【洞窟制圧】小鬼退治の巻
|
■ショートシナリオ
担当:安原太一
対応レベル:1〜5lv
難易度:難しい
成功報酬:2 G 4 C
参加人数:4人
サポート参加人数:2人
冒険期間:12月02日〜12月07日
リプレイ公開日:2007年12月04日
|
●オープニング
江戸近郊の村。近くの森で遊んでいた子供たちが小鬼に襲われた。小鬼たちは数人の子供をさらって消えた。
子供たちが言うには、十体近い小鬼がやって来て、あっという間に数人の子供をさらっていったという。
知らせを受けた村では自警団が森の捜索に出かけた。
「小鬼め、どこに姿を消した」
自警団の一団は森へと向かう。大人たちには心当たりがあったのである。
猟師を先頭に森を抜けていく捜索隊。やがて、彼らは森の奥にある岩場に辿り着く。そこで彼らは小鬼の姿を発見する。
「やはりここか」
村人たちは木陰から洞窟の様子をうかがう。洞窟の入り口に一体の小鬼が立っている。しばらく様子を見ていると、さらに小鬼が出入りしているのが目撃された。洞窟の奥に姿を消した小鬼。捕らわれた子供たち。村人たちは状況を確認すると、冒険者ギルドの門を叩いた。
ギルドの受付の青年は村人たちが差し出した紙片に目をやりながら依頼内容を書き留めていった。
「洞窟に拠点を張る小鬼たちの退治、子供たちの救出ですね」
「何とかお願いします。これは村で集めたお金です。わずかばかりの報酬しか出せませんが」
そう言って、村人は巾着をカウンターの上に置いた。青年は巾着を受け取ると、村人たちが持ってきた紙片に目を落とす。
「森の中の洞窟ですか。古い洞窟ですか?」
「そうですね、もう昔からある洞窟で、時折熊なんかが冬眠してるって話を猟師からは聞きますね」
「自然の洞窟ですか」
「自然に出来たものだと思います」
青年は改めて紙片に目を落とす。村人たちが持ってきた洞窟の地図である。かなり古いもののようだ。
青年は村人から話を聞き終えると、依頼を張り出した。
――小鬼を退治して洞窟を制圧すること、並びに子供たちの救出。
※洞窟マップ
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■┏━━━☆■■■■■■■■■■■
■┃■■■┃■■■■■■■■■■■
■┃■■■┃■■■■■■■■■■■
■┃■■■┃■■■■■■■■■■■
■┃■■■┣━━━┓■■■■■■■
■┃■■■┃■■■┃■■■■■■■
■┃■■■┃■■■┃■■■■■■■
■┃■■■┃■■■┃■■■■■■■
■△■■■×■■■○━━━━━×■
■┃■■■■■■■┃■■■■■■■
■┃■■■■■■■┃■■■■■■■
■┃■■■■■■■┃■■■■■■■
■┗━━━○━━━┛■■■■■■■
■■■■■┃■■■■■■■■▲■■
■■■■■┃■■■■■■■■▽■■
■■■■■┃■■■■■■■■■■■
■■■■入り口■■■■■■■■■■
■=岩壁 罫線=通路
○=部屋。通路がどこかへ伸びている
△=一見行き止まりの部屋。隠し扉で通路が閉ざされている
×=袋小路の部屋
☆=大広間
●リプレイ本文
村への道中。
京の都から遥々見聞を広めに来たものの、旅費が底を尽いてしまい依頼を受ける事になった神代青葉(ec4072)。
「はぁ‥‥仕方ない、久し振りに堅気のお仕事でもしますか」
本業は泥棒なので、堅気の仕事は久方ぶりであった。小鬼退治の報酬2G4Cに心動かされた神代である。
「攫われた子供達がどんなに怖い思いをしているかと考えますと胸が張り裂けそうですね‥‥」
ヒナ・ホウ(ea2334)は吐息した。子供達を心身共に無事に救出し、二度とこのようなことが起こらないように小鬼を排除しなければ。
