王座奪還!?集え!チャームな男女諸君α!

■ショートシナリオ


担当:やよい雛徒

対応レベル:フリーlv

難易度:やや難

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:10月22日〜10月27日

リプレイ公開日:2004年10月29日

●オープニング

 此処は恋人達のデートスポット『白い橋』。
 なのにも関わらず、つい数秒前までいちゃついていた恋人達はとある人物の姿を確認するやいなや脱兎の如く逃げ出した。正確に言えば『恋人の貞操の危機』を感じ取った『女性』が、彼氏ひっぱって逃げていく。
 散々と輝く陽光に照らされる、つるりと禿げたザビエル頭。
「さてワシのチームはどうしようかな」
 キャメロット在住の『思春期の乙女』(ぇ)を恥ずかしげも無く自称するこの御方。もはや一部で冒険者以上の悪しき名声を轟かせたヴァーナさん、ことヴァルナルド・エレネシアは自分のチームを何処で募集するか考えていた。
 なにしろ美男でなければならないこの依頼。町中で探すのは大変だ。
 ダーリンハントはお手の物だが、男達が不憫である。
「やはりギルドに任せに行くか」
 足取りはツーステップ、るんたった。
 カマ疑惑濃厚な爺の足取りは羽根よりも軽く、その背後を眺める人たちの表情は微妙なものを見るような目で見送った。触らぬ神に祟りなし。
 さて何故、ヴァーナさんが美男子を集めているのか。それは昨日の話に遡る。

 † † †

「コンテストは儲かるのだ、娘よ」
 ダーツが雨のように降り注ぐ。
「えぇ、そりゃあそうでしょうよ。人に隠れてトトカルチョなさってたんですから」
 ナイフが疾風の如く宙を舞う。
「というわけでゲストを呼んだのに、何故怒るのだ娘よ」
 ここは元暗殺者の小さな村。
 彼らは俗に言う暗殺者、つまり『その道のプロ』だというのは言うまでもない。
 日々常人離れした芸当が繰り広げられるこの村は、つい最近まで寂れに寂れた村であぅた。表向き『暗く陰湿で静かな村』。しかし問題はその村の住人、全員『その道のプロ』だという事にある。
 闇の依頼を受け闇に生きる者達、というとカッコイイ。が、その実、そんなに暗殺依頼は入ってこない。仕方がないので出稼ぎに行ってアルバイトしたり、どっか事務やったりという生活を送っていた。暗殺者としての腕前はあっても暗殺の仕事に赴いた経験者指折り数えるほどしかない。足洗ってるのと一緒だ。村人皆、本業が『その道のプロ』である所為か、村を構築して閉鎖された空間であるからか、日常面でもかなりの弊害が出ていた。
 訪れる旅人に無愛想・無口のオンパレード。しかも折角だから鍛えてあげようという有難迷惑な行動の結果、素人の食事に麻痺毒を盛る、夜に奇襲をかける、トラップに落とす。
 つまり村人全体が一般常識に欠けていた。
 よって外国に留学していた娘さんは、苦肉の策として祭りとコンテストなるものを強引に押し進めて村の活性化を図った。アーサー王が平穏を目指して統治するキャメロット。暗殺なんかしなくても、ようは食って生ければ其れで良し。
 以前開いたコンテストはいろんな意味で成功した。 冒険者の提案で『不幸饅頭』や『薄幸煎餅』なんて物も売り出されて副収入となり、彼女の父親は隠れてトトカルチョを行い、祭りはそこそこ好評。
 そこで味を占めた村長のおっさんは再びコンテストを開くと言い出した。
「だからって、どーして貴族様の変態爺なんかつれてくるんですかぁぁぁ!」
 貴族様の変態爺、イコール、自称乙女のヴァーナさん(ヴァルナルド氏)。
「はっはっは。賞金は今回豪華だぞー? ヴァルナルド氏の支援があるからな、優勝したチームには一人につき3Gが払えるし、個人賞も用意している。いい男を競うのだから人が集まること間違いなしだ!」
 首をきゅうきゅうと絞められながら村長のおっさんは笑う。
 確かにいい男が集まるのなら女性も沢山来るかも知れない。
 しかし娘さんの心配は金じゃなかった。
「お父様のお莫迦! 知らないんですか!? あの爺が開いたコンテストは数知れず、中でもいい男を集めたコンテストの類は絶対無事に済んだ試しがありませんのよぉぉ!? 葉っぱの男が現れたとか、美形の男が丸坊主になったとか、薔薇にまみれた薔薇の人とか、全身ペイントした男とか!」
「はっはっは、娘よ。男なんてそんなもの。はじける筋肉は素敵じゃないか。安心しなさい、コンテスト会場は前回と同じく周囲を鰐と蛇で取り囲み、その上に十字型の足場を組んだぞ! 十字の足場は幅三十センチで地上から約十メートル! ロープ無ければ真っ逆様! 真の度胸が試される究極のステージだ!」
 とんでもないステージをつくったもんだ。
「私は厭ですぅぅ!」
 響き渡る絶叫。空は本日も晴れ渡る。
 さてチャームな人々よ、キミの存在を知らしめてみないかい?

