●リプレイ本文
●第1班
「相変わらず趣味が悪いな、あの野郎‥‥」
外道が根城にしている砦に辿り着き、虎魔慶牙(ea7767)が正々堂々と真正面から勝負を仕掛ける。
辺りに漂う異様な死臭。
串刺しにされた村人達。
すべて外道が仕掛けた罠だ。
「やはり‥‥間に合わなかったか」
悲しげな表情を浮かべ、氷雨鳳(ea1057)が霞刀を引き抜いた。
「よく来たな。お前達のために玩具を残しておいたぜ。助けたいんだろ。‥‥コイツらをさ」
縄で縛られた人質達を盾にしながら、外道の手下がニヤリと笑う。
外道の手下はほとんど逃げてしまったらしく、砦に残っているのは幹部クラスの者だけらしい。
「何度も‥‥何度も‥‥同じ手をっ!」
助けを求める人質達の声に気づき、佐上瑞紀(ea2001)が怒りに拳を震わせた。
人質達は大粒の涙を浮かべながら、何度も瑞紀に助けを求めて叫んでいる。
「人質が盾になると思ってるんですか? 貴方達にとって冒険者なんて卑怯者なんでしょう? まあ、私に限って言えば正鵠ですがね」
龍叱爪を構えて間合いを詰め、風月陽炎(ea6717)が人質救出を試みた。
「おっと‥‥危ねぇ。気をつけた方がいいぜ。俺を倒すつもりなら、そっちのデッカイ兄ちゃんくらい強くないとな」
下品な笑みを浮かべながら、外道の手下が慶牙を睨む。
「随分と大きく出たな。‥‥後悔するぞ」
斬馬刀から放り投げ、慶牙がハンマーに持ち替える。
砦の壁は頑丈な岩で出来ており、斬馬刀では破壊する事が難しい。
「かかってこいよ。コイツらがどうなってもいいのなら‥‥」
人質の娘を突きつけ、外道の手下がニヤリと笑う。
「少しでも人質を傷つけてみろ。‥‥その時は容赦しないっ!」
鋭い視線で手下を睨み、鳳がジリジリと間合いを詰める。
「‥‥正気か。お前ら‥‥」
気まずい様子で汗を流し、外道の手下が辺りを睨む。
それと同時に瑞紀が動き、一瞬にして手下の首を刎ね飛ばす。
「残念でしたね。私達とあなたでは覚悟の度合いが違います」
地面に転がった手下の顔を見つめながら、陽炎が人質になった娘を抱き寄せる。
「それじゃ、派手にやるか」
砦の壁をスマッシュEXで破壊し、慶牙が隠れていた手下ごとふっ飛ばす。
「さぁさぁ! この前、人をコケにしてくれた野郎はどこだぁ!?」
外道の手下はすぐに周りを囲んだが、慶牙は怯む事なくハンマーを握る。
「‥‥さて、どのようなものかな」
警戒した様子で辺りを睨み、鳳が人質達の縄を解く。
「先に進むためには、こいつらを始末する必要がありそうね」
含みのある笑みを浮かべ、瑞紀が呼子を鳴らす。
自分達が囮となって外道の手下を引きつけている事を知らせるため‥‥。
「仕方ありませんね。‥‥やりましょう」
そう言って陽炎が外道の手下に攻撃を仕掛ける。
命を懸けて‥‥。
‥‥仲間のために。
●2班
「どうやら始まったようっすね」
壊れた壁の隙間から砦に迷わず突入し、太丹(eb0334)が外道の手下を相手に暴れだす。
手下の中には弓などを使う者もいたため、太は壊れた机を使って盾にする。
「‥‥外道か。似合いの名だ――などと言っている場合ではないか。何を企み我らの到着を待っているか知れぬ、気を引き締めてかからねばな」
返り血で汚れた壁を見つめ、天螺月律吏(ea0085)が霞小太刀を引き抜いた。
外道の手下は壁の隙間から弓矢を放ち、別の男が鎖鎌を振り回して威嚇する。
「おらおら〜、どんどん来るっすよ〜!」
放り投げられた鎖鎌を掴み取り、太が間合いを詰めて体当たりを食らわせた。
外道の手下はバランスを崩して転倒し、悔しそうな表情を浮かべて太を睨む。
「実力的にはそこそこらしいな。まぁ、私が本気を出せば楽勝だが‥‥」
オーラソードを発動し、律吏が外道の手下に攻撃を仕掛ける。
「おっと‥‥、危ねぇ。確かに単体なら俺達の負けだが、何か重要な事を忘れてねえか?」
不敵な笑みを浮かべながら、外道の手下が連携を組んで律吏を襲う。
「くっ‥‥、やるな」
最初の太刀をかわした瞬間、背後から攻撃を仕掛けられたため、律吏が険しい表情を浮かべて膝をつく。
「こっちだって負けないっすよぉ〜」
外道の手下めがけて牛角拳を放ち、太がすぐさま律吏の援護にまわる。
「‥‥気をつけた方がいい。実力だけなら、おまえより上だ」
太と背中合わせになりながら、律吏が警告まじりに呟いた。
「そんな事‥‥分かっているっすよ。だからって逃げるわけにはいかないっす」
まわりを囲まれてしまったため、太が牛角拳を放って活路を開く。
「‥‥覚悟は出来ているというわけか。ならば私もやりやすい」
襲い掛かってきた外道の手下を斬り捨て、律吏が辺りを睨んでニヤリと笑う。
敵の数はこちらの3倍。
まともに戦えば勝ち目はないが‥‥。
「‥‥やるしかないか」
覚悟を決めて‥‥。
●第3班
「どうにも‥‥嫌な予感がするな。打てる手は打っとくべきか」
見晴らしのいい場所から砦を見つめ、マナウス・ドラッケン(ea0021)が溜息をつく。
