たったひとつの願い事
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:八尾利之
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:5人
冒険期間:09月17日〜09月22日
リプレイ公開日:2005年09月26日
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●オープニング
九月は、ドレスタットにとって憂鬱な月だ。
八月のカラリとした晴れた空に比べて、九月は曇り空が多くなり、霧とも雨とも言えないモヤに、都市が埋没してしまうことすらある。
しかしそんな中にあって、一人の若者は笑顔も晴れやか、ステップを踏みながら石畳を軽やかに歩いていた。身なりのキチンとした正装で、顔のにやけ具合をのぞけば、貴族らしい気品があると言ってもいい。
事実、彼は貴族だった。
ドレスタットの町並みを優雅に通り過ぎる彼の瞳には、前方に現れた一つの瀟洒な屋敷しか映っていない。否、その建物すら彼には見えていない。正確に言うならば、二階の窓に映る女性の姿しか見えていないのだった。
数日後、彼女の誕生日を控えている。
今日はその打ち合わせということで、彼女の屋敷を訪ねることになっていたのだ。
彼は屋敷の質素なドアに駆け寄ると、ノッカーで優しく叩いた。待っていたかのようにドアが開き、召使いが顔を出す。
「ようこそ、アルフレッド様。イーディス様がお待ちです」
「これはどうも! 親切なお嬢さん!」
アルフレッドは懐からチップを取り出すと、それを召使いのポケットにさりげなく――本当にさりげなく滑り込ませた。召使いは「あら」と声をあげて、うれしそうに笑う。アルフレッドも一緒に笑った。
階段を上がり二階の奥の部屋へと向かったアルフレッドは、近くの鏡で身なりの確認をした上で、ドアをノックした。
「どうぞ」
小さくつぶやくような声が室内からした。アルフレッドには、それが小鳥のさえずりのように美しく聞こえるのだった。
「やあ、イーディス。具合はどうだい?」
多大な努力を払って平静を装うアルフレッドだったが、しかし感情を完全にコントロールするのは至難の業だった。
――ああ、彼女の誕生日がもうすぐだなんて!
今すぐダンスのひとつでも踊りたい気分だった。
が、イーディスの表情を見てハッとした。浮かない顔をしている。むしろ青白い。九月の天気にそっくりだ。憂鬱で、この世の終わりとも言いたげな。
「どうしたの?」
「なんでもないわ」
「そんなわけはないだろう。なにかあったの?」
横に腰掛け、心配そうに見つめるアルフレッドの青い瞳をチラリと見てから、イーディスはため息をついた。
「あなたがうらやましいわ‥‥」
「うらやましい? どうして? ‥‥もしかして、足のこと?」
イーディスはうなずいた。
彼女の足は、幼い頃の事故によって動かなくなっていた。
この場合、過去形で話すのが正しい。長い療養と魔法の成果によって、すでに足は完治しているのだ。にも関わらず、イーディスは立ち上がることができなかった。
先日回診にやってきた医者は、肩をすくめながらこう言ったものだ。
「もうすっかり、完全に、完璧に完治しています。立てないわけがない。しかし、本人にその気力がないんですな。立てるわけがない、と思いこんでいる。これは精神的なものです。そのせいで、立たせようとしても力が入らなかったりして、立てないのです。傷は治っても、心まで癒すことは我々にはできないのですよ」
「あなたはそうやって好きなところに行ける。でも、私は‥‥もうこのまま一生、椅子に腰掛けるしかないんだわ」
「そんなことないよ。医者も言っただろう。足はもう治ってるって」