「まずは子供救出優先、助け出すことが出来たら小鬼退治だな」
そう言ったのは室川風太(eb3283)。
「にしても、子供をさらうとは‥‥やることが単純かつ卑劣だな」
こういうことは許せないたちである。
「この地図右下にある▲▽って何でしょうね。気になる。あと、小鬼は何で子供達を攫ったんでしょう。遊び相手と言う事もないでしょうし、食料、とか?。もう食べられちゃってたら笑えませんね‥‥アハハ」
小声で気になっていたことを呟く神代。
と、急遽依頼に参戦した室川雅水(eb3690)が神代の言葉に応じた。
「何でもその黒い三角が北で白い三角は南を表しているらしいよん」
「あ、そうなんですか」
「ギルドで聞いたんだがね」
そうこうする間に冒険者たちは村に到着する。
ヒナは村の自警団を訪ねた。依頼を出してからこれまでの状況を尋ねてみる。
「洞窟の小鬼はどのような行動を行っていますか」
「小鬼は相変わらず洞窟から動いていませんよ。きっと中に子供たちもいるはずです」
ひとしきり話を聞いたヒナは、ナンパスキルを駆使して自警団を口説いてみる。
「どうですか、私たちと一緒に戦っては頂けませんか」
「私たちに出来るだけのことはしますよ」
「それはありがたいことです」
こうして、自警団の面々も冒険者たちとともに洞窟に向かうことになった。
さて、初日から三日目までは子供たちの救出優先。四日目から五日目で救出作業が完了したら小鬼退治に専念すると言うのが冒険者たちの方針だった。
初日の夜まで待って、冒険者たちは行動開始。
まずは雅水が茂みに隠れながら洞窟の入り口に近付いていく。見張りの小鬼が立っている。洞窟の上にはヒナと神代が回りこんでいる。いざとなったら見張りを急襲するつもりだ。
雅水は小鬼の方へ小石を投げる。小鬼は小石に反応して、周囲を見渡している。雅水は再度小石を投げる。小鬼はさっと振り返って、小石の方を見た。やがて、小鬼は雅水の方へ向かって歩き出した。近付いてくる小鬼。雅水は小鬼に気づかれる前にムーンシャドウで移動して百メートルの距離を保つ。
見張りが離れたことで入り口は無防備になった。神代はその隙に飛び降りると、洞窟の中へ侵入した。
それと同時に、ミミクリーで巨大鴉に変身した室川風太も洞窟の中へ飛び込んだ。
洞窟の中は暗闇に包まれている。目が暗闇に慣れるのを待って行動を再開する風太。頭に叩き込んだ地図をもとに歩き出す。冷たい空気がひいやりと風太にのしかかってくる。どこからともなく聞こえてくる騒ぎ声。小鬼の声だろうか。風太は壁に手を当てながら進んでいく。二つ目の部屋は空だった。そこを折れ曲がって、袋小路の部屋に向かう。
と、正面から何やら声が響いてくる。人の話し声ではない。風太は耳をすませていた。やがて、気配が接近してくるのを感じ取った風太はミミクリーで岩に変身した。その前を小鬼が一体通り過ぎていく。
魔法が解けるのを待って、風太は奥に進んだ。地図では袋小路になっている部屋。部屋には焚き火の明かりが灯っていた。中には小鬼が一体。そして、子供たちがいた。小鬼は部屋の中央に立っていて、子供たちに睨みを利かしている。
風太は用心深く部屋の様子を確認すると、その場を後にした。
一方、神代は風太とは分かれて、隠し扉があるという部屋に向かっていた。暗闇の中を一歩一歩用心しながら進んでいく。やがてその部屋に到着した神代。暗闇の中に目を凝らす。神代は部屋の中に踏み込んだ。
地図を思い出す神代。真正面の壁に向かって歩いていく。神代は壁に手を当てると、どこかに仕掛けはないものかと探った。と、神代の手が止まった。壁に切れ目が走っている。
