江戸近郊〜鬼軍団来襲、待ったなし

■ショートシナリオ


担当:安原太一

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:10 G 85 C

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:01月31日〜02月05日

リプレイ公開日:2007年02月05日

●オープニング

 ジャパンの東北地方、陸奥と出羽の二国は古くから鬼の住む土地と言われている。
 ジャパンはオーガ(鬼族)の多い土地として知られるが、特に山深い東北地方には無数の鬼国(集落)が存在し、かつてはよく朝廷を悩ませていた。
 関東で乱が続いた事が、東北の鬼達を刺激したとしても無理のない話である。
 鬼と言っても有象無象ではない。例えば、達谷の悪路王は奥州妖怪を束ねる大妖怪の一人と言われている‥‥。

 冒険者ギルド――。
 江戸近郊。ひとたび大都会を離れれば、何が待ち受けているか分かったものではない。この世は乱世。諸侯の反乱に乗じて悪事を働く者ども、人々に襲い掛かるモンスター‥‥冒険者ギルドには今日も近隣の村々から依頼が持ち込まれていたが‥‥。
 冒険者たちは一枚の依頼書に目を留めていた。鬼軍団来襲‥‥。

 ‥‥江戸近郊の町に急報がもたらされた。町から数キロ離れた丘陵地帯に豚鬼軍が陣地を構築中との知らせが入ったのである。豚鬼だけならともかく、多数の人喰鬼が居ては地元では手を出せない。冒険者達を雇って人喰鬼を潰す事にした。人喰鬼さえ居なくなれば、豚鬼だけなら地元でも何とか出来る。しかし、多数の人喰鬼が豚鬼を率いて現れるなど滅多に無いこと。何か新しい事が起きているのだろうか?

 ‥‥迫りつつある鬼軍団の攻撃。町の人々は一刻も早い人喰鬼の撃退を願っている。冒険者よ、急げ。

●今回の参加者

 ea0282 ルーラス・エルミナス(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea0443 瀬戸 喪(26歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea2831 超 美人(30歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3054 カイ・ローン(31歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3094 夜十字 信人(29歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea3597 日向 大輝(24歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

マクファーソン・パトリシア(ea2832)/ 白井 鈴(ea4026)/ 木下 茜(eb5817

●リプレイ本文

 町に到着した冒険者たち。早速敵陣の様子をうかがいに行く。
「一対一なら人喰鬼にも負けない面子が集まっている。なら、敵を分散させて各個撃破していけばいい。まあ、その分散をどうするかが難しいけど」
 とカイ・ローン(ea3054)。
 果たして人喰鬼を殲滅できるか‥‥。胸中に呟く瀬戸喪(ea0443)。
「さて、ここで食い止めないと江戸にも被害が及ぶ可能性もある。全力を尽くさねば。それに、何と言っても‥‥」
 西中島導仁(ea2741)は天を振り仰いだ。
「話を聞く限り厳しい戦闘になりそうだ。しっかりした作戦と連携が重要だな」
 そう言うのは超美人(ea2831)。
「人喰鬼を殲滅し、有利な状勢で地元と交代出来れば良いが‥‥」
 カイは行く先を見つめながら呟く。
 夜十字信人(ea3094)‥‥しがない剣客。赤い髪の人斬り、ゆらりと現れゆらりと去る、その存在夢幻の如しとして知られている。
「失敗すれば街が一つ潰れることもありえるか。責任重大だな‥‥」
 呟く日向大輝(ea3597)。
「さて‥‥鬼退治の始まり、ですね。‥‥我流、飛燕剣のケイン‥‥行きます!」
 ケイン・クロード(eb0062)の言葉に「えいえいおー」と拳を掲げる冒険者たち。

 昼に偵察。地元民の協力の元、鬼の見張りや警戒ルート、投石器の場所、荷物を運んでいる様子から保管庫等の場所を探りだすルーラス・エルミナス(ea0282)。
 遠目に敵陣の様子をうかがう西中島。愛騎の獅皇吼烈の鞍上から豚鬼軍の陣容を見つめる。投石機の配置と数、豚鬼の数や陣地の手薄な所等を調べておく。
 地元に聞き込みして地理や敵人数、敵のこれまでの行動等を訊ねておくカイ。