「そんなこと言っても、立てないんだから仕方ないじゃない。お医者様は嘘を言っておられるんだわ。もう私に望みがないから‥‥」
顔を手で覆い泣き崩れるイーディスの肩を、アルフレッドは優しく抱き寄せた。
「違うよ。イーディス。君の心ひとつなんだ。もっとがんばれば‥‥」
「がんばってるわ!」
「で、でも‥‥」
「いいの、いいのよ。もう放っておいて」
アルフレッドはかける言葉が思いつかなかった。まったくの不意討ちだった。先ほどまでのうれしさはどこかへと吹き飛び、それに代わってやってきたのは北海の氷のようにつめたい風と、船の錨よりも重い沈黙だった。
イーディスはしばらく泣き続けると、しゃくりあげながらアルフレッドのほうを覗き見て、彼がうろたえている様子に申し訳なさそうに、また涙をこぼした。
「ごめんなさい。わざわざ来てくれたのに」
「いや、いいんだ‥‥」
それから言葉が出てこない。アルフレッドは内心悔しい思いだった。
――なんとかして、彼女を立たせてあげることはできないものだろうか。
その思いだけが、ヘビのように彼を締め付け、苦しめるのだった。
イーディスに別れを告げて帰る道程も、アルフレッドはそのことで頭がいっぱいだった。
そのとき、彼の脳裏にかつての記憶がよみがえってきた。
あれは確か、数週間前にお茶会に呼ばれたときのことだ。
お茶を飲みながら、イーディスは思い出したかのようにポツリともらした。
「私はこのままひとつずつ年を取って、今と同じ姿勢でおばあさんになって、そしてこの腰掛けの上で死ぬんだわ」
そのときは、すでに足が完治していたから、アルフレッドは彼女を立たせようと、いろいろ試していたのだった。
「そんなことはないよ。ほら、前に一緒に海を見に行ったじゃないか」
「椅子に座ったままだったけどね」
「そ、それはそうだけど‥‥」
「あなたはなにもわかってないわ。私がしたいのはそんなことじゃないの。誰かに連れて行ってもらうのはもうたくさん。自分の足で、好きなところへ行きたいの。本をたくさん読んだわ。イギリスにはとても大きな学校があるんですってね。ジャパンには不思議な建物もあるそうよ。門なのだけれど、扉はついていないの。確かトリイといったかしら。そういうところに自分の足でまわってみたいのよ」
「行けるよ。医者も治ったって‥‥」
「そうね。そうおっしゃってたわね。もう何日も同じことを聞いたわ。でも、どうして私は立てないの? 現実的に、私は立ててないじゃない。こうやって‥‥」
イーディスは肘掛けに手をかけると、足を踏ん張って立ち上がろうと試みた。しかし力が入らないのか、腕が震え始めると、ストンと椅子に戻ってしまった。
「ほら、立てないのよ。立とうと思っても、足に力が入らないの」
――そうだ、あのとき。
彼女は旅をしたいと言っていた。
「そうか!」
アルフレッドの頭にひとつのアイディアが浮かんだ。
誕生日に、なにか仕組んで、彼女を立たせてやろう。足は治っているのだ。あとは彼女の心持ちひとつ。彼女さえその気になってくれたら。
「でも、どうやって‥‥」
一見不可能に思えることに頭を悩ませながら歩いていたアルフレッドの足は、いつしか冒険者ギルドのほうへと向いていた。
彼らなら、きっとなにか思いついてくれるだろうという期待を持って。
●リプレイ本文
ヴェロニカ・クラーリア(ea9345)とアニエス・グラン・クリュ(eb2949)の提案を、アルフレッドは眉間にしわを寄せ、指先で口元をしきりになでながら聴きいっていた。
誕生日の打ち合わせを行うためアルフレッド邸に集められたほかのメンバーも、豪勢な椅子に体をもたれかけながら、無言で様子をうかがっている。
二人の提案はこうだった。
