ジャパン探訪記
|
■ショートシナリオ
担当:やなぎきいち
対応レベル:フリーlv
難易度:やや易
成功報酬:5
参加人数:10人
サポート参加人数:8人
冒険期間:02月11日〜02月26日
リプレイ公開日:2006年02月21日
|
●オープニング
●ノルマンからの珍客
その珍客は京都から‥‥いやノルマンから現れた。
『ここはどこだ!?』
‥‥判っていないのか、お前さん。
男は貰い受けた転移護符により、ふと気付いたら京都にいた男。市場のおばちゃんと辛うじて言葉を交わすことに成功したのだが‥‥
『ここはどこだ!?』
「なんだい、異人さん。何言ってんだかわかりゃしないよ」
『ノルマンじゃないのはわかってるぞ、パリはどっちだ!?』
ノルマンでないどころか欧州ですらないのは薄々気付いているのだろうが、パリはどっちだとはまた強引な話である。
「ノルマン? ああ、欧州の国だね。お金さえありゃ長崎か江戸から月道通って行けるんじゃないのかい?」
『江戸? 江戸は聞いたことがあるぞ、ジャパンだな!!』
「江戸に行きたいのかい? それならこの道を向こうに──」
『向こうだな、解った!!』
指で示された方向へと向かい、一目散にダダッとダッシュ!!
「あ〜‥‥まったく、せっかちな異人さんだね! 一日や二日で着く距離じゃないってのに」
──それがかれこれ二十日ほども前の話になるだろうか。
『また、賑やかな街に出たもんだな』
右に進んできょろきょろ、左に戻ってきょろきょろきょろ。全く落ち着きの無い男である。
ここは何処かと問われれば、誰も彼もが迷うことなく江戸だと即答するであろう。
『ここは何処だ?』
この男──ラクス・キャンリーゼ以外は。
●江戸散策、零日目
『‥‥視線を感じる‥‥』
ふとそんなことを呟いたのは、まあ彼も底辺の底辺の底辺にいる馬鹿ではなかったということだろうか。
『誰だ、勝負なら受けて立つぜ!!』
そう叫び、友人から譲り受けた農耕馬の背中へロングソードを取りに走る──遠距離を歩くには重かったらしい。
「蛮人」
そんな言葉が耳に入ったときも、まあ当然と言えば当然なのだがラクスはその意味にも言葉の示すところにも気付きもしなかったわけである。
今回に限って言えば、悪いのはラクスではない‥‥と思われる。多分。
ジャパンとノルマンでは風習が色々と違うのだ。
大きな違いの1つとして挙げられるのは、やはり風呂、入浴であろう。
温泉という自然の恵みが近くにあったためか、ジャパン人は風呂を好む。それも、裸になって全身を湯に沈ませる。
片やノルマンをはじめとした欧州の殆どの国では、足湯ですらも珍しい。香水で体臭を誤魔化し、時折り水浴びをするのだ。
何が言いたいかというと──今のラクスは、その、なんだ‥‥非常に、臭いのだ。
見かねた冒険者がラクスに声を掛けたのは、ある意味では必然と言えるかもしれない。
●リプレイ本文
●ジャパンの常識、その壱
『ラクスさん、お久しぶりですー。えっと、体、洗った方がイイですよ‥‥』
ラクス・キャンリーゼの前に現れたのは顔見知りの女性、ミィナ・コヅツミ(ea9128)だった。渋面を浮かべるミィナににこやかに笑いかけるラクス──その二人を見て苦笑する以心伝助(ea4744)は少し前まで欧州に滞在していたようで、ラクスの戸惑いは伝助にも覚えのある感覚のようだ。
「あっしも欧州に着いたばかりの時は戸惑いやしたからねぇ。気持ちはわかるんすが。‥‥柴丸が臭いで倒れる前にどうにかしやせんと」
ギルドの外で大人しく待つ愛犬を思い遣り、ため息をひとつ。そこへ小柄な男が割って入った。
『パリで活動していたレンジャーのロックハートだ、ジャパンの文化を教えてやるぜ』
『ああ、ギルドで何度か見たことがあるぞ。ヘタレンジャーだな!』
『職業の上に『ヘタ』は付かない!』
──スパパァァン!!
