海賊の宝
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■ショートシナリオ&
コミックリプレイ
担当:ゆうきつかさ
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:1 G 40 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:02月06日〜02月19日
リプレイ公開日:2006年02月11日
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●オープニング
●冒険者の酒場
「頼む! 俺を助けてくれ! この通りっ!」
辺りの様子を確認しながら、ユーリが両手を合わせて頼み込む。
彼女はイギリスで海賊をしていたのだが、ちょっとしたトラブルに巻き込まれてしまい、しばらく身を隠すためジャパンに来ているらしいのだが、数日ほど前から誰かに命を狙われているらしく、冒険者達に護衛を依頼した。
「つーか、ユーリさんは海賊なんだろ? だったら狙われても当然じゃねえか?」
面倒臭そうな表情を浮かべ、鈴木太郎が溜息をつく。
鈴木太郎は不幸の女神に愛されているらしく、依頼に参加したとしても表舞台に出る事はない。
何故か依頼日当日になると、原因不明の腹痛に襲われたり、寝坊をしたりして依頼に参加する事が出来ないからだ。
「ば、馬鹿を言え! 俺が襲っているのは、悪い噂のある金持ちばかり。他人に感謝される事があっても、恨まれるような事はしてねえぞ!」
気まずい様子で視線を逸らし、ユーリがブツブツと文句を言う。
色々と心当たりがあるのか、ダラダラと汗を流している。
「それじゃ、イギリスにいた時に巻き込まれたトラブルってなんだ?」
胡散臭そうにユーリを見つめ、太郎がボソリと呟いた。
「うぐっ‥‥。そ、それは‥‥乙女の秘密ってヤツさ。‥‥えっち!」
これ以上追求されるとマズイため、ユーリが上目遣いで太郎を睨む。
思いっきり可愛く装ってみたが、それが逆に怪しさを増している。
「ううっ‥‥、気になる」
胸をキュンとさせながら、太郎が顔を真っ赤にした。
太郎のツボに入ったのか、何だか嬉しそうである。
「と、とにかくだっ! 俺の命が狙われているんだよっ! もちろん、財宝も含めてな!」
恥ずかしそうに頬を染め、ユーリが吐き捨てるようにして口を開く。
「‥‥報酬は?」
やけにクールな表情を浮かべ、太郎がボソリと呟いた。
「そうだなぁ‥‥。胸の谷間で色んなモノを挟んでやるよ。最高だぜ、俺の胸は‥‥。あっちじゃ、谷間のユーリって言われていた程だしな」
冗談まじりに微笑みながら、ユーリがぷるんと胸を揺らす。
「‥‥色んなモノ?」
それと同時に太郎の中で色々な妄想がはちきれんばかりに膨らみ、今にも爆発しそうになる。
「‥‥ってオイ! 冗談だぞ、冗談! そんな事をしたら、男しか集まらねえだろ。俺は女が好きなんだっ! ‥‥で、とりあえず金を払いたいんだが、こっちで船を手に入れたから持ち合わせがねえんだよなぁ‥‥。俺の持っている財宝を売るにも、色々と面倒な事になるから不可能だし‥‥。俺の護衛をしている間は、船の中で好きなように飲み食い出来るってのはどうだ? もちろん、纏まった金が入ったら、きちんと礼をするからさ! よっしゃ、決まり!」
こうして冒険者達は半ば強制的に依頼を引き受ける事となる。
ユーリの命を狙っている相手が春一番である事を知る事なく‥‥。
そして、依頼日当日。
太郎が全裸で発見された。
春一番の手によって、新しい世界に誘われた状態で‥‥。
●リプレイ本文
●海賊船
「う〜ん、何だか嫌な予感がするなぁ。ある意味、嵐に向かう船のような気がするけど‥‥」
春一番を去勢させる薬を作るため、イリア・アドミナル(ea2564)がユーリの手を借り材料を集める。
イリアが虚勢薬の材料として使用した物は、河豚と漆‥‥。
それ以外の物はユーリが役人達に怪しまれてしまうため、船内に持ち込む事さえ許されない。
「そういや一緒に来るはずだった鈴木某の姿が見えないな? まさかこんな時に遅刻したのか?」
海賊船の舳先に立って腕を組み、マスク・ド・フンドーシ(eb1259)がヒヨコと一緒に辺りを睨む。
