【小さな願い】 冒険者の役割
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■ショートシナリオ
担当:夢村円
対応レベル:9〜15lv
難易度:難しい
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月01日〜06月06日
リプレイ公開日:2006年06月08日
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●オープニング
キャメロットに『平穏』が訪れて暫し。
冒険者ギルドに頼むほどの仕事が無くなった反面、忙しさを倍増させた者達が実は、いた。
「泥棒だ〜!」
「酒場でケンカです。二人とも大怪我です!」
「最近、変な唸り声がするんです〜」
人が人として生きる限り、悲しいことだがトラブルは尽きることが無く、その解決者が求められる。
故に、今日も深夜を越えた朝の王城。欠伸をしながら門を潜る一人の騎士がいた。
仕事明けだろうか。街に向けて歩き出した彼を
「待って! 騎士のお兄ちゃん!」
呼び止めた声があった。手を握り締めて勇気を振り絞ってかけられたであろう声の主はまだ幼き少年。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
柔らかい金の髪がふわりと彼の前に降りる。膝を折って目を合わせた騎士の笑顔に
「うん‥‥、あのね‥‥。僕の友達が‥‥僕の友達が‥‥」
我慢の糸が切れたのだろう。目に涙を貯めて泣き出す少年を騎士はいつまでも優しく見守っていた。
その槍を肩に担いだ依頼人が、冒険者ギルドの扉を開いたのは、その日の夕方のことだった。
「ここに来るのも久しぶりだな」
「あんた‥‥」
小さく指を口元に立てて、彼はにっこりと笑ってみせる。だから、思わず声を上げかけた係員もそれを飲み込んだ。とりあえずは。
「俺はヴァル。冒険者ギルドが開いたと聞いてちょっと頼みたいことがあってな」
明るくそう言うと彼は、最近、北の街道沿いに良く出るという盗賊団の話を始めた。
人数は十数名。殆どが戦士、剣士崩れのゴロツキ達で、一人二人魔法使いもいるようだと言う。
「その盗賊たちに、昨日、キャメロットに来た旅のキャラバンの子供が大事なペットを奪われたそうなんだ‥‥」
そのキャラバンは旅芸人の一座で、盗賊たちが満足する金目のものは持っていなかった。
だから、替わりに
『僕の友達を連れて行ったんだ!』
ヴァルがで出会った少年は涙ながらに言ったと言う。
連れ去られたのは、犬と猫が一匹ずつ。そして‥‥
「ルーっていう蛇だそうだ。どいつも賢くて芸を仕込まれている。そこを狙われたんだろうな‥‥」
「つまりは、そのペットの奪還が依頼目的だな?」
依頼書を作成する係員に、そうだ。と青年ヴァルは頷いた。
「北の街道を半日ほど行った所で奴らは仕掛けてくるらしい。昼間よりも夜に現れやすく、特に野営とかしていると覿面に狙われるって話だ。敵の数も多いし、アジトとかは知れてないんで奪還と言っても簡単じゃないのは解ってるが‥‥」
できるなら、引き受けて欲しいと彼は言う。
「大事な友達を奪われたって、泣いてたからな。なんとかしてやりたくて‥‥、だが、どんなに腕が立ったとしても一人ではちょっと無理な話なんだ。それに仕事があって少なくとも、数日は動けない。だから、どう動くかは冒険者達に任せる。俺はそれに従う。同行するにしても残るにしてもな」
依頼書を確認し、立ち上がった彼は
「よろしく頼む。またこうして依頼が出せるのは、不謹慎だが嬉しいな」
そう言って去っていった。緑の瞳が人懐っこく揺れて‥‥。
「まったく、あの人は‥‥」
苦笑した係員に、冒険者の一人が問うた。
「誰だ? 彼?」
「さあな。知らなくても問題ないさ。で、どうする?」
冒険者ギルドの壁に、そうして‥‥また依頼が張り出されたのだった。
●リプレイ本文
六月の晴れ渡った空の下に
キン! キュン! シュッ!