ロックハート・トキワ(ea2389)の叫びに合わせてゴールド・ストーム(ea3785)の二丁ハリセンが小気味良い音を立てる。
『多少は学んでから来いよ。同じノルマンの生まれとして恥ずかしいぜ』
『あ、ああ、そうだよな‥‥』
内心で冷や汗をかくロックハート。実は自分もジャパンに初めて来たとはとても言い出せない雰囲気である。あとは親が最低限の常識を間違いなく教えてくれたことを祈るのみ──さもなくば自分もハリセンで張り倒されるに違いない。
(「ラクスと同じ扱いだけは! こいつと同じ扱いだけは、何としてもさけないと!!」)
(「バカ面してやがんな、うちの犬の方が賢いんじゃないか?」)
ゴールドの心中を察したわけではないが、何だか人間としての尊厳を踏みにじられるような気がする。哀れなのはロックハートか、それともラクスだろうか。
ハリセンの音に振り返ったフィーナ・アクトラス(ea9909)は、張り倒されたらしいラクスに怪訝な顔をした。
『ラクスさん‥‥何やってるの‥‥?』
「‥‥よくもまあ、言葉も分からず江戸まで来れた物だね‥‥。‥‥さすがラクス、こっちに来ても相変わらず規格外‥‥」
フィーナの後ろからひょっこりと顔を出した音無影音(ea8586)はジャパン語が通じないのを良いことに言いたい放題。アフラム・ワーティー(ea9711)は良い顔をしなかったが、フィーナは涼しい顔だ。彼に通じていたところで、この程度なら十分褒め言葉になるだろう。
「僕もジャパンに来たばかりでまだ分からないことばかりなのでいろいろと学びたいです、よろしくお願いします」
頭を下げたテッド・クラウス(ea8988)の姿にスィニエーク・ラウニアー(ea9096)は思わずそっと胸を撫で下ろした。
『‥‥なんだか向こうで会った事のある人が多いですね‥‥‥ちょっと安心しました』
ジャパンの常識を教える者より学ぶ者の方が圧倒的に多いようであるが、それもまた良し。この騒ぎに顔色を変えない馬場奈津(ea3899)は、ギルド手代の目にはなんだかとてもしっかりとした教師役に映った。
「やれやれ、やはり富士の山頂は寒かったのぅ〜。こういうときは温泉につかって熱燗でも一杯‥‥♪」
‥‥まさか依頼を受けた動機の大半が悪戯心だなど、流石の手代にも読み取れなかったに違いない。
ジャパンの常識、その壱。
──見送りは万歳三唱で。
『はい、皆さんご一緒に!』
「「「万歳! 万歳!! 万歳!!!」」」
ジィ・ジの発声でクウェルとピアレーチェ、ナラン、それから巻き込まれたらしい利賀桐と着物姿のフィニィが盛大に万歳三唱☆
にやにやと笑いながら参加するヒューゴの視線に大きく手を振ったラクスに軽い眩暈を感じたのは‥‥どうやら伝助だけだったようだ。
●ジャパンの常識、その弐・その参
海に近い、ラクスが歩いても迷惑を掛けない、片道6日以内など幾つかの要望を満たす温泉を適当に選び、早速移動を開始した一行。
「ジャパンには何度か来ているが、こういったのんびりした旅行は初めてだな。おお、今度は団子屋が!」
「団子!?」