――パーティーの席で、イーディスにイリュージョンを仕掛け、偽の暗殺劇をでっちあげる。倒れたアルフレッドにイーディスが駆け寄ればよしという、強攻策。
「ダメです」
アルフレッドがピシャリと言った。
「提案には感謝します。しかし、それは受け入れられません。誕生日ですよ? そんな席で、どんな理由があるとしても……たとえそれで彼女が立てるとしても、血なまぐさいことはしたくありませんし、そんなものを彼女に見せたくありません」
確かにアルフレッドの言い分には一理ある。ただでさえ落ち込んでいるイーディスに対して、祝いの席でもしそのようなことをすれば、彼女の心に深い傷を残すはめになるのは想像に難くない。
「そう‥‥ですね。確かに」
アニエスは顔を曇らせると、視線を落とした。ヴェロニカも口をつぐんでいる。
「とにかく肝心なことは、彼女自身が自力で立てるという自信を持つことだと思う」
今まで押し黙っていたマナウス・ドラッケン(ea0021)が口を開いた。
「そうだね。筋肉が落ちすぎてて立てないってこともあるから‥‥まずは筋力を鍛えるようなことをしたらいいんじゃないかな‥‥」
アルフレッド・アーツ(ea2100)は、「こういう風に」と、床に届かない足首を回してみせる。アースハット・レッドペッパー(eb0131)がそれを見てニヤリと笑う。
「だな。長い間使ってないなら、そこからやったほうがいいと俺も思う」
「どこで誕生日を祝うか、もう決めておるのかの?」
ウルリカ・ルナルシフォル(eb3442)の問いに、アルフレッドは首を横に振った。
「まだです。どこかいいところはありますか?」
「それなら、外に連れて行ってはいかがでしょうか。外の空気を吸わせてあげれば、少しは気も晴れると思いますよ」
開かれた窓からは頬をなでるやわらかい風がゆったりと入り込み、カーテンをかすかに揺らしていた。この調子であれば、誕生日当日も晴れるであろう、というのがアルフレッド・アルビオン(ea8583)の見立てたところだった。
「俺もちょうどそれを言おうと思っていたんだ。馬で遠乗りするのも悪くないんじゃないかって」
身を乗り出すマナウス。アルフレッドは「外か」とつぶやきながら、唇を触った。
「遠乗りとはいい考えじゃ。自然を背景に絵を描いてみるのもよさそうじゃの」
青柳燕(eb1165)はすでに構想を頭に描いているのか、窓の外に広がる光景に目を細めながら、懐から出した手をあごに当てて思案している。
「アルフレッドとやら、馬なり馬車なりは用意できるだろうか?」
「ええ、足りない分はこちらで用意しましょう。それでは、誕生日は外で祝うということで、よろしくお願いします」
当日はアルビオンの予想通り晴れだった。
馬車に乗せられたイーディスは子供のようにはしゃいで、車の小さな窓から顔を出してはしきりに外を見回している。
彼女にとっては久しぶりの外出となる。ましてや誕生日の今日、様々な場所を見てきた冒険者たちが同席しているということもあり、興奮はいやが上にも高まっていた。
一行が到着した先は、森の中に、穴のようにポッカリと開けた草原だった。
馬車から抱きかかえられながら降ろされたイーディスの体は、草原の上にそっと置かれた。さっそく会場の設営が始まった。といっても、大したものではない。持ってきた敷物を広げて、その上に食事を広げていく。さながらピクニックといった感じだ。
「それでは、自分が一曲」
クレセントリュートを取り出したヴェロニカが、そよ風に合わせるように静かに弾き始めた。それは空気に溶け込み、自然の一部となってイーディスを優しく抱き包む。
イーディスはうっとりした表情で目をつむると、土と木々の匂いがする空気を深く吸い込み、ゆっくりとはき出していく。
「いい匂い‥‥。こんなところを、思い切り走れたらなぁ」