この時、鈴木太郎は春一番によって『漢の刻印(詳細)』を押されて意識を失っていたのだが、他の冒険者達と合流する前に襲われてしまったため、その事を知る者は誰もいない。
「‥‥妙ですね。何処かで事故にでも遭っていなければいいんですが‥‥」
心配した様子で渡し板の前に立ち、三笠明信(ea1628)が溜息を漏らす。
念のため、ふゆ宛に手紙を出しておいたのだが、残念ながら彼女の姿も見当たらない。
「とにかく何が襲ってくるか分かりませんし、準備だけでもしておきましょう‥‥」
春一番に正体を知られ成すようにするため、大宗院透(ea0050)がフリーウェル女学生の制服を着て女装した。
「とりあえず物騒な物は持ち込まないでくれよ。これでも俺は優しい海賊が売りだからっ!」
透達が船内に持ち込もうとしていた毒物を役人に渡し、ユーリが引きつった笑みを浮かべて汗を流す。
以前からユーリの船は目をつけていたらしく、役人達がいまにも乗り込んできそうな勢いだ。
「ま、女性を護るっつーのは男子の本懐な訳で。気合込めていこうかね」
苦笑いを浮かべながら、マナウス・ドラッケン(ea0021)が防寒具を身に纏う。
冬の海風はとても冷たく、厚着をしないと死に掛けてしまう。
「がんばるですよ〜♪」
ひとつずつ積荷の中身を確認するため、央露蝶(ea9451)がまるごとトナカイさんを着込んで木箱を開ける。
木箱の中には数日分の食料が入っており、春一番が入るスペースは無い。
「‥‥何だか妙に怪しくありませんか?」
あからさまに怪しげ木箱を発見し、明信がダラリと汗を流す。
木箱には『春一番』の顔をイメージした焼印が押されており、箱の中からゴトゴトと妙な音がする。
「中に‥‥誰か居るようですね」
スクロールを広げてブレスセンサーを発動させ、イリアがゴクリと唾を飲み込んだ。
木箱の中には何者かが隠れているらしく、イリア達の声に気づいて暴れている。
「‥‥これか!」
問題の木箱を鎖と縄で縛りつけ、天風誠志郎(ea8191)が海に向かって蹴り落とす。
「はははははっ! 引っかかったな、愚か者め!」
勝ち誇った様子で高笑いを上げながら、春一番が船内へと逃げ込んだ。
どうやら木箱の中には猿轡を噛まされた鈴木太郎が入っていたらしく、海の方から何となく聞き覚えのある悲鳴が響いている。
「ば、馬鹿な! 何時の間にっ!?」
マストの上で『漢』と書かれた褌をはためかせ、マスクがヒヨコと一緒に表情を険しくさせた。
「総員第一種戦闘配備!」
こうしてマナウス達は春一番を追うため、船内へと向かうのだった。
●春一番
「‥‥おかしいな。妙な気配はするんだが‥‥」
ヘビーボウを構えながら、マナウスが警戒した様子で辺りを睨む。
ユーリの手下と連携を組み、間違いなく春一番を追い詰めたはずが、何処を探しても彼の姿が見当たらない。
「気のせいですかね‥‥?」
まるごとねずみーを着たまま船内を歩き、透が不思議そうに首を傾げて呟いた。
「‥‥そこかっ!」
何者かの気配を感じ取り、誠志郎が瞳をキラリと輝かせ、目の前の壁を斬りつける。
「やるなっ! それでこそ、わしと戦う相手に相応しいっ!」
それと同時に春一番が壁模様の布を投げつけ、誠志郎が油断した隙に雄叫びを上げて体当たりを喰らわせた。
「卑怯だぞ、春一番っ!」
すぐさま布を振り払い、誠志郎が辺りを睨む。
しかし、春一番はユーリの手下を追うのに夢中で、今まで誠志郎と戦っていた事すら忘れている。
「‥‥‥‥殺すっ!」
殺気に満ちた表情を浮かべ、誠志郎が再びティールの剣を振り下ろす。
「はははははっ! わしを誰だと思っている! 股間の紳士を甘く見るなよっ!」
手下の胸を揉みながら、春一番が誠志郎の攻撃をかわしていく。
「さすが春一番‥‥。自らの煩悩を糧として、戦闘力を高めているようですね」
春一番に生暖かい視線を送り、央が呆れた様子で汗を流す。
「ぬおおおおおおおおおおお! 来た来た来た来たァー! わしの子を産めえええええええええええええ!!!!」
興奮した様子で央が見つめ、春一番が雄たけびを上げて飛び掛る。
「寄るんじゃねぇよ、変態が!!」
掬い上げるようにしてロングクラブを振り上げ、央が春一番の股間を叩き潰そうとした。
‥‥がっ!