 夜‥‥上空から大凧に乗って敵陣の様子を偵察するカイとケイン。かがり火が焚かれた豚鬼軍の陣地。丘陵地帯にまんべんなく散開している。
 二人の撤収が完了したところで、豚鬼軍の陣地に夜襲をかける冒険者たち。

 上空から豚鬼軍陣地に爆撃を行うカイとケイン。敵の陣中や投石器に向かって松明や油壺を投下する。燃え広がる炎に混乱する豚鬼たち。下の仲間たちを巻き添えにしないように敵陣の奥から燃やしていく。

 爆撃班の行動にあわせて突撃する囮役の本体。
「モタついてる暇は無いぞ! 奴らに投石器を使わせたら、全滅させたとしても俺たちの負けだ!」
 夜十字は混乱する豚鬼たちに次々とソニックブーム+スマッシュEXを打ち込んでいく。陣地の中を駆け抜けながら猛然と刀を振るう夜十字。豚鬼軍の陣地や投石器にもバーストアタックでダメージを与えていく。
 夜十字の動きを見ながら投石器の一つに忍び寄る日向。既に石が載っている投石器に歩み寄ると、それを作動させ、他の投石器に向けて一射だけ放つ。突然降ってきた石に慌てる豚鬼たち。それから他の投石器や天幕、その他燃えやすいものに油をかけ、その近くにファイヤートラップを仕掛けておく日向。
 西中島は陣地内や投石器に油を撒いて火計で豚鬼たちを混乱させる。
 他の仲間たち同様、派手に動き回りながら投石器の破壊に回る超。一気に敵陣に進入し、目標を破壊していく。

 本体が暴れまわっている頃、ルーラスと瀬戸は豚鬼軍の背後から侵入する。敵陣に忍び込み、投石などを破壊して回るルーラスと瀬戸。

 第一波で豚鬼たちを混乱させた冒険者たち。いったん速やかに引き上げ、次の攻撃準備に取り掛かる。

 豚鬼たちが混乱から立ち直れないところを突く。再度奇襲攻撃に掛かる冒険者たち。一気に豚鬼軍に突入する。瀬戸や西中島は戦闘馬に騎乗して突撃する。
 敵陣に近付いたところで一気に加速する冒険者たち。
 豚鬼たちは完全に不意を突かれた形。
 冒険者たちは混乱する豚鬼の間を駆け抜けて、敵軍の大将の首を狙う。

 ここで鬼の野望を食い止めなければ後の災いになる、必ず倒してみせる。ルーラスは人喰鬼の前に立つと、どっしりと腰を落として槍を構える。
 人喰鬼は棍棒を構えると、ルーラスとの間合いを取りながら近付いてくる。ルーラスの技量を悟ってか、人喰鬼はややたじろいだ様子を見せる。
「鬼の大将とお見受けします、その首頂きます」
 ルーラスは鋭い槍さばきで人喰鬼の攻撃を跳ねかえしつつ、着実に打撃を与えていく。
 そして――ついにルーラスのスマッシュEXが人喰鬼の分厚い胸板を貫く。
 突き刺さった槍に手をかけて、やがて、どうっと倒れる人喰鬼。

 敵陣を忍び歩く瀬戸。豚鬼たちを背後から不意打ちし、相手の腕を切り飛ばす。戦場を見れば他のメンバーたちもそれぞれに戦いを繰り広げている。瀬戸は敵陣内を忍び歩き、混乱に乗じて確実に豚鬼たちの戦力を削いでいく。