特産品なのだろうか、団子屋を見かけて買いに走るゴールドとロックハート。もちろん食べ物屋を看過できるフィーナではなく。財布代わりに引きずられていくラクスもしっかりと団子を買ってくるのだろう、また。
「ジャパンでは依頼のことを旅行というのですか、勉強になります」
ゴールドの言葉を聞いて頷くアフラム、けれど誰も突っ込まない。奈津が訂正するべきなのだろうが‥‥それが男性である限り、楽しむことを優先するつもりのようだ。
「伝助さん、ツッコミはもういいんですかー?」
「‥‥諦めやした‥‥」
「まあ、急ぐ旅ではありませんし‥‥」
串は食べないのかとがっかりしたり、誰が支払うの奢るのと押し問答になったり、団子の味について不満のある者がいたりとその度に大騒ぎ。伝助もテッドもアフラムも、流石に、主に精神的な疲労の色が濃い。スィニーも注意より仲間の精神状態を心配しているようだった。
『おおい、ザシキがあるらしいぞ!』
「ふむ、それでは一休みさせてもらうとしようかのう。これも勉強じゃからな」
テッドから几帳面に訳されたラクスの言葉に奈津が楽しげに頷く。奈津のお許しが出たことで一同はどうやらゆっくりと足を休められそうだった。
「‥‥そういえば、こちらでは家に上がる時は靴を脱ぐのですね。知らずに土足で上がってしまって‥‥家を借りた時に怒られてしまいました‥‥」
「‥‥」
「‥‥」
スィニーの失敗談が沈黙を招いた。彼は『それ』を知っているのだろうか。
「僕、追いかけます!」
駆け出したアフラムが団子屋に飛び込むと同時に叩き出された男が数人。
巻き込まれ下敷きになったアフラムは彼らと一緒に団子屋の親父の説教を受ける羽目になった。
「──彼も苦労人っすね」
事情の釈明に労力を強いられる伝助も十分苦労人だと思う。
‥‥と思ったが、言わないのも優しさだと思い、ミィナは曖昧に頷いた。
ジャパンの常識、その弐・その参
──依頼のことは旅行という。
──家に上がるときは靴を脱げ。
●ジャパンの常識、その四・その伍
さて、苦難の果てに辿り着いた温泉は天然の岩風呂のようだった。
「ひとまず、ラクスさんはまず体をよっく洗ってから湯船に入る方がイイと思いますよ。その辺は男の方にお任せしますね」
ちょっと遠巻きにラクスを見るミィナ。数刻前、興味津々に覗き込んだ穴に落下したのだ。
「そこは肥溜めじゃよ、と、注意する間くらい用意して欲しいものじゃな」
『コエダメ?』
『肥料にするために糞尿を溜めておく場所らしいですよ』
通訳のために近付くテッドも良い迷惑だっただろう。
『‥‥‥それ程酷くは無いと思うが?』
──約一名、問題なく近付けるほどに鼻の麻痺した者もいたようであるが。
何はともあれ、温泉である。しかも、具合の良いことに凹の字のように死角になる箇所が大きい。巧いこと男湯と女湯に別けられそうで、ミィナも一安心だ。
しかし念には念を入れて──ブレスセンサーで周囲を探るスィニー、幼い柴犬ワタル君に見張りをさせようとするミィナ、手頃な石を集めて万一に備えるフィーナ。様々な面で温泉を堪能し始めたようである。
「そういえば、先日『銭湯』というところにこの前行きました。ノルマンと違って手足も伸ばせてとても気持ちのよいものでしたけれど‥‥人前で裸になるなんて、やっぱり少し気恥ずかしいですね」