「ふふふふふっ、その程度の実力で、わしに歯向かうとは‥‥。むしろ、気持ちイイくらいだ!」
挑発気味に央を睨み、春一番が豪快に笑う。
春一番の股間は何度も蹴り飛ばされているためか、多少の攻撃ではビクともしないらしい。
「あれを防ぐとは‥‥ジャパンの親父は化物か!?」
唖然とした表情を浮かべ、マナウスがダラリと汗を流す。
改めて春一番の恐ろしさを実感しつつ‥‥。
●ユーリ
「‥‥本当に大丈夫ですかね?」
マナウス達の事を心配しながら、イリアがゴクリとお茶を飲む。
春一番を追っている途中でマナウス達が倒されてしまう可能性もあるため、ユーリを含む一部の冒険者が宝物庫で待機する事になったのだが、仲間達の事が心配でホッとしてはいられない。
「大丈夫だって! それに、こうやってお宝のところで張り込んでいりゃあ、ヤツだって迂闊に手を出せないはずさ!」
豪快な笑みを浮かべながら、ユーリがイリアの背中をバンバンと叩く。
本当は酒が飲みたいだけなので、小さい事は気にしていない。
「ううっ‥‥、緊張しますね」
目の前でユーリの胸がぷるんぷるんと揺れるため、明信が顔を真っ赤にしながら視線を逸らす。
「はははははっ! もっとジックリ見ておけよ! タダだぞ、タダ!」
胸を押し付けるようにして肩を抱き、ユーリが面白がってゲラゲラと笑う。
「だ、誰か助けてくださいっ!」
胸の谷間で死に掛けながら、明信が仲間達に向かって助けを求めた。
「んん〜ナイスバデーだが、ちィとマッスルが足らんな!! 我輩の守備範囲外だっ!」
ユーリの身体をざざっと見た後、マスクが真っ白な歯を輝かせる。
頭の上に乗っかったヒヨコも、何故かクチバシをキラリと輝かせ‥‥。
「それにしても‥‥、遅いですね。そろそろ帰ってきてもいい頃ですか」
仲間達がなかなか戻ってこないため、イリアが様子を見に行こうとした。
「待ちな! こんなに、か弱い娘を狼の群れの中に残して何処に行くつもりだい?」
イリアの腕をギュッと掴み、ユーリがジロリと彼女を睨む。
ちなみにか弱い娘とは‥‥、イリアではなくユーリである。
「お、狼の群れって‥‥」
引きつった笑みを浮かべながら、明信が気まずい様子で汗を流す。
「失敬なっ! 我輩がそんな事をするわけないだろ!」
ヒヨコと一緒にプンスカと怒り、マスクがユーリに対して抗議する。
「いや、その格好じゃ説得力が無いから‥‥」
呆れた様子でマスクの格好を見つめ、ユーリがボソリとツッコミを入れた。
「それじゃ、一緒に行きませんか?」
苦笑いを浮かべながら、イリアがユーリの手を引っ張りあげる。
「よっしゃ! 俺が船内を案内するぜ! 途中で迷子になったら困るしな!」
含みのある笑みを浮かべながら、ユーリが彼女の肩を抱いて部屋を出て行った。
何も知らない彼女を自分の部屋に連れ込むため‥‥。
●股間の紳士
「鬼さんこちら‥‥!」
まるごとねずみーを脱ぎ捨て人遁の術で絶世の美女に変身し、透が疾風の術を使って春一番を甲板まで誘き寄せる。
船内で戦闘を行った場合、あまりにも被害が出てしまうため、ここで一気にカタをつけてしまうつもりらしい。
「がっはっはっはっ! わしから逃げられるとでも思ったかっ!」
下品な笑みを浮かべながら、春一番が透に向かって襲いかかる。
「引っかかりましたね‥‥」
春一番を狙って油の入った樽を蹴り倒し、透が毒の塗られたマキビシを床にバラ撒いた。
「ぬぐおおおおおお!」
ツルリと滑って前のめりに倒れこみ、春一番の身体にマキビシがザクザクと刺さっていく。
大量の血を噴水のように流しながら、春一番がマキビシの上でダンスを踊る。
「残念ながら私は男です‥‥」
人遁の術を解除し元に戻り、透が自らの正体を明かす。
「構わん! むしろ好都合っ!」
ムックリと起き上がり、春一番がニヤリと笑う。
「変態ですか‥‥」