外道の砦はジャパンでも一般的な造りをしているもののため、マナウスが事前に手に入れておいた見取り図が役立ちそうだ。
「これで最後になるか‥‥それとも‥‥」
険しい表情を浮かべながら、ティーゲル・スロウ(ea3108)が砦を睨む。
辺りには血の臭いがうっすらと漂っており、地面のところどころがどす黒い血で染まっている。
「酷い‥‥酷いです‥‥!!」
あまりの惨状に驚きながら、美芳野ひなた(ea1856)が偵察を終えて戻って来た。
ほとんどの人質は外道の命令により処刑され、砦のまわりで無残な死体をさらしている。
「僕達が来るまでの暇つぶしだったのかもね。‥‥外道達にとってはさ」
怒りに拳を震わせながら、草薙北斗(ea5414)が砦を睨む。
絶対に許せない。
‥‥絶対に。
「‥‥合図だね。行こうか」
北斗の肩に優しく叩き、ウェントス・ヴェルサージュ(ea3207)がボソリと呟いた。
「人質の安全を優先したいところだが‥‥数が多そうだな」
勢いよく坂道を滑り降り、神山明人(ea5209)が砦の中に突入した。
砦の中では仲間達が戦っていたが、気にせず牢を探して走りまわる。
「よく来たじゃねえか。‥‥待ってたぜ!」
椅子代わりにしていた人質を蹴り飛ばし、外道がニヤリと笑って刀を抜く。
冒険者達が来るのを待っていたのか、身体をウズウズとさせている。
「外道‥‥外れた道、か。果たして道が一つだと誰が決めたのかね」
徐々に間合いを取りながら、マナウスが外道をジロリと黙って睨む。
「‥‥さあな。だが、お前らだって俺と同じさ。心の何処かじゃ戦いを楽しんでやがる」
下品な笑みを浮かべながら、外道がマナウス達を挑発する。
「同じだと‥‥? ふざけるな!」
力任せにハンマーを振り回し、ティーゲルが外道を睨んで文句を言う。
「‥‥おっと。そんなに熱くなるなよ。こっちには人質がいるんだからさ」
不機嫌そうな表情を浮かべ、外道が慌てて人質を盾にする。
「ち、畜生が‥‥」
外道に当たる寸前でハンマーを止め、ティーゲルがわなわなと身体を震わせた。
「‥‥惜しいねぇ。もう少しでお前も俺の仲間になれたのに‥‥」
人質の後ろに隠れ、外道がゲラゲラと笑う。
「やるのもいいだろう。だが次の瞬間、俺の獲物がお前の頭部を破壊しているかも知れないぞ。犠牲の上に俺達の戦いは成り立っているのだからな‥‥」
外道の頭を狙ってハンマーを構え、ティーゲルが厳しい表情を浮かべて答えを返す。
「そうか。だったら殺してもいいんだな」
待ってましたとばかりに笑みを浮かべ、外道が人質の首を切り落とすため刀を素早く振り上げた。
「これ以上、そこにいる皆さんを傷つける事は許しません」
外道を撹乱させるため、ひなたが分身の術を使って人質に救出を試みる。
「おっと‥‥、危ない、危ない。殺気がなけりゃヤラれてた」
ひなたを斬りつけ後ろに下がり、外道が慌てた様子で汗を拭う。
「油断したね。こっちだよ」
背後から外道の背中を蹴り飛ばし、北斗がニコリと笑って人質達の前に立つ。
「‥‥やるねぇ。さすが俺が見込んだだけはある。やっぱ人質達も戦わせるべきだったかな。あんまりうるさいんで殺しちまったがよ」
滅茶苦茶に刀を振り回し、外道が狂ったように笑い出す。
「追い詰められて、気でも触れたか」
すぐさま外道の刀を弾き、ウェントスがカウンターアタックを叩き込む。
「人質は全員助け出した。これで安心して戦えるな」
外道をジロリと睨みつけ、明人がホッとした様子で汗を拭う。
人質達が救出された事で外道は酷く動揺し、悔しそうな表情を浮かべて歯をギリギリと鳴らしている。
「‥‥覚悟してもらおうか」
地面に落ちた刀を拾い、ウェストンが外道を睨む。
「‥‥覚悟だと? お前がかっ!」
ウェンストを見つめて鼻で笑い、外道が隠し持っていた短刀を抜く。
「‥‥愚かな」
外道の注意がウェンストに向いている隙を狙い、マナウスがシューティングポイントアタックEXを撃ち込んだ。
「はは、はははははははははっ! ぐはっ‥‥」
狂ったように笑いながら、外道が弓矢を抜いて血を吐いた。
「何がおかしい!」
不機嫌な表情を浮かべ、マナウスが外道を問い詰める。
「‥‥これでお前が新たな外道だ。気づかなかったのか。外道の正体をさ」
履き捨てるようにして呟き、外道がフラつきながら血を拭う。
「それじゃ、まさか!?」
外道の言っている意味を理解し、ひなたが驚いた様子でマナウスを睨む。
「外道を殺した相手が‥‥外道になる‥‥!?」
ギルドで聞いた噂を思い出し、北斗がハッとした表情を浮かべる。
「既に噂は流してある。せいぜい夜道に気をつけろ。はは、はははははっ‥‥げぼはっ」
‥‥そして外道は息絶えた。
マナウスを見つめて不敵に笑い‥‥。
「‥‥‥‥‥‥くだらん。俺はそんな名前に興味はない。例えまわりの奴らがそう呼んだとしてもな」
そう言ってマナウスが外道の死体に背をむける。
外道の言葉を否定するようにして‥‥。