●今回の参加者

 ea0127 ルカ・レッドロウ(36歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea0370 水野 伊堵(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea2856 ジョーイ・ジョルディーノ(34歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 ea3888 リ・ル(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea3947 双海 一刃(30歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea6557 フレイア・ヴォルフ(34歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

シスイ・レイヤード(ea1314)/ 葉隠 紫辰(ea2438

●リプレイ本文

 さて、ヴァーナ名物『いい男コンテスト』における楽しみ方は数多くあるのだが、代表的な楽しみ方は二つある。
 その一、本気で勝ちを狙う。
 その二、勝ちを捨てネタに走り、人として何かを犠牲に歴史(?)に名を残す。
 後者の出現率が圧倒的に多いのはこの際見なかったことにして(マテおぃ)。
 以下は各チームの汗と涙と友情と、ちょっぴり負の感情テイストな戦慄極まる日々を書き記したユカイな仲間達の愛と成長の実録である‥‥

 審査員席はなぜか空席が四つあった。紳士達はいるが、村の審査員がいない。とりあえず時間が来たのでそのまま進行されることになった。
『第一回戦ダンディ部門! アルファチーム、最初の男はジョーイ・ジョルディーノ(ea2856)』
 演技開始と同時にジョーイは懐から一枚の羊皮紙を棒にくくりつけ、不敵な笑みとともに味方チームに向かって投げ放った。棒の向かう先は乙女な姿のヴァーナさん!
『えー、投げた羊皮紙の文面は予告状だそうです! 内容は‥‥今夜、あなたの心を頂にあがりますJJ?』
 ジョーイは器用に十字の究極舞台から降りる。さすが泥棒、準備は万全。そうやって人ん家から逃げてるのか、納得だ。会場の皆様は嫌な予感を抱く! だがそのまさかだった!
「見ろ、これが泥棒のダンディズムさ!」
 なんと女装ヴァーナさんを姫抱きに、鰐と蛇がうろつく下ステージを駆け回りだした! さすが泥棒、回避能力は高い! ひょいひょい鰐や蛇を踏みながら走り続ける! どこからともなく降ってくるナイフも避ける!
 爽やかなジョーイの笑顔は、かーなーり無理が伺えた。やせ我慢のダンディズム。ジジィを掻っ攫う泥棒、心は男だ。だが予告状の文面は不味かろう。おかげで無理してるジョーイの顔は、ノリに乗ったジジィのキスマーク満載。それでいいのか泥棒よ。
『点数が出ました! 二点、二点、四点、四点! 合計十二点! それでは二回戦クール部門、アルファチームの出場者はフレイア・ヴォルフ(ea6557)!』
 フレイアは礼服で男装しての登場だ。豊満な胸はきちんと布で締め付けた為一応平ら。一見、肉体を鍛えた美形騎士といった姿に、会場の女性達はほうっとため息ひとつ。応援に駆けつけたシスイが花を投げている。すでに自己防衛策としてロープは足にしばってあった。十字の中心に立つと、会場を見渡して髪掻き上げうっすら微笑む。
「切ない思い薔薇にこめ、届くだろうかこの心?」
 意図的に低い声で、語る。懐に隠した薔薇を取り出し花びらにキスして投擲。何故か先ほどジョーイが掻っ攫ってた依頼人がステージに。なんとフレイアは爺の前にくると片膝ついて胸に片手当て頭下げ騎士の忠誠の真似をしてみせた!
 ちなみにヴァーナ(仮名)さんは元の紳士服に戻っている。忙しいエキストラだ。
『おおーキザとクールは紙一重ってやつだ! さて点数がでました! 四点、四点、三点、二点! 合計十三点です! 次は‥‥ワイルド! なんと代表者は双海一刃(ea3947)! あのミス乙女の兄さんだー!』
 一体何があったのか知らないが、一刃の紹介がされた途端、会場の、特に村の方々がどよめいた。あれが、あれが不憫なお兄さん? ってな声が聞こえてくる。一刃の妹が以前この村の大会で有名になったらしい。ただし何で有名になったかはあえて語らない。しかも別チーム代表者に黒々としたオーラを放った妹まで! 兄妹対決だ!
「一刃、お前なら必ず勝てるっ!」
 観客席から一声届く。応援に駆けつけた紫辰である。
「ジャパンじゃ狐は化かす動物の代名詞じゃあ! 妙な紳士の方々、よろしく!」
 突如自暴自棄になった一刃は、ワイルドという言葉にどんなイメージを持ったのか狐のハリボテを作ろうとしたが作れなかったため奇妙な箱をかぶって現れた。司会開始と同時に敵二人が一刃狙って突進! 
 どうやら二人そろって道連れに突き落とすつもりらしい。不憫だお兄ちゃん。
「く、そんな時の為に! とう!」
 箱から軽装バージョンで脱出。依頼人の荷物から失敬した獣っぽい飾りを頭につけ、腰にくくりつけている。狐のつもりだろうか。彼の妹と赤い髪の男は箱とともに落下した。妹はのぼってきているようだが。
『一点、二点、四点、三点! 合計十点! 狙った相手にはドンピシャだが落差が激しいぞ、おにーちゃん! なにやら妹さんに狙われてるが、頑張れおにいちゃん!』
 おにぃーちゃーん、コールで第一日目は終了した。

