死せる少女を抱く大地
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■ショートシナリオ
担当:やなぎきいち
対応レベル:4〜8lv
難易度:易しい
成功報酬:2 G 40 C
参加人数:10人
サポート参加人数:5人
冒険期間:09月02日〜09月07日
リプレイ公開日:2005年09月13日
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●オープニング
数ヶ月前、1人の少女がシュティール領外れのとある村を訪れた。
その村でジャイアントラットが大量発生したため、その駆除の依頼を受けた冒険者の1人だった。
ジャイアントラットの駆除は、少し鍛錬を積んだ冒険者にとって、さほど難しい依頼ではない。
少女にとっては初めての血の通う生物との戦闘だったが、とても難しいというほどの依頼ではなかった。
‥‥けれど、3つの不幸が少女とその村に更なる不幸と悪夢を齎した。
──1つ目の不幸は、その少女が狂化の可能性を持つハーフエルフであったこと。
──2つ目の不幸は、その少女に大量の血を見ると狂化してしまうという特徴があったこと。
吹き出す血を見て、狂化した悲しき少女。
手にしたダガーで幼き少女の腹を切り裂いて湯気の立つ臓物を取り出し‥‥
瞳に投擲されたダガーの痛みにのた打ち回る老人の頭蓋を投擲したダガーでゆっくりとかき回し‥‥
隠れる少年の喉下を掻き切り吹き出す暖かな鮮血を全身に浴び‥‥
そうして、恍惚とも愉悦ともとれる表情で微笑んだ。
──3つ目の不幸は、その少女は狂化すると血を浴びることに悦びを感じる殺戮者へと変貌してしまうこと。
村を恐怖に叩き落した少女の名は、ナスカ・グランテ──ハーフエルフという種族の真実を突き付けた彼女は、シュティール領領主ヴィルヘルム・シュティールの依頼で派遣された冒険者たちの手で処刑されることとなった。
領民、冒険者、友人、そしてハーフエルフたちの心に傷を残して‥‥
「ナスカがハーフエルフじゃなかったら、助けられたのかな‥‥」
そう胸を痛めたのは誰だっただろう。
ハーフエルフと同じように神の加護を受けぬオーガ種の少年や、ナスカと同じように自分の意思とは無関係に暗殺を行う少女──彼らを救おうと多くの冒険者たちが働けば働くほど、ナスカを知る者たちは‥‥救いの手を差し伸べられぬ、蔑まれし種族ハーフエルフのことを考えずにいられなかった。
しかし、悪夢を生みし少女ナスカ・グランテは再びその姿を現した。
なぜかデビル魔法を使うようになり、インプやインキュバスに傅(かしず)かれて‥‥
冒険者の攻撃の末、アイスコフィンで生涯に幕を閉じたはずのナスカ・グランテは、アイスコフィンに包まれたままシュティール領領主夫人フィリーネ・シュティールによって、どこかへ埋葬されたはずだった。
冒険者ギルドを、そしてパリを、度々窮地に陥れるデビルたち。
その中に見え隠れするナスカ・グランテの影。
「‥‥そんなはずはありませんわ‥‥」
その噂を耳にしたフィリーネ・シュティールが冒険者ギルドへ依頼を出した。
ナスカ・グランテの墓を確認してきてほしい、と‥‥‥
●リプレイ本文
●死せる少女に想いを馳せて‥‥
友人たちに憂い顔で見送られ、冒険者は重い空気を纏いパリを出た。一歩、また一歩と自動的にただ無機質に進める足は気持ちと共に地面に減り込むようで、シュティール領までの道程はとても長いものになることを予感させ‥‥そしてそれがまた鈍重な空気に拍車を掛けた。