音が響く。
打ち合う鋼の音、鉄が風を切る音。
そして何かがぶつかり合う戦いの音。
それは長く続く。日が暮れかけ、影が伸び始めた頃‥‥
「あっ!」
キーン、一際高い音と共に飛んだ剣が終わりを告げるまで。
「くそ〜、また負けたぞ〜。おいらも腕を上げたつもりだったのになあ〜」
悔しそうなボルジャー・タックワイズ(ea3970)に笑みと一緒に息を吐き出した『彼』は言う。
「いや、実際腕は上がっていると思うぞ。ただ槍とレイピアでは間合いの差が‥‥な。それに、その武器まだ使い慣れてないんじゃないか?」
「おーあたり! このレイピアは大切な人からの贈り物なのさ!! よいしょっと」
立ち上がり、剣を地面から抜く。それとほぼ同時。
「終ったのであるか? 勝敗はいかに?」
林の向こうからやってきたマックス・アームストロング(ea6970)がそんな声をかけた。片手で帽子を押さえて、片手で抱えていた薪を地面に転がして。
「おいらの負け。まったく、剣と剣だったらいい勝負になると思うのになあ〜。ヴァルさん、ズッコイぞ!」
「ほお。ボルジャー殿を倒されるとは、その威風といい、身のこなしといい名のある芸術家と御見受けするのである!」
「はあ?」
芸術家? 自分からはあまりに縁遠い言葉を言われて、首を傾げるヴァルと呼ばれた青年の背後ではくすくす、含み笑う声が聞こえる。
「ヴァルさん〜。彼の言う事はあんまりぃ、気にしなくていいですよぉ〜。ほら、ルイズ、ソウェル。御飯までもう少しですから大人しく待ってて下さいねぇ〜」
「え・エリンティア殿!」
足元の猫と豆柴を撫でながら笑うエリンティア・フューゲル(ea3868)の言葉にマックスは赤面し、下を向く。
「ん?」
怒ったわけでは無さそうだが、‥‥理由が解らずさらに首を傾げるヴァルの肩をぽん、ギリアム・バルセイド(ea3245)は叩いた
「まあ、あんまり追求しないでやるのが情けってもんだぜ。それに‥‥もう夜だ。その目立つもんはしまっておいてくれるとありがたい」
「‥‥解った」
言葉の意図を察して、ヴァルは荷馬車の方に向かう。
「聞いた限りではもう少し遅い時間帯が多いようですけど、油断は禁物ですよ。ね? ソフトボイルド?」
「クアッ!」
小声のリースフィア・エルスリード(eb2745)の腕の中。返事するように鳴くペンギンに冒険者も思わず気が抜ける。
「向こうで湯が沸いたと娘が呼んでおります。そろそろ、夕食になさいませんか?」
獅臥柳明(ea6609)の指差す方で夜枝月藍那(ea6237)がおいで、と手を振っている。
「今行く〜。あ、でもそいつは押さえておいてくれよ。こいつが怯えるから。ほら、行くぞエアフォルク。鷹に負けてんな! あと、その子も後で見せてくれるか?」
明るく笑いかけるロート・クロニクル(ea9519)にリースフィアははい、と頷いた。その子、と呼ばれたペンギンも真似するように
「クワッ!」
野宿と思えないほどの明るい顔で、彼らは広場の向こう。炎に向かって集まっていった
馬車の馬に草を与え、動物達に餌を与え、そして、人間達も食事をする。
「次の街までどのくらいだろうね?」
「まだ、キャメロットを出たばかりだ。しばらくは野宿が続くだろうな‥‥」
周囲を注意深く警戒するギリアムの言葉に
「やれやれ、この大変なのがまだまだ続くのか」
ため息をつくロートだが、右には愛犬、左にはペンギンというこの状況はなかなか楽しいという顔をしている。
「本当に譲っては頂けませんかぁ?」