 さてその夜。某最凶プリンセスが「ククク‥‥。私はただの親切な妖精さん」等と言いながら、珍しく真面目に爺さんと世間話をしようとしていたジョーイやその他多数からヴァルナルド爺を奪い取り、いい男を襲わせる為に他のチームの宿舎に連れ出した。途中『美少年を囲む会』が捕縛に向かい、最凶プリンセスは会を倒そうとしたのだが、なんとメンバーは全員美少年だった。よって「おねーたまって呼んでごらん」とコロリと豹変した某女性。そのままいつぞやのように捕縛されたと言う。尚、何故か全員奇襲を受けた。

『やってきました二日目! 第四回戦はビューティ! アルファチーム代表者はリ・ル(ea3888)!』
 リルはロープで足と橋を結んだ後、すうっと深呼吸して口上を上げた。
「容貌のみの美は真の美にあらず。心技体にこそ真の漢の美は宿る。俺の3つの通り名が、俺の全てを物語る。1つ目の通り名、子供の優しき友は心美しき証。無垢な子供にはわかる、男の優しさ!」
 昨晩何やら不在だったのは子供と遊んでいたらしいが、実はこれ、仕込である。聞こえてきた仲良くなった子供達の声援に手を振るリル。満面の笑みだ。
「2つ目の通り名、我流・蒼天二刀流は技美しき証。独自の流派で達人の域にまで達したこの技の冴え! 3つ目の通り名、筋肉騎士団名誉戦士は体美しき証。鍛え上げられし弾ける筋肉を見よ!」
 自らの剣技を十字の上で披露する。足場はかなり危険な状態だが、まあなんとか落ちるのは防げたようだ。続いて長袖の上衣を筋肉の膨張で引きちぎり、オイルでテカテカに光る上半身を『まっしぼー』なポーズでアピール。さらにズボンを自ら引きちぎり、ふんどし一丁で逞しい下半身もアピールした。いわゆる『肉体美』というやつだろう。
『点数が出ました! 三点、四点、三点、三点、合計十三点です! 引き続きまして、何やら檻が運ばれてきました! 第五回戦フェミニン担当の水野伊堵(ea0370)選手!』
 なんで檻? と首をかしげた人々もいた。
 それは昨夜の騒ぎのせいです、と答える者はいなかった。
 檻の中から「『堕龍』、貴方とならば、どこまでも」と自分の剣を恋人の名前で呼びながら現れた伊堵は、フレイア同様男装をしていた。声も低めにしゃべる。彼女の狙いは男が女装しているように見せることだ。
 踊りを交えた恋歌を披露する。なかなか見栄えがする演技だ。
 ほうっと見入る者もいたのだが、なんと彼女は突如敵チームの観客席に狙いを定め、ぎらんと瞳が輝いた! そのまま流れに身を任せ、超凶悪な笑顔で爽やかにソニックブームをぶち込む! タチが悪い! さすが最『凶』プリンセス!
「失敬。踊りに力が入って思わず衝撃波を放ってしまったよ、オスカール! アッハッハッハ!」
 響き渡る高笑い。慌てて再度捕獲に走る『美少年を囲む会』。会場は混沌状態だ。
『二点、三点、三点、三点。合計十一点です! さてそれでは、ついに来た最終戦! 第六回戦のフリーを担当するアルファチーム代表者は、Mrデンジャラス! ゴールデンハンマーことルカ・レッドロウ(ea0127)!』