「まずは話を聞いておこうかの、彼女の意思ではどうにもならぬ以前の様子を」
「それから、それから亡くなられたというその後のナスカさんのご様子を」
マハ・セプト(ea9249)とフローティア・クラウディオス(eb2221)は長い道程を行く足取りを少しでも軽くしようと、それでも広がる秋空に浮付いた話題を持ち出す気にもなれず、結局ナスカ・グランテの話を持ち出した。死せる少女・ナスカはデビルと行動を共にしている姿を数度確認されており、墓を暴く身としては些か重い現実やもしれぬが、情報として知っておくべきことでもある。
パーナ・リシア(ea1770)とレオニス・ティール(ea9655)、鷹杜紗綾(eb0660)、スィニエーク・ラウニアー(ea9096)はお互いに視線を交わし、そして決して沈まぬ足元へ視線を落とす。目の前に在るもの、目の前に在ったもの‥‥それが現実と呼ばれるものだった。片時たりとて忘れたことの無い少女を脳裏に思い描き、懐かしむように、悲しむように、大切な記憶を口にする紗綾。
「ナスカはね‥‥ハーフエルフに降り掛かる悲しい宿命を背負わされていたけれど、いつも感謝を忘れないとても良い子だったよ」
「もう充分生きたからって、愛してはくれなかったけれど生きることを許容した村人と愛してくれた両親のために、自ら生贄になる道を選ぶような‥‥献身的な子だったよ‥‥」
レオニスは自らの手でナスカの命を奪ったナイフを未だ大切に保管していた‥‥ナスカを殺したものとして、ナスカを愛したものとして。
ナスカが冒険者に投じたナイフは、パーナがその懐に収めている。悲しくも生じた友人殺しを呪われた争いを忘れないために。二度と招かないために。
そしてナスカが多くの生命を奪ったダガーは、墓標として、戒めとして‥‥長かった紗綾の髪と引き換えに、その腰に下げられていた。
「‥‥私が見たナスカさんは‥‥私を覚えていました‥‥。デビルに傅かれて、それでも何も変わってはいなかったんです‥‥」
辛く儚く表情を歪めるスィニーはマント城の地下で再開したナスカの様相を口にした。生きている時と何ら変わらぬ声で、態度で、表情で‥‥ただデビルを従えて聖櫃を狙っていたことだけが、スィニーの知らないナスカだった。
操られているのか否か。自らの意思で悪魔に与したのか否か。そして‥‥死んでいるのか、否か。
シュゼット・ソレンジュ(eb1321)が紗綾とスィニーからリシーブメモリーでナスカの姿を知らせてもらったが、第三者から確認してもと言うべきか、それとも第三者だからか、やはり二つの記憶上のナスカに変化は見当たらなかった。
依頼人フィリーネ・シュティールの元へ立ち寄り、疲労感の色濃く浮いた細君に後ろ髪を引かれながらも、冒険者たちは埋葬した地点へと更に歩みを進めた。
熱を忘れた初秋の風が自分たちと重なる気がして、熱を忘れた初秋の風がナスカの悲しみを伝えるようで、ヴィクトリア・フォン(eb1055)と宮崎桜花(eb1052)が洩らした憂いの溜息は奇しくも重なり1つとなった。
●死せる少女の姿を求め‥‥
少女を抱く大地は、森の一角にあった。シュティール領外れの村‥‥村人の心の平穏のために何一つ知らせることなく、故に誰にも知られることの無い場所に隠されるようにナスカの墓標があった。墓標と言うにはあまりに粗末な、小さな石。そこに添えられた紗綾の長い赤毛だけが、そこがナスカの墓標だと知らしめた。
「ジーザス様、セーラ様‥‥旅立ちし少女を辱めることを、お許しください」