「いきなりは少し無理ぢゃが、地道に努力しちょったら、いつか立てるようになるわい」
そう言って歩み寄ってきたのは燕だった。「どれ」とイーディスの前にひざまづくと、その足に手を伸ばす。ビクリと身をすくめるイーディスに、燕は優しく笑いかけた。
「わしは女じゃ。心配するでない」
その風貌、話し方、どれを取っても男に見えるが、よくよく観察してみれば、女らしいきめ細やかな肌と容姿に気がつくはずだ。イーディスは燕が女であることに気がついて、目を皿のようにして驚くと、脇に控えているアルフレッドに向かってしきりに耳打ちするのだった。アルフレッドは苦笑いを浮かべると、燕に向かって、
「かっこいい男性かと思ってウキウキしていたのに残念だ、と言ってます」
と言うものだから、イーディスは耳まで真っ赤にして、アルフレッドに非難の言葉を浴びせながら肩をバシバシ叩きまくった。
「気にするでない。間違いはよくあることじゃ」
二人の光景をほほえましく思いながら、燕はイーディスの足首を優しく掴み、その具合を確かめた。
「ふむ‥‥。やはり思った通りじゃ。長く座っちょったせいで、足首が硬くなっちょる。湯で柔らかくしたあと、軽く動かす訓練をしてみてはどうじゃ」
「でも‥‥」
イーディスは言いよどんで、不安げに顔を曇らせた。
「燕の言う通りだ。なにはともあれ、やってみないことには始まらないだろ」
援護射撃をしたのはアースハットだった。
「医者からは治ってるって言われたんだろ? それなら絶対大丈夫! 俺が保証する! 物は試しにやってみりゃわかる!」
強気のアースハットは、その場で屈伸をして「こんな感じに!」としきりにアピールする。
「アースハットさん、いきなりそれは無理だと思うな‥‥」
アーツが的確なツッコミをアースハットに入れる。
「わ、わかってるさ。そのくらい」
うろたえるアースハットの姿を見て、イーディスの顔がほろこんだ。
「じゃあ、ちょっとやってみようかしら‥‥」
「よっしゃ!」
アースハットがガッツポーズを取ると、思い立ったが吉日とばかりに薪を積み上げ火をつけて、湯を沸かし始めた。
「では、湯が沸くまで、わしらが話でもしてやるとするかの」
ウルリカが進み出てイーディスの前に座ると、自分の作った物語を披露する。
「昔な、裕福な家に生まれながら、籠の中に囚われ、外に出ることができない小さな青い鳥がおったのじゃ‥‥」
子供に語りかけるように話すウルリカの物語は、恵まれた家から、自由を求めて青い鳥が飛び出すところから急展開を迎え、様々な出来事に遭遇して傷つき、倒れ、絶望の淵へと立たされる。しかし、その中で、皆で助け合うことの大切さを見つけ出した青い鳥は、そのことを忘れないようにと、自らの青い羽根を皆にわけあたえたという内容だった。
「これが、その青い羽根じゃ」
すでに話に引き込まれていたイーディスは、一枚の美しい羽に目を奪われた。
「おぬしにあげよう。受け取るがよい」
「わ、私に? いいのかしら」
「誕生日プレゼントじゃよ。友人、仲間たちと助け合うことの大切さを忘れんように、持っておきなさい」
青い羽を受け取ったイーディスは、その羽毛の一本一本をいとおしむようになでたあと、ウルリカに丁寧な礼をして、大切にしまった。
「お湯、暖まったみたいですよ」
ちょうど話が終わった頃、湯加減を確かめていたアニエスが、湯の入った鍋を運んでやってきた。燕はイーディスの足をゆっくりと湯に沈めると、足首をマッサージして、硬直した筋肉をほぐす。
「それじゃ、その間、今度は俺が話をしてやるか」
名乗りを上げたのはマナウスであった。
「俺はこれでも、四十を超える冒険をしてきてね。いろいろなことがあったよ。無事に終わったのもあるけど、重傷を負って、身動きが取れなくなるようなこともあった‥‥」
