●リプレイ本文
●女湯びばのん
「な、なんだか良く分かりませんが‥‥これが私の使命であると言うなら、腰布は全力で守らせて頂きますッ!」
震える拳をぎゅっと握り、ラティエル・ノースフィールド(ea3810)が腰布を身体に巻く。
えろがっぱーずの襲撃する時間が分かっていない事もあり、来るまで温泉に浸かってマッタリとしているしかないようだ。
「えっと‥‥、蒼牙さんが一杯くるのを迎え撃てばいいのですね〜。覗きの帝王と呼ばれた蒼牙さんが相手とは腕がなります〜」
『鋼蒼牙(ea3167)』=『覗き』=『河童』と思い込み、槙原愛(ea6158)が必要以上に気合を入れる。
そのため例え河童が襲ってきても、蒼牙の変装であると思い込む可能性が高い。
「そう言えば‥‥男の人達の姿が見えませんね。まさか‥‥道に迷ったとか」
怯えた様子で身体を震わせ、ラティエルがホーリーフィールドを発動させる。
えろがっぱーずの策略によって男性陣は別の温泉宿にむかっているため、ラティエル達がピンチに陥ったとしても誰も助けに来る者はいない。
「とりあえず河童が来るまではマッタリしていましょ〜。ラティエルちゃんもどうですか〜?」
ほんわかとした笑みを浮かべ、愛がラティエルを手招きする。
「‥‥甘酒ですか? 美味しそうですね。それでは早速‥‥あれ?」
愛から甘酒を受け取り、ラティエルがダラリと汗を流す。
‥‥目の前には見知らぬ河童。
愛の背後に一匹‥‥、そして自分の背後にも一匹いる‥‥。
「い、いつの間に‥‥」
驚いた様子で目を丸くさせ、愛が甘酒の入ったお猪口を落とす。
「あなた達が、私の腰布を狙う河童さん達ですね! 私の身体に巻いている腰布は、かの『七つ揃えれば願いが叶う七つの腰布』の一つ! しかし、これは亡き母(注:実際の母は生きてます)の大事な形見! そう易々とは渡せません! 欲しければ、力ずくで奪ってご覧なさい!」
恐怖で悲鳴を上げそうになりながら、ラティエルがえろがっぱーずを挑発した。
河童達は妖しく指を蠢かせ、ニンマリといやらしい笑みを浮かべている。
「伝説の腰布はこちらにありますよ〜。蒼牙さん、取れるものならとってみなさい〜」
ラティエルの背中に逃げ隠れ、愛がベェ〜ッと舌を出す。
「腰布も欲しいが‥‥別のモノも欲しい。何故ならわしらはえろがっぱーず! 股間の紳士が叫んでいる!」
訳の分からない台詞を口走り、河童達が飛び上がる。
「きゃぁっ! いや、放してぇ!」
いきなり腰布を奪い取られた挙句、激しく胸を揉まれたため、ラティエルが恥ずかしそうに悲鳴を上げた。
「悪戯が過ぎますよ、蒼牙さん!」
金箔の仏像で蒼牙を殴り、藍が頬を膨らませる。
えろがっぱーずの面々は、頭からドクドクと血を流し、温泉にぷっかりと浮かぶ。
「‥‥酷い目に遭いました‥‥」
大粒の涙を浮かべながら、ラティエルが胸元を隠す。
えろがっぱーずを捕まえる事が出来たが、胸を揉まれたショックが大きくて素直に喜ぶ事が出来ないようだ。
「それじゃ、罰として蒼牙さんには御仕置きです〜。罰として集めたものは没収してあなた達はここに晒し者にします〜」
そう言って愛がえろがっぱーずを御仕置きする。
最後まで彼らが蒼牙だと思い込み‥‥。
●トノサマ
「‥‥打倒えろがっぱーず。たちの悪い病に犯された河童達を癒す為、必ず彼らを倒して見せます」
えろがっぱーずに扮するため、ルーラス・エルミナス(ea0282)が甲羅を背負って頭の上に皿を乗せる。
えろがっぱーずのアジトは沼地の近くにあり、頭の上にキュウリを乗せたトノサマが、暢気にキセルを吹かしていた。
「えろがっぱーず‥‥か。懐かしいな‥‥」
何処か遠くを見つめながら、鋼蒼牙(ea3167)がクスリと笑う。
覗きの浪漫が河童達にも理解されているため、蒼牙の場合は河童の格好をしなくても歓迎される程である。
もちろん今回は任務で潜入しているため、ルーラス達と同じように頭に皿を乗せ、えろがっぱーずの一員である事を強調した。
「本当は奴らにスパイなんじゃないかね〜カッパ、蒼牙君〜」
えろがっぱーずに扮装し、トマス・ウェスト(ea8714)がケラケラと笑う。
一部の河童達の間で蒼牙が神格化されているという噂もあるため、彼が河童達と繋がっていても何らおかしい事ではない。
「ば、馬鹿を言うな、ドクター。俺がおまえらを裏切るわけが無いだろ! この鋼蒼牙は‥‥いわゆる覗きのレッテルを貼られている‥‥。温泉があれば覗きと(中略)‥‥だがこんな俺にも吐き気のする『悪』はわかる!! 『悪』とは自分自身の為だけに、人の物に手をつける奴の事だ! ましてやうら若き女性の腰布など‥‥俺は‥‥奪ったり‥‥しない」
気まずい様子で視線を逸らし、蒼牙がトマスに答えを返す。
「やっぱり内通しておったのだね〜カッパ」
胡散臭そうに蒼牙を睨みつけ、トマスがびしっと指差した。
「ご、誤解だっ! なっ、そうだろ! トノサマ! みんなに説明してやってくれ」
トノサマが近寄ってきたため、蒼牙が涙を浮かべて肩を掴む。
するとトノサマは懐から6枚の腰布を取り出し蒼牙の前で跪き、『あと1枚で蒼牙様の願いが叶います』と呟いた。
「‥‥‥‥」
微妙な空気が辺りに漂う。
「これを突き刺すべき相手は、あなたでしたか‥‥」
爽やかな笑みを浮かべながら、ルーラスがロングスピアを突きつけた。
「お、おい‥‥、まさかそれで俺を突く気か? ‥‥冗談だろ?」
青ざめた表情を浮かべながら、蒼牙がジリジリと後ろに下がる。
「突くのではありません。‥‥貫くのではありません」
蒼牙の尻に狙いを定め、ルーラスがニヤリと笑う。
念のため葱も用意しているが、蒼牙が本当に裏切っているのなら、ロングスピアの柄を捻り込んでも悪くない。
「これはトノサマの仕組んだ罠だっ! ほら、見ろ! 含み笑いを浮かべているだろ!」
トノサマの胸倉を掴み上げ、蒼牙が自分の無実を証明しようと必死になる。
「けっひゃっひゃっ、蒼牙君。諦めたまえ‥‥カッパ!」
すぐさまコアギュレイトを発動させ、トマスがトノサマと蒼牙の動きを封じ込めた。
その後、蒼牙はトノサマの策略により、身に覚えの無い罪を犯した事になる。
仲間達にも信じてもらえず、危うく島流しになりかけながら‥‥。