京都近郊〜山賊退治の件

■ショートシナリオ


担当:安原太一

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:5人

サポート参加人数:1人

冒険期間:01月21日〜01月26日

リプレイ公開日:2007年01月23日

●オープニング

 京都近郊の村、ちょっとした難問が持ち上がっていた。
 繰り返される襲撃に、村民は頭を抱え込んでいた。最初は畑がちょくちょく狙われていたが、だんだん犯人の手口はエスカレート。最近では家畜が持っていかれる始末。
 そして、やがて大規模な襲撃が村を襲う‥‥。
「全くこの大変な時期に米倉を襲うとは‥‥」
 村長は荒らされた倉庫を前に立ち尽くしていた。
「やられましたな、村長」
「うむ‥‥これはもう、何とかしなくては」
 村長は京の都に使いを出して、冒険者ギルドに状況を報告させたた。

「ふむ‥‥山賊の仕業ですか」
 ギルドの職員は村人の話を聞きながらメモを取る。
「へえ‥‥近頃、山の中に賊どもが住み着いたようで。とうとう人里に下りてきたようで」
「大体の人数とか、分かりますか?」
「まあ、大体十人ちょっとかそこらじゃないかと思うんですがねえ‥‥」
「分かりました。依頼を出しておきましょう」
「お願いします。まあ、山賊たちも腹をすかせているのは分かるんですがね‥‥ちょっとここまで来ると、やりすぎと言うか」
「そうですよねえ。まあ、依頼は間違いなく出しておきますので、ご安心を」
「宜しくお願いします」
 村民は改めてギルドに山賊退治を依頼するのであった。

●今回の参加者

 eb1824 一条 小雪(26歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb7152 鳴滝 風流斎(33歳・♂・忍者・河童・ジャパン)
 eb7352 李 猛翔(22歳・♂・武道家・シフール・華仙教大国)
 eb7445 イアンナ・ラジエル(20歳・♀・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 eb9353 四十万 刀七郎(28歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●サポート参加者

壬生 天矢(ea0841

●リプレイ本文


 村への山道を行く冒険者たち。冒険者が来たと悟られては山賊たちに警戒される。服装を商人風のものに変えていく。保存食を入れた大袋が馬に積まれている。いかにも本物の食料が入ったように見える。
「山賊退治頑張りましょう」
 一条小雪(eb1824)は馬の荷物を押さえながら晴天を振り仰ぐ。
 道中、周囲の村にはこれから食料を届けに行く所だと触れ回っておいた。うまくいけば山賊の耳にも届くかも知れない。
「山賊退治ねえ‥‥ま、さっさと済ませちまいますか」
 四十万刀七郎(eb9353)は馬の手綱を引きながら山林に目を向ける。どこかから山賊たちが見ているかも知れない。
「ああいう手合いは説得してもその場限りで、時が経てばまた同じ事を繰り返すものでござるが、出来ることなら説得して、無駄な血を流さずに済むなら何よりでござるかな。とりあえずは痛めつけた上で、こちらの話を聞くと言う方に持って行くことが出来れば結構でござるな」
 人足に扮した河童忍者の鳴滝風流斎(eb7152)。偽物を用意すると言う方法は同じだが、鳴滝は京の町で米俵を用意しておいた。自分の驢馬に米俵を積んでいる。もちろん中身は空である。
「村人に直接的な危害が出ていないとはいえ、ジャパンの法では盗みは死罪だった覚えがあるような気がするが‥‥まあ、適度に懲らしめて更正してもらうのが理想かな」
 シフールの李猛翔(eb7352)がそう言うと、同じくシフールのイアンナ・ラジエル(eb7445)が口を開く。
「確かに食べ物がなくて困っているのは分かるのですが、悪事は悪事ですからね。できれば真人間になって欲しいものですが」

 そうこうする間に村に到着する冒険者たち。

 村に到着した冒険者たちの周りをちゃんばらしながら駆け抜けていく子供たち。
 村人たちは農作業の手を休めて冒険者たちに挨拶する。
 と、そこへやってくる一人の男。腰には刀を帯びている。男は一礼する。
「よくぞ参られました。私はこの村の長を務めております。このたびはよくぞ山賊退治の依頼を引き受けて下さいました」
「拙者は河童忍者の鳴滝風流斎。こちらは陰陽師の一条小雪殿。そちらは京の若旦那、四十万刀七郎殿。シフールのお二人は李猛翔殿とイアンナ・ラジエル殿でござる」
「お初にお目にかかります」
「早速ですが村長殿、村の倉を使わせて頂けますか。山賊は村の米倉を襲ったのこと。再び米倉に食料が運び込まれたことを聞きつければ、山賊どもはまた姿を見せることでしょう」
「なるほど」
 一条の言葉に頷く村長。一条はさらに言葉をつなぐ。
「それから、村人達にはなるべく外出しないよう注意を呼びかけて頂けますか。万が一のこともありますし」
「かしこまりました。村人たちには外出を控えさせましょう」
「それでは、倉を使わせて頂きますね」
 一条は馬を引いて村の倉へと向かう。
「相手は十人近いと言われておりますが、何か秘策でもおありですか」
「後はわざと山賊に強奪させるだけでござる。その後、尾行して山賊のアジトで一気に叩くと言うのが基本戦術でござる」
 村長の問いに肩をすくめる鳴滝。
 そして、冒険者たちは作戦を開始する。