「これか」
神代は壁を押した。ゆっくりと壁が動いて、扉のように開いた。
その先にはまっすぐ通路が伸びている。神代は歩き出した。
長い長い通路を歩いて、神代は大広間の手前までやって来た。大広間の中では盛大に火が焚かれていて、小鬼たちが殴りあったり罵りあったりしながらげらげらと笑っていた。
小鬼たちは隙だらけだった。神代は大広間に踏み込むと、壁沿いに素早く部屋を横切り、角を曲がって通路に飛び込んだ。この部屋からはまっすぐに通路が伸びていたはず。神代は地図を思い描きながら進む。背後では小鬼たちがわめいている。と、ちょうど分岐点になっているところで神代は風太と合流した。
二人は地図で袋小路の部屋があった方へ向かう。
その部屋は明かりが焚かれていたが、見張りはおらず、子供が一人残されていた。幸運だった。神代と風太は子供を確保すると、急ぎ足で洞窟を出た。
三日目。
中を一回りして、小鬼たちと子供たちの居場所を確認した神代と風太は再び洞窟の中へ踏み込んだ。
二人は迷うことなく子供たちが捕らわれている場所へまっすぐ向かう。
見張りの小鬼がいたが、二人は不意を突いて急襲。風太はディストロイを放った。小鬼の体から血しぶきが舞い上がる。続いて神代は忍者刀を叩き込む。小鬼は崩れ落ちた。
「急げ! 逃げるぞ!」
風太は子供たちを立ち上がらせると、彼らの背後を固めて走り出した。
洞窟から脱出した子供たちは自警団の人々に保護された。
残るは小鬼の退治である。
室川雅水は横笛を持って登場。
「この世の悪を成敗してくれるわ〜!」
ふざけた感じに言うが、目は真剣である。
小鬼をおびき寄せるべく、雅水は横笛を吹き鳴らす。
鋭い笛の音が響き渡る。
しばらくすると、わめき声が洞窟の中から響いてきた。
雅水は笛を吹きながら洞窟から離れた。冒険者たちは戦闘隊形を取って身構える。
やがて、ばらばらと小鬼が現れる。
ヒナは小鬼たちの出鼻を挫くマグナブローを放った。地中から火柱が立ち上って小鬼たちにダメージを与える。
小鬼たちはおっかなびっくりした様子で冒険者たちに向かって武器を振りかざす。そのうちの一体が神代に向かって突撃する。神代は忍者刀で小鬼の攻撃を跳ね返した。転がる小鬼に風太がディストロイを放つ。その威力で小鬼の体から血しぶきが舞い上がる。
小鬼たちは後ずさりながら何やらわめき合っていたが、やがて逃げ出した。
静寂が訪れた。
終わったかと思ったが、洞窟からひょっこり一体の小鬼が現れた。小鬼は呆気に取られたように周囲を見渡している。
室川雅水はムーンアローを使った。光の矢が目標をロストして、跳ね返ってきた。矢は雅水に命中した。
「矢がロストした。まだどこかに小鬼が残っているぞ」
ムーンアローは目標が複数だとロストするのである。雅水は小鬼がまだ残っているかどうか調べるために魔法を使ったのである。
冒険者たちは小鬼を撃退してから洞窟の中に踏み込んだ。
中には大広間に二体の小鬼が残っていた。そのうちの一体を撃退して、残る一体となったところで、また雅水はムーンアローを使った。今度は矢が小鬼に命中した。これで残るはこの小鬼だけだと分かった。冒険者たちは残る一体の小鬼を追い詰める。やがて最後の小鬼も逃げ出した。
小鬼は全て撃退された。
戦闘終結後、雅水はポーションでダメージを回復した。
最後の最後、風太は提灯に明かりを灯して洞窟内を捜索した。万が一子供が残っていないか、何か珍しい品はないか調査するためだった。洞窟内は静かだった。後には小鬼が焚いたと思われる火が残っているだけだった。
依頼は無事に解決。冒険者たちは江戸への帰路へとつくのであった。