その向こうではさっきから進展しない交渉が続けられている。
「確かに見たことの無い生き物だが‥‥そんなに珍しいのか?」
「そりゃあ〜、もう!」
おっとりと、だが力いっぱい彼は拳を握り締めた。
「特にその子はペンギンと言って貴族などの好事家には大人気なんですぅ〜。ぜひぜひ、譲って欲しいと何度も言ってるんですがぁ〜」
「ごめんなさい。この子は大事な友達なのでお譲りはできないんですよ。今は、芸が出来るように訓練中なんです。ね?」
「クエッ!」
絶妙のタイミングで合いの手を入れたペンギンに、思わず拍手が上がる。
「今度の荷物はペットだぞ〜。めずらしいんだペンギンだ〜♪」
楽しそうに歌うボルジャー。横では柳明に身体を預け
「ステキ。‥‥貴方も負けないで頑張るのよ」
腕の上でこっくりと舟をこぐ鷹の額をぺちと打った藍那がいた。
「鷹に犬に猫にペンギンか。ペット商もなかなかに大変のようであるな」
羊皮紙にペンを走らせるマックスは、この状況をせっかくだからスケッチしようと夢中である。
暗い中、結構大変であろうに‥‥。
「さてと見張りは俺達がやるから、皆は寝ろ。明日も早いんだろう?」
「動物達も寝かしつけてくれ。夜中に逃げられるとやっかいだ」
護衛役の戦士が二人、そう言って火を囲む旅人達を促す。
立ち上がり次々テントに戻っていく彼ら一人一人に、護衛の二人は目と目を合わせた。
動きはやや固く、眼差しは真剣そのもの。その言葉の意味は皆が簡単に察することができる。
暗闇の中の何かが走っていく。
それと未来を確認して、冒険者達は小さくサインをきった。
そして、夜更け。
昼間と似た、だが、まったく違う鉄の音が森に響き渡る。
「泥棒め! パラの戦士が相手になるぞ!!」
暗闇の中で軽いレイピアを駆使して駆け回る小柄な戦士に、闇に慣れた盗賊たちも戦列を掻き乱されているようだ。
「一応言っておくぞ。外道に掛ける情けはねぇ!」
昼の太陽の下に比べれば若干動きは鈍るが、歴戦の戦士。殺気への反応は慣れたものだ。
「敵の数はぁ〜十人というところですねぇ〜。マックスさん! そっちに行きましたよ〜」
「マックスではない! 我が名は超☆紳士 マッスル仮面に変身である! 近寄る者は容赦せぬ!」
ぶん!
仮面の男の風を切るナックルが襲ってきた戦士の顔に吸い込まれる。
「く・くっそお〜」
鼻を押さえながら立ち上がった男が毒づく。
「何だ! 旅の商人と旅芸人の一座じゃなかったのかよ?」
「あの馬車は旅芸人一座のものだと思ったし、動物も沢山いたんですよ。なのに‥‥どうして?」
「悪いな。最初から解ってれば、準備は容易いんでな。行くぜ! ライトニングサンダーボルト!」
闇を切り裂く光に反論はかき消された。
「最初から解っていた‥‥だと! くっ!」
流石の盗賊たちも状況を理解した。
彼らは囮だったのだ。自分達をおびき寄せるための。
滅多に見られないペンギンに足手まといになるであろう動物達。女や子供が混じったキャラバン。
二人だけの護衛など、この人数なら簡単に倒せると思っていた。
だが、全ては演技。護衛も勿論二人ではない。
いきなりの突風に足をとられてからというもの、攻撃の先手は常に冒険者にあった。
「人が可愛がっているペット達をさらって行くなんて酷いですぅ」
優男に見えた商人は魔法使いで、この暗闇の中、的確な指示を前衛に与えている。
子供にも見えた少年はパラの戦士なのは言うに及ばず、か弱い少女たちまでが