すぐさま微塵隠れを使い、透が安全な場所まで移動した。
それと同時に丸太が横から現れ、春一番が船の縁まで吹っ飛んだ。
「‥‥危ないところでしたね」
ホッとした表情を浮かべ、明信が額に浮かんだ汗を拭う。
「不意討ちとは卑怯だぞ!」
頭からドクドクと血を流し、春一番がふらりと立ち上がる。
「現れおったな! 偉大なる大英王国が騎士、幻惑のネイキッド・ファントムがお相手す‥‥って、聞きもせんのか〜!!」
春一番が再び丸太で飛んだため、マスクが慌ててツッコミを入れた。
「わしだって好きで吹っ飛んでいるわけではないっ! 次は‥‥本気で行かせてもらうっ!」
自らの血を隈取の如く顔に塗り、春一番があちこちの筋肉を隆起させていく。
「‥‥マズイ事になったな」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、マスクがジリジリと後ろに下がる。
「安全確保!」
背後からマスクに蛇毒手を使って麻痺状態にさせ、央が彼のアフロにオーラパワーを付与して両足を掴む。
「アフロ・ハンマー!!」
次の瞬間、央がジャイアントスイングを放ち、春一番の股間にマスクを叩きつけた。
「効かぬわっ!」
気合を入れてマスクを弾き、春一番が雄たけびを上げる。
新しい世界に目覚めたため、多少の攻撃ではダメージが無いらしい。
「一体、何の騒ぎだ!?」
何やら甲板が騒がしかったため、ユーリがイリアを連れて様子を見にやって来た。
ふたりとも浴衣を羽織っているだけで、その下には何も着ていない。
「お、お前ら‥‥」
ジト目でふたりを睨みつけ、誠志郎がボソリと呟いた。
今までふたりが何をしていたのか、誠志郎でなくとも容易に想像がつく。
「こ、これは‥‥誤解です!」
恥ずかしそうに頬を染め、イリアが慌てて胸元を隠す。
いまさら言い訳をしても遅いのだが、このままでは悪い意味で誤解をされそうだ。
「詳しい説明は後だっ! ヤツが来るぞ!」
イリアを守るようにして前に立ち、ユーリがジロリと春一番を睨みつける。
「ようやく現れたな。‥‥待ちかねたぞ」
獲物を見つけたハイエナの如くユーリを見つめ、春一番がいやらしい笑みを浮かべてヨダレを拭う。
「ちょっと待て! お前の目的は俺の持っている宝だろ!?」
キョトンとした表情を浮かべ、ユーリが春一番に確認した。
「貴様の宝なんぞに興味は無い。わしが狙っている獲物は、貴様自身の子袋だっ!」
拳をギュッと握り締め、春一番がキッパリと言い放つ。
「ひょっとして、飲み屋で出てくるアレの事か?」
春一番の言っている意味が分からず、ユーリが困った様子で首を傾げる。
本当は別の意味があるのだが、大人の事情で詳しい説明は出来ない。
「そんなくだらない理由のために彼女を狙っていたのか‥‥。異母兄弟姉妹が居た事を後になって知った時の子供の感情を、あんたは分かってるのか!」
雄たけびを上げて弓矢を乱射し、マナウスがトドメとばかりにシューティングPAEXを撃ち込んだ。
「こ、殺す気かぁ〜!」
いまにも泣きそうな表情を浮かべ、春一番が樽を盾代わりにして攻撃を避ける。
「おーい、春一番やーい!」
間の抜けた声を響かせながら、ユーリが浴衣の前を開いて裸を見せた。
「こ、これは!」
ユーリの裸体を瞳に焼きつけ、春一番が鼻息を荒くする。
「えいっ!」
その隙にイリアが春一番の股間を狙い、虚勢薬を叩きつけた。
「ぐおおおお!」
激痛のあまり股間を押さえ、春一番が信じられない様子で汗を流す。
股間に虚勢薬を喰らったせいで、再びデリケートな部分になったらしい。
「あれをやるぞ、誠志郎! 双蹴撃!」
それと同時にマナウスが誠志郎とタイミングを合わせ、春一番の股間を一緒に蹴り飛ばし、後から来た明信が一本足の構えから渾身の『沙世那羅葬無蘭(さよならほーむらん)』を炸裂させた。
青空に向かってカッキィーンと‥‥。