マナウスの話は、疑いようもない現実で起きた出来事だったから、その内容も実に迫力があった。イーディスは時には恐怖で顔を引きつらせたりしながら、マナウスの話に聞き入っていた。
「でも‥‥重傷を負ったとき、もうダメだって思ったりしなかったの?」
イーディスの素朴な疑問に、マナウスは笑顔で答えた。
「諦めようとは思わなかった。なんとしても生き抜いてやる、やってやる、って心に強く思っていたからね。その心に俺は何度も助けられた。諦めない気持ちがあったから、今の俺はあるんだよ」
「諦めない気持ち‥‥」
燕のマッサージが済むと、イーディスの足首はだいぶ柔らかさを取り戻していた。
「どうじゃ、ちょっと足に力を入れてみなさい」
「は、はい」
イーディスはつま先をじっと見つめて、足に全神経を集中させた。
数秒の時間が流れた。
ピクリと指先が動いた。やがて、かすかに足首が上下に動いた。
みるみるうちに、イーディスの表情に喜びが満ちあふれてきた。
「動いた! 動いたわ!」
一度動き始めた足は、今までの感を取り戻すかのように力を取り戻していた。アーツは彼女に、足の筋肉をつけさせるため、アースハットを実験台にして、様々なアドバイスを与えた。
時間が経ち、やがて日も沈みかけると、ヴェロニカのリュートに合わせるように、虫たちの鳴き声が森のあちこちから響き始めた。
「ジャパンでは、虫の音を『歌声』として受け取るそうですよ」
アルビオンがリハビリを続けているイーディスに話しかけた。
「歌声‥‥ですか‥‥」
「ええ。どうですか。そう思って聞くと、音楽の調べのように聞こえませんか?」
ヴェロニカの弾くリュートと虫の音が合わさり、まるで森全体がイーディスの誕生日を祝って合唱しているように聞こえるのだった。
「ええ、確かに‥‥確かに聞こえます」
感極まった様子で目を潤ませるイーディスに、アルビオンは父親のように優しく語りかける。
「いいんですよ。ゆっくりといけば。焦る必要などないのです。自分のできることをコツコツとしていけば、それで十分なんですよ。疲れて、嫌になったときは、こうして虫の音に耳を傾けてみてください。そうすればまた気力も沸いてきますよ」
「確かに、そうかもしれませんね」
イーディスとアルビオンはお互い微笑みあうと、自然と握手を交わした。
アルビオンの次にやってきたのはアニエスだった。彼女は深々と頭を下げると、ルーン文字が刻まれたネックレスを手渡した。
「これは……?」
手にとって、宝石を見つめる。そこには、Rの装飾文字が彫り込まれていた。
「お守りです。このルーン文字は『旅』を意味しているんです。イーディス様がいつか旅をしたときの安全を祈って、お送りいたします」
「まあ。そうなのですか」
イーディスはネックレスを首に下げて、それを誇らしげに皆に見せた。
「素敵なプレゼントを贈っていただいて、本当にありがとうございます」
このあと、ほかの皆もイーディスにプレゼントを渡していった。
マナウスは水晶のペンダントと古いメダル。アーツは美しい色の貝殻。ヴェロニカは歩けるようになったときのためと靴を送り、燕は自分の描いた絵をプレゼントした。
誕生日会がお開きとなり、再び馬車に乗せられたイーディスは、来たときとはうってかわって、静かに窓の外を眺めていた。そして同乗しているアルフレッドに、
「私、がんばってみるわ。立てるように、やってみる」
「ほんとうかい?」
「ええ。皆の話を聞いて、今まで落ち込んでたの自分が馬鹿みたいに思えてきちゃった。諦めずにがんばったら、立てるようになるよね?」
「もちろん! もちろんだとも!」
アルフレッドは思わず立ち上がって、勢い余って天井に頭をぶつけた。
それを見て笑い声を上げたイーディスの表情には、確かな決意が感じられるのだった。