「安らかな眠りを妨げる事をお詫びします。でも、今貴女の姿をした者が跳梁しています。貴女の名誉を守る為です。私達を許して下さい」
墓前に膝をつきフローティアが祈りを捧げる。教会に籍を置くものとして、御許に旅立ちし少女とは口に出来ず、フローティアはそっと睫を伏せた。隣で同じように桜花も手を合わせていた。伝え聞いた通りの人物なら、桜花と親友のハーフエルフと同様にきっと仲良くなれただろう。悲しき狂化にも共に立ち向かえただろう。事件を起こす前に出会えていたのなら‥‥しかし現実に『もし』は無い。領主ヴィルヘルムは決断を下し、贖罪はなされた。
「ナスカさんであろうとなかろうと‥‥噂の相手は‥‥悪魔達に傅かれる存在。妨害や襲撃が‥‥あるかも、知れませんから、注意は必要‥‥ですね」
自然の摂理に反した愛の結晶の運命は悲しすぎて、穏やかで円満な家庭を持つ明王院未楡(eb2404)の胸をきつく締め付ける。痛みを受け入れ、少女の潔白を証明するためにも、未楡は周囲の物音を子細洩らさぬ様に耳を澄ました。スコップを手にするレオニスと紗綾へ、そして見守ることを選んだパーナへと自身へ、マハ老が詠唱を開始する。
「デビルとの関連が疑われる相手じゃからの‥‥用心をするに越したことはなかろうて──レジストデビル!」
スィニーは何も語らず、静かに詠唱を行った。昨日の友が今日も仲間とは限らない‥‥師匠の教えが胸に圧し掛かっていた。
「‥‥ブレスセンサー」
想いを吐露する如く吐き出した詠唱は周囲の呼吸から大きな生物はいないと知らしめ、胸を撫で下ろす。まだ会わなくても‥‥戦わなくても済む、と。徐々に警戒が敷かれていく中、ハーフエルフを敵とは思いたくない桜花は俯き、立ち上がってぽつりと呟いた。
「でも、やっぱり‥‥生きて罪を償って欲しかったです‥‥」
「やり直しは、生きていればこそ出来る‥‥。私も、そう思っている」
「ナスカはね、危険すぎたんだよ」
穏やかに同意したシュゼットへ、スコップを手にしたレオニスは冷酷な現実を突きつける。彼女が冒険者として成熟すればするほど、対する一般人は無力になる。家畜を絞めるときや戦闘に喧嘩、そして思わぬ事故‥‥生物がその身に血を持つ限り、狂化し殺戮を犯すナスカにも彼女を取り巻く人々にも平穏は訪れない。
「それがナスカが持ってしまった呪いで、唯一にして最大の罪なんだよ」
「そんなの‥‥悲しすぎます」
レオニスと共に墓を掘る紗綾の言葉に、桜花は涙を零した。地面を濡らす雫を見つめる紗綾とパーナ‥‥とうの昔に枯渇した優しき二人の涙の代わりに、桜花はぽろぽろと涙を流した。
「狂化は病のようなもの、付き合い方次第だと思うがな。常に傍らにいて止めてやれる者がいなかった‥‥それこそが、彼女の不幸だったのではないか?」
「でも‥‥シュゼット、あなただったらできる? 常に友人と共に過ごし続けることが」
キッと振り返った紗綾の思わぬ強い眼差しにシュゼットは口をつぐんだ。冒険者になろうと誘った紗綾。けれど根無し草の冒険者同士、常に共に在り続ける‥‥それはどれだけ難しいことだろう。家庭を持つ未楡を見ても判るだろう、家族と言えども常に共に在ることが出来ない、それが冒険者なのだと。
「子供は愛の結晶‥‥けれど摂理を超えた愛の結晶には祝福は届きません。親御さんの手の届く範囲は‥‥とても狭いのですわ」
神の代わりに私たちが愛し続けます──そう胸を張った夫妻もいるという。時の流れの異なる家族、小さな娘の長すぎる一生、彼らはいつまで付き合うつもりなのだろうか。気の長い話じゃ、とヴィクトリアは思う。神の教えと自然の摂理に反した存在、ハーフエルフ。マハ老やフローティアのように受け入れる聖職者が希少なのは偏見もあるだろうが‥‥現実を知れば知るほど、神に祝福されていない現実に打ちのめされ減ってゆくのだろう。
