人喰い鬼の村

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:4 G 98 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月09日〜08月14日

リプレイ公開日:2005年08月17日

●オープニング

 俺の村は人喰い鬼によって滅ぼされた。
 こっちの数は30人。
 袋叩きにすりゃ、絶対に勝てると思っていた‥‥。
 あの時に冒険者を頼っていれば、こんな事にはならなかったかもな。
 とにかく俺達は図に乗っていた。
 俺は家宝の斬馬刀を握り締め、仲間達とともに人喰い鬼に勝負を挑んだ。
 ‥‥必ず勝てると信じてな。
 しかし、運命とは時に残酷だ。
 俺達が人喰い鬼を倒しそうになった頃、他の鬼がやってきたのさ。
 人喰い鬼を助けるために‥‥。
 ‥‥後は見てのとおりだ。
 俺は戦えない身体になり、仲間達は全員死んだ。
 村に残っていた者達も串刺しにされて、鬼の土産として持っていかれちまったからな。
 まったく惨めなものだ。
 これだけいい武器を持っていたってのに使いこなす事さえ出来なかったからな。
 そこでお前達に鬼退治を依頼したい。
 ただし、ひとつだけ条件がある。
 トドメをさす場合は必ずこの斬馬刀を使ってくれ。
 これも報酬としてお前達にやるからさ。

●今回の参加者

 ea0352 御影 涼(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0841 壬生 天矢(36歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea1289 緋室 叡璽(30歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea3108 ティーゲル・スロウ(38歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3210 島津 影虎(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea3610 ベェリー・ルルー(16歳・♀・バード・シフール・イギリス王国)
 ea5414 草薙 北斗(25歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea6130 渡部 不知火(42歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7278 架神 ひじり(36歳・♀・志士・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●鬼の村
「依頼主の話では、この辺りに生存者が隠れているはずなんですが‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、島津影虎(ea3210)が辺りを睨む。
 村にある建物のほとんどは鬼の襲撃で破壊されており、見せしめにするため村人達が串刺しにされている。
「こんな状態で生きている人なんているのかな? 暑さで物凄い臭いを放っているし、絶望的だと思うけど‥‥」
 腐り始めた死体を見つめ、草薙北斗(ea5414)が鼻を摘んで汗を流す。
 村人達の死体には大量の蛆が湧いており、たくさんのハエが身体に纏わりついている。
「何となく何処かに隠れているような気がしているんですが‥‥、隠れてっ!」
 鬼の姿が見えたため、影虎が納屋に潜り込む。
「えっ? あっ? お、鬼っ!?」
 一瞬、戸惑った表情を浮かべ、北斗が影虎に腕を掴まれ藁の中に突っ込んだ。
「ぺっぺっ、いきなり何をするんだよぉ〜。ビックリしたじゃないか〜」
 口に入った藁を吐き、北斗が不満げに愚痴をこぼす。
「まぁ、落ち着いて‥‥。あのまま助けに行かなかったら、鬼の餌食になっていましたよ」
 わずかな壁の隙間から、影虎が鬼の群れを確認する。
 鬼達は辺りを徘徊しており、影虎達を探しまわっているようだ。
「それじゃ、もう少し助けるのが遅れていたら、僕は他の人達みたいに‥‥」
「多分、串刺しでしたね」
 危険な台詞をさらりと答える影虎。
 決して悪気はないのだが、影虎の言葉が北斗の胸に突き刺さる。
「一応、感謝しておくね。藁まみれになったけど‥‥」
 身体についた藁を払い、北斗が冗談まじりに微笑んだ。
「‥‥ですが、困りましたね。このままでは納屋から外に出られません。もう少し仲間が多ければ鬼と戦う事も出来ましたが、この人数では返り討ちに遭うのがおちですし‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、影虎が大きな溜息をつく。
 この村の何処かに生存者がいる確率は低いがゼロではない。
 他にも仲間を連れて来ていれば、救える命もあっただろう‥‥。

●鬼
「鬼と殺りあうのは京都に来て初めてか‥‥。丁度良い‥‥『鬼殺し』の名が偽りではないよう‥‥鬼の屍の山を築いてくれる‥‥」
 影虎達が生き残りを探す時間を稼ぐため、緋室叡璽(ea1289)が鬼の群れと向かい合って刀を抜く。
 鬼達は返り血を浴びてどす黒くなった金棒を握り締め、興奮気味に鼻を鳴らすと一斉に唸り声をあげて襲ってくる。
「鬼退治は巫女を職としているわしとしては望むところよのう。さぁ、遠慮なくむかって来るが良いっ!」
 すぐさまファイヤーボムを放ち、架神ひじり(ea7278)が土煙の中で鬼を睨む。
 鬼の群れは一瞬だけ怯んだが、リーダー格と思われる熊鬼に嗾けられ、怯えた様子でひじりに攻撃を仕掛けて行く。
「少なくとも腹を満たすには充分な獲物を狩った後だ‥‥。それほど恐れる相手ではない‥‥」
 十文字槍を素早く構え、渡部不知火(ea6130)が豚鬼のでっぷりとした腹を狙う。
 豚鬼は奇妙な鳴き声をあげながら、臓物を撒き散らしてブクブクと泡を吐く。
「とにかく鬼の群れを何とかする事。今は余計な事は考えずそれだけに集中だな」
 他の尾にも集まって来たため、御影涼(ea0352)が刀を握る。
 鬼の群れは涼達を取り囲み、袋叩きにするようにして攻撃を仕掛けてきた。
「‥‥囲まれたか。だが、望みがなくなったわけじゃないっ!」
 山鬼に体当たりを浴びせ、叡璽がわざと目立った事をして、他の鬼達を狭い路地へと引きつける。
「どうやら鬼達は頭に血が上っているようじゃな」
 鬼の群れが団子状になったため、ひじりが再びファイヤーボムを撃ち込んだ。
 凄まじい爆発音と共に吹っ飛ぶ鬼達。
 残った鬼もパニックに陥り、散り散りになって行く。
「随分と単純な奴らだな。こっちに来たら命はないぞ」
 戻ってきた鬼達にバーストアタックを放ち、不知火がニヤリと笑って十文字槍を握り締める。
 鬼達は急に止まる事が出来ないため、次々と十文字槍の餌食になっていく。
「今まで自分達が奪ってきた命の重さを感じながら逝くといい‥‥」
 熊鬼の首を跳ね飛ばし、涼が返り血を浴びてジロリと睨む。
 鬼の群れは悔しそうに歯をギリギリと鳴らし、唸り声をあげて滅茶苦茶に棍棒を振り回す。
「腐っても鬼‥‥か」
 オフシフトを使って鬼達の攻撃を避け、叡璽がカウンターを叩き込む。
 叡璽からの攻撃を食らった山鬼は脳天から血を流し、恨めしそうな表情を浮かべてその場にガックリと崩れ落ちる。
「百鬼夜行を灼き尽くす炎の翼を喰らってあの世に逝くがよいのじゃ!」
 暴走を始めた鬼の群れを倒すため、ひじりがファイヤーボムを撃ち込んだ。
 そして、戦いは続く。
 すべての鬼が倒れるまで‥‥。