 ‥‥夜、建物の影から米倉の様子をうかがう冒険者たち。
「さて、二匹目のどじょうをつかませておいて、意気揚々と引き上げていくのを尾行して奇襲をかける‥‥という作戦だが、山賊連中も頭がないわけじゃないからな。もしかしたら逆に待ち伏せされる可能性もある」
 李は空中を漂いながら呟く。
 と、その時だった。

 四十万は倉から離れた所で眠った振りをしながら刀を脇に置いていた。気配を察知して目をすうっと開ける。
 十人近い山賊たちが倉の扉をこじ開けていた。扉をがたがた言わせている。やがて、扉を開けた山賊たちが倉の中に入り込んでいく。中で何やら言葉を交わしている。しばらくすると山賊たちが出てきて、足早にその場から立ち去っていく。
 追跡を開始する冒険者たち。

 山賊たちは山の中へ入り込んでいく。鳴滝は山賊たちの姿を捕らえながら後を追う。鳴滝が先行するのを待ってから、後に続く冒険者たち。

 山賊たちは背後の様子を探りながら山道を進んでいく。
 最後尾の二人の山賊が立ち止まって周囲の様子をうかがう。
 鳴滝はじっと息を殺して茂みに身を潜める。
 やがて、二人の山賊は何事もなかったかのように前進を開始した。
 鳴滝は木の幹に目印の傷をつけると、山賊たちを追いかける。

 鳴滝の目印を頼りに前進する冒険者たち。李の愛犬、柴太郎も山道に残された匂いを追って進む。

 山道を行く冒険者たち。と、木陰から姿を現した鳴滝が仲間たちと合流する。
「山賊どものアジトはこの先でござる。賊の数は全部で八人でござるな」


 山賊たちは焚き火を囲んで何やら話しこんでいる。
 その上空を飛ぶイアンナ。印を結んでグラビティーキャノンを放つ。突然の重力波の攻撃。山賊たちはわけも分からず混乱に陥った。
 その隙を突いてなだれ込む冒険者たち。
 鳴滝はスタンアタックで山賊たちを昏倒させていく。
 李は飛び回りながら山賊の顔面に鉄拳の一撃をポカポカと食らわせていく。
 引き続きグラビティーキャノンを放って味方を援護するイアンナ。
 四十万はみね打ちで山賊たちを叩き伏せていく。
 鳴滝の愛犬ワン太夫も戦闘に加わって容赦なく山賊に襲い掛かる。
 あっという間に山賊の戦力は半減するが、態勢を立て直して反撃してくる。
 一条は印を結んでムーンアローで山賊を攻撃する。
 なかなか倒れないのは山賊の頭領。山賊たちを怒鳴りつけながら斧を振るう。
 一条はメロディーの魔法を使う。歌うのは両親の歌。
「まっすぐ素直に育って欲しいと願った息子の将来が〜」
 一条が歌うと、山賊たちの斧が鈍る。
 そこにつけ込んで手下の山賊たちを降伏させる冒険者たち。
 最後に立ち尽くす山賊の頭領。
 頭領を睨みつける李。
「盗みは死罪だったはず」と言うことを全面に押し出して、「このまま番所に突き出してやろうか?」などと、脅しに近いような格好で説教をしてみる李。
 頭領はしかめっ面を浮かべて李を見つめ返す。
「山賊をする元気があるのですから、畑仕事や狩りでまっとうに働くのもいいんじゃないでしょうか? 少なくとも、このまま山賊を続けて最後は死罪‥‥というのよりはずっといいですよ?」
 と更正を促してみるイアンナ。
 と、斧を放り出して降伏の姿勢を取る頭領。
「もう二度と悪さはしませんか」
 一条が詰め寄ると、頭領は顔を伏せて頷いた。
 そして、冒険者たちは山賊たちを縛り上げる。


 山賊たちを叩き起こして山を降りる冒険者たち。村に到着。それに気付いた村人の一人が村長を呼んできた。
 賊の姿を見てお礼の言葉を述べる村長。
 と、次の瞬間、山賊の頭領が隠し持っていたナイフでロープを断ち切ると、素早い動きで冒険者たちの制止を振り切って村長を押さえ込んだ。村長ののどにナイフを突きつける頭領。
「武器を捨てろ。ゆっくりとな」
 頭領は冒険者たちを促す。
 仕方なく、武器をゆっくり下ろす冒険者たち。
「そうだ、それでいい」
 頭領は無抵抗な冒険者たちを見て満足げな笑みを浮かべた。その瞬間、かすかに頭領の腕がゆるんだ。村長が自力で脱出する。
「しまった!」
 頭領は叫び声を上げて村長を捕まえようとするが、そののど元に四十万がぴたりと刀身を突きつける。
「詰めが甘かったな。観念しろ」
 形勢は再び逆転。武器を持ち上げる冒険者たち。
「ちっ! この次を覚えていろよ!」
 逃げ足だけは速い頭領。あっという間にいなくなった。

 頭領は逃がしたが無事に山賊退治には成功した冒険者たち。道中の町に立ち寄って番所に山賊たちを突き出すと、京へと帰還するのであった。