どこか照れを隠せない若いテッドの姿に、アフラムが頷いた。
「食文化の違いも興味を惹きますね。食事で箸を使うと言うのはなかなか大変そうですが‥‥」
「出涸らしとはいえお茶が無料で振舞われていたり、驚くことばかりです。今思うと、こちらからノルマンに来ていた方々も同じように様々なことで苦労なさっていたのでしょうね」
とても苦労しやした‥‥しみじみ頷く伝助の言葉がとても良くわかる。欧州で国から国へ旅をするのも大変だと思っていたが、月道を越えるということはまた別の次元の苦労があるようだ。
男同士裸の付き合いだ!! と暑苦しく盛り上がる男湯はさておき、女湯は華やかである。
「さてさて、ジャパンの風習はノルマンのとは大分違うみたいだから、楽しめそうね」
「何を楽しむつもりなのか、わしはそっちが楽しみじゃよ」
フィーナの言葉にからからと笑った奈津は、率先して湯に身を沈めた。
「ノルマンに居たせいで温泉なんて久しく入ってないからね‥‥久しぶりに、こびり付いた血の匂いが洗い流せるよ‥‥」
「あら、洗い流しちゃっていいの?」
「うん‥‥その方が、新しい血の匂いが‥‥より鮮烈に香るからね‥‥ふふ‥‥」
濡れた手で髪を掻き上げる影音の仕草は乾いた血が付着していないか確認するかのようだ。相変わらずな影音ににっこりと微笑んで、フィーナも肩まで沈んだ湯船に手足を伸ばす。ミミクリーを使わずにゆっくりと伸ばす感覚は初めての感覚かもしれない。
髪をまとめ手拭いで耳まで隠していた内気なスィニーと耳を隠していない活発なミィナ、対照的な二人は背中の洗いっこ♪
「水浴びとは違いますね‥‥ちょっと楽しいです‥‥」
しっかり洗って湯船でしっぽりと。奈津へのお酌も忘れずに☆
「温泉に熱燗、やっぱり冬はこれじゃのう〜」
「あはは、温泉って良いものですねー♪ って、あなたも一人は駄目ですよー」
酔いも回って上機嫌のミィナ、艶やかな金の髪の女性に抱きついた。なんだかゴツゴツした背中の‥‥
「って、何かみょーにゴツゴツして‥‥にょわっ!?」
「積極的な女性は嫌いじゃないぜ?」
肩に腕を回して抱き寄せ頬にKIS──
「はい、そこまでー」
奈津から手渡された石がゴスッ! と鈍い音を立てた。
「ゴールドさん‥‥ダ〜〜〜〜イ」
‥‥その時、ジャパンの某所で浅黒いハーフエルフがくしゃみをしたとかしないとか。
「‥‥‥‥」
『どうかしたのか?』
『いや、別に‥‥』
気にかけるラクスへ片手を振り、温泉の隅で黄昏を背負ったロックハート。同士がいるならしようと思っていたのだが、まさか、まさか──誰も覗かないとは!
『いいのかラクス、いいんだな! 絶対に後悔しないんだな!?』
『何がだ?』
『いやいいんだ、覗く気は無い、俺を信じろ! 第一、格闘射撃探知が揃っている所に独りで飛び込むなんて無謀だから!』
『ラクスさんを連れて行こうとしたって、あっしが止めやすよ』
ブクブクブク、と湯に沈むロックハートの肩をラクスが叩いた。
『あんまりメリハリのないのが好みか?』
『そんなことはない、が覗きは美学‥‥』
──ゴッ!!