 オーラパワーを刀に付与して敵陣に突入した西中島。戦闘馬の獅皇吼烈にまたがって敵陣を駆け抜ける。豚鬼の陣を突破。邪魔な豚鬼たちに向かって刀を叩きつける。人喰鬼を発見した西中島。敵陣をさらに混乱させるためにいったん中央突破し、再度突撃を試みる。もう一度オーラパワーを刀に付与して、人喰鬼目がけて突撃していく。
 突撃してくる西中島に気付いた人喰鬼。豚鬼たちを怒鳴りつけ、防御を固める。豚鬼たちの壁に阻まれる西中島。鞍上から刀を振るいながら、何とか壁の突破を試みる。

「血沸き肉踊る。この状況を喜ぶ自分自身はどうしようもないな」
 戦場で刀を振るいながら呟く超。
 豚鬼たちの武器をバーストアタックで破壊しながら着実に敵陣を突破していく。
「人喰鬼まで辿り着くのは厳しい。だからこそやり通してみせる!」
 そして遂に人喰鬼のもとへ辿りついた超。
 人喰鬼の攻撃をオフシフトで回避しつつ、刀を構えて突進する。激突する人喰鬼と超。ここでも激しい戦闘が始まる。

 人喰鬼と対峙するカイ。人喰鬼の棍棒を槍で跳ね返しながら反撃する。
「もうすぐのはずだが‥‥」
 カイはちらりと町の方を見やった。

 冒険者たちの突撃を見届けた地元の兵力。ときの声を上げて豚鬼軍に突撃を開始する。人喰鬼を冒険者たちが引き付けている間に豚鬼軍に攻撃を開始する。

「‥‥生き残るぞ。戦う意思を曲げるな‥‥!」
 夜十字は人喰鬼と対峙しながら冒険者たちに呼びかける。ソニックブーム+スマッシュEXに加えてバーストアタックで人喰鬼の武器やら防具を吹っ飛ばす。そして、最後、満身創痍の人喰鬼が間合いを詰めてきたところにスマッシュEX+バーストアタックEXで止めをさす。

 投石器に狙われない方向から地元の兵力が突入してくる。それを見届ける日向。彼もまた、豚鬼の相手に回る。人喰鬼は他のメンバーに任せることにする。
 地元の兵士と言葉を交わす日向。
「人喰鬼は任せてくれ。豚鬼たちを頼む」
「承知した!」
 日向も豚鬼相手にスマッシュを放ちながら乱戦に加わっていく。

「壱式‥‥舞え、飛燕!」
 外套を使用してのブラインドアタックで豚鬼に切りつけるケイン。
「弐式‥‥舞え、飛燕!」
 さらにブラインドアタック+スマッシュで豚鬼を退けるケイン。
 そして、遂に人喰鬼のもとへ辿りつく。
「参式‥‥翔けろ、飛燕!」
 ソニックブームを放つケイン。
 が、ケインのソニックブームの直撃を受けても不動の構えの人喰鬼。
 そこへ駆けつけてくるルーラスと夜十字。二人の攻撃で人喰鬼の構えに隙が出来る。
「今だ!」
 夜十字が叫ぶ。
 ケインは小太刀を構えると――。
「零式‥‥翔け抜けろ、飛燕!」
 ブラインドアタック+スマッシュ+ソニックブームの一撃が人喰鬼の胸板を切り裂く。それが致命傷となった。
 どうっと倒れる人喰鬼。

 こうして、冒険者の活躍で人喰鬼を失った豚鬼軍は、後退の構えを見せる。
 生き残った豚鬼達が、一体、また一体と戦場から離脱していく。それがやがてさざ波のようになって、豚鬼たちは一目散に逃げ出した。
 それを見届けた地元の兵士たち、拳を突き上げて勝利の歓声を上げる。

 刀を肩に担ぐ夜十字。
「終わったか。やれやれ、帰ってごろ寝してぇやね‥‥」

 戦場を見て回る日向。兵士たちと言葉を交わしつつ、敵陣の中を歩いて回る。
 投石器やら柵などが残っていたら使えないように破壊するように提言する日向。また、武具や食料品は戦利品として頂戴し、地元の兵士たち提出する。

 こうして、鬼軍団の攻撃は退けられたのである。ひとまず、この場は幕引きとなるのであった。