 舞台上に立ったルカ。黒尽くめの皆様が中央の比較的に広い場所へ鰐を一頭置いた。やっぱりシスイは仲間の応援に花を撒く。見世物が危険な為、同部門参加者はこの後に其々演技を披露するのだが果たして。
『おぉーっと、何か、何かが見えます! ルカ選手の手に握られたるは‥‥ん?』
 司会の声が止まった。会場の皆様の目が点になる。
 なんとルカは服を脱ぎだしたではないか! いい年した青年が正真正銘の『すっぽんぽん』。大事な所は靄で見えない! 彼の片手に握られたるは、刀身が桃色のロングソード。
『おぉっと! どうやらエチゴヤから出回った呪いの剣『エロスカリバー』を抜いてしまった様子! これは悪魔の悪戯か、それともワザとか、羞恥覚悟で全裸あたーっく!』
「ハッハァ! 俺の真髄を見せてやるゼェ! 聖戦だ! とぅ!」
 ルカは全裸で鰐に戦いを挑み、一撃で鰐を倒して気を引くつもりだったらしい。
 だがしかし。ここで忘れちゃいけないことがある。
 ココは『その道のプロ』の村。会場をウロウロしてるのは無数の蛇と鰐の群れ。例え依頼が馬鹿馬鹿しかろうが鰐は鰐。超のつく『凶暴アニマル』である事に変わりはない。
 全裸プラス『エロスカリバー』VS鰐。
 勇気は認めるが一撃ぐらいで勝てるわけがなかった。
「ぎぃええええええっ!」
 青空に響く絶叫。エロスカリバーの効果は『全裸』で戦う。何処を噛みつかれたかは男性の皆さん、おして知るべし。自分で出た行動なので完全に自己責任だ。ルカは黒い方々に救出されて医務室に送り込まれた。数日間は寝込むだろう。うん。
『ルカ選手の点数は二点、二点、三点、三点! 面白い事好きの紳士の皆様の点数はノーマルですね。さてココまでの総合得点はαチーム六十九点。βチーム七十六点、γチーム七十九点です! ここで裏審査員票を発表します』
 どうやら昨夜の奇襲は村審査員による裏審査だったらしい。満点が五点で、各戦順に言うと五点、三点、三点、一点、四点、一点と、ジョーイと伊堵が回避において高得点を誇り計十七点とダントツ。総合でαが八十六点、βが八十六点、γが八十八点となり、優勝を逃した。個人賞は取れなかった模様である。
「ルカはギリギリまで安静らしいな。シスイとフレイアが交代で看病中だそうだ」
「そうか。俺は爺さんと話したかったんだが、まあ今度にでも聞こう。リルがいないな」
「リルとやらは別チームと戦いにいったぞ。拳で殴りあっていた。伊堵は?」
「成る程、ん? 美少年追いかけに行ったぞ。あんたも妹さんと大変だな」
「ははは。それにカマに襲われなくてよかった。紫辰を身代わりにしていたところだ」
 ジョーイと双海の間に深いため息が下りたという。
 こうして『その道のプロ』が密集する村でのいい男コンテストは閉幕した。各チームの詳細を知りたい方は、それぞれの報告書を眺めるといいだろう。何か知ってしまっても、そう、知らないフリをするのが人情かもしれないが。
 冒険者達はこうして再び、(普通の)危険に満ちた毎日へ戻っていくだろう。
 ――たぶん。