降り注いだ二つの石が二人の不埒者の意識を奪った。
「──ふんっ」
フィーナの地獄耳から逃れられる陰口はないようだ。
『ラクスさん、ロックハートさん、大丈夫ですかっ?』
応急手当の心得のあるアフラムにとって、温泉は心休まる地ではなかったのかもしれない。
さて、一頻り温まったラクスに襲い掛かるは次の試練『和服』である。
ゴールドのブレイブ・フンドーシに伝助のブルー・フンドーシ。ラクスも伝助に手渡された越中褌を見よう見まねで身につける。褌のあとは和服の着付けの訓練だ。
『ここを、こうして‥‥ん?』
『そうじゃないっすよ、先に紐を結んで‥‥ああ、それじゃ収まりが悪くなりやす』
「‥‥‥」
「あんまり露骨な話はやめておけ、スィニエークが真っ赤じゃぞ」
岩越しに語りかける奈津の眼前では、影音が越中褌を、ミィナとフィーナがブレイブ・フンドーシを取り出していた。
「おぬしら、一応言っておくが‥‥褌は殿方の下着じゃぞ」
「締め心地良いんすよー。それに、別に見せびらかすわけじゃないから大丈夫ですー」
若い者の考えていることはわからんと肩を竦める奈津だった。
ジャパンの常識、その四・その伍
──風呂に入るときは裸で、できるだけ頻繁に。
──褌は男性用下着。
番外編・世界の常識、その壱
──女性の入浴を覗いちゃ駄目。
●ジャパンの常識、その六・その七
『‥‥‥』
目の前に海の幸を並べられても黙して語らず。いつしかすっかり寡黙になったラクス、無論歩き疲れたというわけではない。何やら触発されたようだ。
『‥‥‥大丈夫ですか‥‥?』
『‥‥変な物でも食ったのか?』
スィニーやゴールドの不安気な様子も何のその、俄仕込みで箸使いこそなっていないものの、正座も数分しかもたないものの、パッと見はすっかり武士の様相を呈しているのだ。
「着物の着こなしだけは完璧っすね。教えた甲斐がありやす」
意外に物覚えが良い‥‥ところもあるようで、伝助は途中から弟分ができたような気分を味わっていた。もちろん、テッドやアフラムの方が先に覚えたのは言うまでもない。
「ラクスはある意味純粋な分、吸収は早いからね‥‥近くにきちんとした手本があれば、自分の出来る無理の無い範囲で覚えてくれるよ‥‥」
ふふ、と昏く笑う影音。見よう見まねでスタッキングを習得したラクスの学習力は侮れないものがあるようだ。
ましてや、影音が礼儀作法に気を配って優雅な立ち居振る舞いを心掛けていた──人並み以上の手本があったのだ。それを格好良いと思わせるまでが影音にとっての勝負だったようだ。
「今日は剣も抜かず鞘当てもせず上々の成果じゃったからな。馳走の刺身じゃ!」
『‥‥‥ゲテモノか?』
──スパァァン!!
「イ‥‥イタダキマス」
何故生魚を食べないといけないのか。順応しているフィーナはともかく、ジャパンに訪れて日の浅い面々にとってはかなりの苦行であることは間違いない。
「箸使いはまだまだっすね」
「それは仕方あるまい、こちらの人間でもまともに使えぬ者もおるからのう。さて、食事が終われば蹴鞠、それから風呂じゃな」
『もう風呂は十分だ、ふやけ死ぬ!!』
『‥‥ふやけて死んだなんて聞いたことがありませんし‥‥大丈夫ですよ‥‥』
どうやらジャパンに慣れるには半月では足りなかったようだが、とりあえず──暮らしていけるだけの常識は身につきそうである。
次に立ちふさがるのは言語の壁であろうが‥‥それはまた後の話。
ジャパンの常識、その六・その七。
──他人の鞘に自分の鞘をぶつけたら決闘の合図。
──食後の運動には蹴鞠。
「ずっと考えてたんだけど‥‥ジャパン文化じゃないけどジャパンで生きて行く上でとても重要な事を教える必要が有ると思うんだ、私‥‥そう‥‥」
全員の視線を一身に浴びてひょいっと肩を竦めた影音はいつもと同じ低めの声で告げた。
「シフール通訳の使い方。覚えようよ‥‥言葉覚えてないんだったら、そのくらいはさ‥‥」
「ああ、なるほど!」
「言われてみれば確かに、そうですよね‥‥」
ゲルマン語→シフール共通語→ジャパン語と遠回りではあるが、確かにそれは忘れてはならない手段である。
番外編、世界の常識・その弐
──シフール通訳に金を払って通訳を頼め。