいかないのよ!」
 オイフェミアさんがとうとう爆発しました! 隣に居た雛ちゃんは目を真ん丸くして驚いてしまいました・
「‥‥ふぇ‥」
 涙を浮かべた雛ちゃん、反対側のサレナさんにしがみ付きました。
「八つ当たりは宜しくありません。それに、そのモンスターだって充分に可愛いですよ」
 でもオイフェミアさんは不満顔です。それもそのはず、デザイン画は精密で美しく、木彫りの雛形はとても精巧に作ったのです! けれど悲しいかな、あまり器用ではないマグマ姫は未経験の裁縫がちっとも巧くいかずに、大きくて格好良かったモンスターは何だかちまみたいに可愛いぬいぐるみになっていました。その姿は、なんと! 首が2本もある2足歩行の巨大トカゲさんです!!
「‥‥素晴しく逞しい想像力だな、尊敬する」
「おまえに言われると嫌味にしか聞こえないのよね」
「それは心外だ。真心を言葉に乗せて伝えようと日々努力しているというのに」
 真顔のヴェレナさんにオイフェミアさんもついつい溜息です。
「んー、お腹が空いてイライラしちゃってるのかもね。一休みしましょうか」
 席を立つと龍華さんはテキパキと簡単なおやつを作ってくれました。麦を引いた粉を卵とミルクで延ばし薄く焼いて、果物を包み‥‥
「はい、雛ちゃん。あ〜ん♪」
「あーん、なの〜。‥‥むぐむぐ‥‥おいひーのよーっ」
 龍華お姉ちゃん大好き〜♪ と抱き付かれる位は役得でしょう。ちなみに食べさせてあげるのは、そうしないと隣のサレナさんがどんどん美味しく食べてしまって雛ちゃんの口に入らないから、です。龍華さんの趣味ではありません、きっと。
 そんな2人を見て娘さんは‥‥私もあのような顔をしていたのか、と迫害された記憶の彼方へ薄れ掛けていた暖かい日々を、一針一針思い出しながらちくちくと縫い進めました。だんだんと手元でほんわ〜と笑みを浮かべるちまは、きっと在りし日の娘さんの姿に似ていることでしょう。
 ゆっくりとおやつを食べてしまった分、ユリアさんは一番難しいぴょこんと跳ねた髪の毛──皆はアホ毛と呼んでいるようです──に四苦八苦、ヴェレナさんは黒いフードに悪戦苦闘で、娘さんはぴこぴこフードが進まず今夜は徹夜になりそうです。余裕を見せていた龍華さんと黙々と作業をこなしていたサレナさんはオプションを諦め、何と2つ目のちま作り!! 先生をしていたフェリーナさんも弓を作り始める余裕を見せています。
 そして夕方。うんしょうんしょと綺麗な緑のリボンを耳元へ飾ると、テンペルさんは元気良く万歳をしました。
「やった〜〜!! 『ふりふリボンテンちゃん』完成〜〜〜♪」
「あ、いいな、おめでと〜っ! あたしの『バンザイちま』はアホ毛が難しくってー」
「ふふ、『ふぇりーなちゃん』も弓を盛ったら出来上がりだよ〜?」
「‥‥『ほんわかちま』‥‥出来上がるのだろうか‥‥」
「ちまももちろんですけれど、夫の繕いを直せるくらいになりたいですね‥‥」
 それぞれの思いを胸に、夜は更けてゆくのでした。


●雛菊「雛のひなちゃんと遊ぶのね〜!!」
「雛のひなちゃんのお友達、この指とーまれ、なのよー?」
「あそぼー」
 ふぇりーなちゃんがすすすっと、首を傾げるひなちゃんへと寄ってきました。
「テンちゃんも入れてー!」
「あそぶー!」
 元気いっぱいなのは、テンちゃんとユリアちゃん。ひなちゃんと一緒にぴょこぴょこと飛び跳ねます。
「入れてー」
 ほんわ〜とぽこぽこ暖かなのはちまにゃんです。ビックリしたフェリーナさんに穴が開くほど見つめられ、娘さんはまっかっか。でもちょっと、頑張ったちまにゃんはお気に入りみたいです。
「ふむ、では何をして遊ぶかな?」
 ちまヴェレナ君は身長の半分くらいの大きな本を両手で必死に抱えています。ふぇりーなちゃんが鬼ごっこはー? と提案すると、ひなちゃんは大喜びで大賛成! くじ引きの結果、ユリアちゃんが鬼になったようです。
「10数えたら追いかけるのだな」
「ズルはだめだからねー?」
「ああ、判っている。いーち、にーい、さーん‥‥」
「「「きゃー、にげろー」」」
 んしょんしょと逃げていくちまたち。ポテッとひなちゃんが転ぶと、ちまにゃんがよいしょっと助け起こしてくれました。
「だいじょうぶ〜?」
「ちまにゃんちゃん、ありがとなのー。ひなちゃん、だいじょうぶなのよ〜」
 そんな間にもアホ毛をゆらゆら揺らしながらユリアちゃんが追いかけてきます! むくっと起き上がったひなちゃんとちまにゃんが急いで手を繋いで走り始めると、向こうからサレナちゃんと旦那さまが走ってきました。
「どうしたの〜?」
「たいへんです〜!」
「お腹空いたのー?」
 龍華ちゃんが首を傾げました。サレナちゃんのたいへんなこと‥‥おいしいご飯が食べられてしまったのでしょうか?