「悪い事をする人はおしおきです!」
「人の大切なモノを奪うなんて許せません!」
馬車に盗賊たちを近寄らせはしなかった。
そして、この障害物の多い森の中、無言で槍を振るう風のような戦士。
全員が護衛と言える状況に
「ちっ! もう手が向けられてたのか」
十人以上でやってきたはずなのに、その数はもう半分以下になってしまった。
目の前の戦士達その誰一人侮れない。それに遅まきながら気がついた一人。
一際腕が立ち全体の状況を見ていた男は
「おい! やれ!」
自分達の後方に声をかける。声をかけられて、今まで沈黙を守っていたその人物は
「気をつけて下さい! そいつがきっと魔法使いですぅ」
用意していた呪文を一気に放った。
「うわっ!」
エリンティアの警告も、一瞬間に合わず、前方にいた戦士達は声を上げた。突然浮かび上がった身体。
上空への落下と、地面への降下は止められない。
「うわああっ!!」
前衛の三人は打ちつけられた身体を、懸命に起こす。
止めを刺さんと翻る剣。それを
「皆さん!」
「くそっ! 行け! イカヅチよ!」
「ぐあっ!!」
真っ直ぐに走った閃光が弾き落とした。
その隙にギリアムのメイスが腹にめり込んだ。残った数少ない剣士はまた意識を落とす。
「残りはあと二〜三人ですぅ! 向こうの方角に!」
「まだそんな余力がありやがるか‥‥。よし、もう一度だ!」
今の隙に木陰に隠れた男の指示に、頷いた魔法の使い手が声の方向に手を差し伸べようとした時。
「見えました。こっちです!」
「何? 何時の間に!」
まるで反対の方、背中から声が奔った。慌てて魔法使いが振り向き指の向きを変えた時。
「えっ? ぐ‥‥っ!」
呪文は口から出ず、身体は地面に倒れた。真後ろからの小太刀の一刀が意識を刈り取る。
「それぐらいで終わりにしませんか?」
柳明の姿が見えたと同時、最後の一人となった男は駆け出した。
一目散に冒険者に背を向けて‥‥。
「なんとか、撃退できたか‥‥。生きてる奴はいるか?」
「大丈夫でしょう。隙をつけたので、手加減はしておきました。ありがとうございます。エリンティアさん」
集まってきた仲間に柳明は倒した魔法使いの手を縛りながら言った。
「二回目の詠唱に間に合ってよかったですぅ〜。でも、いらなかったかもしれないですけどねぇ〜」
自分と同じ魔法を使った志士にエリンティアはニッコリと笑いかけた。
勝利にほんの少し気が緩むが、リースは真面目な目でそれを引き戻した。
「そんなことよりも、逃げた男の後を追いましょう。魔法使いは地の使い手一人と言う話ですが、まだ仲間がいる可能性がありますから!」
「そうですね。さて、命が惜しくば、アジトがどこにあるか、教えていただきましょうか?」
柳明の尋問に、意識を取り戻したばかりの魔法使いは呆けたように首を振るばかり。
他の盗賊を叩き起こそうかと思った時
「‥‥どうやら、その必要はなさそうである」
マックスは森の一方を指差した。ある同じ方向に向けて、木が折り取られている。
「さっきの男が逃げていった方角とも合います。‥‥お一人は危険ですのに」
「一人じゃなさそうだが‥‥俺達も急ぐとしよう」
捕らえた男達をロープで縛り上げ、一人を除いて荷馬車に放り込むと、彼らは枝の指し示す、闇へと踏み入れていった。
アジトの洞窟に駆け戻った男は、奥の方から今まで掠奪してきた金品、宝石など金目の物を大急ぎで手近な袋へと放り込んだ。
「ちっ! なんて日だ。逃げられたのは俺だけか。だが‥‥まあいい。丁度潮時だぜ。この稼ぎを持って逃げ出すとし‥‥ん?」