「ハーフエルフか‥‥正直、よくわからぬというのが本音じゃな。確かにあやつらの狂化は自身のせいではなかろうが、それを別にしても、性格の捻じ曲がっておるのが多いのもまた事実じゃ」
殺伐とした空気に水を差し、ヴィクトリアはスコップが止まっていると指摘した。
●死せる少女の表情は‥‥
ザク、ザクと地面を掘る音だけが響く中、どれだけの刻が経過しただろう。日差しを孕み暖かかった空気もだんだんと冷涼なものになってきた頃、冒険者たちは事実を認めた。
──ナスカ・グランテの遺体がもうここにはないのだという抗い難き事実を。
「周辺には、お墓らしきものも掘り返した跡も見当たりません」
「もっとも、掘り起こした地面がもう慣れてしまった可能性は否定しないが」
紗綾が墓から手を離せないため1人にならぬよう2人で周囲を探索していたフローティアとシュゼットだが、墓らしきものは何処にも見当たらない。
「紗綾さん、泥だらけ‥‥ですよ」
「うみゅ‥‥ありがと未楡」
泥に塗れた頬を母親の顔で拭う未楡に礼を述べる紗綾。途中から‥‥初めからだろうか、身に纏っていた諦観。ただ土だけが織り成した墓は疲労感だけを強く残す。ああこっちも汚れて‥‥と額を拭おうとした未楡の表情が突如険しくなった。
「スィニエークさん、パーナさん」
名を呼ばれたスィニーとパーナは自分の成すべき事を瞬時に理解した。パーナの開始した詠唱より先んじ、指を走らせ風の名を呼んだスィニーの魔法が瞬時に構築される!!
「呼吸が‥‥居ます、その茂みですっ。1、2‥‥6体です!」
「気をつけてください、デビルかアンデッドです!」
デティクトアンデッドが示すのは自然ならざる存在‥‥すなわち敵!!
それぞれライトニングソード、ホーリーフィールド、ライトニングサンダーボルトの詠唱を開始する桜花・マハ老・シュゼット! スクロールを取り出すヴィクトリアの隣ではフローティアがティールの剣を抜き放ち、未楡がレイピアを‥‥
「未楡さん、これを!!」
掘った墓から抜け出せぬままレオニスが未楡に卵大の小さな壷を放る──『清らかな聖水』だ! 受け取った未楡は蓋を外し、姿の見えない敵の立てる僅かな音も聞き漏らさぬよう神経を欹(そばだ)てる。
「害成すものから護り給え──ホーリーフィールド!」
「雷よ、集いて剣となれ──ライトニングソード!」
「薙ぎ払え! ──ライトニングサンダーボルト!!」
マハ老の魔力で目には見えぬ直径6mの聖域が出現し、桜花の右手に護りの剣が出現する! シュゼットの掌から示された茂みへライトニングサンダーボルトが一条の光となり空を切る!
「ギャアア!!」
「きゃあああ!!」
聞くに堪えぬ濁った声と共に、少女の済んだ高い声が響いた。パーナがレオニスがナイフを握り、紗綾がダガーの鞘を抑え、スィニーが目を見開いた──声を失う4人の前でシュゼットが悲鳴の主を断言する!!
「ナスカ・グランテです!」
「痛‥‥何で、攻撃するの? お姉さんは‥‥誰? どうしてあたしを知ってるの?」
突然の魔法と見知らぬ人物からの断言に戸惑う眼差し。疑うべくもない正気の眼差しに戸惑いを隠せないのはシュゼットの方だ。しかしナスカの背後から冒険者めがけて数匹のインプが飛び出した!!
「大人しく‥‥していてください」
未楡が清らかな聖水を振りまく! ジュッと嫌な音を立てた鉛色の皮膚に、インプどもの動きが一瞬硬直した!