●人喰い鬼
「‥‥神皇様の元、民が健やかな暮らしを送れるようにするのが、我ら志士の勤め。神皇様のおわす、この京で、人食い鬼の横行など、決して見逃せません!」
 散って行った村人達の無念を晴らすため、山王牙(ea1774)が人喰い鬼に勝負を挑む。
 人喰い鬼は物置に隠れていた少女を捕まえ、頭だけかじって牙達にむかって放り投げる。
「まだ幼い少女を‥‥許せんな‥‥」
 少女の亡骸を抱きしめ、ティーゲル・スロウ(ea3108)が刀を抜く。
 人喰い鬼は涎をダラダラと流しながら、スロウにむかって飛び掛り丸太のように太い腕を振り下ろす。
「クッ‥‥、は、速い‥‥」
 あまりの速さに驚きながら、スロウがふらりと立ち上がる。
「負けないでっ!」
 メロディーで戦意向上の歌をかけ、ベェリー・ルルー(ea3610)が鬼を睨む。
 人喰い鬼は地面を蹴ると再びスロウに攻撃を仕掛け、唸り声をあげながら拳をブンブンと振り回す。
「言葉がわかるかどうかわからないが、シュテンドゥルフ‥‥いや、酒天童子戦の予行演習をさせてもらう!!」
 10年前の出来事を思い浮かべ、スロウが日本刀を握り締める。
 この鬼に勝てなければ、仇の酒天童子を倒す事など不可能だ。
 スロウにはここで負けるわけにはいかない理由がある。
「鳥肌がたつ程の相手に巡り会ったのは久々だな‥‥」
 武者震いを奥歯で噛殺し、壬生天矢(ea0841)がニヤリと笑って、古くなった愛用の斬馬刀に括りつけてある鈴に手をやり願掛けした。
「しかし、配下の鬼がいない分だけ、私達にも勝ち目があるはず‥‥。依頼人殿の無念‥‥。きっと晴らしてみせましょう!」
 そう言って牙が布に包まれていた斬馬刀を抜く。
 依頼主の愛用していた斬馬刀‥‥。
 一瞬、人喰い鬼の表情が険しくなった。
「やるんだったら‥‥いましかないっ!」
 それと同時にルルーがシャドゥフィールドを発動させる。
 視界を奪われパニックに陥る人喰い鬼。
「我流剣技・葬魔刀・壊!! 続けて攻めろ!! 壬生!! 山王!!」
 その隙にスロウがチャージング+バーストアタックを放ち、人喰い鬼の右腕をバッサリと斬り落とす。
 人喰い鬼は空にむかって咆哮を上げ、怒り狂った表情を浮かべてスロウに体当たりを食らわせる。
「鬼道衆が1人‥‥隻眼の若獅子。これにて任務を完遂する」
 斬馬刀を下段に腰を低く構え、天矢が体重をかけ『天壬示現流−神威(バーストEX+スマッシュ)』を叩き込む。
「貴方は人を傷つけすぎました‥‥報いを受けてくださいです」
 人喰い鬼が反撃に移ろうとした瞬間、ルルーがムーンアローを放って人喰い鬼の右目を射抜く。
「グォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!」
 激痛のあまり右目を押さえ、人喰い鬼がルルーを探す。
「その首‥‥、貰い受ける。食らえ、スマッシュボンバー!」
 スマッシュ+ソードボンバーを放ち、牙が斬馬刀で人喰い鬼の首を刎ねる。
 人喰い鬼は全く抵抗する事が出来ないまま、首から大量の血を撒き散らし、前のめりに倒れこむ。
「死人に口無し‥‥、貴様に情けなど無用」
 ゆっくりと刀を収め、天矢が黙って背をむける。
「これでひとつあいつに近づけただろうか‥‥師匠、俺はここまでくる事が出来ました‥‥」
 戦いで傷ついた肩を押さえ、スロウが人喰い鬼の骸を見つめて十字を切った。
 何処か寂しげな表情を浮かべながら‥‥。