仲間はもういない。全ての宝は独り占めできる。
悔しいが、そんなことよりもこれからの自分のこと。早く逃げ出さねばと思うその足に、にゅるりと何かが巻き付く感覚があった。
足元に目をやり声を上げる。足に巻きついているのは‥‥蛇。
「うわあっ! な、なんだこいつ〜〜!」
とっさに頭を掴み土壁に叩きつける。死んだのか生きているのかは解らないが、もう動く様子は無かった。
「脅かしやがって! とにかく、早く逃げないと‥‥って、うわっ!!」
袋を掴み、洞窟の外へ向かって走り出した男は瞬間、歩行を止められた。
地面に向かって正面衝突した男を
「もう終わりだよ! パラの戦士も冒険者も負けないぞ!」
上から見下ろすレイピアの剣先と、強い眼差しが射抜く。
向こうからはもっと多い人の足音が。
「‥‥くっ!」
「大丈夫か? ボルジャー?」
「大丈夫。俺達の勝ちっさあ!」
ピンと指を立てるボルジャーの横で、エリンティアは瞳を閉じて、何かを確認するように頷いた。
「洞窟の中に弱った息遣いがいくつかありますぅ。きっと、ペットさんたちですぅ〜。どなたか手伝って下さい〜」
「では、私が‥‥」
「あ、私も行きます! 早く保護してあげましょう」
「俺も手伝おう!」
「アジト制圧であ〜る!」
洞窟の中に向かった仲間達を見送りながらボルジャーの足元の男を縛り上げる柳明。
ふと首を左右に動かし何かを探しはじめる。
「どうしたんだ?」
万が一の為に警戒を続けるギリアムにいえ、と柳明は首を横に振った。
「ヴァルさんが、いないような‥‥」
‥‥顔を見合わせた二人は小さく吹きだす。
「どうしたんです?」
「いや、気にするな。後始末の準備でもしてるんだろう」
「働きもんだよねえ〜。最初に手合わせしてもらってよかった、かな?」
ひょっとして、と思いながらも柳明は追求はしなかった。
洞窟の奥から出てきたもの達に駆け寄ったからだ。
少女達の手の中で安心したように身を任せる犬と猫、そして‥‥
「蛇に、薬、効きますかねぇ〜」
「早く良くなるのであるぞ‥‥」
マックスの腕の中でとぐろを巻く蛇。
そこに依頼の成功があった。
「ゼル! マル! ルー! 良かった。無事で本当に良かったよ〜」
街に戻った冒険者達は、旅芸人達から借りた馬車の返却と同時に、報酬を受取った。
その報酬とは、お金で無かった。金銭の報酬は
『盗賊捕縛、ご苦労。後の捜査とこやつらの処分は我らが引き継ぐ』
夜明けとほぼ同時にやってきた騎士団と円卓の騎士の一人から報奨金として受取っている。
だが‥‥
「ありがとう。お兄ちゃん、お姉ちゃん。僕の大事な友達を助けてくれて」
少年から受取ったものは冒険者の心を喜ばせた。
「今度、キャメロットで公演するから見に来てね。みんなで頑張るから!」
「ああ、楽しみにしてる」
感謝の笑顔と言う報酬。これに満足しない冒険者がいるだろうか?
「パッラッパパッパ!! おいらはパラっさ〜!! ヴァルさんも一緒に来ればよかったのに〜」
「いろいろと忙しいのであろうて。そういえばあの騎士殿は‥‥誰かに‥‥」
「ま・いいさ。また機会があれば一緒に戦う時もあるだろうからな」
知っている者、知らない者、気づいた者、気付かぬ者。
彼らは頷いて小さく微笑む。
振り向いた彼らにまだ手を振る少年と、ペット達。
小さな願いと笑顔に、そして一人の人間の信頼に、冒険者の役割を再確認し、彼らはまた新たな冒険へと歩き出したのだった。