「おっきいモンスターがでたんですー!」
「モンスター!!」
 ちまたちはがたがたぶるぶると身を震わせました。おっきいモンスターはちまたちをプチッと踏んでしまうかもしれません!!
 でも、逃げる間もなく‥‥クエイクのようにテーブル‥‥いえ、地面が揺れて、巨大モンスターが姿を現しました!!
「がおー!!」
「あれは、地底に棲むという巨大モンスター『ちまりうす』だな」
 ヴェレナ君が秘密の本で調べてくれました。ちまりうすは、ちまたちをぷちっと踏ん付けてしまう恐ろしいモンスターです。
「がおー!! 逃げないと踏んじゃうぞ〜、怖いぞ怖いぞ殺されちゃうぞ〜!」
「きゃー!!」
 でもモンスターをそのままにしておいては、冒険者とは言えません! 勇気を振り絞って、皆でモンスターを退治に行かなくちゃ!!
「えーい!」
 ふぇりーなちゃんが弓矢で攻撃しました!! 格好良く飛んで行った矢はちまりうすのお腹をちくっと刺します。
 フェリーナさんは嬉しそうにちょっと照れました。本物の弓矢はフェリーナさんにはちょっと重くて巧く使えないのです。
「いたいがおー! えーい、リボンなんて付けてると踏み潰しちゃうぞー」
「きゃー! たすけてー!」
 大変です、テンちゃんは武器を持っていません!!
「危ない、テンちゃん! ちまりうすめ、覚悟っ!」
 龍華ちゃん必殺の飛び蹴りが炸裂!!
 地底の巨大モンスターちまりうすは、ずでーん! とひっくり返りました!
「いたいがおー! なんでちまりうすだけ、一人ぽっちがおー‥‥」
「ちまりうす、寂しいみたいよ?」
 ユリアちゃんがアホ毛センサー‥‥じゃなくってテレパシーでちまりうすとお話をしてくれました。寂しがりやのちまりうすは、本当はちまたちと遊びたかったのです。でも大きすぎてちまを踏み潰してしまうので、ちまたちはちまりうすが怖くって。ちまたちが遊んでくれなくて寂しかったちまりうすは、ちまを苛めることしかできなかったのです。
「‥‥喧嘩はだめだよねー?」
 ちまにゃんが皆の顔を見回しました。
「ちまりうすは怖いけど、でも遊びたいならお友達でもいいよねー?」
 踏み潰されそうになったテンちゃんも龍華ちゃんやふぇりーなちゃんの顔をじーっと見ました。
「あの、踏み潰さないように気をつけてくれますか?」
 大切な旦那さまを守るように立ちながら、サレナちゃんはちまりうすを見上げます。大きなちまりうすは、うん、と頷いたような気がしました。
「じゃあ、ちまりうすも、ひなちゃんのお友達なのー。皆で一緒に遊ぶのなのね〜!!」
「うん!」
「皆で一緒にあそぼー!!」
 こうして地底の巨大モンスターちまりうすにはたくさんのお友達ができて、ひなちゃんにも沢山のお友達ができたのです。雛ちゃんはとても嬉しそうにひなちゃんを抱きしめました。
「明日も、明後日も、いっぱい遊ぶなのよ〜」
「まあ、暇ができたら遊んでやるわよ」
 そんなわけで、ちまたちは今日もどこかで仲良く遊んだり、転がったり、撫でられたりしているかもしれません。