「だめ、攻撃しないで! 友達なの!!」
「‥‥ワカッタ」
ナスカの言葉に大人しく従うインプ──それはとても奇妙な光景に思えた。
「ナスカ‥‥ナスカなんだね? 痛い思いをさせてごめんね‥‥あんなこと言ってごめんねっ」
掘った墓穴から飛び出した紗綾の姿に、ナスカは嬉しそうに目を細める。
「何ヶ月ぶりだろう。本当に‥‥久しぶりだね、ナスカ‥‥」
追って墓場から姿を現すレオニスにも、照れたような微笑みを向けた。
「パーナさんも元気そうで良かった。スィニエークさんも‥‥」
「あなたは、本物のナスカさんなのですか?」
訊ねるフローティアの剣先は動揺を示すように僅かに踊り、シュゼットはスクロールを詠む手を止めていた。この少女がデビル? この少女がアンデッド?
動揺を促すわけではなかろうが、ナスカは首を傾げながらこくりと頷いた。他に誰に見えるの、そう言いた気な雰囲気だ。
「そんなはずが無いよ、それは僕が一番良く知ってる。君の心臓を、このナイフで抉ったんだ‥‥」
柔らかい肉を裂き、噴出そうとする血を押さえ込むように力をこめ、掻き混ぜるように抉った‥‥二度と鼓動を刻まぬように、二度と涙を流さぬように。
「痛かったです‥‥でもあたしはここにいます。いつも、いつも否定されてきたけど‥‥でも、ここにいるの」
寂しい言葉はナスカのもの。友に、仲間に触れようと歩みを進めるナスカの前にホーリーフィールドは意味を為さず、マハ老はうろたえる。敵意があれば越えられぬもの‥‥つまりナスカに敵意は無いということ。
「ナスカちゃん‥‥あなたはもう死んだんですよね? 生きているって‥‥間違えないで」
「うむ、お主が例え戻ろうとも普通の生活を送る者たちの中には、受け入れる場所はもう無いのじゃよ」
ヴィクトリアの言葉に、ナスカは伸ばした手を止めた。その冷たく弾力を失った死者の手をそっと握ったのはパーナだった。
「一緒に生きたかったです。もっと一緒に笑いって、泣いて、もっともっと‥‥」
「沢山のことを話して‥‥もっと、もっともっと仲良くなりたかったです」
薄れ行くパーナの言葉をスィニーが引き取った。環境が違えば、スィニーとナスカの立場は全く逆だったかもしれない。同じ呪いを身に受けた者として、友として、妹のように想っていた。
「輪廻の輪に還り‥‥損ねてしまったのなら、子を持つ1人の母‥‥として、道を示してさしあげます」
優しく、諭すように、未楡に微笑みかけられてナスカの瞳が微かに潤んだ。
「ハーフエルフが生きたいと願うのは、禁忌ですよね‥‥」
「禁忌なのは、死者が生を望むことです」
フローティアが哀しい想いを向けると、ナスカはパーナの手を振り解き、少しずつ距離を置いてゆく。
「‥‥さよなら、ナスカ。ずっと大好きだけど‥‥次に会うときは‥‥敵同士だね」
「‥‥うん‥帰ろう、皆」
別れを告げる紗綾の言葉に小さく頷いて、涙を手で拭いながら‥‥インプを従えて、ナスカは冒険者の元を去った。
「この穴、皆で埋めましょう」
「‥‥わしらの知るナスカはここに眠っておるのじゃ。あれは‥‥人ならざる者。奥方へ報告せねばの」
シュゼットの提案をマハ老が支持し‥‥墓前に添えられていた紗綾の髪をナスカに見立てて埋葬した。
「‥‥思考するアンデッド‥‥」
新たな謎を産み落としながらも‥‥冒険者の愛したナスカ・グランテは、シュティール領の外れのこの森で永眠する。
──願わくは、彼女を穏やかなる死が覆いますよう‥‥。